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職務経歴書をAIで整えるとき経歴を盛らせない:事実を守る指示文と確認の型

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

机の上に原文の印刷物とAIが整えた印刷物が並び、赤ペンで数字や役割の語を丸で囲んで照合している様子
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

職務経歴書をAIに整えさせると、「手伝った」が「主導した」に変わったり、数字のない業務に「10%向上」のような割合が付いたりすることがあります。防ぐために必要なのは、「指示文で使える事実を原文の中に固定すること」と「出力を人が原文と突き合わせること」の二つです。指示文だけでは書き足しを見逃し、突き合わせだけでは修正が多すぎて続きません。 AIの出力に誤りが混じることは、提供元も案内しています。OpenAIのヘルプは「ChatGPTは最初の下書きとして使い、最終的な情報源にしない」「引用やデータなどは必ず確認する」という趣旨を示しています(Does ChatGPT tell the truth?)。Claudeのサポートページも、説得力のある引用でも事実に基づかないことがあるとして、Claudeを唯一の情報源にしないよう求めています(Claude is providing incorrect or misleading responses)。 この記事の指示文、入力例、チェックリスト、判断表は、私が設計した説明用のものです。実際にAIへ入力して効果を測ったものではありません。お使いのサービスとモデルで、まず短い原文を使って試してください。

この記事の目次
  1. 盛られやすい箇所と見本
  2. 事実の範囲を固定する指示文テンプレート
  3. 出力と原文の差分チェックリスト
  4. 出力を見たときの判断表
  5. 提出前の最終確認

盛られやすい箇所と見本

材料が薄い箇所ほど、AIがそれらしい表現で埋めてしまうことがあります。代表的なのは次の四つです。

  • 「手伝った」が「主導した」に変わる
  • 数字のない業務に割合や件数が付く
  • チームの成果が本人の成果として書かれる
  • 「資料作成」が「業務改善の提案」のように、別の種類の仕事になる

悪意がなくても起きます。ただ、提出するのはあなたの名前の書類です。面接で説明できない内容は、そのままリスクになります。

次の原文は説明用の架空のものです。

2021年4月〜2024年3月 小売チェーンの店舗で販売スタッフ。レジ、品出し、アルバイトの新人への声かけ。月次の売上会議の資料作りを手伝った。

「盛られた形」は、起こりうる例として私が作ったもので、実際の出力ではありません。

  • アルバイトの新人への声かけ、盛られた形(要注意):新人アルバイトの教育を担当、許容できる形:新人アルバイトへの声かけ
  • 売上会議の資料作りを手伝った、盛られた形(要注意):売上分析資料を作成し、売上向上に貢献、許容できる形:月次売上会議の資料作成を補助
  • レジ、品出し、盛られた形(要注意):レジ・在庫管理業務を統括、許容できる形:レジ、品出し
  • (数字なし)、盛られた形(要注意):接客満足度を15%改善、許容できる形:【要確認:数字があれば記載】

「声かけ」を「教育」にするのは言い換えのようで、仕事の重さが変わっています。自然に読めるほど見落としやすい変化です。

事実の範囲を固定する指示文テンプレート

末尾に原文を貼って使います。ポイントは、使ってよい事実を「原文だけ」と明示すること、禁止事項を具体的に挙げること、足りない箇所は埋めさせずに質問させることです。

あなたは職務経歴書の校正担当です。文章を整えるだけで、内容を新しく作ってはいけません。

【使える事実の範囲】
下の「原文」に書かれている事実だけを使います。原文にない会社名・役職・期間・人数・金額・割合・順位・ツール名・資格・成果・役割は、推測でも一般的な例でも書かないでください。

【やること】
1. 箇条書き・体言止めで読みやすく整える
2. 表記ゆれと誤字を直す
3. 曖昧な表現(「多数の」「大幅に」など)は曖昧なまま残し、具体的な数字に置き換えない

【やってはいけないこと】
- 数字を足す、丸める、単位や期間を変える
- 役割を強める語への変更(原文が「補助」「手伝い」なら、そのままの強さで書く)
- チームの成果を私個人の成果として書く
- 原文にない強み、因果関係(「〜により向上」など)、志望動機の補完

【情報が足りないとき】
補わず、その箇所に【要確認:何が足りないか】と書いてください。最後に、私への質問を最大5つ挙げてください。

【出力形式】
A. 整えた職務経歴(本文)
B. 変更一覧(表:原文の該当部分/変更後/種類=言い換え・削除・並べ替え)
C. 原文にない数字・固有名詞・役割を表す語が本文に含まれていれば列挙(なければ「なし」)

【原文】
(ここに貼る)

出力形式のCは便利ですが、AI自身の申告です。「なし」と返ってきても確認の代わりにはなりません。次の突き合わせは必ず行ってください。

貼る前に置き換えるもの

会社名、取引先名、個人名、社内システム名は、「A社」「担当者B」のような仮名に置き換えて貼り、仕上がった後に自分で戻すのが安全です。データの扱いはサービスや契約、設定によって異なります。機密に当たる情報は、そもそも貼らない前提で運用してください。

出力と原文の差分チェックリスト

出力の本文(A)を原文と並べ、上から順に確認します。印刷して色ペンで印を付けるか、文書の検索機能を使うと進めやすくなります。

  1. 数字:年月、人数、金額、割合、順位のすべてに印を付け、原文に同じ数字があるか確認します。ない数字は削除するか、自分の記録で裏付けを取ります。
  2. 期間と雇用形態:在籍期間、正社員・派遣・アルバイトなどの区分、役職名が原文と一致しているか確認します。
  3. 役割を表す語:「主導」「統括」「責任者」「推進」「立案」「企画」「管理」「教育」といった語が、原文にあるか、あっても同じ強さかを確認します。
  4. 主語:個人の行動かチームの行動か。原文より個人寄りになっていないか確認します。
  5. 因果と成果:「〜により」「結果として」「貢献」が足されていないか確認します。原文にない因果関係は、事実ではなく推測です。
  6. 固有名詞:ツール名、資格名、取引先、製品名が増えていないか確認します。
  7. 形容:「高い」「豊富な」「幅広い」など、原文にない評価語がないか確認します。
  8. 消えた情報:短い在籍期間、補助的な立場、ブランクなど不利に見える事実が、変更一覧に載らないまま消えていないか確認します。
  9. 変更一覧との照合:変更一覧(B)にない変更が本文にないか確認します。一覧は不完全なことがあるので、本文側からも見ます。

数字や成果を実際に増やしたいときは、AIに頼まず先に自分で事実を確認します。業務メモ、社内で共有された実績資料、評価面談の記録などに当たり、確認できた内容を原文に書き足してから、もう一度AIに渡します。順番を逆にしないことが、盛らせないための要です。

出力を見たときの判断表

  • 原文にない数字がある、判断:削除、次の行動:根拠を自分で確認できるときだけ、原文に足して再依頼
  • 役割の語が強まっている、判断:差し戻し、次の行動:「原文の強さのまま」と指定し、該当行だけ再依頼
  • 【要確認】が付いている、判断:想定どおりの動作、次の行動:事実を自分で埋めるか、行ごと削る
  • 変更一覧が空、または少なすぎる、判断:信用しない、次の行動:本文を原文と全文比較する
  • 質問が返ってきた、判断:回答する、次の行動:回答は事実メモとして原文に追記してから再依頼
  • 何度直しても足される、判断:範囲を絞る、次の行動:一度に渡す量を1社分、または数行に減らす

提出前の最終確認

AIが整えた全文を、自分の言葉で読み上げてみてください。面接で根拠と一緒に説明できない行があれば、その行は事実の範囲を超えています。削るか、事実を確認してから書き直します。

AIに任せるのは、表記の統一や箇条書き化といった整形までです。何を書き、どの数字を載せ、どの役割を名乗るかは、本人が決めて責任を持つ部分です。

出典・参考資料