「こんなゲームがほしい」をAIに伝える、一枚の企画書の作り方
遊びをつくる執筆にClaudeを使用しています。

「こんなゲームがほしい——石を並べて崩す、短く遊べるやつ」。そのひとことをAIに投げると、意図と違うコードが返ってくることがあります。AIが足りない情報を「よくある仕様」で補完するからです。一枚の企画書は、このすれ違いを防ぐ道具です。画面・操作・目的・終わり方の4欄を埋めることで、AIへの指示は具体的になり、試作の手直しを減らすことを狙えます。
「面白そう」だけでは伝わらない理由
AIはゲームを生成するとき、説明に不足した情報を「よくある仕様」で埋めます。「パズルゲームを作って」と頼めば格子とブロックが出てきますし、「短く遊べる」と加えても「60秒のタイマー」が付く程度かもしれません。意図を近づけようと繰り返し修正を頼むうちに、最初の感覚からかえって離れていく——これが「伝わらない企画」の典型的な展開です。
伝わらない原因のほとんどは、説明が体験の評価で止まっていることにあります。「面白い」「やみつきになる」「気持ちいい」は、完成したゲームを遊んだときの感想であって、画面に何が映り、指がどう動き、何をしたらクリアと判定されるかを教えてくれません。AIが設計の決断を肩代わりするほど、完成物はあなたのイメージから遠ざかります。
4つの欄で、ひとつのゲームを定義する
企画書は一枚に収まる4欄のメモです。ゲームジャンルの名前も、世界観の長い説明も、最初は要りません。「画面に映るもの・プレイヤーの操作・目的と達成条件・終わり方の区切り」の4つを埋めれば、AIが仕様を勝手に補う余地は大きく減ります。
- 画面に映るもの——背景、キャラクター、盤面、数値表示など、ゲームを開いたときに見えるものを列挙します。「おしゃれな」「かわいい」といった形容詞より、「格子状の6×6マス」「中央に時計の文字盤」のような具体物が有効です。
- プレイヤーの操作——何をタップ・クリック・ドラッグするか、または何のキーを押すかを書きます。「スワイプで動かす」なのか「ボタンを押すたびに1マス進む」なのかで、生成されるコードは全く変わります。
- 目的と達成条件——何のために動かし、どうなったらクリアと判定するかを書きます。「楽しく」ではなく「3つの荷物をすべて配達マスへ運ぶ」「針を指定した時と分にぴったり合わせる」という、判定可能な条件にします。
- 終わり方の区切り——1回のプレイがいつ終わるかを書きます。クリア・失敗・制限時間切れ・ステージ数など、繰り返しのサイクルを決めます。「無限に続く」なら、それも明記します。
「難易度」「BGM」「スコアのアニメーション」は後から追加しやすい要素です。最初の企画書には含めず、試作が動いてから加えると、最初の指示がシンプルに保たれます。
記入例:時刻合わせゲーム
「針を動かして時刻を合わせる、一人用の練習ゲームが欲しい」というアイデアを企画書に落としてみます。以下は本記事の説明のために作成した架空の例です。実際に開発・検証したものではありません。また、時計の針を扱う場合は判定の単位を明確にしないとAIが曖昧な実装を選びやすいため、ここでは「スナップ(段階的な移動)」と「一致判定」を使ったシンプルな練習用設計にしています。
- 画面に映るもの:画面中央に時計の文字盤(12時間表示)。時針と分針の2本。画面上部に「3時15分にしてください」という問題文。画面下部に「決定」ボタン。
- プレイヤーの操作:時針と分針をそれぞれクリックまたはドラッグして動かす。時針は30度刻み(1時間単位)でスナップし0〜11の値をとる。分針は6度刻み(1分単位)でスナップし0〜59の値をとる。「決定」ボタンをタップして答えを確定する。
- 目的と達成条件:問題文が指定する時と分に、時針・分針それぞれのスナップ値が一致したとき正解と判定する。この例では時針と分針は独立して動き、実時計のような連動は省略した練習用設計としている。
- 終わり方の区切り:5問出題し、全問答えたらゲーム終了。正解数と所要時間を表示する。「もう一度」ボタンで最初から始められる。
4欄を埋めると、「操作対象が2本の針であること」「スナップの刻みと一致判定という明確な条件」「5問で1セットであること」が確定します。これらはAIが曖昧な指示から勝手に決めてしまいやすい部分です。判定の単位(角度・値・時間など)をあらかじめ書いておくと、AIが独自の解釈でロジックを組むリスクが減ります。
企画書をAIへの指示文に変換する
4欄を埋めたら、そのまま文章としてつなぐだけで指示文になります。修飾語を加えるより、欄の内容を正確に伝えることを優先してください。以下は、先ほどの記入例をそのまま指示文に変えたテンプレートです。この例では練習用として「単一HTMLファイル」を選んでいますが、アソバースへの投稿はHTML・ZIPファイルの直接投稿のほか、公開済みURLの登録にも対応しています。
以下の仕様でブラウザで動くゲームをHTML/CSS/JavaScriptで作ってください。
外部ライブラリやサーバーは使わず、単一のHTMLファイルで完結させてください。
【画面に映るもの】
・画面中央に時計の文字盤(12時間表示)
・時針と分針の2本
・画面上部に問題文(例:「3時15分にしてください」)
・画面下部に「決定」ボタン
【プレイヤーの操作】
・時針:クリックまたはドラッグで30度刻み(1時間単位)にスナップして動かす(値:0〜11)
・分針:クリックまたはドラッグで6度刻み(1分単位)にスナップして動かす(値:0〜59)
・「決定」ボタンをタップして答えを確定する
・時針と分針は独立して動く(実時計のような連動は不要)
【目的と達成条件】
・問題文の時刻に針を合わせる
・時針のスナップ値と分針のスナップ値がそれぞれ問題文の時・分と一致したとき正解と判定する
【終わり方の区切り】
・5問出題し、全問終了後に正解数と所要時間を表示する
・「もう一度」ボタンで最初から始められる指示文の冒頭に「HTML/CSS/JavaScriptで」「単一のHTMLファイルで完結」と技術条件を書くことで、AIが外部ライブラリやサーバーサイドの処理を前提にした構成を選ぶリスクが減ります。試作を受け取ったらすぐにブラウザで開いて、自分の手で操作して確認する習慣をつけておくと、後の手直しが楽になります。
上のコードはあくまで説明用のテンプレートです。生成結果がそのまま動作することを保証するものではありません。必ず自分のブラウザで動作を確かめてから次の手順に進んでください。
試作と企画書の対応を確認する
AIが試作を返してきたら、企画書の4欄と照らし合わせます。欄ごとに「意図通りか・変わっているか・抜けているか」を確認する作業で、修正の指示も欄単位で出せます。確認する観点をまとめると以下のようになります。
- 画面に映るもの→ 文字盤が表示されているか。時針と分針が視覚的に区別できるか。問題文と決定ボタンの配置は仕様通りか。企画書に書いていない要素(スコア表示、カウントダウンなど)が追加されていないか。
- プレイヤーの操作→ 針がスナップして動くか。時針と分針を独立して操作できるか。決定ボタンが実際に機能するか。指定していない操作方法(クリックで瞬間移動など)が混入していないか。
- 目的と達成条件→ スナップ値の一致判定が実装されているか。時針と分針の両方を同時に確認しているか。正解・不正解のフィードバックが明確に出るか。
- 終わり方の区切り→ 5問で終了するか。終了後に正解数と所要時間が表示されるか。「もう一度」ボタンで状態がリセットされるか。
修正を依頼するときも欄の名前を使うと伝わりやすくなります。「ボタンを押しても何も起きない」より「【目的と達成条件】の判定が動作していません。スナップ値の一致を確認してください」と欄を指定すると、AIは修正箇所を絞り込みやすくなります。
AIが生成したコードの動作確認は、必ずブラウザで自分が操作して行います。「コードが生成された」=「正しく動く」ではありません。遊んで仕様通りか確かめてから投稿を進めてください。
企画書を育てて、試作を投稿へ
一枚の企画書は、試作が動くたびに育てられます。「ドラッグより数字入力のほうが操作しやすかった」「5問より3問のほうがテンポがよかった」——試作から気づいたことを企画書に書き戻すと、次の指示がさらに具体的になります。企画書を更新するたびに日付か番号を添えておくと、どの試作がどの企画書から生まれたかを後で追いやすくなります。
企画書と試作が一致したと感じたら、ブラウザで実際に遊んで動作を確認してから投稿を進めましょう。アソバースへの投稿はHTMLファイル・ZIPファイルの直接投稿と、公開済みURLの登録に対応しています。投稿フォームのタイトル・説明文・操作方法の記入にも、企画書の4欄が土台として使えます。「目的と達成条件」は説明文に、「プレイヤーの操作」は操作方法欄に、それぞれ言葉を補いながら転記すると作業が速く進みます。



