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Scratchで本格的なゲームを作る限界と超え方

遊びをつくる

執筆にClaudeを使用しています。

同じ小さなゲームを異なる方法で描いた三枚のスケッチと鉛筆。
記事のテーマをもとに制作したAI生成イメージ。実際のゲーム画面ではありません。

Scratchはビジュアルプログラミング環境として世界中で使われており、プラットフォームゲームからRPGまで、驚くほど複雑な作品が公開されています。「Scratchで本格的なゲームは作れるのか」と調べている人の多くは、すでにある程度作り始めて、何かに詰まっているか、あるいは今後詰まりそうな予感を感じている段階ではないでしょうか。 結論から言えば、Scratchには構造的な限界があります。ただしその限界は「面白いゲームが作れない」ということではなく、「特定の規模・機能を超えようとすると急激に難しくなる」という性質のものです。どこで壁にぶつかるかを知っておけば、設計の段階で回避策を用意できます。また、本当に超えられない壁であれば、別のツールに移行する判断も早くできます。 この記事では、Scratchで実際に起きやすい限界を技術的・設計的な両面から整理し、それぞれの超え方と、超えられない場合の次のステップを示します。

この記事の目次
  1. Scratchの構造的な限界とはどこか
  2. 壁を回避する設計の考え方
  3. それでも越えられない壁と移行の判断基準
  4. Scratchから次のツールへ移行するとき
  5. 次の行動
  6. 参考資料

Scratchの構造的な限界とはどこか

Scratchの制約は大きく三つの層に分かれます。パフォーマンス、データ管理、そして外部連携です。

パフォーマンス面では、スプライト(キャラクターやオブジェクトの単位)の数が増えるほど処理が重くなります。クローン機能を使えば同じスプライトを複数生成できますが、クローン数には上限があり、大量の弾や敵を画面に出すシューティングゲームでは限界が見えやすいです。さらに、Scratchのスクリプトは基本的にシングルスレッド的に動くため、重い処理が一か所で走ると全体がカクつきます。

データ管理の面では、変数とリストしか使えません。JavaScriptであれば連想配列(オブジェクト)で「キャラクターID→HPとMP」のようなまとまりを扱えますが、Scratchでは同じ情報を複数のリストに分散させて管理するしかありません。RPGのようにキャラクターデータ・アイテムデータ・フラグ管理が複雑に絡み合う構造では、リストが10本・20本と増え、どのリストの何番目が何を意味するかを自分で追いかけ続ける必要があります。バグが出たとき、その原因を探すのが非常に困難になります。

外部連携については、Scratchは基本的に閉じた環境です。外部APIの呼び出し、ファイルの読み書き、別のプレイヤーとのリアルタイム通信は標準機能では行えません。オンライン対戦や、プレイデータをクラウドに保存する機能を求める場合は、Scratchの外に出る必要があります(クラウド変数という機能はありますが、できることは限定的です)。

壁を回避する設計の考え方

限界を知ったうえで、それでもScratch内で完成させたい場合には、設計の段階で工夫できることがあります。

スプライト数とクローン数を意識した設計として、「見えない範囲は処理しない」という考え方が有効です。画面外に出た敵や弾は削除または非表示にして処理対象から外し、ステージを分割してスプライトをシーン単位で切り替えることで、常に稼働するスプライト数を減らせます。また、複雑なアニメーションをコスチューム切り替えで実装すると、スプライトを増やさずに表現の幅を広げられます。

データ管理の工夫としては、リストを「1本のリストに複数の情報を詰める」方式で扱う方法があります。たとえば敵のデータを「x座標, y座標, HP, 種類」の4値を一組として1本のリストに連続して格納し、4の倍数でインデックスを管理するやり方です。これはデバッグが難しくなる欠点もありますが、リストの本数を減らして全体を見通しやすくする効果があります。どちらを選ぶかはゲームの規模次第で、小規模なら分散管理のほうが読みやすく、中規模以上なら連続格納を検討する価値があります。

処理の分散については、Scratchの「〜まで待つ」「〜まで繰り返す」を使って重い処理を1フレームに集中させず、複数フレームに分けて実行する手法が使えます。大きなマップの当たり判定を毎フレーム全体に対して行うのではなく、プレイヤーの近くだけに絞るのも有効です。

それでも越えられない壁と移行の判断基準

設計で回避しきれない限界も存在します。以下のいずれかに当てはまったとき、Scratchの外に出ることを真剣に検討してください。

  • 別プレイヤーとのリアルタイム対戦や協力プレイを実現したい
  • セーブデータをサーバー側に保存して複数デバイスで引き継ぎたい
  • 画面いっぱいの敵や弾を出したいが、どう最適化してもカクつく
  • キャラクターやアイテムのデータ構造が複雑すぎて、バグの原因を特定するのに毎回1時間以上かかる

逆に、次のような状況ではScratchのまま完成させるほうが得策です。

  • プレイ時間が5〜15分程度でステージ数も少ない
  • オフラインでの単独プレイで十分で、セーブ要件がシンプル
  • すでにScratchで全体の7割以上を作ってしまっており、移行コストのほうが高い

要するに判断の軸は「完成させることと機能要件のどちらを優先するか」です。移行には学習コストがかかります。作りたいものがScratchでも十分に実現できるなら、今の環境で完成させる価値は大きいです。

Scratchから次のツールへ移行するとき

Scratchを超えると決めたとき、選択肢はいくつかあります。

GDevelop はビジュアル操作が中心でコードをほぼ書かずに済み、イベントベースの設計がScratchに近い感覚で扱えます。エクスポートするとHTMLファイルが出力されるため、ブラウザで動くゲームを作りやすいです。

Godot はスクリプト言語(GDScript)を使いますが、学習コストに見合った自由度があります。2Dゲームの当たり判定やアニメーション管理が整備されており、RPGやアクションゲームを作る場合は選択肢になります。

JavaScriptとPhaser は、Web上でのゲーム開発に特化したフレームワークです。コーディングが必要ですが、ブラウザ上での動作確認がしやすく、外部APIとの連携もScratchよりはるかに柔軟です。

移行先を選ぶポイントは「作りたいジャンル」と「コードを書く意欲の有無」の組み合わせです。ビジュアル操作で続けたいならGDevelop、コードを書く覚悟があるならGodotかPhaser、という分け方が大まかな目安になります。いずれのツールも、HTMLやZIPとして出力したファイルはアソバースのような投稿プラットフォームから公開できます。

次の行動

まずScratchで現在詰まっている箇所が「設計で回避できる壁」か「構造的に超えられない壁」かを上記の基準で確認してください。設計で回避できる場合はスプライト管理とリスト設計を見直し、超えられない場合はGDevelopを試す選択肢を検討してください。完成したゲームはHTMLファイルまたはZIPとしてエクスポートし、アソバース(https://aso-verse.com)から投稿・公開できます。

参考資料

  • Scratch公式ドキュメント(MIT Media Lab)
  • GDevelop公式ドキュメント
  • Godot Engine公式ドキュメント
  • Phaser公式ドキュメント(Phaser.io)