ヒントが示した手と、自分が選んだ手はどこが違ったか
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「潮目のオセロ」のひとり対局には、理由付きヒントがあります。ヒントを押すと一手が示され、その手を選ぶ理由が添えられます。ここで多くの人は、示された手をそのまま打って先へ進みます。けれども、自分が打とうとしていた手とヒントの手が違っていたなら、そこには自分の判断の癖が出ています。その違いを言葉にしないまま進むのはもったいない場面です。 この記事は結果を報告するものではありません。一局分の手を記録して「判断のずれ」を言葉にするための、分析の手順書です。準備するのは紙かメモアプリだけです。集計の単位は一手ごと、一局ごとです。数え方と読み方を決めておけば、自分の一局から「自分はどんな基準で石を置きがちか」が見えてきます。
何を比べるのか
比べるのは次の二つです。
- 自分が、ヒントを見る前に選んだ手
- ヒントが示した手と、その理由
ずれには二つの層があります。一つは手そのものが違うこと、もう一つは手を選ぶときに重視した点が違うことです。たとえ同じ手を選んでいても、理由が違えば、似た局面で別の手を選ぶかもしれません。そのため記録では、手が一致したかどうかだけでなく、理由を自分の言葉で書き留めます。
ヒントの理由に具体的にどんな文言が出るかは、この記事では書きません。作品を開いて、実際に出る文を確かめてください。記録するときも、画面の文をそのまま写すのではなく、自分の言葉に言い換えるのがこの分析のコツです。言い換えられない理由が出てきたら、それ自体が一つの発見です。
準備するもの
作品側で使う機能は次の三つです。
- ひとり対局の理由付きヒント
- 置く前に表示される、返る石のプレビュー
- 一手戻す
ヒントと一手戻すはひとり対局だけの機能で、友達とのオンライン対局では使えません。また、記録や進行は画面を開いている間しか残りません。分析用の記録は、必ず自分のメモに残してください。対局の途中で画面を閉じたり再読み込みしたりする前に、そこまでの記録が手元にあることを確かめておくと安心です。
相手の強さは3段階から選べます。段階を途中で変えると、記録の比較がしにくくなります。一局分の記録では、同じ段階で通してください。
記録シートは次の列で作ります。表を紙に描いても、メモに列を並べても構いません。
- 手番、内容:自分の何手目か(パスは数えません)
- 自分の手、内容:ヒントを見る前に決めた置き場所
- 自分の理由、内容:その手を選んだ理由を一言で
- ヒントの手、内容:示された置き場所
- ヒントの理由、内容:自分の言葉に言い換えたもの
- 一致、内容:○か×か
- 分類、内容:後述のコード
置き場所の呼び方は、自分で決めて構いません。たとえば横を左からa〜h、縦を上から1〜8として、「c4」のように書く方法があります。作品に座標の表示があるかどうかは、この記事では前提にしません。盤の隅を基準に自分で数える形で十分です。
記録の手順
一手ごとに、次の順番で進めます。この順番を守ることが、分析の中でいちばん大切です。
- 盤面を見て、置きたい場所を一つ決めます。
- ヒントを押す前に、自分の手と理由を記録シートに書きます。
- 可能なら、カーソルを自分の手に合わせて返る石のプレビューを確認し、返る枚数も添えておきます。
- ヒントを押し、示された手と理由を書き写します。
- 手が同じなら○、違うなら×をつけます。
- 実際に盤へ置く手を決めます。
最後の6について、この分析の目的に合うのは、基本的に自分の手を打ち続けるやり方です。ヒントの手を打つと、その後の局面は自分の判断が作ったものではなくなります。ずれを観察する局面が、ヒント側に引っ張られていくからです。
ただし、不一致の手がとても気になるときは、一手戻すが使えます。ヒントの手を打ってみて、自分の手と比べ、また戻して自分の手を打つ、という流れです。このとき、相手の応手が毎回同じになるかどうかは、この記事では分かりません。作品で何度か試して確かめてください。同じとは限らないと考えておけば、比べ方を誤りにくくなります。
不一致が出た手では、シートの理由欄を必ず埋めます。ヒントの理由を、自分の言葉で次のように言い換えます。
「ヒントは○○を優先していた。自分は△△を優先していた。」
この一文が書けた手が、この分析の成果物です。
ずれを分類する
不一致の手が溜まったら、種類ごとに分けます。分類のコードは自分で作って構いません。ここでは例として、五つを挙げます。
- A(枚数):自分の手のほうが返る枚数を重視していた
- B(位置):ヒントは盤の隅や端といった位置を重視していた
- C(相手の手):ヒントは、相手が次に打てる手の様子を意識していた
- D(見落とし):ヒントの手が、そもそも自分の候補に入っていなかった
- E(不明):ヒントの理由を言い換えられなかった
これらは分類の枠の例であり、ヒントが実際にこの観点で理由を述べるとは言っていません。理由に出る観点は作品で確認し、枠のほうを自分の記録に合わせて作り直してください。理由の文を読んでから、「この観点はこの局では何度も出てくる」と感じたものを分類コードにするほうが、実態に合います。
迷う手が出たら、無理に一つに決めず、二つのコードを併記します。あとで数えるときは、主なコードを一つ決めるか、併記は別枠で数えるかを、最初に決めておきます。途中でルールを変えると、局ごとの比較ができなくなります。
集計と読み方
集計は二段階に分けます。
一局の中で数えるもの
- ヒントを確認した手数
- そのうち一致した手数
- 不一致の手数と、コード別の内訳
一致の割合は「一致した手数 ÷ ヒントを確認した手数」で出せます。数字そのものは、一局では参考程度に見てください。手数が限られているので、一手の違いで割合が大きく動くからです。
複数局にまたがって見るもの
同じ相手の段階で、できれば3局以上記録します。そのうえで、コード別の不一致を並べます。読み方の目安は次のとおりです。
- 特定のコードに不一致が偏る場合は、その観点が自分の判断で軽くなりがちだと考えます。次の局では、手を決める前にその観点を一度だけ確認する習慣を試します。
- Dが多い場合は、判断の基準以前に、候補を挙げる段階で手が漏れています。打てる場所を一通り眺めてから比べる、という作業を挟む手があります。
- Eが多い場合は、理由の言葉と自分の盤面理解が結びついていません。理由の言葉を、プレビューの石の動きと対応づけて読み直してみてください。
- 不一致が少なくコードも散らばる場合は、現時点の段階では大きな癖が見えにくいということです。その場合は、相手の段階を一つ上げて同じ記録を取ると、ずれが出やすい局面に出会いやすくなります。
分析の最終出力は、次の形の一文です。
「自分は○○の局面で△△を優先しがちで、ヒントは□□を優先する。」
この一文を次の局に持ち込み、実際に行動が変わるかを、また記録で確かめます。
起こりやすい誤り
分析が崩れる原因は、だいたい次の五つです。
- ヒントを先に押す:自分の手が、ヒントに引っ張られた手に変わってしまいます。必ず手を書いてから押します。
- ヒントを正解として扱う:ヒントがどんな局面でも最善かどうかは、この記事では断定しません。「違う手=悪い手」とは限らないので、ずれは良し悪しではなく、違いとして記録します。
- 理由をそのまま写す:写すだけだと、理解したかどうかが分かりません。必ず自分の言葉に直します。
- 序盤の一致を過大に見る:序盤は候補の手が少ないので、一致しやすいと考えられます。割合を見るときは、序盤・中盤・終盤に分けて数えると、局面による偏りを避けられます。
- 途中で条件を変える:相手の段階を変える、分類のルールを変える、といったことをすると、局同士が比べられなくなります。変えたい場合は、そこから新しい記録として扱います。
また、置ける場所がなくて自動でパスになる手番もあります。パスは自分の手数に数えず、シートにも行を作らないほうが、集計が揃います。
次の行動
まず記録シートを一枚用意し、ひとり対局の相手を一つ選んで、一局だけヒントの前に自分の手を書く練習をしてみてください。終局後は、不一致の手に「ヒントは○○を優先していた。自分は△△を優先していた。」の一文を書き、記録が消える前に手元へ写しておきます。同じ段階でもう二局記録すれば、自分のずれの傾向が数え上げられるようになります。


