オセロの一局を読者と指す:毎日一手ずつ決める
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毎日1回、オセロの盤面を公開し、「今日はどこに置くか」を読者の投票で決めて一手だけ進める。これを終局まで続ける企画を考えてみます。相手はコンピューターです。読者全員で1人のプレイヤーを務めるので、大人数で1つの頭脳をつくるような遊びになります。 ただし、思いつきで始めると数日で壊れます。票が割れた日の扱い、急にいなくなる投票者、手を打てない手番、画面を閉じたら消える盤面など、決めておくべきことが多いからです。この記事は、実施した結果を報告するものではありません。「始める前に何を決めておけば、最後の一手まで続くか」を、企画者の目線で順に整理します。
初手は投票にならない:対称性の話
最初に、標準的な初期配置を確かめます。d4と e5が白、d5とe4が黒で、黒が先手です。列は左からa〜h、行は上から1〜8とします。
この配置で黒が打てる手は、d3、c4、f5、e6の4つです。たとえばd3なら、d4の白を挟んでd5の黒とつながるので置けます。残りの3つも、同じ要領で自分の石の線上に白を1つ挟めることが確かめられます。
この4つは、盤を回したり裏返したりすると互いに重なる同じ形です。つまり初手の4択は、見た目が違うだけで中身は1通りです。ここに投票を置いても、読者の判断は結果にほとんど影響しません。
同じ理由で、読者が白を持つ場合、黒の初手がどれであっても白の合法手は3つになります。f5を例にすると、黒はd5、e4、e5、f5の4石、白はd4の1石です。白が打てるのはd6、f6、f4で、いずれもd4の白と黒の石を挟める位置です。これは実際の盤で並べて、1つずつ確かめてください。
ここから企画の分かれ道が見えます。
- 読者が黒を持つ場合、初日の一手は投票を楽しむ「練習日」と割り切り、本番の判断は2手目から始めます。
- 読者が白を持つ場合、CPUが黒の初手を打った直後から、3択の投票が意味を持ちます。
潮目のオセロのひとり対局で、読者側の色を選べるかどうかは確認済みの情報にありません。作品を開いて確かめ、選べなければ前者の形で進めてください。
多数決が抱える三つの弱点
次に、多数決という方法そのものを点検します。
票が割れる
候補が10個あって、各1票ずつなら決められません。「最多得票」だけでなく、同数のときの規則も、始める前に決めておきます。たとえば次のような決め方があります。
- 同数なら、前日の投票で票が少なかった側の案を選ぶ。
- 同数なら、ひとり対局の「理由付きヒント」が示す手を選ぶ。
- 同数なら、決め方を事前に公開した抽選にする。
どれを選んでも構いません。大切なのは、同数になってから決めないことです。後から決めると、不公平だという不満が必ず出ます。
ふざけた票が集まる
オセロでは、置ける場所が盤面に応じて決まっています。全員が合法手だけから選べるように、投票用の図には打てるマスだけに印をつけます。ただし、印を主催者が3つに絞ると、主催者の好みが入ります。全合法手を載せて、得票上位から選ぶ方式が公平です。
終盤の一手が重い
序盤は、どこに置いても大差がありません。しかし残りのマスが少なくなると、一手が勝敗を左右します。終盤ほど、投票者が盤面を読む時間が必要になります。投票の締切を延ばすか、ヒントの理由を添えて判断材料を増やすなど、段階ごとに運用を変える手もあります。
一日の運用を型にする
毎日同じ手順を繰り返すので、型を作っておくと運営の負担が減ります。
- 朝、作業:盤面と合法手の図を公開、記録するもの:手数、石数(黒・白)
- 日中、作業:投票を受け付け、記録するもの:各候補の票数
- 夜の締切、作業:集計して手を決定、記録するもの:決まった手、票の内訳
- 夜の締切後、作業:作品で再現して、CPUの返答を取得、記録するもの:CPUの手
- 翌朝、作業:新しい盤面を公開、記録するもの:同上
投票の場所は、読者が使い慣れたところで構いません。アソバース自体には、フレンドやチャット、投票機能は未提供です。レビューは作品への1〜5点の評価と感想のための場所なので、投票には使わないでください。投票は、別の手段で用意します。
もう1つ大切なのは、毎日の記録です。棋譜(手の記録)を「黒 f5、白 d6、黒 c3…」のように1行ずつ書き残してください。後で説明するとおり、この記録が企画全体の命綱になります。
盤面をどこに持つか
ここが、企画で最も壊れやすい部分です。
確認済みの事実を整理します。潮目のオセロには、3段階のCPU相手とのひとり対局があります。返る石のプレビュー、理由付きヒント、一手戻すも使えます。一方で、記録は画面を開いている間だけ残る作品が大半で、ひとり対局が途中で閉じても盤面を復帰できるかは、確認済みの情報にありません。作品を開いて確かめる必要があります。
友達とのオンライン対局には、再読み込みで同じ部屋へ復帰する機能があります。ただし、部屋の寿命は24時間で、対局履歴は作成から7日後に削除対象です。1か月かけて指す企画の置き場所には向きません。それに、オンライン対局は友達1人を招待する形なので、CPU相手の企画とも違います。
したがって、現実的な方法は次のとおりです。
- 手の記録(棋譜)を企画側の正本にする。
- 毎日の締切後に、ひとり対局を最初から開き、記録した手を順に再現する。
- 再現し終えたところで、CPUの返答を確認して棋譜に追記する。
- 翌朝の盤面図を作る。
難点は、再現にかかる手間が日ごとに増えることです。30手目なら30手分を入力します。これが重いと感じる場合、別の紙盤や自作の盤面表示で棋譜から盤を再現し、CPUの手だけを作品の中で確かめる形も考えられます。
CPUの強さは3段階の中から選べます。最初に固定し、途中で変えない決まりにしておくと、結果の見方が揃います。
ヒントの使い方も、事前に決めておく点です。理由付きヒントを投票前に公開すれば、読者は理由を見たうえで判断できます。ただし、ヒントに従うだけなら多数決は不要になります。「ヒントは公開するが、従うかは票で決める」「同数のときだけヒントを採る」など、役割を絞ると企画の面白みが残ります。
手を打てない日と終局
オセロは盤が64マスで、初期配置で4つが埋まっています。パスがなければ、打つ手は最大60手です。読者とCPUが交互に打つなら、読者の担当は約30手、毎日1手なら約1か月になります。ただし、パスが出れば手数と日数が変わります。
パスの場面を、仮定で考えてみます。ある日、読者側に置ける場所がなくなったとします。この日は投票を行う意味がありません。ルールとして「置ける場所がない日は投票なし、結果を公開して翌日に進む」と書いておけば、混乱を防げます。オンライン対局では置けない手番は自動パスになりますが、ひとり対局でのパスの扱いは作品を開いて確かめてください。
CPUがパスして、読者が連続で打つ日もあり得ます。その日は、1日に2回の投票にするのか、読者が2手を一度に決めるのかを、先に決めておきます。
終局したら、最終の石数を公開します。その後の振り返りも、企画の楽しみになります。たとえば、「票が最も割れた日」「ヒントと違う手を選んだ日」を、棋譜から拾い出せます。数字の集計は、運営が自分の記録から出すだけで足ります。
始める前の確認リスト
最後に、第1日の前に決めておく項目をまとめます。すべて敬体で書き出しておくと、公開用のルールの文面にそのまま使えます。
- 読者は黒と白のどちらを持つか。作品で色を選べるかを確かめます。
- CPUの強さは3段階のどれか。途中で変えません。
- 投票の場所と締切時刻は、いつで、どこか。
- 同数のときの決め方は何か。
- 全合法手を載せるか、絞るか。
- パスの日の進め方は、どうするか。
- 棋譜の正本はどこに置くか。毎日、更新するのは誰か。
- ヒントを、いつ、どの形で公開するか。
- 終局後に何を振り返るか。
次の行動
まず潮目のオセロを開き、ひとり対局で最初の数手を打ってみてください。色を選べるか、画面を閉じると盤面がどうなるか、パスがどう表示されるかを確かめれば、この企画の運用方法が決まります。そのうえで上のリストを埋めて、第1日の投票を公開してください。

