同じループを3つのテンポで聞く:速さで変わる気分
遊びを見つける執筆にClaudeを使用しています。

同じ8つの音を、同じ音色、同じ音量で鳴らします。変えるのはテンポだけです。ゆっくりの回、中くらいの回、速い回の3つを続けて聞いたとき、受ける印象はどのくらい違うのでしょうか。「速いと元気、遅いと落ち着く」と言われることは多いのですが、自分の耳で確かめた人は意外と少ないはずです。 この記事は、その差を自分で測るための手順書です。結果は書きません。どう聞こえるかは人によっても、音色やその日の状態によっても変わるためです。ここで用意するのは、確かめるための道具と記録の取り方、結果を読む基準です。 道具は2通りあります。ひとつは、貼り付けて保存するだけで動く短いHTMLです。テンポが隠された状態で聞けるので、先入観を避けられます。もうひとつは、ブラウザで遊べるリズムスタジオ「WAVE / WAVE」です。音を並べ替えて、好きな配置で同じ実験ができます。
何を確かめるのか
問いは一つに絞ります。「音の並びを変えずにテンポだけ変えたとき、自分の感じる気分の言葉は変わるか」です。
音楽心理学では、テンポが速いほど活気や緊張に、遅いほど落ち着きや重さに結びつけて語られることが一般にあります。ただし、これは傾向の話にすぎません。ゆっくりでも不安に聞こえる曲はありますし、速くても穏やかな曲はあります。音色、音程、聞く場所、直前に聞いたものも印象を左右します。
そこで、変える要素をテンポだけにします。音の高さ、音色、音量、聞く時間をそろえます。こうすると、感じ方の差の原因をテンポに絞りやすくなります。
この記事では次のテンポを使います。
- 遅め:70
- 中くらい:100
- 速め:140
数値は拍数を表すBPM(1分あたりの拍の数)です。この3つは差がはっきり出るように選んだ例です。慣れてきたら、自分で変えて構いません。
準備するもの
- ヘッドホンまたはイヤホン。スピーカーでもできますが、部屋の音が混ざります。
- 紙かメモアプリ。記録は後で書くより、聞いた直後に書くほうが確実です。
- 音量はあらかじめ小さめにそろえ、実験中は触りません。
- 1回の実験に10分ほど。静かな場所が向いています。
手順
手順A:隠したテンポで聞く(最小コード版)
テンポの名前を見ながら聞くと、「140だから速い」と頭で判断してしまいます。次のHTMLは、3つのテンポをA・B・Cのボタンに毎回ランダムに割り当てます。聞き終えてから「答え合わせ」を押すまで、どれが何BPMかは分かりません。
- 下のコードをテキストエディタに貼り付け、tempo.html という名前で保存します。
- 保存したファイルをブラウザで開きます。外部ライブラリや通信は使いません。
- 音量を小さめに設定してから、Aを押して60秒聞きます。
- 聞いた直後に、記録シートの項目を書きます(次の節で説明します)。
- 「停止」を押し、10秒ほど静かにしてからBを押します。Cも同じ手順で行います。
- 3つとも記録してから、「答え合わせ」を押します。
<!doctype html>
<meta charset="utf-8">
<title>3テンポ比較</title>
<div id="ui"></div>
<button id="halt">停止</button>
<button id="show">答え合わせ</button>
<p id="out"></p>
<script>
const ctx = new AudioContext();
const notes = [262,330,392,330,294,392,440,392,
262,330,392,523,440,392,330,294];
const tempos = [70, 100, 140].sort(() => Math.random() - 0.5);
let timer, step = 0, next = 0, bpm = 100;
function tone(f, t, len) {
const o = ctx.createOscillator(), g = ctx.createGain();
o.type = "triangle"; o.frequency.value = f;
g.gain.setValueAtTime(0.15, t);
g.gain.exponentialRampToValueAtTime(0.001, t + len);
o.connect(g).connect(ctx.destination);
o.start(t); o.stop(t + len);
}
function schedule() {
const sec = 60 / bpm / 2;
while (next < ctx.currentTime + 0.2) {
tone(notes[step], next, sec * 1.5);
step = (step + 1) % 16;
next += sec;
}
}
tempos.forEach((b, i) => {
const btn = document.createElement("button");
btn.textContent = "ABC"[i];
btn.onclick = () => {
ctx.resume(); bpm = b; step = 0;
clearInterval(timer);
next = ctx.currentTime + 0.05;
timer = setInterval(schedule, 50);
};
ui.append(btn);
});
halt.onclick = () => clearInterval(timer);
show.onclick = () => out.textContent =
tempos.map((b, i) => "ABC"[i] + "=" + b).join(" / ");
</script>ページを読み込み直すと、A・B・Cの割り当てが入れ替わります。2回目の実験では、この入れ替わりがそのまま順序の入れ替えになります。
手順B:WAVE / WAVEで自分のループを作って聞く
「WAVE / WAVE」は、4つの音を16ステップに並べてループ再生するリズムスタジオです。テンポ、スウィング、トラックごとのミュート、3つのお手本があります。ここでは、お手本を使って同じ実験をします。
- 作品を開き、3つのお手本から好きなものを1つ選んで再生します。お手本の選び方や読み込みの操作は、作品の画面で確かめてください。
- テンポを遅め(70前後)にします。数値の入力方法や範囲は、作品を開いて確かめます。範囲が合わない場合は、「遅め・中くらい・速め」の差が分かる3つの値で代用します。
- スウィング(拍の長さに揺れをつける設定)は、実験の間は動かしません。ここが変わると、テンポ以外の要因が混ざります。
- 60秒聞いて、記録します。
- テンポだけを中くらい、速めに変えて、同じように聞いて記録します。
- 余裕があれば、トラックのミュートで1つの音を切って、同じ3テンポで聞き直します。音の数が減ると、印象の差が大きくなるか小さくなるかが分かります。
この作品には保存があります。テンポを変えたまま閉じると、変えた状態が残る場合があります。実験前に元のテンポをメモしておくと、戻すときに迷いません。
記録の取り方
聞いた直後に、次の項目を書きます。同じ項目を、すべてのテンポで同じ順番で書きます。
- 気分の言葉、書き方:下の候補から1つ選ぶ、例:落ち着く、のんびり、軽快、活気、せわしない、焦る、退屈
- 元気さ、書き方:1(静か)〜5(活発)、例:3
- 心地よさ、書き方:1(不快)〜5(快適)、例:4
- ひとこと、書き方:思い浮かんだ場面、例:散歩、電車、作業中
気分の言葉は、聞く前に候補を決めておきます。聞いた後で言葉を考えると、テンポの数字に引きずられやすくなります。
回数は、各テンポ2回ずつ、合計6回を目安にします。1回目はA→B→C、2回目は順番を変えます(たとえばC→A→B)。手順Aなら、ページを開き直すだけで入れ替わります。
聞く時間は、毎回60秒にそろえます。ここは大切です。テンポが速いほど、同じ60秒の間にループが多く周回します。時間で揃えると、周回数の違いも含めた印象が分かります。周回数で揃えたい場合は、1周を終えた時点で止める方法もありますが、その場合は聞く時間が変わることを記録に残します。
結果の読み方
6回の記録が揃ったら、次のように見ます。
- テンポごとに気分の言葉が分かれ、2回とも同じだった。 テンポが印象に効いている可能性が高いと考えられます。「元気さ」の点数が、テンポの順に並んでいるかも見てください。
- 言葉は分かれたが、2回目で入れ替わった。 順番による慣れや疲れが混ざっています。休憩を長くして、もう一度やり直します。
- 3つの言葉がほとんど同じだった。 70・100・140の差が、この音列では印象に結びつかなかった可能性があります。テンポの幅を広げるか、音色や音の高さを変えて確かめます。
- 「心地よさ」は速さの順にならなかった。 好みはテンポの速さとは別の軸で動くことがあります。元気さと心地よさを別に記録しているのは、このためです。
どの結果になっても、正解や不正解はありません。「自分にとって、この音列ではこうだった」と分かれば十分です。
起こりやすい誤り
- 音量を途中で変える。 速いほうが大きく聞こえやすいので、実験中は触りません。
- ラベルを見て答える。 手順Aのように隠すか、人に並べ替えてもらうと防げます。
- 1回だけで判断する。 最初に聞いた音は新鮮に聞こえます。各テンポ2回以上聞いてください。
- ほかの作業をしながら聞く。 注意が分散して、印象が薄くなります。
- 音色や音列を途中で変える。 テンポ以外が変わると、差の原因が特定できません。
- 休憩を取らない。 前のテンポの余韻が残ります。10秒の静かな時間を挟んでください。
- 周回数の違いを見落とす。 速いテンポでは同じ旋律が何度も繰り返されます。「飽きた」という感想が、速さではなく繰り返しから来ている場合もあります。
次の行動
まず手順Aのコードを保存して、A・B・Cを各2回ずつ聞いてみてください。10分ほどで終わります。そのあと「WAVE / WAVE」を開き、お手本の1つを3つのテンポで聞き直すと、自分で並べた音でも同じ傾向が出るか確かめられます。
結果が出たら、次は音色を変えてみてください。テンポの印象が音色で変わるのかどうかも、同じ記録シートで調べられます。



