マガジン

テンポを10ずつ上げる:どこまで聞き取れるか

遊びを見つける

執筆にClaudeを使用しています。

ガラスの覆いの中でボールと振り子が静止し、ゲームの一時停止を表した写真風イメージ。
記事のテーマをもとに制作したAI生成イラスト。

「このテンポは速すぎて聞き取れない」と感じる場面を考えてみます。その感覚は、音が混ざって数えられなくなったのか、拍の位置を見失ったのか、それとも単に「速そう」という印象なのか、はっきりしないままになりがちです。限界がどこにあるのかは、決め方を作って測らない限り分かりません。 この記事は、その限界を自分の耳で測る手順です。テンポを10ずつ上げ、各段階で同じ課題を5回出し、「4回以上正解できた最後のテンポ」を自分の聞き取り限界として記録します。結果は人によって、またその日の環境によって変わります。答えを書くのではなく、答えが出る手順を示します。 課題は「16個並んだ音のうち、どれか1つが抜けている。何番目か」を当てるものです。短いHTMLを1枚作るだけで出題でき、そのあとに、WAVE / WAVE と雨音のピアノを使って鍵盤とリズムの側から確かめる方法も紹介します。

この記事の目次
  1. 「聞き取れる」を先に決める
  2. 準備するもの
  3. 出題ページを作る
  4. 手順:テンポを10ずつ上げて測る
  5. 結果の読み方
  6. 鍵盤とリズムの作品で試す
  7. 起こりやすい誤り
  8. 次の行動

「聞き取れる」を先に決める

測る前に、合格の基準を決めます。ここが曖昧だと、数字を取っても読み方がぶれてしまいます。

この記事で使う課題は、1小節に16個の音が等間隔で並ぶ中から、1つだけ抜けた位置を答えるものです。1番目は高い音で鳴らして目印にし、抜けるのは2〜16番目のどれかです。当てずっぽうで正解する確率は15分の1なので、5回中4回以上当たれば、偶然では説明しにくい成績になります。

そのため、判定は次のように決めます。

  • 1つのテンポにつき5回出題します。
  • 4回以上正解したら、そのテンポは「聞き取れた」とします。
  • 3回以下だったら「聞き取れなかった」とします。
  • 「聞き取れた」の最後のテンポが、その日の限界です。

16個の音の間隔は、テンポ(1分あたりの拍数。BPM)から計算できます。1拍を4つに割る16分音符の間隔は「60000 ÷ (BPM × 4)」ミリ秒です。

  • 100、音の間隔(約):150ミリ秒
  • 120、音の間隔(約):125ミリ秒
  • 140、音の間隔(約):107ミリ秒
  • 160、音の間隔(約):94ミリ秒
  • 180、音の間隔(約):83ミリ秒
  • 200、音の間隔(約):75ミリ秒
  • 220、音の間隔(約):68ミリ秒
  • 240、音の間隔(約):63ミリ秒

10ずつ上げるたびに間隔は少しずつ縮みます。どの段階で急に難しくなるかは、表からは分かりません。それを自分で測ります。

準備するもの

  • パソコンのブラウザ(音が鳴るもの)
  • テキストエディタ(メモ帳で十分です)
  • ヘッドホンかイヤホン。スピーカーでも構いませんが、測定の間は同じ機器を使い続けてください。
  • 紙かメモアプリ。記録表を書きます。
  • 静かな場所。音量は、最初のテンポで音がはっきり聞こえる程度に固定します。

出題ページを作る

次のコードを、tempo-test.html という名前で保存します。外部のライブラリは使わず、ブラウザだけで動きます。

html
<!doctype html><meta charset="utf-8">
<input id="bpm" type="number" value="100" step="10">
<button id="play">再生</button>
<button id="show">答えを見る</button>
<p id="out"></p>
<script>
let ctx, miss = -1;
function tick(t, accent) {
  const o = ctx.createOscillator(), g = ctx.createGain();
  o.frequency.value = accent ? 1200 : 800;
  g.gain.setValueAtTime(0.3, t);
  g.gain.exponentialRampToValueAtTime(0.001, t + 0.04);
  o.connect(g).connect(ctx.destination);
  o.start(t); o.stop(t + 0.05);
}
play.onclick = () => {
  ctx = ctx || new AudioContext();
  const step = 60 / Number(bpm.value) / 4;
  miss = 1 + Math.floor(Math.random() * 15);
  out.textContent = '';
  const t0 = ctx.currentTime + 0.2;
  for (let bar = 0; bar < 2; bar++)
    for (let i = 0; i < 16; i++)
      if (i !== miss) tick(t0 + (bar * 16 + i) * step, i === 0);
};
show.onclick = () => {
  out.textContent = miss < 0 ? '先に再生してください'
    : '抜けていたのは ' + (miss + 1) + ' 番目です';
};
</script>

この出題ページは同じ小節を2回続けて鳴らし、2回目で聞き直せるようにしてあります。抜ける位置は再生のたびにランダムに決まり、「答えを見る」を押すまで画面には出ません。出題者と回答者が同じ人でも、答えを事前に知らずに測れます。

手順:テンポを10ずつ上げて測る

  1. tempo-test.html をブラウザで開き、テンポの欄を100にします。
  2. 「再生」を押します。再生が終わるまで、もう一度押さないでください。音が重なって数えられなくなります。
  3. 1番目の高い音から数えて、抜けている位置を頭の中で決め、紙に書きます。口に出すか指で数えるかは自由ですが、テンポが変わっても同じ方法を使い続けます。
  4. 「答えを見る」を押し、書いた答えと比べます。正解なら○、外れなら×を記録します。
  5. 手順2〜4を5回繰り返します。1回の聞き直しもしません。2回鳴らされる中で答えを出す決まりです。
  6. 4回以上○なら、テンポを10上げて手順2に戻ります。3回以下なら、次の手順へ進みます。
  7. 外れが増えたテンポで、もう一度5回測り直します。1回目と2回目の合計10回で、○が8回以上なら「聞き取れた」とみなします。
  8. 「聞き取れた」の最後のテンポを、限界として記録します。

記録表は次の形で十分です。

  • 100、1回目:、2回目:、3回目:、4回目:、5回目:、○の数:
  • 110、1回目:、2回目:、3回目:、4回目:、5回目:、○の数:
  • 120、1回目:、2回目:、3回目:、4回目:、5回目:、○の数:

1日で終わらせようとせず、疲れを感じたら中断してください。耳が疲れた状態で測ると、限界は実際より低く出ます。

結果の読み方

数字が出たら、次のように読み分けます。

  • 徐々に○が減る場合:テンポが上がるにつれて4回、3回、2回と減っていくなら、限界の手前に「ぼやけ始める帯」があります。その帯を記録しておくと、あとで変化を比べられます。
  • ある段階で急に○が0〜1回になる場合:数え方が破綻した可能性があります。耳が追えないのではなく、頭の中のカウントが追いつかない場合です。次の「起こりやすい誤り」の対策を試してください。
  • ずっと○が多く、限界が見つからない場合:テンポの上限を上げて測り直します。ただし、出題ページのテンポ欄に大きな数を入れても、機器や環境によっては音が崩れることがあります。音自体が潰れていると感じたら、そのテンポは測定対象から外してください。
  • 日を変えると結果が違う場合:異常ではありません。体調、機器、音量、集中の度合いで動きます。1回の数字より、数日分の幅で自分の限界を捉えます。

鍵盤とリズムの作品で試す

出題ページの課題は「数える力」寄りです。鍵盤やリズムを扱う作品で、同じ速さに対する感覚を別の角度から確かめられます。作品を開いて確かめる部分が多いので、確認できる範囲だけ挙げます。

WAVE / WAVEは、4つの音を16ステップに並べてループ再生するリズムスタジオです。テンポの設定、スウィング、トラックごとのミュートがあります。次のように使えます。

  • 出題ページで限界が出たテンポ付近に合わせ、16ステップに自分でパターンを置いて聴き込みます。
  • 4つのトラックを順にミュートし、抜いたトラックが何を担当していたか当てます。重なった音の中で個々の音を拾う練習になります。
  • スウィングを入れると、裏拍の位置がずれて聞こえます。同じテンポでも、スウィングの有無で拾いやすさが変わるかどうかを見ます。
  • 自分で置いたパターンは答えを知っているため、そのままでは測定になりません。時間を置いて内容を忘れてから聴くか、別の人に置いてもらってください。

テンポの設定項目が10刻みで変えられるかどうかは、作品を開いて確かめてください。10刻みで動かせない場合は、いちばん近い値を使い、記録表にその値を書きます。

雨音のピアノには、3音から8音へ育つフレーズの記憶ゲームがあり、お手本の速さを選べます。こちらは「聞き分ける」より「聞いて覚えて弾き返す」力を使います。出題ページで測った限界と、お手本の速さを変えたときの自分の成績を並べると、聞こえてはいても覚えきれない速さがあるかどうか見えてきます。どの速さが選べるかは、作品を開いて確かめてください。なお、録音は画面を開いている間だけ残るので、記録は紙かメモに残してください。

起こりやすい誤り

  • 再生ボタンの連打:音が重なり、課題が壊れます。再生が終わってから次を押してください。
  • 数え方を途中で変える:テンポが上がって数えにくくなったとき、指で数える、足で拍を取るなど別の方法に切り替えると、限界ではなく「方法の差」が出てしまいます。方法は最初に決めて固定します。
  • 聞き直しをする:聞き直しを許すと、実質的に別の課題になります。1回の再生で判定してください。
  • 答えの位置を先に知ってしまう:「答えを見る」を押してから再生し直すのは構いませんが、同じ小節を使い回すことはできません。ページは再生ごとに抜ける位置を作り直すので、押し直せば新しい問題になります。
  • 機器の違い:スピーカーとヘッドホンを日によって使い分けると、音の立ち上がりの聞こえ方が変わります。比較したい期間は同じ機器を使います。
  • 耳の疲れ:連続して何十回も出題すると、後半の成績が落ちることがあります。休憩をはさんでください。

次の行動

まず tempo-test.html を保存して、テンポ100から5回だけ出題してみてください。そこで4回以上当たったら、110、120と進め、記録表に残します。限界が見えたら、そのテンポ付近に合わせて、WAVE / WAVE で4つのトラックを順にミュートして聴き比べてみましょう。