お手本を聞いてから自分で組む:違いを一つ見つける
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お手本を聞いて「なんとなく似たものができた」と思っても、並べて聞くと何かが違います。その違いが音の位置なのか、速さなのか、重なり方なのかは、ぼんやり聞いているだけでは言葉になりません。この記事では、お手本を聞き、自分で組み、差を一つだけ見つけて直す練習を、手順にして示します。 使うのは「WAVE / WAVE」です。4つの音を16ステップに並べてループ再生するリズムスタジオで、3つのお手本、テンポ、スウィング、トラックごとのミュート、取り消しがあります。ここでは、お手本を「正解」としてではなく「聞き比べの相手」として使います。差を一つに絞ると、直す前と直した後で何が変わったのかが耳で追えます。 記事の最後では、鍵盤側の練習として「雨音のピアノ」の記憶ゲームにも同じ考え方を当てはめます。結果の数字や感想は書きません。手順どおりに進めると、自分の耳の癖が見えてくる構成にしています。
この記事の目次
準備:比べる条件をそろえる
聞き比べで最初に崩れるのは、条件のそろい方です。次の4点を先に決めておきます。
- イヤホンかヘッドホンを使います。 小さな音の位置の差は、スピーカーだと部屋の響きに紛れやすくなります。
- 音量を一定にします。 途中で変えると、音の大きさの違いを「位置の違い」と聞き違えます。
- メモ用の紙か、別のメモアプリを用意します。 画面の外に書くことで、作業の流れが切れません。
- 画面の幅を確かめます。 WAVE / WAVEは狭い画面だとステップが横スクロールになります。16ステップが一度に見えない場合は、ブラウザの表示を広げるか、スクロールして全体を見られる状態にします。見えていないステップを見落とすのが、いちばん多い失敗です。
メモには次の枠を作っておきます。
- お手本の番号(3つのうちどれか)
- テンポの値、スウィングの値
- 今回直した「違い」の種類(一つだけ)
- 直す前後でどう聞こえたか
お手本の中身(どのステップに音があるか)は、作品を開いて自分の目と耳で確かめます。この記事では書きません。
手順1:お手本を3周は聞くだけにする
お手本を選んで再生します。最初は組み始めず、聞くだけで3周ほど回します。
聞くときの視点を、周ごとに変えます。
- 1周目:全体の乗り方。 体を揺らして、ループの頭がどこかを探します。頭が分からないとその後の比較がずれるため、ここで「ここが1つ目」と決めます。
- 2周目:トラックごとに聞く。 トラックごとのミュートを使い、1つずつ鳴らします。画面にどんなトラックが並ぶかは、作品を開いて確認してください。
- 3周目:すき間を聞く。 音が鳴っている場所ではなく、鳴っていない場所を意識します。リズムの印象は、音のない位置で決まることが多いからです。
16ステップは、4つずつ区切って数えると位置を言葉にしやすくなります。「1-2-3-4、2-2-3-4」のように、まとまりの番号と中の番号で呼びます。これは筆写用の数え方の提案で、作品の仕様ではありません。自分が数えやすい区切りがあれば、それで構いません。
聞きながらメモに書くのは、トラックごとに「ありそうな音の位置」の仮説だけです。当てずっぽうでも構いません。
手順2:見ずに組む、あるいは写す
次に、自分でパターンを組みます。ここは2つの進め方があります。
- 耳だけで組む。 画面のお手本を見ないで、聞いた記憶から並べます。耳の力を確かめたいときに向きます。
- 見ながら写す。 お手本の配置を見て同じ場所に置きます。位置の写し間違いや、見落としを確かめたいときに向きます。
お手本を選んだとき、それが自分の編集用のパターンに読み込まれるのか、聞くだけなのかは、画面で確かめます。読み込まれる場合は、その上に手を加える形の練習もできます。読み込まれない場合は、空の状態から自分で並べる形になります。
組むときのコツは次の3つです。
- 一度に全トラックを作らず、1トラックずつ並べて、その都度お手本と聞き比べます。
- テンポはお手本と同じ値に合わせます。お手本を選んだときにテンポが自動で変わるかどうかは、画面で確認します。
- スウィングも同じ値にします。スウィングは、ステップを均等ではなく少しずらして跳ねさせる設定です。ここが違うと、音の位置が合っていても別物に聞こえます。
パッド演奏を録音してパターンを作ることもできます。ただし、手で叩いた録音には人の手のわずかなずれが残ります。この練習ではまずステップを置く方法だけを使い、録音の練習は後回しにしておくと、比べる対象がはっきりします。
手順3:交互に聞いて、違いを一つだけ選ぶ
ここがこの練習の中心です。お手本と自分のループを交互に、1周ずつ聞きます。同時には鳴らしません。
聞いたら、次の5つの観点で、どこに差がありそうかを探します。
- 音の数、聞き取りのヒント:全体が忙しいか、すかすかか
- 音の位置、聞き取りのヒント:「ここで入ってほしい」という場所がずれていないか
- トラックの重なり、聞き取りのヒント:複数の音が同時に鳴る場所があるか
- テンポ、聞き取りのヒント:一周の長さが体感で違わないか
- スウィング、聞き取りのヒント:跳ね方、ゆれ方が同じか
差が複数見つかるのは普通です。しかし、直すのは一つだけにします。理由は単純で、複数を同時に直すと、どの変更が効いたのか分からなくなるからです。
選ぶ基準は、次の順に考えます。
- テンポとスウィングがそろっているかを最初に確認する。そろっていなければ、そこが最優先です。
- そろっているなら、音の数、つまり全体が忙しいかどうかを見る。数が違えば、位置を細かく直しても印象は近づきません。
- 数が同じなら、トラックごとにミュートして、位置が違うトラックを一つに絞る。
選んだら、メモの「今回直す違い」に一行で書きます。たとえば「2番目のトラックの後半の位置」のように、具体的な場所まで書きます。
手順4:直す前後を聞き比べる
違いを一つ決めたら、直します。このとき、直す前の状態に戻せることが大事です。WAVE / WAVEには取り消しがあるため、直して聞き、違うと感じたら戻して、別の直し方を試せます。取り消しがどの範囲まで戻せるかは、作品を開いて確かめてください。
聞き比べの手順は次のとおりです。
- 直す前のループを2周聞く。
- 一つだけ変更する。
- 直した後のループを2周聞く。
- お手本をもう1周聞く。
- 「お手本に近づいたか、離れたか」を、メモに「近い/変わらない/遠い」の三択で書く。
三択にするのは、細かく採点すると判断がぶれるからです。「変わらない」が続くときは、直した場所が見当違いの可能性があります。そのときは取り消して、手順3に戻り、別の観点から違いを選び直します。
判断の目安は次のとおりです。
- 「近い」が出たら: その変更を残して、残る違いを探します。1サイクルは終わりです。
- 「変わらない」が続いたら: 聞き比べの周回数を増やすか、トラックごとのミュートで該当トラックだけを聞き直します。
- 「遠い」が出たら: 取り消します。その場所ではなく、その隣やトラックの音の選び方に原因があるかもしれません。
起こりやすい誤りと対処
この練習でつまずきやすい点を挙げます。
- ループの頭を取り違える。 お手本の頭と自分の頭が半拍ずれていると、全部の位置が違って聞こえます。手順1で頭を決めたメモに戻ります。
- 耳が慣れる。 同じループを何十周も聞くと、違いが分からなくなります。数分休んでから聞き直します。
- 画面外のステップを見落とす。 狭い画面で横スクロールしていることに気づかず、右側のステップを見ていないことがあります。
- 一度に直しすぎる。 勢いで複数を変えたくなりますが、一つに絞るのが条件です。
- お手本を「正解」と思い込む。 お手本は聞き比べの相手です。自分のパターンが好きなら、違いを残したまま保存してかまいません。WAVE / WAVEには保存があるため、お手本に寄せた版と自分好みの版を分けて残せるかも、画面で確かめられます。
鍵盤で同じことをする:雨音のピアノの記憶ゲーム
同じ考え方は、「雨音のピアノ」のフレーズの記憶ゲームでも使えます。お手本のフレーズが3音から8音へ育っていき、お手本の速さを選べます。
手順は次のとおりです。
- お手本の速さを、ゆっくり目に選ぶ。
- 3音のお手本を聞き、自分で弾いて返す。キーボードなら、A W S E D F T G Y H U J の鍵盤キーを使います。Z/Xで音域を動かせます。
- 外れたときは、「どの音が違ったか」を一つだけ言葉にする。高さが違ったのか、順番が違ったのか、数が足りなかったのか、のどれかです。
- 次のフレーズでは、その一点だけを意識して聞く。
音の長さや余韻は、余韻の切り替えで聞こえ方が変わります。比べる間は余韻の設定を変えず、一定にしておきます。
自分の演奏を確かめたいときは、録音を使えます。30秒・128音まで録音して、その場で再生できます。ただし録音は画面を開いている間だけ残ります。残したい気づきは、メモに書いておきます。
次の行動
まず「WAVE / WAVE」でお手本を一つ選び、手順1の3周を聞いて、頭の位置をメモに書きます。次に、手順3の五つの観点から直す違いを一つだけ選んで、直す前後を聞き比べてください。続けて余裕があれば、雨音のピアノの記憶ゲームで、外れた音の「違いの種類」を一言で書く練習に移ります。



