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画面の操作を紙に書き出す:操作一覧を作ると見える無駄

遊びをつくる

執筆にClaudeを使用しています。

キーボード、ゲームパッド、タッチ画面を同じ机に置いた操作方法の比較。
記事のテーマをもとに制作したAI生成イメージ。実際のゲーム画面ではありません。

自作のゲームを起動してから最初の1プレイが始まるまでに、何回タップやキー入力が必要でしょうか。「タイトルで1回、難易度で1回、あとは遊ぶだけのはず」と答えたくなりますが、画面を見ながら数え直すと、記憶より多いことは珍しくありません。作り手は自分のゲームを何十回も触るうちに、不要な操作を意識しなくなってしまうからです。 この記事で確かめるのは、操作を一つずつ紙に書き出すと、減らせる操作は見つかるのかという問いです。方法は単純で、プレイヤーの入力を一行一操作で表にします。表が長くなった場所、同じ操作が並んだ場所、画面が何も変わらない行が、見直しの候補になります。 ここに書くのは実験の設計です。結果は載せていません。準備するもの、手順、記録の取り方、結果の読み方、間違えやすい点を順に説明するので、自分のゲームで試してみてください。

この記事の目次
  1. 準備するもの:紙、タイマー、そして「場面」の切り分け
  2. 手順:記憶で書いてから、実機で書き直す
  3. 記録の取り方:何を、どの単位で、何回
  4. 結果の読み方:行を5種類に仕分ける
  5. 誤りやすい点:減らしてはいけない操作がある
  6. 次の行動

準備するもの:紙、タイマー、そして「場面」の切り分け

用意するのは次のものです。

  • A4の紙を2〜3枚(横向きで使います)
  • 鉛筆と、色違いのペンを1本
  • 秒数を測れる時計かスマートフォン
  • 自分のゲーム(作りかけでも構いません)
  • 可能であれば、そのゲームを初めて触る人を1〜2人

画面のメモやスプレッドシートでも記録はできますが、紙には利点があります。画面を見ながらでも手元に全体が広がるので、表を並べて比べられます。表の端に矢印を引いたり、行を丸で囲んだりといった書き込みも、紙のほうがためらいなくできます。

次に、観察する場面を3つまでに絞ります。一度に全部を書くと表が膨らんで読めなくなるからです。例えば次のように切ります。

  1. 初回起動から、最初の1プレイが始まるまで
  2. 1プレイが終わってから、次のプレイが始まるまで
  3. 失敗したときに、やり直すか戻るまで

3つ目は、自作のゲームに戻す・やり直す機能があるかどうかで書き方が変わります。機能がなければ「やり直すために必要な操作」をそのまま書き、機能があればその操作数を書きます。

場面を切るときは、ゴールを一文で書いておきます。「最初の1プレイが始まる」「次のプレイが始まる」のように、見て判定できる状態にします。ゴールが曖昧だと、どこまで数えるかがぶれて、あとで回ごとの比較ができなくなります。

手順:記憶で書いてから、実機で書き直す

手順1 まず、画面を開かずに書く

最初の1枚は、ゲームを開かずに記憶だけで書きます。1行に1つの操作を書き、次の列を作ります。

  • 番号、書くこと:操作の順番
  • 意図、書くこと:プレイヤーが何をしたいのか(例:遊びを始めたい)
  • 入力、書くこと:タップ、ドラッグ、キー、長押しなど
  • 画面の反応、書くこと:入力のあと、画面で何が変わったか
  • 必須か、書くこと:必須/省略可/不明

この1枚は、あとで実機の記録と見比べるために取っておきます。「頭の中のゲーム」と「実際のゲーム」の差を確かめる材料になります。

手順2 自分で通して操作し、2枚目に書く

次に、ゴールまでを実際に操作しながら、2枚目に同じ形式で書きます。操作するたびに書くのが原則で、まとめて思い出して書くと、また記憶の表になってしまいます。

書き方の約束事を決めておきます。

  • 1回の入力を1行とします。ドラッグは、押してから離すまでを1行です。
  • キーの長押しは1行とします。
  • 画面の反応が「何も変わらなかった」場合も、その行を省かずに書きます。
  • 迷って手が止まった時間が目に見えて長かったら、行の横に「迷い」と書きます。秒数まで測る必要はありません。

手順3 他の人にも通してもらう

可能なら、初めて触る人に同じ場面を通してもらいます。説明はせず、ゴールだけを伝えます。自分が書いた表と、その人の表を並べると、自分には見えていなかった「迷う場所」が出てきます。人数は2〜3人程度で十分です。多ければ多いほど良いというものではなく、同じ場所で何人が止まったかを見ることが目的です。

手順4 入力数を機械でも数える(任意)

手書きの記録が正しいかを確かめたい場合は、自作ゲームのHTMLに次の短いコードを貼ると、入力の回数をブラウザのコンソールで見られます。ゲームの動作は変えず、記録を取るだけです。

html
<script>
(function () {
  var log = [];
  var t0 = performance.now();
  function rec(type, e) {
    var t = e.target && (e.target.id || e.target.tagName);
    log.push({
      n: log.length + 1,
      sec: Math.round((performance.now() - t0) / 100) / 10,
      type: type,
      target: t,
      key: e.key || ""
    });
  }
  window.addEventListener("pointerdown", function (e) {
    rec("pointer", e);
  }, true);
  window.addEventListener("keydown", function (e) {
    if (!e.repeat) rec("key", e);
  }, true);
  window.dumpOps = function () {
    console.table(log);
    return log.length;
  };
})();
</script>

ゴールに着いたら、開発者ツールのコンソールで dumpOps() を実行します。表が表示され、戻り値が入力の総数です。ページを再読み込みすると記録は消えるので、必要なら表をコピーして紙に写します。

ここで数えているのは「押した回数」と「キーを打った回数」です。ドラッグの途中の動きや、画面を見ている時間は数えません。紙の表にある「迷い」の印とあわせて読みます。

記録の取り方:何を、どの単位で、何回

記録で守る点は三つです。

単位は「1回の入力」です。 「設定を開いて難易度を選ぶ」のような複合的な動作は、必ず分解して2行以上にします。まとめて書くと、減らせる余地が隠れてしまいます。

場面ごとに、最低3回は通します。 1回目はゲームの作りを知っているので手慣れています。2回目、3回目で、入力数がそろうのか、ばらつくのかを見ます。人に通してもらう場合は、その人の1回目も大事な記録です。慣れていない状態の操作数こそ、初見のプレイヤーに近いからです。

1枚の紙は1場面だけに使います。 場面が混ざると、あとで比べるときに行が追えなくなります。

表の最後には、場面ごとに三つの数字を書きます。

  • 入力の総数(機械で数えた場合はその数も併記)
  • 「画面の反応」が「何も変わらない」だった行の数
  • 同じ種類の入力が2行以上続いた箇所の数

この三つが、次の「読み方」の材料になります。

結果の読み方:行を5種類に仕分ける

表が書き上がったら、すべての行に次のどれかの印を付けます。色違いのペンを使うと、紙の上で偏りが見えます。

  1. 本質:この操作自体が遊びになっている。例えば、パズルで石や駒を動かす、タイミングを見て止める、といった操作です。
  2. 必須の準備:遊ぶ前に必ず必要な選択(難易度、コースなど)。
  3. 確認:「本当によいですか」のように、実行前に挟まる入力。
  4. 移動:目的の場所へ行くための入力(画面遷移、スクロール、ボタンへ指を動かす)。
  5. 空振り:入力しても画面が変わらない、または意図に関係のない変化しか起きない。

そのうえで、次のように判断します。

  • 「空振り」の行がある場合:最優先で見直します。押しても反応がない場所は、プレイヤーに「壊れているのでは」と思わせます。ボタンが小さい、反応が遅い、状態によって無効になるのに見た目が変わらない、といった原因を探します。
  • 「確認」が多い場合:取り消せる操作の確認は、省く候補です。取り消せない操作(保存データの削除など)の確認は残すのが基本です。「取り消せるか」を一行ずつ書き添えると判断しやすくなります。
  • 「移動」が連続している場合:同じ画面に置けないか、直前の選択を引き継げないかを考えます。例えば、1プレイ終了後に毎回タイトルへ戻るなら、「もう一度」を結果画面に置くだけで、移動の行が減る場合があります。
  • 回ごとに入力数がばらつく場合:迷いがある兆候です。ばらつきの大きい行の前後を見て、選択肢の多さや説明の不足を疑います。
  • 記憶の表と実機の表がずれた場合:ずれた行は、作り手が意識していなかった操作です。そこが「無意識の無駄」の有力な候補です。

大切なのは、減らす対象を一度に一つに絞ることです。同時に複数を変えると、入力数が減ったとき、どの変更が効いたのか分からなくなります。一つ変えたら、同じ手順で再び通して表を書き直し、前の紙と並べて比べます。

誤りやすい点:減らしてはいけない操作がある

操作を減らすこと自体がゴールではありません。次の三つは、特に誤りやすい点です。

遊びの手数まで無駄だと判断してしまうこと。 パズルで駒を動かす手数や、料理ゲームで材料を順に入れる手順は、遊びの中心です。判断のための問いはこうです。「この操作は、プレイヤーに考えさせているか、ただ通過させているか」。考えさせているなら、それは遊びの一部です。通過させているだけなら、削る候補になります。

アソバースの公式作品を例にすると、「時計じかけの台所」は、材料をレシピ順に入れ、火にかけ、針が緑の範囲に来たら止めて配膳する流れです。これらは設計から読み取れる範囲では、手順そのものが遊びの核にあたると考えられます。表を書くなら、これらは「本質」の印を付ける行です。作品を開いて、どの操作が本質で、どの操作が準備や確認に当たるのかを自分で仕分けしてみると、練習になります。

やり直しの仕組みを、操作の無駄と混同すること。 「かたちのあいだ」には、一手戻す機能(手数は減らない)や、同じ配置での再挑戦があると確認されています。失敗したあとの操作を、少ない入力で済ませる設計と読み取れます。自作のゲームで、失敗後にタイトルまで戻る形になっていないかを、3つ目の場面の表で確かめるとよいでしょう。画面の細部や入力の数は、実際に作品を開いて確かめてください。

上手な人の入力数だけを基準にすること。 作り手自身や、慣れた人の入力数は、初めて遊ぶ人のものより必ず少なくなります。基準にするのは、初見の人が迷ったときの表です。ただし、迷いが多いのが「遊びの発見」である場合は別です。操作の迷いと、判断の迷いは、紙の上で「迷い」の印を付けたあと、どちらの迷いかを一言添えて区別します。

次の行動

まず1場面だけ選び、「起動から最初の1プレイまで」を記憶で書いてから、実際に通して書き直してください。2枚を並べて、ずれている行に印を付けるところまでで、今日の作業としては十分です。

そのうえで、「空振り」または「確認」の行から一つだけ選んで変更し、同じ手順でもう一度表を書いてみてください。アソバースへの投稿前の見直しにも使える方法です。