複数の資料で言っていることが違う:NotebookLMで食い違いを洗い出す
AIを使いこなす執筆にClaudeを使用しています。

資料Aと資料Bで数字や言い分が違うとき、NotebookLMに「矛盾はありますか?」と一括で聞くよりも、①項目ごとに各資料の記述を抜き出す → ②並べて比較する → ③引用元を人が原文で確かめるの順に進めるほうが、見落としも誤読も見つけやすくなります。これは公式の仕様ではなく、この記事の編集上の提案です。 この記事では、その流れに使える質問文と、見つけた食い違いを残す記録表、どちらを採るかを考える判断表を用意しました。 なお、NotebookLMは2026年7月16日にGemini Notebookへ名称変更されたと発表されています。以降、本文では「NotebookLM」と書きます。お使いの画面が新名称でも、同じ製品の話です。画面上のボタン名は環境で違う場合があるため、操作名に頼らない書き方にしています。
なぜ「矛盾を探して」だけでは足りないのか
NotebookLMは、追加した資料(Googleドキュメント、PDF、テキスト、WebページのURLなど)をもとに、引用付きで答える仕組みです。対応する形式や上限はGoogle Workspaceの製品ページにまとまっています。引用が付くので、答えの根拠をたどれるのが強みです。
ただ、漠然と「矛盾を探して」と頼むと、次のような取りこぼしが起きやすくなります。
- 目立つ数字だけ拾い、定義や前提の違いには触れられない
- 「資料Aは5日、資料Bは7日」のように、対象や期間が違うだけのものを「矛盾」と断定してしまう
- 資料に書かれていない「よくある一般論」で話をまとめてしまう
そこで、AIには「抜き出す」「並べる」を任せ、「どちらが正しいか」は人が決める分担にします。
準備:資料に名前と基準日をつける
比較では、資料の見分けやすさが効きます。追加する前に、タイトルを次の形にそろえておくと、回答の引用元がすぐ分かります。
発行元_資料名_発行年月_版(例:A社_利用規約_2025-04_v2)
あわせて、手元にメモを用意します。
- 比較したい目的(例:返金条件を確認したい)
- 資料ごとの発行日と、いつ時点の情報か
- 公式文書か、解説か、社内メモか(資料の格)
チャットでは、回答に使うソースを選べます。比較したい資料だけを選んでから質問すると、関係のない資料が混ざりにくくなります。
機密や個人情報を含む資料は、固有名詞や数値を置き換えた版で試してから使うかどうかを決めてください。
質問文の例(コピーして使えます)
以下は筆者が実際には実行していない例文です。[ ]内を自分の内容に置き換え、出力は必ず確認してください。
ステップ1:同じ項目で各資料から抜き出す
次の項目について、資料ごとに記述を抜き出して表にしてください。
項目:[返金できる期間 / 対象となる条件 / 手数料の有無]
列:資料名 / 該当する記述(要点) / 数字や用語はそのまま / 記載がない場合は「記載なし」
資料に書かれていないことは補わないでください。「記載なし」を明示させるのがコツです。片方にしか書かれていない項目も、食い違いの一種として拾えます。
ステップ2:並べて違いを分類させる
上の表をもとに、資料間で内容が異なる項目だけを挙げてください。
それぞれについて、次のどれに近いか分類してください。
(a)数字の違い (b)用語や定義の違い (c)結論や評価の違い
(d)対象・期間・条件の違いで両立しうる (e)片方に記載がない
分類の理由を、各資料の引用つきで1〜2文で書いてください。(d)の枠を作っておくと、「実は矛盾していなかった」ケースを分けられます。
ステップ3:言葉の揺れと見落としを点検させる
同じものを別の言葉で呼んでいて、食い違いに見えていない箇所はありますか。
また、さきほど挙げた項目以外に、資料間でずれている数字・定義・結論があれば追加してください。
根拠は引用で示してください。ステップ4:発行日・版・対象範囲を確認させる
食い違いの各項目について、資料ごとの発行日・版・対象範囲が分かる記述を引用してください。
分からない場合は「不明」としてください。食い違い記録表のテンプレート
表は、そのままGoogleスプレッドシートやドキュメントに貼れます。
- 1、項目:、資料A:記述・ページ、資料B:記述・ページ、種類(a〜e):、原文確認:済/未、採用案:A/B/両方/保留、理由・保留メモ:
列の使い方は次のとおりです。
- 資料A・B:要約ではなく、できるだけ原文に近い形で書き、ページや節を添えます。
- 種類:ステップ2の分類をそのまま入れます。
- 原文確認:人が引用元を開いて確かめたら「済」にします。「未」のまま採用案を決めないようにします。
- 採用案:迷ったら「保留」とし、確認先(発行元への問い合わせなど)を理由欄に書きます。
記入例(説明用の架空データ)
実在の資料でも実際の出力でもなく、書き方を示すための例です。
- 1、項目:休暇申請の期限、資料A(社内ガイド 2025年版):3営業日前まで、資料B(人事FAQ 2026年版):5営業日前まで、種類:a、原文確認:済、採用案:B、理由・保留メモ:Bの方が新しい版。改定の通知は人事に確認
- 2、項目:「営業日」の定義、資料A(社内ガイド 2025年版):土日祝を除く、資料B(人事FAQ 2026年版):記載なし、種類:e、原文確認:済、採用案:保留、理由・保留メモ:年末年始の扱いが不明
どちらを採るかの判断表
AIの出力は材料です。採用は次のような観点で、人が決めます。
- 発行日・版、見方:新しい版が古い版を置き換えているか、判断の目安:改定の記載があるなら新しい方。ない場合は保留
- 発行元の立場、見方:一次の規定・公式発表か、解説か、判断の目安:規定そのものを優先し、解説は補助にする
- 対象・期間・条件、見方:同じものを同じ条件で比べているか、判断の目安:違うなら(d)として、矛盾とはみなさない
- 数字の出どころ、見方:調査や計算の方法が書かれているか、判断の目安:根拠が示されている側を優先。示されていなければ保留
- 影響の大きさ、見方:間違えたとき困るか、判断の目安:大きい項目は発行元への確認を先にする
法律や制度に関わる資料は、国や自治体によって扱いが違います。どの管轄の資料なのかを表の項目に加えておくと、取り違えを防げます。この表は判断の整理用で、法的な判断を保証するものではありません。
人が必ず確認すること
AIの回答に引用が付いていても、読み違えが起きないとは限りません。次の点は人が見ます。
- 引用元を原文で開く:公式ヘルプによると、回答の引用から元のソースの該当箇所を確認できます。数字、否定表現(「〜を除く」など)、単位は特に読み違いやすい箇所です。モバイルではチャットの機能に制限があるとされているため、確認はパソコンの画面が確実です。
- 表や図の中の数字:本文の文章より取りこぼしやすいため、重要なら原本の該当ページを直接見ます。
- 回答が資料内に収まっているか:引用がない断定や、資料にない補足が混じっていたら、「資料の記述だけで言い直して」と頼み直します。ウェブ検索などを行えるエージェント機能も別に案内されているため、資料だけを比べたいときは、どの機能で回答を得たかも意識してください。
- 追加で見落としがないか:ステップ3の結果を、自分で目次や見出しを見て補います。
回答の表は「メモに保存」でき、表や引用も保存されるとヘルプにあります。ただし、保存したメモを再び資料として使う操作などは、この記事では確認していません。
この流れで残る「保留」の行が、本当に調べるべき論点です。保留理由を書いておけば、発行元に問い合わせるときの質問文としてもそのまま使えます。

