マガジン

GeminiのGemで繰り返しの頼みごとを定型化する:作り方と育て方

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

散らばった同じ内容の付箋が、6つの区切りがある1枚のカードにまとめられ、その横で3枚のテスト用メモを赤ペンで採点している机の上の様子
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

毎回同じ前置きを書いている頼みごとは、Gemの指示欄に「役割・毎回の仕事・変わらない前提・入力のルール・出力形式・やらないこと」の6項目で書いておくと、定型化できます。以後は、その回だけ変わる素材を貼れば済みます。GoogleのカスタムGem作成のヒントは、指示にペルソナ・タスク・コンテキスト・フォーマットを入れるよう案内しています。この記事は、その4要素を実務で使いやすい6項目に組み替えたテンプレートと、作った後に直す手順を示します。

この記事の目次
  1. 先に確認:Gemは移行の途中にあります
  2. Gem化する頼みごとを選ぶ
  3. 指示文テンプレート
  4. 作って、試して、直す
  5. 使う前に人が確認すること

先に確認:Gemは移行の途中にあります

Googleは、繰り返し作業向けの再利用可能なカスタム指示としてスキルを案内していて、スキルはGemに代わるものと位置づけられています。Google Workspace Updatesの記事(2026年9月30日付)には、次の予定が書かれています。

  • 現時点では、GeminiアプリでGemを作成して使える
  • 11月17日にGemは設定内へ移る
  • Geminiアプリに残ったGemは、下書きのスキルに自動移行される
  • Workspaceの法人向けは2027年3月1日以降、教育機関向けは2027年6月1日以降(いずれも「それより早くはない」という表現)に、Gemの作成・編集・利用ができなくなる

個人アカウントの具体的な時期や、Gemに付けたファイルの引き継ぎ範囲は、この記事では確認できていません。作る前にGeminiアプリヘルプの「Gem からスキルへの移行について」で、ご自身のアカウントの扱いを確認してください。

ここで作るのは名前・説明・指示文という文章が中心です。画面の名称が変わっても、同じ指示文をスキル側に貼り替えて試せるように作っておけば、作業は無駄になりにくいです。以下では「Gem」と書きます。

Gem化する頼みごとを選ぶ

何でもGemにすると管理しきれなくなります。次の表で判断します。

  • 月に3回以上、ほぼ同じ前置きを書いている、判断:Gem化する
  • 毎回、成果物の形(見出し、文字数、口調)が同じ、判断:Gem化する
  • 毎回、前提そのものが変わる(相手も目的も違う)、判断:見送る。通常のチャットで十分
  • 1回きりの調べもの、判断:見送る
  • 個人情報や社外秘を毎回貼る必要がある、判断:設計を見直す。伏せ字にできる範囲に限る

1つのGemには1つの仕事だけ任せます。「メールも議事録も企画書も」と欲張ると指示が長くなり、どの規則が効いているのか分からなくなります。

指示文テンプレート

次の枠をコピーし、{ }の部分を自分の仕事に置き換えてください。

# 役割
あなたは{私の立場}の{用途}を手伝うアシスタントです。

# 毎回の仕事
私が貼り付ける{素材}をもとに、{成果物}を作ってください。

# 変わらない前提
- 読み手:{誰が読むか}
- 文体:{です・ます調/簡潔/丁寧 など}
- 使う言葉・避ける言葉:{例}

# 入力のルール
- 私は「素材」「相手」「条件」の3項目で貼り付けます。
- 項目が足りないときは、作成前に最大3つまで質問してください。推測で埋めないでください。

# 出力形式
1. {成果物1}({分量})
2. {成果物2}
3. 「確認してほしい点」:日付・金額・固有名詞・数字を箇条書き

# やらないこと
- 入力にない事実・数字・日付を付け足さない
- 断定できないことは「未確認」と書く
- {その仕事で守りたい禁止事項}

要は「入力のルール」と「確認してほしい点」です。前者で情報不足のまま書かせないようにし、後者で人が見るべき箇所を毎回の出力に出させます。

記入例(説明用の架空の例)

実際に試した結果ではありません。会議後のフォローアップメールの下書きを定型化する想定です。

# 役割
あなたは小規模なチームのリーダーの、社外向けメール下書きを手伝うアシスタントです。

# 毎回の仕事
私が貼り付ける会議メモをもとに、参加者へ送るフォローアップメールの下書きを作ってください。

# 変わらない前提
- 読み手:取引先の担当者
- 文体:です・ます調、丁寧だが短く
- 避ける言葉:「ご確認のほどよろしくお願い申し上げます」の多用

# 入力のルール
- 私は「会議メモ」「相手の名前と役職」「次の期限」で貼り付けます。
- 足りない項目があれば、作成前に最大3つまで質問してください。

# 出力形式
1. 件名案(2つ)
2. 本文(300字程度)
3. 確認してほしい点:日付・金額・固有名詞を箇条書き

# やらないこと
- メモにない約束や金額を書かない
- 決まっていない事項は「未定」と書く

これに貼る入力も架空のものです。

会議メモ:新サイトの見積もり再提出。色見本は先方が今週中に送付。
相手:山田さま(デザイン担当)
次の期限:来週水曜

作って、試して、直す

作成の流れ

  1. GeminiアプリでGemの作成画面を開きます。メニュー名は更新で変わるため、最新の表示はGeminiアプリヘルプで確認してください。
  2. 「会議後メール下書き」のように、仕事の内容が分かる名前を付けます。
  3. 指示欄にテンプレートを貼ります。書くのが大変なら、目的を1〜2文で入れてGeminiに書き直させる方法もあります。ヒントのページでも紹介されています。書き直された文章は、そのまま採用せず、6項目が残っているか確かめます。
  4. 作成画面のプレビューで動作を確認します。確認後は保存を忘れないでください。
  5. 文体見本などの参考ファイルを付ける場合は、機密を含まないものだけにします。

見直しの手順

保存する前と、使い始めて数回後の2回、次の順で見直します。

手順1:テスト入力を3種類用意する

  • 標準:いつも通りの素材
  • 不足:「相手」や「期限」を抜いた素材。質問が返ってくれば合格
  • 例外:金額や日付が一切ない素材。数字を創作せず「未定」と出れば合格

手順2:出力を採点する

  • 形式、合格の目安:出力形式の1〜3がそろっている
  • 事実、合格の目安:入力にない日付・金額・名前がない
  • 質問、合格の目安:不足時に、最大3つの質問で止まる
  • 文体、合格の目安:前提に書いた口調と避ける言葉が守られている

手順3:症状から直す場所を決める

  • 文体がぶれる、直す場所:「変わらない前提」に、良い例と悪い例を1行ずつ足す
  • 書いていない情報を補う、直す場所:「やらないこと」に具体的な禁止を足し、「確認してほしい点」を強める
  • 長すぎる/短すぎる、直す場所:出力形式の分量を数字で指定する
  • 質問が多すぎる、直す場所:「最大3つ」を「最大1つ」に変える
  • 指示を無視する項目がある、直す場所:その項目を短い箇条書きにし、他の項目と矛盾していないか読み返す

一度に直すのは1か所だけにします。2か所以上を同時に変えると、どちらが効いたのか分からなくなります。直したら手順1の3入力で再テストし、問題がなければ保存します。

使う前に人が確認すること

Gemは下書きを作る道具で、内容の責任は送る人にあります。出力の最後の「確認してほしい点」を見て、日付・金額・名前を元の資料と照らし合わせてから使ってください。

貼り付ける素材は、最初は本物の顧客名や契約金額ではなく、説明用のダミーで試すのが安全です。本番では、勤務先や学校の情報取り扱いルールに沿い、個人情報は伏せ字にしてから貼ります。Gemを作ること自体は、情報の秘密保持を保証しません。

出典・参考資料