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Workspace管理者がGeminiを使えるようにする前に決めておくこと

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

管理者の手が、色分けした付箋と10行のチェックシートを机に並べ、スイッチを入れる前に対象者や範囲を整理している様子
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

管理コンソールを開く前に決めておきたいのは、次の3点です。 1. 誰に使わせるか(組織部門またはグループ単位) 2. Geminiにどこまで社内データを見せるか(Gmail、Drive、カレンダーなどとの連携範囲) 3. 何を入力してよく、出力を誰がどう確認するか(利用ルール) ここが曖昧なまま設定すると、「気づけば対象ユーザー全員が使える状態だった」「連携を切ったら複数アプリをまたぐ依頼が動かない」といった事態になりがちです。この記事では、導入前に埋める決定事項シートと、設定画面で確認する項目の一覧を渡します。 内容は2026年10月27日にGoogle公式ヘルプを開いて確認しましたが、自動校閲を経た原稿であり、実機の管理コンソールで操作して試した結果ではありません。画面名や既定値は変わることがあるため、操作は自社の管理コンソールで確かめてください。記入例は説明用の架空の例で、実在の組織の事例や実測値ではありません。

この記事の目次
  1. 設定の前に知っておく公式の前提
  2. 決定事項シート(導入前に埋める)
  3. 設定画面で確認する項目の一覧
  4. 記入例と確認用の依頼文(説明用)
  5. 利用ルールは一枚にして、有効化と同時に配る

設定の前に知っておく公式の前提

  • Workspaceアプリ内のGemini機能は既定でオンです。「生成AI」→「Gemini for Workspace」→「Feature access」で、Gmail、Docs、Meetなどサービスごとに切り替えます。変更には「Gemini Settings」管理者権限が必要です。このページが対象として挙げているのはEnterprise Standard/Plusと一部の教育向け提供(Teaching and Learningアドオン、Education Plus、Google AI Pro for Education)で、Business系は記載にありません。自社の契約でこのパネルが出るかは、先に確認してください。利用者側でスマート機能とパーソナライズが有効であることも条件です。(Manage access to Gemini features in Workspace services)
  • Geminiアプリは別の設定です。「生成AI」→「Gemini app」で、組織部門またはグループ単位に設定します。グループは組織部門より優先されます。反映は最大24時間、会話履歴の変更は最大72時間かかることがあります。既定では、対象ライセンスを持つ18歳超のユーザーが使える状態です。(Turn the Gemini App on or off)
  • Geminiアプリと各アプリの連携も独立した設定で、対象ライセンスのユーザーには既定で有効です。対象はGmail、Drive、カレンダー、Docs、Keep、Tasks、Classroom(教育向けのみ)と、Maps、YouTube、ホテル、フライトなどです。Workspaceアプリとの連携には、Geminiの会話履歴が有効である必要があります。(Control Gemini App access to Workspace services)
  • データの扱いとして、Googleのプライバシーハブには、顧客データを事前の許可や指示なしにモデルの学習に使わないこと、Geminiはユーザーがアクセス権を持つコンテンツだけを取得することが書かれています。(Generative AI in Google Workspace Privacy Hub)

ただし「学習に使われない」ことと「社内で誰に見えるか」は別の話です。Geminiは本人が閲覧できるものを取得するので、Driveの共有設定が緩いと、本人が忘れていた共有文書が要約に出てくる可能性があります。これは公式の記述からの私の推論なので、パイロットで確かめてください。

決定事項シート(導入前に埋める)

情報システム担当、情報管理担当、現場の代表で埋めます。空欄の項目は、その設定を保留にするか、対象を絞って始める判断材料になります。

  • 1、決めること:最初の対象者、選択肢の例:情シスのみ/特定部門/全社、決める人:管理者+部門長、記入欄:
  • 2、決めること:対象の切り方、選択肢の例:組織部門/グループ(パイロット参加者など)、決める人:管理者、記入欄:
  • 3、決めること:Workspaceアプリ内のGemini機能、選択肢の例:サービス別にオン/オフ、決める人:管理者、記入欄:
  • 4、決めること:Geminiアプリ本体、選択肢の例:オン/オフ、ライセンス保有者のみか、決める人:管理者、記入欄:
  • 5、決めること:アプリ連携の範囲、選択肢の例:Workspaceアプリ/Classroom/その他Googleアプリ、決める人:管理者+情報管理担当、記入欄:
  • 6、決めること:会話履歴、選択肢の例:保持期間(3・18・36か月から選択、既定は18か月)、決める人:情報管理担当、記入欄:
  • 7、決めること:Gemの共有、選択肢の例:許可/不許可、決める人:管理者、記入欄:
  • 8、決めること:入力してよい情報、選択肢の例:公開情報・社内一般資料/顧客の個人情報は不可、など、決める人:情報管理担当、記入欄:
  • 9、決めること:出力の確認責任、選択肢の例:作成者が確認、対外文書は上長も確認、など、決める人:部門長、記入欄:
  • 10、決めること:問い合わせ窓口と見直し時期、選択肢の例:窓口の担当、パイロット後の評価日、決める人:管理者、記入欄:

連携範囲は「業務で必要な依頼」から逆算する

ヘルプには、複数のサービスを使う依頼で必要なサービスのどれかがオフだと、そのアクションは完了しないという趣旨の記述があります(公式の例はTasksをオフにした場合のカレンダー予定とリマインダーの作成)。そのため「Driveだけオフ」のように感覚で決めず、次の順で絞ります。

  1. 想定する依頼文を5〜10本書き出す
  2. 各依頼がどのアプリを使うかを書く
  3. 必要なアプリだけを連携対象にし、残りを外す

また、あるアプリでGeminiをオフにしても、別のアプリのGeminiからそのデータにアクセスできる場合があると、公式に注意書きがあります(例:DriveのGeminiをオフにしても、GmailのGeminiからDriveのファイルを参照できる)。「Gmailでは使わせない」と「Gmailの内容を見せない」は同じではないので、見せたくない場合は連携側の設定も確認します。

設定画面で確認する項目の一覧

メニュー名は公式ヘルプの英語表記に基づきます。日本語UIの表記は確認できていないため、見当たらない場合は権限とエディションを疑ってください。

  • 管理者ロール、確認すること:作業者に「Gemini Settings」権限があるか、見ておく点:Workspaceアプリ内のGemini機能の変更に必要。Geminiアプリ側の必要権限は自社の画面で確認
  • 生成AI → Gemini for Workspace → Feature access、確認すること:サービスごとの状態(既定はオン)、見ておく点:対象の組織部門/グループが正しいか。パネルが表示されるか
  • 生成AI → Gemini app、確認すること:組織部門/グループごとのオン/オフ、ユーザーのアクセス範囲、見ておく点:グループ設定が組織部門より優先される
  • Gemini app →「Apps」セクション、確認すること:Workspaceアプリ、Classroom、その他Googleアプリの連携、見ておく点:既定はオン。業務に不要なものを外す
  • Gemini app → 会話履歴、確認すること:保持期間と有効/無効、見ておく点:社内の保管ルールと整合しているか。無効だとWorkspaceアプリ連携が使えない
  • Gemini app → Gem sharing、確認すること:Gem共有の許可、見ておく点:共有されたGemはDriveに保存され、Driveの共有設定も適用される。無効にしても、共有済みGemはDriveから引き続きアクセス・共有できる
  • (Androidで使う場合)Search and Assistant、確認すること:サービスがオンか、見ておく点:AndroidでGeminiを使うにはオンが必要
  • 全設定共通、確認すること:反映までの時間、見ておく点:最大24時間。翌日にも再確認する

Gem共有のページには、GoogleがGemから「スキル」への移行を進めているという記載もあります。名称や画面が変わる可能性があるため、ここは導入時に最新の表示を確認してください。(Turn Gem sharing on or off)

記入例と確認用の依頼文(説明用)

従業員300名の架空の会社が、パイロットから始める場合の例です。

  • 1・2、決定内容(例):情シス5名+営業企画10名の計15名、「Geminiパイロット」グループで4週間
  • 3、決定内容(例):Gmail、Docs、Meetをオン。他は結果を見てから判断
  • 4、決定内容(例):Geminiアプリはパイロットグループのみオン
  • 5、決定内容(例):Workspaceアプリ連携のみオン。その他Googleアプリはオフ
  • 6、決定内容(例):保持期間は社内の保管ルールに合わせて情報管理担当が選ぶ
  • 7、決定内容(例):Gem共有はパイロット中は不許可
  • 8、決定内容(例):入力可:社内の一般資料。不可:顧客の個人情報、未公開の財務情報
  • 9、決定内容(例):社外に出す文章は、作成者が事実確認し、上長が承認
  • 10、決定内容(例):窓口は情シスの共有アドレス。4週間後に継続可否を判断

パイロット参加者には、次のような依頼文を試してもらうと、連携範囲の過不足が見えやすくなります。いずれも未実行の例文です。

1. 今週の私の予定を、準備が必要なものと不要なものに分けて表にして。
2. このDocsの内容を、取引先に送る前提で3文に要約して。誤りがありそうな点も挙げて。
3. 先週の営業会議のメモから、担当者と期限つきのタスク一覧を作って。

結果は、想定したアプリの情報を参照できたか、見せたくない文書が出てこなかったか、出力の事実誤りを人が見つけられたか、の3点を記録します。想定外の文書が出た場合は、Geminiの設定ではなくDriveの共有設定の見直しが必要かもしれません。

利用ルールは一枚にして、有効化と同時に配る

決定事項のうち、利用者に伝えるのは8〜10番です。次は説明用の例文です。

Geminiの使い方(パイロット期間)
・入力してよいもの:社内の一般資料、公開情報
・入力しないもの:顧客の個人情報、未公開の財務情報
・出力は下書きです。数字・固有名詞・日付は元の資料で確認してください
・社外に出す文書は上長の確認を受けてから送ってください
・困ったとき:情シス共有アドレスまで

目的は、AIに任せる範囲(下書き、要約、整理)と、人が確認する範囲(事実、数字、送信判断)を分けることです。禁止事項を細かく並べるより、この線引きを守れることを優先したほうが運用しやすくなります。

進め方は次のとおりです。

  1. シートの1〜10を埋める(空欄の設定は保留にする)
  2. パイロット用グループを作り、権限のある管理者が設定する
  3. 反映の時間を見込み、翌日以降に確認用の依頼文を実行する
  4. 結果を記録し、連携範囲とDriveの共有設定を調整する
  5. 範囲を広げる前に、利用ルールの文面を実際の質問に合わせて直す

既定でオンの機能があるため、何もしなければ対象ライセンスのユーザーが使える状態から始まる可能性があります。着手前に、自社でいま何が有効かを確認しておくと安全です。

出典・参考資料