ゲームのタイトルと商標:使えない名前の調べ方
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ゲームを作り終えて、いよいよ公開しようとしたタイミングで「そのタイトル、商標登録されているかもしれない」と気づく人は少なくありません。ゲームの内容そのものより、名前のトラブルは見落とされやすく、後から変更を強いられると告知・URLの修正など余計なコストが生じます。 商標の問題は「有名な名前を避ければ大丈夫」とは限りません。一般的な単語の組み合わせでも、ゲームやソフトウェアの区分で登録されていれば抵触する可能性があります。この記事では、個人開発者やチームが公開前に自分で調べられる手順と、調べた結果をどう判断するかの基準を整理します。
商標とゲームタイトルの関係を整理する
商標とは、ある事業者が自分の商品やサービスを他者のものと区別するために使うマークです。文字・図形・音などが対象になりますが、ゲームタイトルは「文字商標」として登録されるケースが典型です。
重要なのは、商標には「区分(類)」があるという点です。日本の商標制度では商品やサービスを45の区分に分類しており、同じ文字列でも区分が異なれば別の商標として共存できます。ゲームに関係する区分は主に次のあたりです。
- 第9類:ダウンロード可能なゲームソフトウェア、電子ゲーム機用プログラムなど
- 第28類:家庭用テレビゲーム機、おもちゃ、ゲームカード類など
- 第41類:コンピュータゲームの提供、オンラインゲームサービスなど
- 第42類:コンピュータソフトウェアの設計・開発など
ブラウザで動くWebゲームを公開する場合、第9類と第41類が特に関係します。「このタイトルは飲食店の名前として登録されているだけだから問題ない」と思っても、後から同じ文字列がゲーム区分でも登録されていることが判明するケースがあります。調べるときは区分を複数確認することが基本です。
J-PlatPatで自分で検索する手順
特許庁が運営するJ-PlatPat(特許情報プラットフォーム)は、日本の登録商標と出願中の商標を無料で検索できる公式データベースです。手順は次のとおりです。
- J-PlatPatのトップページから「商標」タブを選択します。
- 「商標検索(称呼・文字)」または「テキスト検索」を開きます。
- 自分が使おうとしているタイトルをそのまま入力し、「検索」を実行します。
- 結果の一覧で「状態」を確認します。「登録」と表示されているものは現在有効な商標です。「出願中」も将来登録される可能性があるため注意が必要です。「消滅」や「放棄」は原則として使用可能ですが、再出願の可能性もゼロではありません。
- 個々の件をクリックして「指定商品・指定役務」欄を開き、第9類・第41類などゲーム関連の区分が含まれているか確認します。
検索のコツとして、完全一致だけでなく部分一致や読みが似た名前も確認する習慣をつけましょう。たとえば「StarQuest」というタイトルを考えているなら「スタークエスト」のカタカナ表記でも検索します。称呼(読み方)が似ていると、文字が違っても類似と判断されることがあるためです。また英語タイトルの場合は英字・カタカナの両方で検索します。
「類似」の判断が難しい理由と対処
商標の世界では、まったく同じ文字列でなくても「類似している」と判断されると問題になります。類似性の判断には外観(見た目)・称呼(読み方)・観念(意味・イメージ)の三つの観点があり、いずれか一つが似ているだけでも類似と見なされる場合があります。
たとえば「NOVA」と「NOBA」は外観と称呼が近く、ゲームという同一の区分で登録があれば抵触リスクが生じます。逆に「Fire」と「炎」は外観・称呼は異なりますが、観念(同じイメージ)が共通するため争点になることがあります。
自分で判断しきれない場合の対処として、次の二段階を目安にしてください。
第一段階:明らかに問題ないかを自己確認するJ-PlatPatで検索した結果、同一または非常に近い文字列がゲーム関連区分で「登録中」または「出願中」であれば、タイトルの変更を真剣に検討します。完全に一致する登録がなく、部分一致も1〜2件で区分もゲームとは無関係であれば、リスクは低いと考えられます。
第二段階:グレーゾーンは専門家に確認する同じ文字列の登録はないが読みが近いものがある、登録区分がゲームに隣接している、ある程度の知名度がある単語を組み合わせている、といったケースは自己判断が難しくなります。商標を専門とする弁理士または弁護士への相談を検討してください。相談だけであれば比較的低コストで済む事務所も多く、公開後のトラブルと比べれば先行コストは小さいです。
調べる前に知っておくべき落とし穴
未登録でも使えない名前がある著名なタイトルや企業名は、商標登録がなくても不正競争防止法の対象になる場合があります。登録商標がないからといって必ずしも安全とは言えないため、広く知られているタイトルと近い名前は避けるのが無難です。
海外の商標は別に調べる必要があるJ-PlatPatは日本の商標のみカバーしています。海外向けに公開する場合、または海外の著名なゲームタイトルと近い名前を検討している場合は、対象地域の商標データベース(米国ならUSPTO、EUならEUIPO)も別途確認が必要です。
個人開発だからといって対象外にはならない商標権は企業だけでなく個人にも主張できる権利です。「趣味で作った小さなゲームだから関係ない」という考えは危険で、公開した以上は同区分の登録商標権者から通知が来る可能性があります。小規模であっても調べる価値は十分あります。
タイトルを途中で変えるコストを意識する公開後に名前を変えると、検索インデックスの再構築、既存ユーザーへの周知、ストア情報の更新など多くの手間が生じます。調査は公開前に終わらせるのが原則です。できれば複数の候補タイトルをリストアップし、そのすべてを調べてから最終決定する流れが理想です。
調査の流れをひとつにまとめると
- タイトル候補を2〜3案用意する
- J-PlatPatで各案を英字・カタカナ・漢字(該当する場合)で検索する
- 第9類・第41類を中心にゲーム関連区分の登録・出願状況を確認する
- 同一・類似の登録があれば候補を変更し、なければ次のステップへ
- グレーゾーンは弁理士・弁護士に確認してから公開を判断する
- 余裕があれば自分でも商標出願を検討する(タイトルが作品の核になる場合)
商標出願の可否・費用・手続きの詳細は特許庁の公式情報や弁理士に確認してください。制度の細部は変わることがあります。
次の行動
まずJ-PlatPatを開き、今考えているタイトルを英字とカタカナの両方で検索してみてください。第9類と第41類の登録状況を確認するだけでも、リスクの大まかな見当がつきます。調べた結果に迷いが残る場合は、公開前に弁理士へ相談することを選択肢として持っておくと安心です。
参考資料
- 特許庁「商標制度の概要」
- J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)公式ヘルプ
- 特許庁「区分・商品・サービスの検索ガイド」

