マガジン

ゲームの設定画面に最低限入れる項目:音量・操作・表示

遊びをつくる

執筆にClaudeを使用しています。

大きなボタンに指が触れ、スピーカーへ金色の音の波が広がる立体イラスト
記事のテーマをもとに制作したAI生成イラスト。

ゲームを作り始めると、設定画面の実装は後回しになりがちです。「まず遊べるものを」という判断は正しいのですが、公開直後に「音がうるさい」「スマホで操作しにくい」という感想が集まると、プレイヤーが離れる前に手を打てなかったことを後悔します。設定画面は保険ではなく、最初から設計に組み込むべき機能です。 この記事では「音量・操作・表示」の三領域に絞り、それぞれ何を入れれば最低限が満たせるか、どの順番で実装するかを具体的に示します。凝ったUIは後からでも足せますが、後から足すと既存セーブデータとの整合性に悩む項目もあるため、設計段階で把握しておくことに意味があります。

この記事の目次
  1. 音量:プレイヤーが最初に求める調整
  2. 操作:デバイスとプレイスタイルの差を吸収する
  3. 表示:読みやすさとパフォーマンスの両面から考える
  4. 設定画面の構成と保存の設計
  5. 実装の優先順位と判断フロー
  6. 次の行動

音量:プレイヤーが最初に求める調整

設定画面で最も頻繁に触られる項目は音量です。理由は単純で、音は周囲の状況に依存します。電車の中では無音にしたい、深夜は小さくしたい、という要求はゲームの内容とは無関係に発生します。

最低限用意するのは次の二つです。

  • BGM音量:ループする背景音楽のレベル。0〜100のスライダーか、0・50・100の三段階トグルで十分です。
  • SE音量:ボタン音・効果音など短い音のレベル。BGMとは独立して調整できるようにします。

「マスター音量」として一本化する方法もありますが、BGMは切りたいがSEは残したい、という要求は頻繁に来ます。最初から二本立てにしておくほうが後からの手直しが少なくなります。

ボイスがある場合はVOICE音量を三本目として加えます。ボイスのないゲームで無理に項目を増やす必要はありません。

実装上の注意点が一つあります。音量の値はページ再読み込み後も保持される必要があります。localStorageなどブラウザのストレージに保存し、ゲーム起動直後に読み込む処理をAudio初期化より前に置いてください。起動時に一瞬フルボリュームで再生されてから音量が下がる、という体験はプレイヤーに強い不快感を与えます。

操作:デバイスとプレイスタイルの差を吸収する

操作系の設定は、ゲームのジャンルによって必要な項目が大きく変わります。ただし「最低限」という観点では、デバイスの差を吸収することが主目的です。

タッチ操作とキーボード操作の切り替えは、PCとスマホの両方でプレイされる可能性があるゲームで必須に近い項目です。自動検出(タッチイベントを受け取ったらUIをタッチ用に切り替える)で対応できる場合はそれで構いませんが、自動検出がうまく機能しない環境向けに手動切り替えも残しておくと安全です。

ボタン配置やキーコンフィグは、アクション系・リズム系のゲームでは優先度が上がります。一方でパズルやカジュアル系では不要なことが多いです。実装コストが高い機能なので、「自分のゲームでキー配置を変えたいというフィードバックが来るか」を想像してから入れるかどうかを判断するのが現実的です。

スマホ向けには画面上のボタンサイズや配置の調整を入れることがあります。手の大きさや持ち方の違いで「ボタンに指が届かない」という問題が起きやすいジャンル(縦持ちアクション、リズムゲームなど)では、左右の配置を入れ替えるオプションだけでも大きな差になります。

キーコンフィグを実装する場合、デフォルト値へのリセットボタンを必ずセットで入れてください。設定を変えたあと「元に戻せない」という問題はサポート負荷を上げます。

表示:読みやすさとパフォーマンスの両面から考える

表示系の設定は「見やすさ」と「動作の軽さ」の二つの目的で使われます。

テキストサイズ(または全体のUIスケール)は、スマホの小さな画面や高解像度ディスプレイでテキストが読みにくいという問題への対応です。フォントサイズをCSSカスタムプロパティで一元管理している場合は、設定値を一つ変えるだけで全体に反映できます。「小・中・大」の三段階で十分です。

エフェクトやアニメーションの強度(または簡易表示モード)は、演出が多いゲームでパフォーマンスの問題が出たときに役立ちます。低スペックのスマホや古い端末でフレームレートが落ちるとき、エフェクトをオフにして遊べると離脱を防げます。最初から「エフェクト:オン/オフ」の二択を入れておくだけでも効果があります。

画面の向き固定(縦・横)は、スマホゲームで縦持ちか横持ちかが決まっている場合に、意図しない向き変更を防ぐために使います。CSSのorientationやJavaScriptのScreen Orientation APIで制御できますが、環境によって挙動が異なるため、固定できない場合の表示崩れも事前に確認してください。

色覚特性への配慮としてカラーモード切替を入れることもあります。これは最低限ではなく「より多くの人に届けたい」という段階の対応ですが、色で情報を区別しているゲームでは早めに検討する価値があります。

設定画面の構成と保存の設計

三領域を実装するときに、構成と保存方法を先に決めておくと後の修正が減ります。

設定値の保存先は主に三つの選択肢があります。

  • localStorage、特徴:ブラウザに残る、シンプル、向いている場面:単体HTMLゲーム、軽量作品
  • URLパラメータ、特徴:共有しやすい、向いている場面:設定を少数に絞った作品
  • クラウドセーブ(SDK対応)、特徴:端末をまたいで同期、向いている場面:アカウント連携を実装した作品

ブラウザゲームの多くはlocalStorageで十分です。ただしプライベートブラウジングでは値が保持されません。設定が保存されていない状態でも動作するデフォルト値を必ず定義しておいてください。

設定画面のUIは、ゲーム開始前のタイトル画面と、ゲーム中のポーズメニューの両方から開けるようにしておくのが理想です。ゲームを始めてから音量が調整できないことに気づくと、その時点でブラウザのタブを閉じるプレイヤーが出ます。

設定変更はリアルタイムに反映させてください。スライダーを動かしながらBGMの音量が変わる体験は、「本当に設定できているか」という不安を取り除きます。適用ボタンを押してから反映する設計は、操作のステップが増える分だけ離脱リスクが上がります。

実装の優先順位と判断フロー

ゲームの規模やジャンルによって、三領域すべてが必要とは限りません。次の順番で判断するのが現実的です。

  1. BGM・SE音量:ほぼすべてのゲームで必要です。音があるなら最初に入れます。
  2. テキストサイズ:文章量が多いゲームや、スマホをターゲットに含む場合に優先します。
  3. 操作切り替え・ボタンサイズ:アクション・リズム系、またはスマホ専用の場合に優先します。
  4. エフェクト強度:演出が重いゲームで、低スペック端末での動作確認後に追加します。
  5. キーコンフィグ・カラーモード:フィードバックを受けてから判断します。

シンプルなパズルゲームであれば、1と2だけで十分なことも多いです。設定画面を豪華にすることが目的ではなく、「プレイヤーが環境に合わせて調整できること」が目的です。項目が多すぎる設定画面はそれ自体が混乱の原因になります。

次の行動

自分のゲームに現在設定画面がなければ、まずBGMとSE音量のスライダーを一つずつ追加し、値をlocalStorageに保存する実装から始めてみてください。その後、スマホで実際に操作して「調整したくなった瞬間」を記録すると、次に入れるべき項目が自然に見えてきます。アソバースでゲームを公開している場合は、プレイヤーのコメント欄に操作や表示への要望が集まりやすいため、公開後のフィードバックを設定項目の優先順位づけに活用するのもよい方法です。