ゲームデザイナーとプランナーの違い
遊びを届ける執筆にClaudeを使用しています。

「ゲームデザイナーになりたい」と調べていたら、求人票では「ゲームプランナー」という職種が並んでいた——そういう経験がある方は多いと思います。英語圏では "game designer" が一般的な呼称ですが、日本の商業ゲーム業界では「プランナー」という独自の職種名が定着しており、両者の意味が完全には一致しません。 この記事では「ゲームデザイナー」と「ゲームプランナー」が何を指すのかを整理し、インディーゲームを自分で作る立場ではどちらの視点が必要かを具体的に説明します。就職先を選ぶときの判断基準と、個人制作に活かせる考え方の両方を扱います。
「ゲームデザイナー」という言葉が指す二つの意味
「ゲームデザイナー」は文脈によって意味が変わる言葉です。
ひとつ目は、ゲーム全体の体験を設計する人という意味です。ルール・難易度曲線・報酬サイクル・プレイヤーの感情の流れ——こうした「遊びの骨格」を考える役割を指します。ボードゲームの世界やアカデミックなゲーム研究ではこちらの意味で使われることが多く、就職を想定しない個人開発者がこの言葉を使うときも、たいていこちらの意味です。
ふたつ目は、ビジュアルや画面設計を担う人という意味です。UIデザイン・キャラクタービジュアル・ワールドの雰囲気設計を職域とするポジションを「ゲームデザイナー」と呼ぶ企業もあります。グラフィックデザインの延長線上に置かれるため、プランニングとは別の専門スキルが求められます。
どちらの意味かは求人票の「業務内容」欄を読まないと判断できません。応募時には「仕様書を書くか」「IllustratorやFigmaを使うか」の二点を確認するだけでほぼ区別できます。
日本のプランナー職が担う範囲
日本の商業ゲーム開発では「プランナー」がゲーム設計の主担当であることがほとんどです。プランナーの仕事は大きく三層に分かれます。
仕様策定:キャラクターのパラメーター設定、ステージ構成、フラグ管理のルール、テキスト量の見積もりなど、エンジニアとアーティストが動くために必要な「設計図」を文書化します。
数値調整:敵の体力・ドロップ率・コスト・インフレ速度など、ゲームバランスを数値として管理します。スプレッドシートで数百行にわたるパラメーター表を管理する作業が日常業務の中心になる企業も多いです。
ディレクション補佐:チームの制作物が企画意図とずれていないかを確認し、修正依頼の優先順位を判断します。規模が大きい案件ではプランナーが複数いて、システム担当・レベル担当・UI担当に分業します。
英語圏の求人票で "game designer" と呼ばれるポジションが担う仕事の大半は、日本では「プランナー」が担っています。呼び名は違いますが、求められる思考様式——「プレイヤーはこの場面で何を感じるか」を起点に数値と構造を決める能力——は共通しています。
個人制作では「設計者」と「実装者」を自分が兼ねる
商業開発との最大の違いは、個人やごく小さなチームで作るときにはひとりが複数の役割を担う点です。「プランナー的な仕事」「エンジニア的な仕事」「アーティスト的な仕事」を一人の人間が日替わりでこなします。
このとき問題になるのは、設計フェーズと実装フェーズを混同してしまうことです。「このギミック、実装が面倒だからやめよう」という判断は、実装者としては合理的ですが、設計者としては「プレイヤー体験のために本当に外してよいか」を一度立ち止まって問う必要があります。逆に「このアイデア、面白そうだから追加しよう」は設計者の衝動ですが、実装コストを考えずに積み重ねるとスコープが際限なく広がります。
二つのモードを意識的に切り替えるために有効なのは、設計の決定を文書として残す習慣です。短いメモでかまいません。「なぜこのルールにしたか」「どの体験を優先したか」を書き残しておくと、実装中に迷ったときの判断基準として機能します。これはプロのプランナーが仕様書を書く理由とまったく同じです。
どちらを学べばよいか——判断の軸
就職やキャリアの観点と、自分でゲームを作る観点に分けて整理します。
就職・転職を目指す場合は、応募先の職種名より業務内容を優先して読んでください。「仕様書・マスターデータ・パラメーター調整」というキーワードがあれば日本式プランナーです。「UI/UXデザイン・ビジュアル設計・Figma」があればデザイナー職です。ポートフォリオの作り方はどちらを目指すかで大きく変わります。プランナー志望なら「自分でゲームを企画・設計して完成させた過程を示す資料」が、デザイナー志望なら「画面設計や視覚表現のビジュアル成果物」が中心になります。
自分でゲームを作る場合は、職種の名前に縛られる必要はありません。ただし「なぜそのルールにしたのか」を言語化できるかどうかは、作品の完成度に直結します。設計の判断を言葉にする練習は、就職の有無にかかわらずゲーム制作の質を上げる一番の近道です。
一つ具体的な方法を挙げます。自分が好きなゲームをひとつ選んで、「このゲームの核となるルールは何か」「なぜその数値になっていると思うか」を箇条書きで分析してみてください。これはゲームデザインの教材でよく使われる「ゲームの解体」と呼ばれる練習で、プランナー職の採用選考でも同様の課題が出ることがあります。
次の行動
自分がどちらの役割に関心があるかを確かめるには、まず小さなゲームを一本、設計メモ付きで作り切ることが一番の近道です。アソバースではHTMLファイルやZIPファイルを直接投稿して公開できるので、完成した作品を外部に見せながら「なぜこう設計したか」を説明する練習の場として使えます。就職を目指す場合は、志望先企業の求人票で「仕様書」「マスターデータ」「UIデザイン」のどのキーワードが使われているかを確認し、自分が目指す職種を絞り込んでください。
参考資料
- 経済産業省「コンテンツ産業の現状と今後の発展の方向性」
- IGDA Japan(国際ゲーム開発者協会日本)公式サイト
- 各ゲーム会社の採用情報ページ(プランナー・デザイナー職の業務内容欄)

