マガジン

ゲームのプレイ数を計測する:無料で使える分析ツール

遊びを届ける

執筆にClaudeを使用しています。

地形や橋のある小さなゲーム世界を箱に整理し、ブラウザ形のアーチへ運ぶ模型
記事のテーマをもとに制作したAI生成イラスト。

ゲームを公開したあと、「どのくらい遊ばれているのか」を知りたいのは当然の欲求です。プレイ数が分かれば、改善すべき場面を判断できますし、次の作品を作るモチベーションにもつながります。しかし「分析ツールを入れる」と聞くと、難しそう・費用がかかりそうと感じて後回しにしてしまう人が多いです。 実際には、ブラウザゲームのプレイ数計測は無料ツールだけで十分に始められます。この記事では、何を計測すべきかの整理から、無料ツールの選び方、HTMLゲームへの実装手順、よくある落とし穴まで、順を追って説明します。

この記事の目次
  1. 「プレイ数」は一つの数字ではない
  2. 無料ツールの選び方:3つの観点で比較する
  3. HTMLゲームにGA4を組み込む基本手順
  4. よくある失敗と確認ポイント
  5. 数字の読み方:データから次の行動につなげる
  6. 次の行動
  7. 参考資料

「プレイ数」は一つの数字ではない

まず整理しておきたいのは、「プレイ数」という言葉が指すものは文脈によって異なるという点です。

  • ページビュー(PV):ゲームページが読み込まれた回数。リロードのたびに増える。
  • セッション数:同一ユーザーが一定時間内に行った訪問のまとまり。一般に30分以上離れると別セッションとして数えられる。
  • ユーザー数(UU):同じ人が複数回来ても1と数える指標。期間を区切って「週間UU」などと使う。
  • ゲーム開始イベント:「スタートボタンが押された」など、ゲームが実際に動き出した瞬間をカスタムイベントとして記録したもの。

PVはページを開いただけで増えるため、「ゲームを本当に遊んだ人数」に近い数字が欲しい場合は過大評価になりがちです。逆にゲーム開始イベントを独自に送るには少しコードを書く必要があります。どの指標を優先するかは、ゲームの目的と手間のバランスで決めてください。一人で作るブラウザゲームの初期段階であれば、セッション数とページビューを並べて見るだけでも十分な示唆が得られます。

無料ツールの選び方:3つの観点で比較する

ブラウザゲームの計測に使える無料ツールは複数あります。選ぶときの観点は「データの保持期間」「カスタムイベントの送りやすさ」「ゲームプライバシーへの影響」の3点です。

Google Analytics 4(GA4)

現在もっとも広く使われているウェブ解析サービスです。ページビュー・セッション・ユーザー数を自動で記録するほか、gtag('event', ...) の一行でカスタムイベントを送れます。データは無料枠でも長期間参照でき、Looker Studioと組み合わせてグラフを作ることもできます。ただし、設定ミスや測定IDの貼り間違えが多く、「取れていたつもりが取れていなかった」という失敗が起きやすいツールでもあります。導入後はリアルタイムレポートで自分でアクセスしてデータが届くか必ず確認してください。

Plausible Analytics(セルフホスト版)

プライバシーに配慮した設計のオープンソース解析ツールです。Cookieを使わず、GDPR対応を前提に作られています。クラウド版は有料ですが、自前のサーバーにセルフホストすれば費用はサーバー代だけです。設定がシンプルで、1本のスクリプトタグを貼るだけで基本的な計測が始まります。細かいカスタムイベントも送れますが、GA4と比べると機能は絞られています。「Cookieバナーを出したくない」「シンプルに使いたい」という場合に向いています。

Umami(セルフホスト版)

Plausibleと同様にCookieレスで動くオープンソースツールです。VercelやRailwayといった無料枠のあるホスティングサービスにデプロイすると、完全無料で運用できます。管理画面がすっきりしていて、カスタムイベントの設定も直感的です。ゲームごとにサイトを分けて管理できるため、複数作品を並行して見るのに便利です。

まとめ比較

  • GA4、費用:無料、Cookieレス:✕(Cookieあり)、カスタムイベント:○(要コード)、難易度:中
  • Plausible(セルフホスト)、費用:サーバー代のみ、Cookieレス:○、カスタムイベント:○(要コード)、難易度:中
  • Umami(セルフホスト)、費用:サーバー代のみ、Cookieレス:○、カスタムイベント:○(直感的)、難易度:低〜中

費用や管理の手間を最小にしたい場合はGA4が現実的な出発点です。プライバシーや自前管理を重視するならUmamiやPlausibleを選ぶ理由があります。

HTMLゲームにGA4を組み込む基本手順

ここではGA4を使った実装手順を示します。他のツールも「スクリプトタグを貼る→イベントを送る」という流れは共通です。

  1. GA4プロパティを作成する Google Analyticsの管理画面で新しいプロパティを作成します。「データストリーム」でウェブを選び、ゲームのURLを登録します。測定IDは G-XXXXXXXXXX の形式です。
  1. スクリプトタグをHTMLの <head> に貼る Google Analytics管理画面が提示するタグスニペットをそのまま <head> 内に貼ります。測定IDが正しいか一度確認してください。
  1. リアルタイムレポートで動作確認する 自分でゲームページを開き、GA4のリアルタイムレポートにアクセスがカウントされるか確認します。ここで反応がなければ、AdBlockerやブラウザ拡張が通信をブロックしている可能性があります。テスト用にシークレットモードを使うと余計な干渉が減ります。
  1. ゲーム開始イベントを送る スタートボタンが押されたときに gtag('event', 'game_start', { game_title: 'あなたのゲーム名' }) を呼び出します。これをGA4の「イベント」レポートで確認できます。ページビューとゲーム開始の差が大きい場合、「開いたけど遊ばずに離脱した」ユーザーが多いと読めます。
  1. クリアや死亡などのマイルストーンも送る ゲームの重要な場面(ステージクリア、ゲームオーバーなど)でもイベントを送ると、どこで離脱が多いかが分かります。まずは「開始」と「クリア」の2点だけでも送れば、完走率が計算できます。

よくある失敗と確認ポイント

計測が二重になる:同じページに同じ測定IDのスクリプトが2回貼られていると、アクセスが2倍にカウントされます。HTMLを検索して測定IDが1か所だけにあるか確認してください。

自分のアクセスが混ざる 開発中に何度もリロードすると自分のセッションがデータに混ざります。GA4には「内部トラフィック」を除外するフィルタ機能があります。自宅のIPアドレスを登録しておくと、テスト中のアクセスを本番データから除外できます。

iframeの中では計測できない場合がある ゲームが別ドメインのiframeとして埋め込まれている場合、スクリプトが外側のページにしか貼られていないと、ゲーム本体の操作は計測されません。計測スクリプトはゲーム本体のHTMLに直接入れる必要があります。

ZIPで複数ファイルを公開するときはメインHTMLに入れる アソバースのようにZIPでゲームを公開するプラットフォームでは、エントリーポイントとなるHTMLファイルにスクリプトを貼ります。JS側だけで動的に <script> を挿入する方法は動作が不安定になりやすいため、HTMLに直書きするのが確実です。

Cookieの同意バナーが必要な場合 GA4はCookieを使うため、EUユーザーへの公開を想定する場合はCookieへの同意取得が法律上の要件となる場合があります。日本国内のみを対象とする場合でも、個人情報保護の観点から定期的に法令の動向を確認することが望ましいです。具体的な対応が必要かどうかは、法律の専門家や公式のガイドラインで確認してください。

数字の読み方:データから次の行動につなげる

計測データが取れるようになったら、数字を「改善の手がかり」として読む視点を持ってください。

セッション数が多いのにゲーム開始イベントが少ない場合、ロード時間が長すぎる、または最初の画面でつまずいている可能性があります。ゲーム開始イベントは多いのにクリアイベントが少ない場合、特定のステージや難易度設定が離脱の原因かもしれません。流入元(参照元)を見ると、SNSからの流入とSEOからの流入でプレイ時間に差があることも分かります。

一度に全部を分析しようとすると疲れます。最初の1か月は「週のセッション数が増えているか減っているか」だけを追うくらいで十分です。施策を打ったら前後を比較する、という使い方が長続きします。

次の行動

まずGA4の無料アカウントを作り、測定IDをゲームのHTMLに貼って、リアルタイムレポートで動作を確認してみてください。動いたら「ゲーム開始」イベントを1本送るコードを追加するだけで、プレイ数の実態が見えてきます。アソバースでゲームを公開している場合は、ZIPのエントリーHTMLにスクリプトを直接記述することが確実な方法です。

参考資料

  • Google Analytics 4 公式ドキュメント(Google)
  • Umami 公式ドキュメント(umami.is)
  • Plausible Analytics 公式ドキュメント(plausible.io)