Claudeの要約を資料と照らして確かめる:根拠の箇所を示させ、引用と解釈を分ける手順
AIを使いこなす執筆にClaudeを使用しています。

Claudeの要約が合っているかどうかは、要約を読み直しても分かりません。確かめるには次の3つを順に行います。 1. 要約の各文に、原文からそのまま抜き出した引用を付けさせる。 2. 引用が原文に本当にあるかを、自分で検索して確認する。 3. 引用に書いてあることと、Claudeの解釈を分けて読む。 Claudeに根拠を出させるだけでは足りません。出てきた引用そのものが誤っている可能性があるからです。この記事では、そのまま貼れる依頼文と、原文と照らす手順、チェックリスト、判断表を示します。
この記事の目次
要約の誤りは「もっともらしい文」の中に出る
Anthropicのサポートページは、Claudeが誤解を招く回答や誤った情報を出すことがあると説明しています。権威があるように見えても、事実に基づかない引用を表示する場合があるとも書かれています。そのためClaudeを唯一の情報源にせず、重要な内容は確かめるよう求めています(Claude is providing incorrect or misleading responses)。
要約でよく起きるずれは、次のようなものです。ここに挙げたのは、確認の目安として編集部が整理した例です。
- 数字、期限、条件が変わる(「翌月5日まで」が「月末まで」になる、など)
- 「原則」「場合がある」といった限定が落ちる
- 資料にない理由づけや結論が足される
- 表や図の内容を読み違える
どれも文章としては自然なので、読んだだけでは気づけません。だから、文ごとに原文へ戻れる形で出力させます。
依頼文:先に引用を抜き出させ、要約には根拠番号を付けさせる
AnthropicのAPI向け資料には、幻覚(事実と異なる内容の生成)を減らす方法として、次のものが挙がっています。
- 分からないときは分からないと言ってよいと伝える。
- 長い資料では、先に逐語の引用を抜き出させる。
- 各主張に引用を付けさせ、裏づけが見つからない主張は取り下げさせる。
- 提供した資料以外の知識を使わないよう指示する。
同じ資料は、これらで大きく減らせても完全にはなくならないので、重要な情報は必ず検証するよう注意しています(Reduce hallucinations)。
以下は、この考え方をチャットで使えるようにした依頼文です。[Q1]や[解釈]という表記は、この記事での提案です。
次の<資料>だけを根拠に、要点をまとめてください。
資料にない一般知識や推測で補わないでください。
手順:
1. 先に、まとめに使う箇所を資料から一字一句そのまま抜き出し、
Q1, Q2…と番号を付けてください。各引用には、見出し・条番号・
ページなど、資料内での位置も添えてください。
2. 次に、引用の番号を使ってまとめを書いてください。
まとめの各文の末尾に[Q1]のように根拠番号を付けます。
3. 引用に書かれていない内容を補った文には、末尾に[解釈]と付け、
何から推測したかを一文で書いてください。
4. 資料に書かれていない事項や判断できない事項は、
「資料に記載なし」と書いてください。
5. 最後に、引用が見つからなかったため削除した主張があれば
一覧にしてください。
<資料>
(ここに資料の本文を貼り付け)
</資料>資料の扱いでは、次の点に注意してください。
- 社外秘の資料は、固有名詞や数値を置き換えてから貼ります。
- ファイルを添付する場合は、本文を貼る代わりに「添付資料だけを根拠に」と書きます。
- 添付には上限があります。サポートページの記載では、PDFは100ページ以下なら図表も解析され、101〜1,000ページは文字情報のみです。PDF以外のファイルは文字の抽出のみで、埋め込まれた画像は読めません(Upload files to Claude、2026年10月27日に確認)。図表が重要な資料では、図表の読み取りを別に確かめてください。
出力の読み方(説明用の例)
次は、架空の社内規程を要約させた場合の出力例です。実際に実行した結果ではなく、読み方を説明するために作った例です。
- 備品の購入申請は、使用開始の10営業日前までに出す。、根拠:[Q1]、引用(Q):「申請は使用開始日の10営業日前までに提出すること」(第3条)
- 精算は月末までに行う。、根拠:[Q2]、引用(Q):「購入額の精算は翌月5日までに行う」(第5条)
- 例外申請は部長が承認するため、手続きが早い。、根拠:[解釈]、引用(Q):「例外は部長の承認を要する」(第6条)から推測
この例には、確認すべき点が2つあります。
- 2行目では、要約の「月末まで」と引用の「翌月5日まで」が食い違っています。引用を並べて見るから気づけます。
- 3行目の「手続きが早い」は、原文にない推測です。[解釈]と付いているので、採用するかどうかを自分で決められます。
原文照合の手順
引用が出たら、次の順に確認します。
1. 引用が原文に実在するか検索する
引用の文言を、元の資料のページ内検索にかけます。改行や空白、全角・半角の違いで当たらないことがあるので、短い語句に区切って探してください。それでも見つからなければ、その引用は使えません。逐語のはずなのに表記が少し違う場合は、言い換えられています。原文の表記に直させてください。
スキャン画像のPDFなど、文字検索ができない資料では、該当ページを目で見て探します。
2. 要約が引用と合っているか見る
数字、日付、主語、否定、条件(「ただし」「場合を除き」)を、引用と要約で見比べます。上の例の「月末」と「翌月5日」のような食い違いは、ここで見つかります。
3. 引用の前後を読む
引用が正確でも、前後の文で意味が変わることがあります。例外規定や但し書きが、引用の直後に続いていないか確かめてください。
4. 位置情報を原文で開いて確認する
条番号やページも間違えることがあります。PDFでは、画面上のページ番号と印刷されたページ番号が一致しないことがあるので、どちらを指しているかも確認します。
5. 外れた箇所の周辺も疑う
1つ誤りが見つかったら、同じ段落や同じ表から作られた他の文も、優先して照合します。
確認チェックリストと判断表
原文照合チェックリスト
- [ ] 要約の全文に、根拠番号か[解釈]が付いている
- [ ] 全部の引用を、原文の検索(または目視)で見つけた
- [ ] 要約の数字・日付・金額が、引用と一致している
- [ ] 「原則」「場合がある」「ただし」などの限定が落ちていない
- [ ] 引用の前後に、例外や但し書きがない
- [ ] 位置情報(条・ページ)を、原文で開いて確かめた
- [ ] [解釈]の文は、採用するか自分で決めた
- [ ] 「資料に記載なし」の項目は、資料側に本当にないか検索した
- [ ] 表・図由来の内容は、元の表・図を目で見て確かめた
結果ごとの対応
- 引用が原文で見つからない、判断:その文は使わない、次の操作:「Q2は資料内で見つかりません。該当箇所を再度探し、なければその主張を取り下げてください」と依頼する。再提示された引用も、もう一度検索する
- 引用はあるが、要約と数字や条件が違う、判断:要約を直す、次の操作:原文の該当部分を貼り、「この引用に合わせて該当文を書き直してください」と依頼する
- 引用は正確だが、前後に例外がある、判断:要約に例外を足す、次の操作:「Q3の前後も含め、例外や条件を追記してください」と依頼する
- [解釈]が付いた文、判断:自分で判断する、次の操作:採用するなら、事実と区別して書く
- 「資料に記載なし」、判断:資料の外で調べる、次の操作:別の一次資料にあたる
- 全部一致した、判断:要約として使える、次の操作:契約書や規程など重要な書類は、最終確認を人が行う
長い資料やAPIで使う場合
資料が長いときは、一度に要約させず、章ごとに上の依頼文を使うと照合が楽になります。引用が多すぎて検証しきれないときは、数字・期限・義務を含む箇所だけに絞って引用させてください。
自社のシステムからClaude APIを使う場合は、Citations機能があります。資料側で有効にすると、回答の主張を裏づける該当箇所が返されます(Citations)。返された箇所を人が原文で確かめる工程は、チャットの場合と変わりません。

