マガジン

Claudeで文章を推敲する:変更箇所と理由を一覧で出させて採否を決める

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

赤鉛筆で印をつけた紙の原稿の横に、緑・黄・赤の付箋が並び、手が一枚を貼ろうとしている机上の場面。修正箇所を一つずつ採用・保留・却下に仕分ける作業を表している。
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

Claudeに推敲を頼むなら、「直して」ではなく「原文は書き換えず、直したい箇所を表にして、理由も添えて」と依頼する方法が手堅いです。全文が整った状態で返ってくると、どこが変わったのか分からないまま、自分の言い回しや約束の強さまで差し替わることがあります。表で受け取れば、一行ずつ「採用・保留・却下」を自分で決められます。 この記事では、そのまま使える依頼文、表の読み方、判定欄の作り方を順に示します。文章の最終責任は書いた人にあるので、Claudeには「提案」だけを任せる設計です。

この記事の目次
  1. 1. 任せる範囲と、人が決める範囲
  2. 2. 貼る前に:機密情報を置き換える
  3. 3. そのまま使える依頼文
  4. 4. 入力例と、返ってくる表のイメージ
  5. 5. 採否を記録する判定欄
  6. 6. 採用分を反映して仕上げる

1. 任せる範囲と、人が決める範囲

最初に役割を切り分けます。

  • 誤字、重複表現、読みにくい文の発見、担当:Claude
  • 修正案と、その理由の提示、担当:Claude
  • 日付・金額・固有名詞・約束の強さの確認、担当:人
  • 相手との関係に合う口調かどうかの判断、担当:人
  • 各修正の採用・保留・却下、担当:人

ポイントは、事実や約束に関わる部分を「Claudeが直す」のではなく「Claudeが指摘し、人が確認する」側に置くことです。

この分け方は、Anthropicのヘルプセンターが示すプロンプトの基本とも合っています。依頼を簡潔に明確に書く、背景を十分に渡す、複雑な依頼は小さな手順に分ける、返答を見て追加の指示を出す、という4点です(Claudeヘルプ:役に立つ回答が得られないとき)。次の依頼文は、これを推敲向けに具体化した編集上の工夫です。

2. 貼る前に:機密情報を置き換える

メールや社内文書には、取引先名、金額、個人名、顧客情報が混ざりがちです。貼る前に「株式会社A」「〇〇様」「X万円」のような仮の表記へ置き換えてください。

Claudeのヘルプセンターは、金融情報、健康情報、パスワード、機密性の高い業務・個人の文書といった情報の共有には慎重になるよう案内しています(機密データを入力したいとき)。

シークレットチャット(Incognito)は、モデル改善の設定を有効にしていても学習に使われず、履歴にも残らず、既存のメモリも参照しないとされています。ただし、既定では30日間保持されます(組織の設定でそれより長くなる場合もあります)。また、プロジェクトの外のチャットでしか使えません(シークレットチャットの説明)。この内容は2026年10月28日時点の記載で、仕様は変わる可能性があります。

つまり「学習に使われない」ことと「内容が外に出ない」ことは別の話です。社内規程で外部サービスへの貼り付けが制限されている文書は、置き換えても出してよいかを先に確認してください。

3. そのまま使える依頼文

次の依頼文の【 】を埋めて、原文と一緒に送ります。

あなたは文章の校正者です。次の文章を推敲します。

【目的】取引先に納期の遅れを伝えるメール
【読み手】取引先の担当者(丁寧だが堅すぎない関係)
【整えたい点】誤字、重複表現、分かりにくい文、トーンのずれ

# ルール
- 全文を書き直さないでください。原文はそのまま残します。
- 修正が必要な箇所だけを、次の列の表で出してください。
  番号 / 原文の該当部分 / 修正案 / 理由 / 種類(誤り・重複・分かりにくさ・トーン) / 意味が変わるか(なし・あり・要確認)
- 日付、金額、数字、固有名詞、約束の強さ(「思います」「見込みです」など)は勝手に変えず、変える場合は「意味が変わるか」を「あり」か「要確認」にしてください。
- 迷う箇所は修正せず、表の最後に「確認したい点」として質問してください。
- 修正は多くても10件まで。優先度が高い順に並べてください。

# 原文
(ここに文章を貼る)

肝は「全文を書き直さない」「列を指定する」「意味が変わるかを自己申告させる」の3点です。ただし自己申告は見落とすこともあるため、「なし」とある行も最終的には自分の目で確かめてください。件数の上限は細かい直しの山に埋もれないための工夫なので、長文なら増やして構いません。

4. 入力例と、返ってくる表のイメージ

以下は説明用の例です。実際にClaudeへ送って得た出力ではなく、依頼文がどんな形の表を求めているかを示す想定です。実際の返答は文章やモデルによって変わります。

原文(説明用)

お世話になっております。先日ご依頼いただいた資料の件ですが、確認に時間がかかっており、お送りするのが遅れております。大変申し訳ございません。つきましては、金曜日までにはお送りできると思いますので、もう少しだけお待ちいただけますでしょうか。

想定される表(説明用)

  • 1、原文:確認に時間がかかっており、お送りするのが遅れております、修正案:確認に時間がかかり、お送りが遅れております、理由:「〜ており、〜ております」が続いて回りくどい、種類:重複、意味が変わるか:なし
  • 2、原文:金曜日までにはお送りできると思います、修正案:金曜日までにお送りできる見込みです、理由:「思います」だと確度が曖昧、種類:トーン、意味が変わるか:要確認
  • 3、原文:もう少しだけお待ちいただけますでしょうか、修正案:今しばらくお待ちください、理由:簡潔にするため、種類:トーン、意味が変わるか:あり

3行目は文が短くなる一方、お願いのやわらかさが減り、相手との関係によっては硬く響きます。2行目も、「見込み」と言い切ってよいかは書き手にしか分かりません。こうした「効率は上がるが印象や約束が変わる」修正が見えることが、表で受け取る利点です。

5. 採否を記録する判定欄

表をそのまま文書やメモに貼り、右に2列足します。

  • 1、判定(採用/保留/却下):採用、自分のメモ:意味が変わらず、自分でも理由を説明できる
  • 2、判定(採用/保留/却下):保留、自分のメモ:金曜に間に合う確度を、社内で確認してから決める
  • 3、判定(採用/保留/却下):却下、自分のメモ:元の疑問形のほうが依頼として柔らかい

判定の目安は次のとおりです(編集上の提案です)。

  • 採用:意味が変わらず、理由に納得でき、自分の言葉として使える。
  • 保留:日付、数字、約束の強さなど、事実の確認が要る。確認後に採用か却下へ移す。
  • 却下:理由が弱い、口調が合わない、意味が変わる。却下の理由を一言残すと、次回の依頼文に「この種の修正は不要」と書き足せます。

6. 採用分を反映して仕上げる

判定が終わったら、採用した行だけを自分で原文に反映するのが最も安全です。Claudeに反映させる場合は、範囲を限定します。

採用するのは番号1だけです。
その1件のみ原文に反映した全文を出し、ほかの箇所は一字も変えないでください。

それでも、返ってきた全文は原文と見比べてください。再出力の際に、指定していない箇所が変わることもあり得ます。違いが分かりにくいときは「変えた箇所だけを【】で囲んで」と頼むと確認しやすくなります。

送信前に人が見るのは、次の4点です。

  1. 日付・金額・宛名が元のままか
  2. 約束や謝罪の強さが意図どおりか
  3. 保留の行が残っていないか
  4. 読み手との関係に合う口調か

一度でうまくいかなければ、「トーンの指摘は減らして、誤りと重複だけにして」のように条件を足して再依頼します。判定欄に残した却下理由が、そのまま次の条件になります。

出典・参考資料