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ノベルゲームの立ち絵と背景をAIで用意する

遊びをつくる

執筆にClaudeを使用しています。

大小の円形フレームで、キツネや鳥などのアバターの輪郭と色を比べるイラスト。
記事のテーマをもとに制作したAI生成イラスト。

ノベルゲームを作ろうと思ったとき、最初に壁になるのがイラストの調達です。立ち絵と背景だけで数十枚以上が必要になることもあり、外注すれば費用がかさみ、自分で描けば時間がかかります。AIを使えばその両方を大幅に短縮できますが、「どのツールを使うか」より前に「どんな素材が必要か」を整理しておかないと、生成した画像がエンジンに乗せた途端にバラバラな印象になりがちです。 この記事では、立ち絵と背景それぞれの特性を踏まえたうえで、AIで生成するときの考え方・プロンプトの組み方・よくある失敗と対処を具体的に説明します。ノベルエンジンへの組み込みや配布時の権利確認まで含めて、一通り試せる内容にしています。

この記事の目次
  1. 立ち絵に必要な条件を先に決める
  2. 立ち絵プロンプトの組み方と差分の作り方
  3. 背景の生成と立ち絵との統一感
  4. 権利と利用条件の確認ポイント
  5. エンジンへの組み込みで起きがちなズレ
  6. 次の行動
  7. 参考資料

立ち絵に必要な条件を先に決める

背景よりも立ち絵の仕様を先に固める理由は、キャラクターデザインの一貫性がゲーム全体の印象を左右するからです。生成AIは同じプロンプトを入力しても毎回異なる画像を出力するため、「なんとなく気に入ったものを選ぶ」方針のまま進めると、シーンをまたいで同じキャラクターが別人に見えてしまいます。

最初に決めるべき仕様は次の4点です。

  1. 解像度と縦横比:一般的なノベルエンジンでは縦長(例:512×768、768×1024)の立ち絵を想定しています。解像度はエンジンの推奨値に合わせます。
  2. 透過背景の有無:背景と重ねて表示する場合、立ち絵はPNG形式で透過背景が必要です。多くの画像生成AIは白や単色背景で出力するため、後処理で切り抜くか、最初から「white background, simple background」と指定して切り抜きやすくします。
  3. 表情差分の枚数:「通常・笑顔・驚き・怒り」など最低4種を目安に設計します。差分を作るときは同一のシード値(生成の乱数固定値)やキャラクター参照機能を使うと顔の造形が安定します。
  4. 画風の一言定義:「アニメ調・線画あり」「水彩風・柔らかい輪郭」など一語で決めます。この定義がプロンプトの軸になり、背景の画風指定にも流用します。

仕様をメモしておくと、複数のキャラクターを順番に生成するときも迷いがなくなります。

立ち絵プロンプトの組み方と差分の作り方

画像生成AIのプロンプトは、大まかに「スタイル・キャラクター属性・ポーズ・背景処理・品質指定」の順に並べると指示が伝わりやすくなります。例として以下のような構成が基本になります。

anime style, 1girl, long black hair, school uniform, 
standing, looking at viewer, slight smile, 
white background, transparent-friendly, 
high quality, clean lineart

差分を作る際のポイントは「変えたい部分だけを差し替えて、他はすべて同じにする」ことです。Stable Diffusion系のツールであればシード値を固定し、表情を表す語だけを「slight smile → surprised → angry」と差し替えます。ComfyUIなどのワークフロー型ツールを使うと、このプロセスをバッチ処理に近い形で管理できます。

透過背景の切り抜きには、Remove.bgやRembgのようなツールを使うのが手軽です。ただし髪の毛の細かい部分や、背景との境界がグラデーションになっている箇所は自動処理が甘くなります。気になる場合はPhotoshopやGIMPのマスク機能で手動補正を加えます。

失敗しやすい点が一つあります。同じキャラクターを時間をおいて追加生成するとき、最初に使ったプロンプトを手元に残していないケースです。必ずプロンプト・シード値・使用モデル名・生成日をテキストファイルにまとめておきます。これがないと後から差分を足すたびに顔ブレが起きます。

背景の生成と立ち絵との統一感

背景は立ち絵と違い透過処理が不要で、横長(例:1280×720)のJPEGやPNGで用意するのが一般的です。生成自体は立ち絵より制約が少なく、一枚あたりの調整コストも下がります。ただし立ち絵との「画風の乖離」が最大の問題になります。

立ち絵がアニメ調の線画なのに、背景がリアルな写真テイストだと違和感が生まれます。これを防ぐには背景のプロンプトの先頭に立ち絵で使った画風定義を同じ言葉で入れます。

anime background, school corridor, daytime, 
soft lighting, no characters, 
detailed interior, painterly style

「no characters」は必ず入れます。指定しないとキャラクターが描き込まれてしまい、ゲームの立ち絵と重なったときに人物が二重になります。

背景の枚数の目安は、ロケーション数×時間帯(昼・夜など)で計算します。10か所のロケーションに昼夜2バリエーションを用意すれば20枚です。全部を一気に生成しようとすると途中で画風がぶれてくることがあるため、1日に生成するロケーションは3〜5か所程度に抑えて、その日のうちにエンジンに仮配置して確認するサイクルが安定します。

権利と利用条件の確認ポイント

AIで生成した画像をゲームに使う際、商用・非商用を問わず利用条件の確認は必須です。ここでは断定的な判断は避けますが、一般的に注意すべき点を整理します。

  • 生成ツールの利用規約:画像の著作権が生成者に帰属するか、商用利用が許可されているかは、サービスごとに異なります。無料プランと有料プランで条件が変わるものもあります。
  • ベースモデルの学習データ:特定のスタイルを強く再現するモデルを使う場合、そのモデルの配布条件も確認します。
  • 生成画像の二次加工:切り抜きや色調補正は通常の利用範囲ですが、ゲームのパッケージ表紙や販売ページの主要素にする場合は規約上の扱いが変わることがあります。

いずれも「現時点の規約」に基づく判断が必要で、条件は変更されることがあります。公式サイトで最新の条件を確認したうえで進めてください。

エンジンへの組み込みで起きがちなズレ

素材が揃ってから実際にエンジンに乗せると、見た目のバランスが想定と異なることがよくあります。よくある原因は以下の3つです。

立ち絵のスケール:生成時の縦横比が合っていても、エンジン側の表示サイズ設定で引き伸ばされることがあります。エンジンの推奨解像度と表示領域をドキュメントで確認してから素材を最終出力します。

背景の明度と立ち絵の馴染み:明るい背景に明るい立ち絵を重ねると輪郭がぼやけます。立ち絵にわずかなドロップシャドウをかけるか、背景側の明度を下げるだけで視認性が改善します。これはエンジンのエフェクト設定で対応できる場合もあります。

色温度のバラつき:立ち絵と背景を別々のモデルや設定で生成すると、片方が青みがかり、もう片方が暖色寄りになることがあります。Lightroomや無料ツールのRawTherapeeで立ち絵と背景の色温度を揃える一括補正をかけると統一感が出ます。

次の行動

まずキャラクター1人分の仕様(解像度・画風・差分数)を1ページのメモにまとめ、テスト生成を4〜5枚行って仕様に収まるか確認してください。その素材をノベルエンジンのサンプルシーンに仮置きして背景との相性を見てから、残りのキャラクターと背景の生成に進むと手戻りが少なくなります。完成したゲームはHTMLやZIPファイルとしてアソバースに投稿し、ブラウザ上で配布・公開できます。

参考資料

  • Stable Diffusion 公式ドキュメント(Stability AI)
  • ComfyUI GitHub リポジトリ
  • Ren'Py 公式ドキュメント
  • Remove.bg 利用規約・APIドキュメント
  • 各画像生成サービス利用規約(Midjourney、Adobe Firefly、DALL·E など)