マガジン

手描きとAIの役割分担を決める:作品の目的別に任せる工程を選ぶ表

AIを使いこなす

Claudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

灯台の背景ラフに色鉛筆で描き込み、配色を確かめる手元
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

結論から言うと、分担は「その工程に自分らしさが出るか」「締切を圧迫しているか」「AIの出力を自分の手で直せるか」「提出先のルールで許されているか」の4点で決められます。多くの場合、設定の核とラフの構図は自分で持ち、彩色の配色案や背景の下絵のように「失敗しても直しやすい工程」からAIに任せると、作品の個性を保ちやすくなります。 この記事では、制作工程ごとに自作かAIかを選ぶ判断表を作りました。表は編集部が考えた目安で、特定の調査結果ではありません。文中の設定やプロンプトは「説明用の例」で、実際に生成して試した結果ではありません。

この記事の目次
  1. 先に4つの質問で工程を仕分ける
  2. 工程×目的の判断表
  3. そのまま使える依頼文の例
  4. 権利とルールの確認
  5. 自分用の表を作る手順

先に4つの質問で工程を仕分ける

工程ごとに、次の質問へ答えてみてください。

  1. 決め手になるか:読者が「この人の絵だ」と感じる要素ですか。はいなら自作寄りです。
  2. 締切を圧迫しているか:この工程に時間がかかりすぎて、全体が終わらなくなりそうですか。はいならAI補助の候補です。
  3. 人が直せるか:出力に問題があったとき、自分で修正できますか。配色案や背景の下絵は直せますが、顔の崩れや文字の誤りは直す手間が大きくなりがちです。直せない工程をAI主体にするのは避けます。
  4. ルール上よいか:投稿先、コンテスト、依頼主がAIの利用をどう扱っているかを確認できましたか。確認できていないなら自作に寄せるか、先に問い合わせます。

AIの利用条件はサービスごとに違います。使うツールの利用規約と、作品の出し先の募集要項を必ず読んでください。

工程×目的の判断表

作品の目的を3つに分け、5つの工程にそれぞれ割り当てました。

  • A:自分の作品を育てたい(SNSや個人サイト、こだわり重視、納期はゆるい)
  • B:締切のある自主制作(同人誌やWeb連載など、こだわりと納期の両立が必要)
  • C:依頼・納品物(依頼主との取り決めが最優先)
  • 設定(キャラ・世界観)、A:育てたい:核は自作。AIは矛盾探しの壁打ち、B:締切あり:自作。AIで案出しと整理、C:依頼・納品:自作。AIを使うなら事前に了承を得る
  • ラフ(構図・ポーズ)、A:育てたい:自作、B:締切あり:自作。構図の別案だけAIで出す、C:依頼・納品:自作。AI案を使うなら了承を得る
  • 清書(線画)、A:育てたい:自作、B:締切あり:自作。線の整理や補助的な処理のみAI、C:依頼・納品:自作
  • 彩色、A:育てたい:自作。配色の相談だけAI、B:締切あり:配色案をAIに出させ、塗りは自作、C:依頼・納品:取り決めの範囲内。迷うなら自作
  • 背景、A:育てたい:自作、または写真・3Dを参考に、B:締切あり:AIで下絵を作り、自分で描き込む、C:依頼・納品:権利関係を説明できる素材のみ。AIは了承後

表の読み方

  • Bは納期に効く工程(背景・彩色)から先にAIを入れます。決め手になる清書や顔まわりは残します。
  • Cは「何をAIに任せたか」を依頼主に説明できることが前提です。説明できない工程は自作にします。
  • 迷ったら、AIには「案を出す」「整理する」までを任せ、最終の形は人が決めます。

そのまま使える依頼文の例

以下は説明用の例です。角かっこの部分を自分の作品の内容に置き換えてください。公開前の原稿や依頼主の情報は、そのまま貼らず、架空の設定に置き換えてから試すのが安全です。

設定:矛盾探しの壁打ち

以下のキャラクター設定を読み、
(1) 設定どうしの矛盾、(2) 絵にしたとき描き分けが難しそうな点を、
合わせて5つ挙げてください。
新しい設定は追加しないでください。

【設定】[名前:ミナト/職業:灯台守/髪:短い白髪/特徴:左目に傷/性格:無口で面倒見がよい]

AIに設定を作らせず、自分の設定の点検だけを任せる形です。

ラフ:構図の別案(テキストのみ)

次の場面の構図案を、文章で4つ出してください。
絵は生成しないでください。
各案に「視線の流れ」「主役の位置」「余白の使い方」を一行ずつ添えてください。

【場面】[夕方の灯台の前で、ミナトが振り返る]

画像ではなく文章で案をもらうと、ラフは自分の手で描けます。

彩色:配色案

添付の線画(モノクロ)をもとに、配色案を3パターン出してください。
髪・服・肌・背景の4領域ごとにHEXコードで示してください。
線画の内容は変更しないでください。
3案のうち1案は、彩度を低めにしてください。

画像を読み込めるツールの場合の例です。出力された色は塗りに使う参考値として、最後の調整は自分で行います。

背景:下絵を作る

Midjourneyの公式ドキュメント(Prompt Basics)では、短くシンプルなプロンプトが良い結果につながりやすいとされています。一方で、被写体、環境、光、色、雰囲気、構図などは、必要なときだけ具体的に書くとよいとも説明されています。背景の下絵なら、人物を入れず、決めたい要素だけを書くのがよさそうです。

灯台の見える海辺の夕景、人物なし、
低い視点、左に灯台、右に空き地、夕焼け

出力はそのまま完成にせず、パースや小物を自分で描き直す前提にします。同ドキュメントには、テキスト以外に画像プロンプトで参照画像を渡せる旨の記載もあります。ただし使える機能や条件はバージョンで変わるため、実際に使う時点の公式ドキュメントを確認してください。

権利とルールの確認

日本の著作権法まわりの考え方は、文化庁が「AIと著作権について」のページで公開しています。このページによると、文化審議会の小委員会が2024年3月15日に「AIと著作権に関する考え方について」をまとめました。内容は、AI学習での著作物利用、生成物の著作物性、依拠性と類似性、利用者の責任などです。ページでは、この文書が法的拘束力を持つものではない点も示されています。同ページには、チェックリスト&ガイダンス(2024年7月31日版)の掲載も確認できました。

編集部が確認できたのはこのページの概要までで、個別の作品が著作物にあたるか、侵害にあたるかは、ここから判断できません。個別の案件は、原文を読み、必要なら専門家に相談してください。

実務では、次の2点を習慣にすると後で困りにくくなります。

  • 工程ごとの記録を残す:どの工程を自分で描き、どこにAIを使ったかを短いメモにします。依頼主や投稿先に説明するときに使えます。
  • 機密は置き換える:依頼主の未公開キャラや原稿は、そのままAIに入れず、架空の設定に置き換えます。学習への利用設定と秘密保持は別の話なので、設定をオフにしても機密を入れてよいことにはなりません。

自分用の表を作る手順

  1. 作品の目的をA・B・Cのどれに近いか決めます。
  2. 5つの工程それぞれに、冒頭の4つの質問を当てはめます。
  3. 「自作」「AIで案出し」「AI補助(人が仕上げる)」「AI主体」のどれかを記入します。
  4. 「AI主体」を選んだ工程は、投稿先と依頼主のルールをもう一度確認します。
  5. 一作終えたら、時間が短縮できたか、仕上がりに納得できたかを見直し、次の作品の表を直します。

最初は「背景の下絵だけAI」のように、一つの工程から始めるのがおすすめです。うまくいかなければ、その工程だけ自作に戻せるからです。

出典・参考資料