表情と台詞がちぐはぐなとき:感情の強さをそろえてAIで点検する
AIを使いこなすClaudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

台詞と表情が合わないと感じたとき、原因は「怒りの場面で笑っている」のような感情の種類の取り違えより、強さのずれであることが多いです。台詞は「ふざけるな!」と強く言っているのに、顔は眉が少し寄る程度。こういう状態です。 直し方は次の3ステップです。 1. 台詞・表情・仕草を、同じ5段階の物差しで数字にする 2. 3つの差が2以上あるコマを洗い出す 3. 台詞と絵のどちらを動かすかを決める 数字にする作業と差の洗い出しはAIに任せられます。ただしAIが見るのは、あなたが文字で渡した情報が中心です。そのコマで何を見せたいかという意図の判断は、人が残してください。
ずれは「強さ」の物差しがないと見えない
「何か変」という違和感は、物差しがないと直しようがありません。台詞、表情、仕草を同じ5段階で表すと、どこが何段階ずれているかが見えます。
注意したいのは、ずれがすべて失敗ではないことです。強がる人物の台詞は弱く、顔は強い、という描き方は成立します。差を見つけたら、その差が物語上の意図かどうかを次の段階で判断します。
感情の強さを5段階で並べた対応表
下の表は、台詞・表情・仕草の目安を段階ごとに並べたものです。数値や基準は公式の規格ではなく、点検用にこの記事で作った編集上の目安です。自作の作風に合わせて書き換えてください。
- 1、強さ:かすか、台詞の目安:短く平らな言い方。「……そう」、表情の目安:目線や口元がわずかに動く、仕草・体の目安:ほぼ動かない、視線をそらす
- 2、強さ:軽い、台詞の目安:語尾や言葉選びに色がつく。「ちょっと困るな」、表情の目安:眉が少し動く、口角が上下する、仕草・体の目安:首をかしげる、手が止まる
- 3、強さ:はっきり、台詞の目安:感情を示す言葉が入る。「それは嫌だ」、表情の目安:眉・目・口が連動して変わる、仕草・体の目安:腕を組む、身を引く、拳を握る
- 4、強さ:強い、台詞の目安:言い切り、語気が強い、「!」が付く、表情の目安:目を見開く、顔に影が入る、口が大きく開く、仕草・体の目安:体全体が動く、机を叩く、詰め寄る
- 5、強さ:限界、台詞の目安:叫び、途切れ、言葉にならない、表情の目安:顔が崩れる、効果や描き込みが最大、仕草・体の目安:全身で表す、物を投げる、崩れ落ちる
台詞の強さは、言葉の内容だけで決まりません。「!」の数、吹き出しの形、文字の大きさでも上下します。点検の際は、吹き出しの見た目も含めて段階を付けてください。
点検の手順
1. コマごとに3つを書き出す
台詞はそのまま書きます。表情と仕草は、絵を見て自分の言葉で書きます。理由は後述しますが、AIに絵の読み取りを任せきりにしないためです。
次の表は、説明用の例です。AIに実際に点検させた結果ではなく、手順を示すために私が作った入力です。段階の数字は、人が先に付ける想定にしています。
- 1、台詞:「……そう。わかった」、台詞の段階:2、表情(自分で記述):ほぼ無表情、口は閉じている、表情の段階:1、仕草:手が止まる、仕草の段階:2
- 2、台詞:「ふざけるな!」、台詞の段階:4、表情(自分で記述):眉が少し寄る程度、表情の段階:2、仕草:立ったまま、仕草の段階:1
- 3、台詞:「もう顔も見たくない」、台詞の段階:4、表情(自分で記述):目を見開き、歯を食いしばる、表情の段階:4、仕草:机を叩く、仕草の段階:4
コマ2は台詞が4、仕草が1で、差が3あります。ここが要確認のコマです。
2. 差を判定する
差の大きさに応じて、次のように扱います。
- 0〜1、判断:そろっている、次の動き:そのまま
- 2、判断:意図的かどうかで分かれる、次の動き:強がり、皮肉、隠した感情など、物語上の理由があるか確認
- 3以上、判断:直す候補、次の動き:台詞と絵のどちらを動かすか決める(後述)
3. 人が先に採点し、AIにも別々に採点させる
AIには段階の数字を見せず、定義表だけを渡して採点させます。あなたの採点とAIの採点が食い違うコマは、読者にも印象が割れる可能性があります。ここが優先して見直す場所です。これは私の提案する運用で、精度を保証するものではありません。
ずれを洗い出す依頼文
そのまま貼って使える形にしました。【 】の中を自分の作品に置き換えてください。未実行の文面なので、最初は3コマ程度で試し、出力の形式が崩れたら指示を調整してください。
あなたは漫画の編集者です。同じ場面のコマごとの台詞と、私が言葉で書いた表情・仕草を渡します。
【場面の状況】【例:恋人に隠し事を打ち明けられた直後】
【人物の性格】【例:普段は感情を表に出さない】
【主な感情】【例:怒り】
【段階の定義】
(ここに上の5段階の対応表を貼る)
【コマ一覧】
(コマ番号/台詞/表情の記述/仕草の記述 を並べる。段階の数字は付けない)
【依頼】
1. 各コマの台詞・表情・仕草を1〜5で採点し、根拠を一文で書いてください。定義表の語を使うこと。
2. 3つの段階の最大差を出し、差が2以上のコマを「要確認」にしてください。
3. 要確認のコマごとに、(A)台詞を変える案 と (B)表情・仕草を変える案 を各1つ出してください。描き直しの手間が小さい案を先に。
4. ずれが意図的な演出(強がり、感情を隠す等)として成立する可能性があれば、成立する条件を別項で書いてください。
【制約】
- 私が書いていない絵の情報は推測しない。判断できないときは「不明」と書く。
- 台詞の言い換え案は、人物の口調を保つこと。
【出力形式】
表(コマ|台詞|表情|仕草|最大差|判定)のあと、要確認コマの提案を箇条書きで。返ってきた表は、そのまま信じず、次の2点を確認してください。
- 根拠の一文が、あなたが書いた記述に基づいているか
- 提案が人物の性格や、ほかのコマの流れと矛盾していないか
どちらを直すか:差の向きで決める
差が大きいコマが見つかったら、向きで方針を決めます。
台詞が強く、絵が弱いとき(例のコマ2)
- 絵を上げる:眉と目の変化を大きくする、コマを大きくして顔を寄せる、手や肩に動きを足す
- 台詞を下げる:「!」を減らす、言い切りを「……ふざけてる」のように短く落とす
絵がすでに仕上がっているなら、台詞や吹き出しを直すほうが手間は小さく済みます。
絵が強く、台詞が弱いとき
- 台詞を上げる:感情を示す言葉を足す、語気を強める
- 台詞を削る:言葉を減らして沈黙にし、表情を主役にする
後者は、感情が強すぎて言葉が出ない場面で有効です。
迷ったときの基準
そのコマの見せ場がどちらにあるかで決めます。表情で見せたい場面なら絵を基準にして台詞を合わせ、台詞で刺したい場面なら台詞を基準にして絵を合わせます。AIに「どちらが見せ場か」を聞くより、作者が先に決めて依頼文に書くほうが提案がぶれません。
画像を渡すときの注意
表情を見てもらうために画像を添付することもできます。ただし、使う前に次の点を知っておいてください。
OpenAIのヘルプによると、ChatGPTの画像入力はPNG、JPEG、アニメーションなしのGIFに対応し、1枚あたり20MBが上限です。同じページには、日本語や韓国語などラテン文字以外の文字を含む画像の処理は得意でないこと、画像は分析前にリサイズされること、説明が不正確になる場合があることも書かれています(ChatGPT Image Inputs FAQ)。
そのため、運用は次のように分けるのが安全です。
- 台詞は画像ではなく文字で貼る:吹き出し内の日本語を画像から読ませない
- 表情の判定は自分の記述を基準にする:画像は「この表情の印象は何段階に見えるか」という参考意見を取る程度にとどめる
- 最終判断は人が行う:AIの見え方が読者の見え方と同じとは限りません
(この項の仕様は2026年10月29日にOpenAIのヘルプで確認しました。プランごとの利用制限やアカウント設定により利用条件が異なる場合があります。)
未発表の原稿を渡すとき
ChatGPTの個人向けワークスペース(Free、Plus、Pro)では、データ共有がデフォルトで有効です。「Improve the model for everyone」をオフにすると、新しい会話はOpenAIモデルの学習に使われません。一時チャットは履歴に表示されず、モデル改善にも使われませんが、安全上の目的で最大30日間保持されることがあります。また、回答に高評価・低評価のフィードバックを付けると、その会話全体が学習に使われる場合があります(Data controls in ChatGPT)。
学習をオフにすることは、秘密が守られることと同じではありません。公開前の展開やキャラクターの設定は、固有名や核心の展開を仮の名前に置き換えてから渡すと安心です。点検に必要なのは強さの情報なので、置き換えても結果はほぼ変わらないはずです。
最初にやること
手元の原稿から、感情が動く場面を3〜5コマ選んでください。5段階の表を見ながら台詞・表情・仕草に段階を付け、差が2以上のコマに印を付けます。そのうえで同じコマを上の依頼文でAIに採点させ、あなたの採点との食い違いを確認します。食い違ったコマが、最初に見直すべき場所です。

