漫画のコマ割りをAIに相談する:視線の流れと間を確認する質問の型
AIを使いこなすClaudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

結論から言うと、AIに「正しいコマ割り」を出してもらう使い方はおすすめしません。コマ割りの良し悪しは、描きたい場面と読ませたい感情で変わるからです。一方で、ネームを「初めて読む人」の立場で読ませ、どこで視線が迷うか、どこで間が足りない(または長すぎる)かを挙げさせる使い方は、初心者にも向いています。 この記事では、その点検のためにネームの何を渡すか、どう聞くか、返ってきた答えをどう判断するかを、コピーして使える質問文5種とあわせて示します。
先に決める:AIに任せること、自分で決めること
任せるのは「読者目線の仮の読み取り」です。具体的には次の3つです。
- コマをどの順番で読んだかを言葉にさせる
- 読み順が揺れそうな箇所を挙げさせる
- 各コマで読者が止まる時間の長短を推測させる
自分で決めるのは、次の3つです。
- 場面で何を感じさせたいか(意図)
- 指摘を採用するかどうか
- 実際にどう描き直すか
AIの返答は「一人の読み手の感想」と同じ扱いにします。複数の指摘が出ても、全部直す必要はありません。
手順1:ネームを渡せる形にする
画像で渡す場合
- コマの外側、または隅に読ませたい順の番号は振らず、代わりに各コマへ識別用の記号(A、B、C…)を小さく書きます。順番を書いてしまうと、視線の点検にならないためです。
- ネームは1ページずつ、または見開き単位で渡します。
- 画像はPNGかJPEGで保存します。OpenAIのヘルプによると、ChatGPTへ直接添付できる画像形式はPNG、JPEG、アニメーションなしのGIFで、画像は1枚あたり20MBまでとされています(確認したのはChatGPTのファイルアップロードFAQで、プランや時期によって変わる可能性があります)。詳細はOpenAIヘルプ「Uploading files and audio to ChatGPT」で確認してください。
文章で渡す場合
線がラフすぎて読み取りにくいときは、コマごとの説明文で代用できます。次は説明用の例です(実際に実行した結果ではありません)。
【ページ構成】右から左へ読む紙の漫画/1ページ5コマ
A(上段右・横長):教室の窓際。主人公が外を見ている
B(上段左・小):ノートに手が止まる
C(中段・全幅):チャイムの音、誰もいない廊下
D(下段右・縦長):扉の前で息をのむ主人公
E(下段左・小):扉の取っ手のアップ渡す前に確認すること
- 未発表原稿や投稿予定作品は、応募先や出版社の取り決めを確認してから使います。
- ChatGPTの個人向けサービスでは、入力内容の扱いが設定やプランに左右されると上記のFAQにあります。学習利用の設定と、内容が外部に漏れないこと(秘密保持)は別の話です。迷う場合は、キャラクター名や固有の設定を仮名に置き換えた簡易版を渡してください。
- 他の作家の漫画ページを渡して「これと同じ配置にして」と頼むのは避けてください。参考にしたい場合は、「縦長コマで時間を引き延ばす」のように、手法を言葉にして伝えます。日本の著作権法の考え方については、文化庁の法制度小委員会(第7回)のページに「AIと著作権に関する考え方について」の取りまとめ経緯が載っており、同文書は法的拘束力を持つものではないと位置づけられています。個別の事案が適法かどうかは、この記事では判断できません。
手順2:質問文5種を順番に使う
1つの会話の中で、質問1→5の順に投げるのがおすすめです。質問1で意図を伝えないのがポイントです。
質問1:意図を伏せて、読み順を言わせる
添付は漫画のネーム1ページです。右から左、上から下に読む紙の漫画として扱ってください。
各コマにA〜Eの記号が付いています。初めて読む読者として、
1. 自然に読むと思う順番をA〜Eで書く
2. その順番に読んだ根拠(コマの大きさ、吹き出しの位置、視線の向きなど)を一行ずつ書く
3. 順番に自信がない箇所には「迷う」と書く
改善案はまだ出さないでください。質問2:自分の意図と照合する
私が想定している読み順は A→B→C→D→E です。
先ほどのあなたの読み順と違う箇所があれば、どのコマの間で入れ替わったか、
入れ替わった原因として考えられる要素を挙げてください。
修正案は出さず、原因の候補だけを書いてください。質問3:視線が迷う箇所を絞る
このページで、視線が止まる、戻る、または複数の方向へ分かれそうな箇所を最大3つ挙げてください。
それぞれ、(a)どのコマからどのコマへ移る場面か、(b)迷いそうな理由、
(c)迷いの強さ(弱・中・強)を書いてください。
絵が粗い場合は、確信が持てないものに「推測」と付けてください。質問4:間(ま)の長短を点検する
このページの各コマについて、読者が止まる時間の長さを「短い・普通・長い」で推測してください。
私が意図している間は次のとおりです。
C:一拍置いて静けさを見せたい
E:緊張を高めたい
意図とずれていそうなコマがあれば、その理由(コマの大きさ、セリフ量、描き込み量、コマ間の余白など)を書いてください。
正解の形は決めず、「長くなる要因」「短くなる要因」の両方を挙げてください。質問5:ページ末とめくりを点検する
次のページへ進む直前の、このページ最後のコマの働きを点検してください。
1. 読者の視線が次のページへ向かうか
2. 一息ついて終わってしまう印象があるか
3. めくった先を読みたくなる材料(未回収の動作、視線、音など)がどこにあるか
断定せず、読み手としての印象として書いてください。返答の見方:判断表
- 質問1の読み順が意図と一致、見方:順路は伝わりやすい可能性が高い、次にやること:質問3・4へ進む
- 読み順が一部ずれた、見方:原因が絵なのか、吹き出しなのかを切り分ける、次にやること:質問2の原因候補のうち、描き直しが軽いものから確認
- 「迷う」が複数ある、見方:同じコマ周辺に集まっているかを見る、次にやること:集まっていれば、そのコマだけを見直す
- 間の推測が意図と逆、見方:セリフ量・コマの大きさ・余白のどれが効いているか確認、次にやること:一度に1要素だけ変更して再度聞く
- コマの位置や数を取り違えている、見方:画像の読み取りミスの可能性、次にやること:記号を大きく書き直すか、文章版に切り替える
- 指摘が曖昧で根拠がない、見方:判断材料にしない、次にやること:質問を「根拠を一行ずつ」に絞って再実行
画像の位置関係をAIが取り違えることはあります。返答の中の「Cのコマ」が本当にCを指しているかを、必ず自分の目で確認してください。
直すときの進め方
指摘を受けたら、1回に直す要素を1つに絞って、同じ質問をもう一度投げてください。たとえば「Cのコマを縦に伸ばす」だけを変え、質問1と質問4を再実行します。変更が複数あると、何が効いたのか分からなくなります。
最終判断は、人間の読者に見てもらうのが確実です。AIの点検は、友人や編集者に見せる前の下見として使ってください。AIが「問題なし」と返しても、読みやすさを保証するものではありません。

