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AIに表を渡す前の伏せ方。氏名や金額を見本データに置き換える

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

机の上で、氏名欄に付箋を貼った元の表と、同じ形で仮名だけを並べた見本の表が並び、手が付箋を移している。横には元の対応表をしまった鍵付きのファイルケースがある。
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

結論から言うと、AIに渡す表は「元の表を加工したもの」ではなく、「同じ形の見本データを新しく作ったもの」にするのが安全です。列の並び、データの型(文字・数値・日付)、数式の構造は残し、中身だけを架空の値に差し替えます。数式や集計の組み立てを相談するだけなら、実データは要りません。 迷ったら、次の順で考えてください。 1. その相談に実データは必要か(多くの場合は不要) 2. 必要なら、特定の個人・取引先に結びつく値を置き換えられるか 3. 置き換えても判断できない部分は、AIに渡さず自分で処理する 個人情報保護委員会は2023年6月2日に、生成AIサービスの利用に関する注意喚起等を公表しています。個人情報を扱う場面では、この資料も確認してください。以下のルールは編集部による実務上の提案で、法令への適合を保証するものではありません。実際に使えるサービスや入力できる情報の範囲は、勤務先の規程と契約を優先してください。 また、サービス側に「学習に使わない」設定があっても、機密情報をそのまま渡してよい理由にはなりません。まず渡す側で減らすのが基本です。

この記事の目次
  1. 項目別の置換ルール表
  2. 見本データの作り方
  3. AIへの依頼文テンプレート
  4. 渡してよいか迷ったときの判断チェックリスト
  5. 置換しても渡さないほうがよいもの

項目別の置換ルール表

以下の例はすべて説明用の架空データで、実在の人物・会社とは関係ありません。

  • 氏名、置換ルール:連番の記号に置換。文字数や読みの特徴は残さない、置換後の例(説明用):山田太郎 → 担当者A、注意点:社内で通じる呼び名やあだ名も氏名と同じ扱い
  • 取引先・会社名、置換ルール:仮名に置換。必要なら業種区分だけ残す、置換後の例(説明用):○○商事 → 取引先01、注意点:業種や所在地を残しすぎると推測できる
  • 住所、置換ルール:都道府県以下を削除するか、架空の地名に、置換後の例(説明用):東京都千代田区… → 地域X、注意点:郵便番号も同時に変更
  • 電話・メール、置換ルール:形式だけ保つダミー値、置換後の例(説明用):090-0000-0001 / user01@example.com、注意点:実在しうる番号は避け、example.comなどを使う
  • 顧客ID・社員番号、置換ルール:連番や乱数IDに振り直し、置換後の例(説明用):C-10482 → ID001、注意点:元のIDとの対応表は別ファイルで手元にだけ保管
  • 金額、置換ルール:桁数と大小関係は保ち、実額に近すぎない値にする、置換後の例(説明用):1,284,500 → 1,530,000、注意点:合計や比率が結論に関わるときは、見本の数値で数式を作り直す
  • 日付、置換ルール:7の倍数日ずらすと曜日が保てる、置換後の例(説明用):2026/4/3 → 2026/5/1(28日後)、注意点:納期や期限が判断材料のときは相対日数で表す
  • 自由記入欄(備考・メモ)、置換ルール:原則として列ごと削除、または定型文に、置換後の例(説明用):「○○社の△△様から値引き要請」 → 「値引き要請あり」、注意点:個人名や事情が最も混ざりやすい列
  • 商品名・案件名、置換ルール:公開前の名称は一般名に、置換後の例(説明用):新製品X → 商品01、注意点:発売前の情報は取引先情報と同等に扱う
  • コメント・シート名・ファイル名、置換ルール:実名を含めない、置換後の例(説明用):「A社_見積_最終」 → 「sample」、注意点:見落としやすい箇所

隠れた情報も確認する

セル以外にも情報は残ります。Microsoftのドキュメント検査の解説によれば、Excelでは「ファイル」→「情報」→「問題のチェック」→「ドキュメント検査」で、コメント、文書のプロパティ、非表示の行・列・シートなどを調べて削除できます(メニュー名は版や表示言語で異なる場合があります)。ただし、削除したデータは元に戻せないことがあるため、コピーに対して実行するよう案内されています。

同ページでは、他ブックへの外部リンク、埋め込みオブジェクト、マクロ、ピボットテーブルなどのキャッシュ、非表示の名前は、検出はできても検査機能では削除されず、手作業で消す必要があるとされています。

だからこそ、元ファイルを掃除するより、新規ブックに見本の値だけを貼る方法をおすすめします。非表示にしただけの行・列・シートはファイルに残るため、伏せたことにはなりません。

見本データの作り方

Excelでもスプレッドシートでも考え方は同じです。

  1. 元ファイルは触らず、新しいブックを作る。
  2. 見出し行と、必要最小限の10〜20行だけを値として貼り付ける(数式ではなく値)。全件は渡さない。
  3. 上の表に従って列ごとに置換する。仮名と元の値の対応表を別ファイルに作っておくと、AIの回答を実データに戻すときに使える。この対応表はAIに渡さない。
  4. 備考欄などの自由記入列は削除する。
  5. コメント、非表示の行・列・シート、シート名、ファイル名を確認する。
  6. 下のチェックリストを通す。

よく使う表は、見本データ入りのひな形ブックを「相談用」として一つ保管しておくと、毎回の手作業を減らせます。ひな形の作成と更新は人が行ってください。

AIが返した数式は、実データのブックで試して結果を人が検算します。AIは見本の形に合わせて書いただけです。

AIへの依頼文テンプレート

見本データを貼ったあとに使える依頼文の例です(文面は例示で、実際に試した結果ではありません)。

貼り付けた表は、実在の情報を含まない見本データです。
列構成は実データと同じです。

【列の説明】
A列:担当者(担当者A〜の仮名)
B列:取引先(取引先01〜の仮名)
C列:受注日(日付)
D列:金額(円・数値)
E列:ステータス(受注/見積中/失注)

【やりたいこと】
取引先ごと・月ごとの受注金額の合計を、
別シートに一覧で出したい。

【お願い】
・Excelで使える数式と手順を教えてください
・列名は上記のままで書いてください
・実データの個人名や会社名は私から渡しません。
  仮名のまま答えてください

「実データは渡さない」と明記しておくと、AIが実名を聞き返す流れを避けやすくなります。

渡してよいか迷ったときの判断チェックリスト

一つでも「いいえ」や「わからない」があれば、渡さずに置換をやり直します。

  • [ ] 相談の目的は、実データなしでも達成できる(関数、書式、集計の組み立てなど)
  • [ ] 氏名・住所・電話・メールの列は、仮名またはダミーに置き換えた
  • [ ] 取引先名、案件名、商品名から実在の相手が推測されない
  • [ ] 金額や日付を、そのまま渡して困る数値から変えた
  • [ ] 備考・メモなどの自由記入列を削除または定型化した
  • [ ] 顧客IDや社員番号を振り直した
  • [ ] コメント、非表示の行・列・シート、シート名、ファイル名を確認した
  • [ ] 元の値との対応表は、AIに渡すファイルに含めていない
  • [ ] 行数は必要最小限に絞った
  • [ ] 使うAIサービスは、勤務先や取引先との約束で使ってよいものだ
  • [ ] 万一この見本が外部に見えても、説明に困らない

最後の項目が基準として使いやすいです。見本データを第三者に見られても、誰のどの取引か分からない状態を目指します。

置換しても渡さないほうがよいもの

次のような場合は、置換で済ませずAIへの入力自体を見直してください。

  • 一件ごとの事情が結論を左右する相談(特定の人の評価、与信の判断など)。行数が少なく文脈が詳しいほど、置換しても個人が推測されやすくなります。
  • 秘密保持契約の対象になっている資料。置換が許されるかは、契約と社内ルールで確認が必要です。
  • 数十人未満の小さな集団の表。職位や部署、金額の組み合わせだけで特定できる場合があります。

こうした場合は、「列の構成と、やりたい計算」を文章で説明し、AIには式の書き方だけを尋ねる方法が現実的です。なお「この表を匿名化して」と実データごとAIに頼むのは避けてください。伏せる前のデータを渡すことになり、本末転倒です。

出典・参考資料