AIが書いた価格・日時・アレルゲンの間違いに気づく:公開前に見る数字と固有名詞の確認手順
AIを使いこなすClaudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

AIが書いたお知らせやメニュー紹介を、全文読んで「おかしくないか」を探すのは時間がかかります。しかも文章は自然なので、間違いが紛れていても読み流してしまいます。 そこで、確認する対象を数字と固有名詞だけに絞ります。具体的には、次の手順です。 1. 原稿から、価格・日付・曜日・時刻・電話番号・アレルゲン・商品名・地名・店名をすべて抜き出す(この作業はAIに任せられます)。 2. 抜き出した項目を、元資料(メニュー表、仕入れ先の原材料表示、予約台帳など)の該当箇所と1行ずつ突き合わせる(この作業は人がやります)。 3. 元資料に根拠が見つからない項目は、直すか削ります。 「AIに『間違いはありませんか』と聞いて、問題なしと返ってきたから安心」という使い方は避けてください。AIの確認も同じ誤りを引き継ぐことがあるためです。AIには抜き出しと表の下書きまでを任せ、○×は元資料を見ながら人が付けます。
この記事の目次
なぜ数字と固有名詞だけを見るのか
お客様に実害が出やすいのは、言い回しの不自然さよりも、次のような間違いです。
- 価格が違う(税込と税抜の取り違えを含む)
- 日付と曜日が合っていない
- アレルゲンの記載が抜けている、または古い
- 商品名や地名の表記が違う
これらは文章のうまさと関係なく起きます。数字と固有名詞を拾って元資料と照合すれば、確認すべき箇所を絞れます。
AIの提供元も、この種の誤りを前提にしています。Claudeの公式ドキュメントReduce hallucinationsは、事実と異なる文章が生成されることがあると説明しています。軽減策として、わからないときは「わからない」と言ってよいと許可すること、与えた資料の引用に基づかせること、各主張に裏付けの引用を探させ、見つからなければ取り下げさせることを挙げています。ただし同ページは、これらで誤りを大幅に減らせても完全にはなくならないので、重要な情報は必ず自分で確認するよう注意しています。この記事の手順は、この考え方を店の運営に置き換えたものです。
手順1:元資料を渡して、数字と固有名詞を抜き出させる
AIに文章を作らせる段階で、元資料をそのまま貼ることが前提です。資料を渡さずに「新メニューの紹介文を書いて」と頼むと、AIは価格や原材料を推測で補います。
次の依頼文は、そのまま使える形にしてあります。【 】の部分を自分の内容に置き換えてください。
以下の【元資料】だけを根拠に、【原稿】の中の数字と固有名詞を表にしてください。
【元資料】
(メニュー表、原材料表示、営業案内などを貼る)
【原稿】
(AIが書いた文章を貼る)
ルール:
- 対象は、価格、日付、曜日、時刻、電話番号、住所、アレルゲン、商品名、人名、店名、地名、産地です。
- 列は「原稿の表記」「元資料の該当部分(原文のまま引用)」「一致/不一致/元資料に記載なし」にしてください。
- 元資料に書かれていない項目は、推測せず「元資料に記載なし」としてください。
- 元資料の外にある知識は使わないでください。ポイントは、「元資料の該当部分を原文のまま引用させる」ことと、「記載なし」と答えてよいと明示することです。前者は、AIが根拠なく「一致」と答えるのを防ぎ、後者は、AIが穴を推測で埋めるのを防ぎます。どちらも先ほどの公式ドキュメントの考え方に沿っています。
ただし、AIが引用した部分が本当に元資料に載っているかは、人が資料で確かめてください。また、AIがすべての項目を漏れなく抜き出せるとは限らないため、原稿全体を見て対象項目の抜けも確認します。次の対照表は、そのための道具です。
手順2:対照表を作る
AIが出した表を、そのまま人が確認する表に作り替えます。スプレッドシートでも紙でも構いません。列は次の6つで足ります。
- 価格、原稿の表記:ランチ 980円、元資料の表記:1,080円(税込)、元資料の名前と場所:メニュー表2ページ目、判定:×、直し方:税込1,080円に修正
- 日付・曜日、原稿の表記:11月3日(火・祝)、元資料の表記:11月3日(火・祝)、元資料の名前と場所:2026年のカレンダー、判定:○、直し方:なし
- アレルゲン、原稿の表記:卵・乳、元資料の表記:卵・乳・小麦、元資料の名前と場所:仕入れ先の原材料表示、判定:×、直し方:小麦を追記
- 商品名、原稿の表記:季節のきのこグラタン、元資料の表記:季節のきのこグラタン、元資料の名前と場所:メニュー表、判定:○、直し方:なし
- 電話番号、原稿の表記:03-0000-0000、元資料の表記:記載なし、元資料の名前と場所:—、判定:△、直し方:元資料を探すか削除
*上の表は「説明用の例」です。実在の店や実際の確認結果ではありません。*
作るときの決まりは3つです。
- 「元資料の名前と場所」を必ず書く。 「たぶんこうだった」という記憶で○を付けるのを防げます。
- 判定は○・×・△の3種類にする。 △は元資料が見つからない項目で、公開前に解消するか、その記載を削ります。
- 元資料はなるべく新しいものを使う。 前年のメニュー表や、更新前のPDFだと、古い数字同士が一致してしまいます。
曜日の確認だけは元資料がカレンダーになります。AIは日付と曜日の組み合わせを間違えることがあるので、日付が入った文章は、スマホのカレンダーを開いて曜日を見てください。
手順3:公開前の5分チェックリスト
対照表ができたら、次の順に見ます。時間の配分は目安です。
- (1分)元資料は最新か。 メニュー表の改定日や、仕入れ先の原材料表示の版を確かめます。
- (1分)価格をすべて見る。 税込か税抜かが書かれているか、元資料と同じ数字かを確かめます。
- (1分)日付・曜日・時刻を見る。 カレンダーで曜日を確認します。定休日、祝日営業、予約の締切時刻も見ます。
- (1分)アレルゲンを見る。 原稿に書かれた原材料が、仕入れ先の原材料表示と一致しているか確かめます。原稿に書かれていない原材料も、元資料側から探します。
- (1分)固有名詞と連絡先を見る。 商品名、店名、地名、産地、電話番号、URLを確認します。
- △が一つでも残っていたら公開しない。 残る項目は削るか、元資料を探します。
分野別の注意点:価格・アレルゲン・日時
価格:税込表示と「比較する元の価格」
消費者庁の表示に関するQ&Aは、商品・サービスの取引に関する表示についての参考情報です。価格表示のルールは表示の対象や状況によって異なるため、税込・税抜の扱いを一律に断定せず、適用されるルールを確認してください。対照表には元資料に記載された価格と税込・税抜の別を記録し、表示内容と照らし合わせます。
「通常1,500円のところ1,200円」のような二重価格表示や、「期間限定」「閉店セール」のような文言を使う場合も、根拠資料と適用されるルールを確認してください。元資料にない「通常価格」「今だけ」をAIが加えていれば、根拠を確認できるまで掲載しないようにします。
アレルゲン:AIの記憶に頼らない
アレルゲンは、原稿に書かれた原材料を、仕入れ先の原材料表示やレシピと照合するのが基本です。仕入れ先の表示だけで店の調理や混入可能性まで確認できるとは限らないため、提供する料理の情報は、店で使う原材料や調理方法も確かめてください。AIの一般知識から「この料理には〇〇が入っているはず」と書かせるのは避けてください。
食品表示制度も改正されます。消費者庁の食物アレルギー表示に関する情報によると、容器包装された加工食品では、特定原材料を含む旨の表示が義務付けられています。同ページは、2026年4月1日にカシューナッツが特定原材料に追加されたこと、2023年3月9日にくるみが追加されたこと、特定原材料に準ずるものとしてアーモンドやマカダミアナッツが追加されたことを案内しています。食品表示制度の対象品目や最新情報は、同ページや案内されている資料で確認してください。AIの知識が古いと、改正が反映されていない可能性があります。AIが書いたアレルゲンの一覧に「ナッツ類」という大まかな書き方があれば、具体的な品目名に直して、元資料と照合してください。
自店の提供形態が法令の表示義務の対象になるかどうかは、このチェックの範囲を超えます。迷う場合は、保健所や自治体の窓口に確認してください。
日付と時刻:年、曜日、24時間表記
日付は、年が抜けていたり、前年のままだったりしがちです。次の3点を見ます。
- 年と月日は、今回の告知の対象期間と合っているか
- 曜日は、実際のカレンダーと合っているか
- ラストオーダーと閉店時刻が、元資料(営業案内)と同じか
元資料が見つからないときの判断表
- 元資料があり、一致した、判断:そのまま公開できます
- 元資料があり、不一致だった、判断:元資料に合わせて直し、直した部分だけもう一度見ます
- 元資料が見つからない(価格、日付など)、判断:その項目を削るか、元資料を用意してから公開します
- 元資料が見つからない(アレルゲン、原材料)、判断:仕入れ先に問い合わせるまで、その記載は公開しません
- 元資料が古い可能性がある、判断:新しい版を入手してから照合します
最後に、この方法の限界を一つ書いておきます。対照表で見つけられるのは「元資料と原稿のずれ」です。元資料自体が間違っていれば、○が付いても誤りは残ります。メニュー表や原材料表示を更新したときは、対照表の元資料もあわせて差し替えてください。

