アルバイトにも渡せる「お店のAI利用ルール」1枚:使っていい場面と入れてはいけない情報
AIを使いこなすClaudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

結論から言うと、小さなお店のAIルールは、規程を作るよりも「A4一枚に3つの区分と3つの質問」を書いて、レジ横や休憩室に置くほうが現場で機能します。区分は次の3つです。 • 使っていい場面:文章の下書き、言い換え、アイデア出しなど、お客様や仕入れ先の情報が要らない作業 • 店長に聞いてから使う場面:売上数字、シフト、取引条件など、お店の内部情報が入る作業 • 入れてはいけない情報:お客様の個人情報、パスワード、取引先との契約内容など この記事では、そのまま印刷して使えるひな形、スタッフに説明するときの話す順番、迷いやすいケースの判断表を示します。ひな形は編集上の提案で、公的機関の書式ではありません。お店の実態に合わせて書き換えてください。
この記事の目次
なぜ「長い規程」ではなく1枚にするのか
アルバイトの人が、AIを使う場面で規程集を開くことはほとんどありません。ルールが現場で働くのは、入力欄に文字を貼る直前に思い出せる短さのときです。そのため、次の3点に絞ります。
- 禁止事項を細かく列挙せず、「入れる前の3つの質問」で自分で判断できるようにする
- 使ってよいAIサービスを店が指定する(個人のアカウントは使わない)
- 出てきた文章を、お客様に出す前に人が確認する
IPA(情報処理推進機構)の「セキュリティ担当者のための生成AIセキュリティ」のページ(最終更新日:2026年7月31日)は、会社が把握していないAIを業務で使ってしまう「シャドーAI」を課題の一つとして挙げています。これは主にセキュリティ担当者向けの資料ですが、小さなお店でも事情は同じです。スタッフが「便利だから」と個人のスマホで自分のAIアカウントを使い始めると、何が入力されたかを店主が把握できません。だから、ルールの最初に「どのAIを使うか」を決めておきます。
入れてはいけない情報を決める前に知っておくこと
個人情報の扱い
個人情報保護委員会は、2023年6月2日に生成AIサービスの利用に関する注意喚起等を公表しています。個人情報取扱事業者に向けた注意点として、資料本文から確認できたのは次の趣旨です。
- 個人情報を含む内容をAIに入力するときは、特定された利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確認する
- 本人の同意なく入力した個人データが、応答結果の出力以外の目的で扱われる場合、個人情報保護法に違反する可能性がある
- そのため、サービス提供事業者が当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認する
お客様の氏名、電話番号、予約内容などは、お店が決めた利用目的(予約対応、配送など)のために預かっているものです。AIへの入力が適法かどうかは、利用目的や入力先の扱いによって変わり、個別の判断は専門家への相談が必要です。1枚のルールでは、そこで迷わせないために「お客様の個人情報は入れない」と一律に決めるのが現実的です。
「学習に使われない」と「外に漏れない」は別
AIサービスには、入力内容をモデルの改善に使うかどうかを選べるものがあります。ただし、学習に使われないことと、秘密が守られることは同じではありません。
たとえばAnthropicのヘルプ「Claudeの会話を誰が見られるか」は、個人向けのClaude Free・Pro・Maxなどを対象としています。モデル改善の設定とは別に、安全性の分類で検出された会話が、有害コンテンツの検出や規約の執行などに使われる場合があると説明しています。同じページは、金融情報、健康情報、パスワード、機密性のある業務文書などを入力する際は慎重になるよう案内しています。この内容は確認時点(2026年10月29日)のもので、サービスやプランによって扱いは異なります。お店が使うサービスについては、設定画面とヘルプで最新の内容を確認してください。
つまり、設定をオフにしていても「入れてはいけない情報」は入れない、という順序で考えるのが安全です。
A4一枚のひな形
そのまま貼り付けて、【 】の部分を書き換えてください。
================================================
【店名】 AI利用ルール 制定日:【年月日】
================================================
■ 使っていいAI(これ以外は仕事で使わない)
サービス名:【例:○○】
ログイン:お店のアカウントのみ。自分のアカウントは使わない
使う端末:【店のタブレット/店のPC/自分のスマホも可、など】
■ 1. 自由に使っていい場面(店長に聞かなくてOK)
・メニュー、商品、サービスの紹介文の下書き
・POP、お知らせ、SNS投稿の文案
・敬語や文章の言い換え、誤字チェック
・求人募集文の下書き
・英語など外国語の案内文の下書き
・アイデア出し(イベント名、セット名など)
■ 2. 店長に聞いてから使う場面
・売上、原価、利益などお店の数字を使う作業
・スタッフのシフトや勤務に関わる作業
・お客様からの口コミやクレームへの返信文づくり
・写真や画像をAIに読み込ませること
・上記以外で「これはどっちだろう」と迷ったとき
■ 3. 絶対に入れてはいけない情報
・お客様の氏名、電話番号、住所、メール、LINE名、予約内容
・クレジットカード番号、口座番号
・パスワード、ログインID、APIキー
・仕入れ先との価格表・契約書・見積書
・スタッフ本人の個人情報(住所、給与、体調など)
・他の人が作った文章や画像の丸ごと貼り付け
(著作物のため、店長に確認)
■ 入れる前の3つの質問
① この情報で、誰のことか分かってしまわないか?
② 外に出たら、お店やお客様が困らないか?
③ 店長に今、堂々と見せられるか?
→ ひとつでも「いいえ/わからない」なら、入れない。聞く。
■ AIが出した文章を使う前に
・店名、住所、営業時間、価格、アレルギー情報は、人が原本と照合する
・「必ず」「日本一」「効く」など言い切りになっていないか見る
・お客様に出すものは、店長が最終確認(【例:SNSは自分で投稿OK】)
・AIは間違える。「それっぽい」は確認の合図
■ 困ったとき・間違えて入れてしまったとき
すぐ【店長名】に伝える。【連絡先】
怒らない。早く伝えることがいちばん大事です。
対応:【店長がサービスの履歴削除やパスワード変更などを判断】
================================================ひな形の作り方のポイント
- 「怒らない」を明記する:誤入力の報告が遅れるのが一番の損失です。報告しやすさをルールに入れておきます。
- 「著作物」は注意の一行にとどめる:他人の文章や画像を丸ごと入れる、他人の作品に似せて作らせるといった場面は、著作権の論点が絡みます。文化庁(bunka.go.jp)にAIと著作権の考え方の資料がありますが、1枚では判断を細かく書かず、店長に確認する運用にしています。
- 「迷ったら聞く」の窓口を一人に決める:誰に聞くか曖昧だと、結局聞かれずに使われます。
迷いやすいケースの判断表
アルバイトからよく出そうな場面を、ひな形に当てはめた例です(説明用の例であり、実際の調査結果ではありません)。
- 新メニューの紹介文を作りたい、判断:OK、理由と代替案:個人情報が入らない。内容は人が確認
- 常連さんへのお礼LINEの文案を、名前入りで作りたい、判断:NG、理由と代替案:名前を入れず「○○様」のままで作り、名前は人が差し替える
- 口コミへの返信を作りたい、判断:要確認、理由と代替案:口コミには投稿者名や来店状況が含まれる。名前を除き、要点だけ書き写して依頼する
- 今月の売上表を貼って分析させたい、判断:要確認、理由と代替案:数字を使う前に店長へ。まず「項目名だけ」で分析方法を聞く手もある
- 予約メモの写真を読み取らせたい、判断:NG、理由と代替案:個人情報が写っている
- シフト表を整えてもらいたい、判断:要確認、理由と代替案:スタッフ名を「A・B・C」に置き換えてから依頼する
- 仕入れ先の見積書の内容を要約させたい、判断:NG、理由と代替案:取引条件は先方との間の情報。人が読む
- 英語の案内文を作りたい、判断:OK、理由と代替案:固有の情報がなければOK。固有名詞や価格は人が確認
置き換えの具体例:口コミ返信の依頼文
「要確認」の場面で、個人が特定される情報を外して依頼する形を示します。以下は説明用の例で、実際にAIで動かした結果ではありません。
あなたは飲食店の店長の補佐です。
以下の口コミへの返信文の下書きを作ってください。
条件:
・丁寧で、短め(120字程度)
・言い訳をせず、お詫びと改善の約束を入れる
・具体的な補償や返金の約束はしない
・個人名や来店日時は書かない
口コミの要点(個人名は除いて要約しています):
「注文から料理が出るまで30分以上かかった。
スタッフの対応は丁寧だった」ポイントは、口コミ原文を貼らず、要点だけを自分の言葉で書き写すことです。その手間が、入力前の確認にもなります。出てきた返信は、店長が内容を見てから投稿します。
スタッフに説明するときの話す順番
ルールは配るだけでは読まれません。5〜10分で次の順番に話すと、理由まで伝わります。
- なぜ作ったかを一言で:「便利だから使ってほしい。でもお客様の情報を守るために、最低限のルールを決めました」
- 使っていいAIを示す:サービス名とログイン方法を、実際の画面を見せて伝える。個人アカウントを使わない理由も一言添える
- 使っていい場面から話す:禁止から入ると萎縮するので、「こういうことは自由に」と先に伝える
- 入れてはいけない情報を読む:リストを読んだあと、「3つの質問」を声に出して一緒に言う
- ひとつ例を見せる:上の口コミ返信の依頼文のように、名前を外して頼む例を一度やって見せる
- 出力の確認を伝える:AIは間違えることがあるので、価格や営業時間、アレルギー情報は人が照合する
- 間違えたときの動き方を伝える:「怒らないので、すぐ言ってください」を最後にはっきり言う
- 質問を受け、掲示場所を伝える:印刷した1枚をレジ裏・休憩室などに置き、スマホで撮影してよいか伝える
最後に、全員から一言「分かった」の返事をもらうと、後で「聞いていない」という行き違いを防げます。サインまでは求めず、日付と説明した人数をメモに残す程度で十分です。
運用を続けるコツ
- 3か月ごとに見直す:使うサービスやスタッフの使い方が変わります。迷って聞かれた内容は、ルールの更新材料です。
- 聞かれた質問を1枚の判断表に足す:表の行が増えたら、ひな形の「要確認」の項目に追記します。
- サービスの設定は店主が確認する:入力内容を学習に使うかどうかの設定は、サービスとプランによって異なります。店のアカウントを作ったら、設定画面とヘルプで確認し、その結果をひな形の「使っていいAI」の欄に書き込みます。
- ルールは法律の保証ではない:個人情報保護法などの個別の判断が必要な場合は、専門家や行政の相談窓口に確認してください。このひな形は、現場の迷いを減らすための運用のたたき台です。

