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調べものが行き詰まったら:AIで質問を整理して図書館のレファレンスに相談する

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

図書館の机で、散らかった付箋のメモが6つの欄に分かれた1枚の質問用紙にまとめられ、カウンターの図書館員へ手渡される場面。
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

調べものが止まったときは、AIに答えを出させるより先に、「何を知りたいか」「何をどこまで調べたか」「どんな形の答えがほしいか」を6項目ほどの質問票にまとめて、図書館のレファレンスに持ち込むのが近道です。AIの役目は、散らかったメモを質問票に整えることと、図書館員に聞き返されそうな点を先に洗い出すことです。資料を探して答えを保証する役目は任せません。 この記事では、そのまま埋められるテンプレート、AIに渡す依頼文、記入例、相談前の確認表を順に示します。

この記事の目次
  1. 図書館員に伝わる質問票とは
  2. 相談前に埋める質問票テンプレート
  3. AIに任せる作業と、渡す情報
  4. 記入例(説明用の例)
  5. 相談前の確認表と手順

図書館員に伝わる質問票とは

レファレンスは、図書館員が資料や情報源の探し方を一緒に考えてくれる相談です。国立国会図書館(NDL)の案内では、対応範囲として図書館資料の所蔵調査、書誌的事項の調査、参考資料を使った簡易な事実調査、資料の検索方法についての援助が挙げられています(国立国会図書館 レファレンスサービス)。

範囲外もあります。同じ案内では、古書・古文書・美術品などの鑑定と市場価格の調査、学習課題や卒業論文などに関する調査、人生案内・身上相談・医療相談・法律相談、著しく経費や時間がかかる調査には応じないとしています。英語版の案内には、本や記事の内容を解釈・要約する依頼も対象外と書かれています(NDL Reference Service(英語))。

つまり、図書館員が動きやすいのは次のような質問です。

  • 知りたいことが1〜2文で言える
  • すでに見た資料や検索語が分かる
  • 欲しい答えの形(資料名の一覧、事実の確認、情報源の案内など)が決まっている

この3点が揃うと、図書館員は同じ検索を繰り返さずに済み、次の一手から始められます。

ただし、受付できる範囲や方法は図書館ごとに違います。上の範囲はNDLの例なので、相談先の案内を先に見てください。NDLは遠隔での相談について、まず身近な公共図書館や大学図書館などに問い合わせるよう案内しています(NDL Reference Services(英語))。

相談前に埋める質問票テンプレート

コピーして使えます。各項目1〜2行で十分です。

【図書館レファレンス質問票】
1. 知りたいこと(1〜2文):
2. 調べる目的(何に使うか。個人情報は書かない):
3. 調査済みの範囲
   - 見た資料・サイト・データベース:
   - 使った検索語:
   - 見つからなかった点・食い違った点:
4. 分かっている手がかり(年代・地域・人物・団体名など):
5. ほしい答えの形
   □資料名の一覧 □事実の確認 □情報源・調べ方の案内 □所蔵の有無
6. 期限と制約(いつまで/来館可否/閲覧できる言語など):

項目3が、このテンプレートの中心です。「ネットで調べたが出なかった」だけでは、図書館員は何を再確認すべきか分かりません。検索語と、見つからなかった点を残してください。

AIに任せる作業と、渡す情報

AIに任せるのは、次の3つです。

  • 箇条書きや断片のメモを、上の6項目に並べ替える
  • 「最近」「有名」「古い」のような曖昧な語を指摘する
  • 図書館員から聞かれそうな確認事項を挙げる

一方、氏名、連絡先、勤務先の内部資料、相談内容に含まれる他人の情報は貼らないでください。必要なら「A氏」「B社」のような仮の呼び名に置き換えます。入力内容の扱いはAIサービスごとに異なるので、貼らない情報を先に決めておくのが安全です。

そのまま使える依頼文

あなたは図書館のレファレンス相談の準備を手伝う係です。
下のメモを、次の6項目の質問票に整理してください。
項目: 1知りたいこと(1〜2文) 2目的 3調査済みの範囲(資料・検索語・見つからなかった点) 4手がかり 5ほしい答えの形 6期限と制約

守ること:
- メモに書かれていない事実を足さない。情報がない項目は「未記入」とする
- 資料名、著者名、URLを新しく挙げない
- 曖昧な語があれば、質問票の後に指摘する
- 質問票の後に、図書館員から聞かれそうな確認事項を5つ以内で挙げる

【メモ】
(ここにメモを貼る)

「資料名を新しく挙げない」と指定するのは、AIが実在しない資料名をもっともらしく出すことがあるためです。この依頼では、資料探しはAIの仕事から外しています。

記入例(説明用の例)

以下は説明のために作った架空の例です。実在の相談や、実際のAIの出力ではありません。

元のメモ(散らかった状態)

「うちの市の小学校がなくなった経緯が知りたい。市のサイトは見たけど細かい話がない。地元の人は昭和の終わりごろと言うが、年は不明。校名は『第三小』だったと思う。町内会の冊子みたいなものがあるかも。」

整理後の質問票

1. 知りたいこと: A市にあった「第三小学校」(校名は未確認)が閉校した年と、その経緯。
2. 目的: 地域の歴史をまとめる個人の読み物のため。
3. 調査済みの範囲
   - 見たもの: 市の公式サイト
   - 使った検索語: 未記入
   - 見つからなかった点: 閉校の年、決定の経緯の詳細
4. 手がかり: 昭和の終わりごろという口伝あり(未確認)。町内会の冊子の可能性。
5. ほしい答えの形: ■資料名の一覧 ■情報源・調べ方の案内
6. 期限と制約: 未記入

AIが指摘しそうな点(例)

  • 「昭和の終わりごろ」は何年から何年までを指すか。
  • 校名は仮のものか、正式名称か。
  • 検索語が未記入なので、思い出せる範囲で補ってほしい。

この指摘を受けて、自分で補うのは検索語と期限だけです。校名や年を推測で埋めないのがポイントです。「未確認」と書いたまま渡せば、図書館員はそこを確認対象にできます。

相談前の確認表と手順

AIの出力を使う前に、次の表で確認します。

  • AIの出力に、メモにない固有名詞や年が増えていないか、判断:増えていれば削除するか「未確認」と明記する
  • 個人情報や他人の情報が残っていないか、判断:残っていれば仮の呼び名に置き換える
  • 質問が宿題や論文課題の丸投げになっていないか、判断:なっていれば、自分で調べた範囲と行き詰まった点に絞る
  • 法律・医療の判断や、物の鑑定を求めていないか、判断:求めていれば別の相談先を探す(NDLの案内では対象外)
  • 回答に時間がかかる可能性を見込んだか、判断:期限に余裕がなければ、先に図書館へ受付方法を確認する

NDLの案内では、回答は基本的に2週間以内を目指すとされ、内容によってはそれ以上かかることもあります(NDL レファレンスサービス)。これはNDLの例なので、相談先の図書館の目安は別に確認してください。

進め方は次の通りです。

  1. 手元のメモを、テンプレートの6項目に分けて書き出す。
  2. 上の依頼文でAIに整理させる(個人情報は置き換える)。
  3. AIの出力を確認表でチェックし、足された事実を消す。
  4. 相談先の図書館の案内で、受付方法(カウンター、電話、Webフォームなど)と対応範囲を確認する。
  5. 質問票を送るか、見せる。口頭なら、項目1と3だけでも先に伝える。
  6. 紹介された資料や情報源は、自分で現物や原典に当たって確認する。

図書館員の案内は、調べる道筋を示すものです。内容の裏取りは、自分で資料に当たって行います。

なお、他館の過去の相談事例を見たいときは、「レファレンス協同データベース」も使えます。NDLが全国の図書館等と協同で構築しているデータベースで、レファレンス事例や調べ方マニュアルなどが公開されています(レファレンス協同データベース)。似た相談の書き方を、質問票の参考にできます。

出典・参考資料