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作家名や作品名を指示に入れて作る前に知りたい、似せることの線引きの読み方

AIを使いこなす

Claudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

水彩の色見本と線の練習用紙を並べ、色や線の特徴を選ぶ手元。
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

結論から言うと、作家名を指示に入れた時点で直ちに違法になるわけではありません。ただ、見るべきなのは名前そのものより、出てきたものが既存作品の創作的な表現と共通しているか、その作品に基づいて作られたかです。作風から作品を連想するだけで、直ちに侵害になるわけではありません。 日本の著作権法では一般に、アイデアや作風・画風は保護の対象外で、保護されるのは具体的な創作的表現だと整理されます。「あの作家のような柔らかい水彩調」は作風の話です。「あの作品の表紙の構図、キャラクターの顔、配色をほぼそのまま」は表現の話になります。後者に寄るほど、問題になる可能性が高まります。 本稿では、意図せず特定作品に寄せるリスクを減らすため、次の三つを勧めます。名前を書かないこと自体が法律上の義務という意味ではありません。 • 作家名・作品名・キャラクター名を指示に書かない • 「何が好きか」を、色・線・質感・構図の目的などの一般的な言葉に分解して書く • 公開前に、元になりそうな作品と並べて見比べる 以下では、避けたい指示と言い換えの比較表、言い換えの手順、相談を検討する目安を順に示します。本稿は日本法を前提にした一般的な整理で、個別の作品が適法かどうかを保証するものではありません。

この記事の目次
  1. 線引きの軸は「作風」「表現の特徴」「特定作品の再現」の3段階
  2. 避けたい指示と言い換え例の比較表
  3. 言い換えの手順と、AIに頼むときの依頼文
  4. 公開前に人が確認すること
  5. 相談を検討する目安のメモ
  6. 範囲について

線引きの軸は「作風」「表現の特徴」「特定作品の再現」の3段階

指示の中身を、似せる度合いで3段階に分けて考えます。これは法的な分類ではなく、指示を見直すための整理です。

  • ① 作風・雰囲気、例(説明用):淡い色、細い線、余白が多い、見方:アイデアに近く、一般に保護の外とされる領域
  • ② 表現の特徴、例(説明用):特定キャラ固有の髪型・衣装・配色の組み合わせ、見方:表現に近づく。複数の特徴が重なるほど注意
  • ③ 特定作品の再現、例(説明用):特定の表紙・場面・曲のフレーズを再現、見方:創作的な表現の再現につながりやすい。許諾等がない場合は避ける

文化庁は「AIと著作権に関する考え方について」を令和6年3月15日付で、「チェックリスト&ガイダンス」を同年7月31日付で公開しています(文化庁「AIと著作権」ページで一覧を確認しました)。同庁の「AIと著作権に関する考え方について」本文(5、32〜35頁)では、作風等のアイデアと創作的な表現を区別し、侵害の判断では既存作品との「類似性」と、その作品に基づいて作ったといえる「依拠性」の両方を見ると整理しています。許諾や権利制限規定の適用の有無も関わります。作品名等の入力は依拠性を判断する事情になり得ますが、作家名だけで特定作品への依拠性が確定するわけではありません。この文書自体に法的拘束力はなく、判断は個別の事例によります。

また、自分が知らない作品に似てしまうこともあります。文化庁の同本文(34〜35頁)では、その作品がAIの学習に含まれていた場合、通常は依拠性が推認され得ると整理しています。利用者が知らず、AIも学習していなかった場合の偶然の一致とは区別が必要です。名前を入れないことは安全の保証にはならず、公開前の見比べは別途必要です。

避けたい指示と言い換え例の比較表

次の表は編集部が作った説明用の例です。実際に生成して確かめた結果ではありません。「〇〇」には実在の作家名・作品名・キャラクター名が入る想定です。

  • 〇〇の画風で、街の風景を描いて、何が問題か:作家名だけでは侵害と決まらないが、特定作品の創作的な表現まで再現していないか確認が必要、言い換え例:「淡い水彩調、輪郭線は細く、空は余白を多めに、夕方の街の風景」
  • 『△△』の表紙と同じ構図で、何が問題か:特定作品の構図の再現を指示している、言い換え例:「主人公が画面中央で振り返り、背景に街並みがある、縦長のイラスト」(自作の構想から書く)
  • 〇〇のキャラ(キャラ名)にそっくりな女の子、何が問題か:固有のキャラクター表現に寄せている、言い換え例:「短い栗色の髪、青い上着、勝ち気な表情の新規キャラクター」
  • 『△△』の名場面を再現して、何が問題か:場面の具体的な表現の再現、言い換え例:「別れの駅のホーム。静かな寂しさと小さな希望を感じさせる場面」
  • 〇〇の文体で小説の冒頭を書いて、何が問題か:文体は作風寄りだが、特定作品の言い回しに寄るおそれ、言い換え例:「一文は短め、体言止めを多用、一人称、乾いた語り口」
  • この絵(他人の作品)を少し変えて、何が問題か:元の表現をそのまま土台にしている、言い換え例:自分のラフや写真を参照として使う
  • 〇〇のあの曲みたいなメロディで、何が問題か:特定の曲の創作的な旋律の再現につながるおそれ、言い換え例:「テンポ90、ピアノと弦、物悲しい雰囲気、短調」

言い換え後も、色・線・質感・テンポなど一般的な要素で書けているかを確認してください。固有の要素を細かく書き写してしまうと、名前を消しただけで同じ指示になってしまいます。

言い換えの手順と、AIに頼むときの依頼文

  1. 好きな点を「名前なし」で書き出す(色、線、質感、時代感、感情)。
  2. 特定の作品にしかない要素(固有のキャラ、決まった構図、名場面)を消す。
  3. 残った要素だけで指示文を作る。
  4. 生成し、公開前に見比べる(次の章)。

2を迷うときは、AIに整理を手伝わせることもできます。次は入力例です。実行結果は載せていません。

次の指示は、特定の作家・作品に寄せています。
作家名・作品名・キャラクター名を使わずに、
一般的な言葉(色、線、質感、構図の目的、雰囲気)だけで書き直してください。
特定の作品に固有のキャラクター造形、決まった構図、名場面の再現は含めないでください。
書き直した理由を一行ずつ添えてください。

【元の指示】
(ここに自分の指示を貼る)

AIに渡す元の指示には、依頼主名や未公開の企画など機密情報を入れないでください。必要なら説明用の仮の内容に置き換えます。AIの提案はそのまま採用せず、特定作品の固有要素が紛れていないかを自分で確認します。

公開前に人が確認すること

AIに任せられるのは言い換え案の作成までです。似ているかどうかの判断は人が行います。

  • 好きな作品を1〜2点思い浮かべ、生成物と並べて見る。
  • 「元の作品名が一目で浮かぶか」を見直しのきっかけにする。浮かぶ場合は公開をいったん保留し、作風だけの共通か、創作的な表現まで共通するかを確認する。
  • 他人にも見てもらう。作った本人は気づきにくいためです。
  • 指示文、日時、使ったツール、参照画像の有無を残す。後で説明が必要になったときに役立ちます。

なお、AIが自律的に生成しただけのものは著作物にあたらず、人が創作的寄与をした場合は利用者が著作者になりうる、と文化庁のよくあるご質問にあります。ただし、指示や加筆があれば必ず著作物になるわけではなく、創作意図と創作的寄与を制作過程全体から判断します。生成物の著作物性と、他人の著作権を侵害するかどうかは別の問題です。

相談を検討する目安のメモ

次のいずれかに当てはまるときは、公開や納品の前に専門家への相談を考えてください。

  • 作家名・作品名を入れて何度も試し、結果が寄ってきた、相談を検討する理由:特定作品への依拠性や、創作的な表現の共通性の確認が必要
  • 見た人が元の作品名を口にする、相談を検討する理由:表現の類似を疑われやすい
  • 商品、グッズ、広告、ロゴなど商用で使う、相談を検討する理由:影響が大きく、やり直しも難しい
  • 取引先やクライアントに納品する、相談を検討する理由:契約上の責任が絡む
  • 権利者・プラットフォームから連絡や削除依頼が来た、相談を検討する理由:対応を誤ると拡大しやすい
  • 参照に他人の画像や文章をそのまま入力した、相談を検討する理由:元の表現を使っている

相談先の考え方: 個別の判断は、著作権に詳しい弁護士などの専門家に頼むのが基本です。文化庁の相談窓口は権利者本人などからの侵害相談が対象で、「個々の著作権侵害の成否は判断できない」と明記されています。取引先がある場合は、先方への共有や公開先の規約確認も並行して行います。

相談に持っていくメモ(雛形)

用途: (例)SNS投稿/商品/納品物
公開先と公開予定日:
使ったツールと日付:
指示文(作家名等を含めて、そのまま):
参照に使った画像・文章の有無と入手元:
似ていると感じた作品(あれば):
生成物の保存場所:

範囲について

本稿は、AIで作ったものを公開する段階の「似せ方」に絞っています。学習データの扱いは別の論点です。また、国や地域で制度が異なります。たとえば米国の著作権局は、AIと著作権に関する報告書を部ごとに公表しています(米国著作権局のページで、第2部「著作物性」が2025年1月29日公表と確認しました)。海外向けに発信する場合は、その地域の制度も確認してください。

出典・参考資料