価値提案を一文にする:AIで案を出し、言い過ぎと曖昧さを削る書き方
AIを使いこなすClaudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

価値提案(バリュープロポジション)は、「誰が、どんな状況で、使うと何が良くなるのか」を一文で言い切ったものです。書き方のコツは二つです。①対象と状況を具体的に絞る。②効果の言葉は、手元の根拠で言える範囲まで削る。 AIは①の案出しが得意です。②の「言い切ってよいか」は、根拠資料を持っている人にしか判断できません。この記事では、一文の型、AIへの依頼文、根拠が要る言葉の確認リストを順に示します。 なお、本文中の商品名や数字は、すべて「説明用の例」です。実在の商品や実測の結果ではありません。
一文の型と書き分け例
使いやすい型は次の形です。
[誰]が[状況]のとき、[商品]は[手段]で[良くなること]を実現します。
各スロットで決めることは次のとおりです。
- 誰、決めること:職種・規模・立場など、顔が浮かぶ単位、悪い例:「すべての人」「ビジネスパーソン」
- 状況、決めること:困りごとが起きる場面、悪い例:「日々の業務で」
- 手段、決めること:商品が実際にやること、悪い例:「AIの力で」
- 良くなること、決めること:変化。できれば確認できる事実、悪い例:「劇的に」「圧倒的に」
説明用の例
架空の「小規模飲食店向けシフト作成ツール『シフトノート』」で考えます。
- 修正前:「業界No.1のAIが、シフト作成の悩みを完全解決。作業時間を大幅カット!」
- 修正後:「店長が毎週のシフト表を作るとき、シフトノートはスタッフの希望提出を自動で一覧にまとめ、表への転記作業をなくします。」
修正前は、誰の話か、何をするのかが分かりません。「No.1」「完全」「大幅」は根拠を問われる言葉でもあります。修正後は、対象が「店長」、状況が「毎週のシフト表づくり」、変化が「転記がなくなる」です。この変化は、機能の仕様を見れば確かめられます。
AIに任せる範囲と渡す情報
AIに任せるのは案の量産と言い換えです。人が持つのは事実の確認と最終判断です。
渡す情報は、次の5点に絞ります。
- 商品が実際にできること(機能の事実だけ。願望は入れない)
- 想定する顧客と、その人が困る場面
- 今の代替手段(表計算、手作業など)
- 使ってはいけない言葉(最上級、断定など)
- 手元にある根拠の種類(機能仕様、自社の計測、顧客の許諾済みコメントなど)
入力する情報の扱いにも注意が必要です。ChatGPTの個人ワークスペース(Free、Plus、Pro)は、OpenAIのヘルプによると、データ共有が既定で有効です。「Improve the model for everyone」をオフにすると、新しい会話はモデルの学習に使われません。設定はプランやワークスペースによって異なります。
ただし、学習に使われないことと、社外秘を入れてよいことは別の話です。未発表の価格、顧客名、契約条件などは、ダミーに置き換えて渡すのが無難です。社内ルールや契約で許可されている範囲は、自社の規程で確認してください。
コピーして使える依頼文
次の依頼文は未実行の雛形です。【】の部分を差し替えて使います。
あなたはBtoBサービスの編集者です。次の情報だけを根拠に、
価値提案の一文を8案作ってください。
【型】
「[誰]が[状況]のとき、[商品]は[手段]で[良くなること]を実現します。」
【商品の事実】
・【機能1】
・【機能2】
【想定顧客】【例:飲食店の店長】
【困る場面】【例:毎週のシフト表づくり】
【今の代替手段】【例:LINEと表計算】
【ルール】
・上に書いていない機能、数字、実績を足さない
・「No.1」「最高」「完全」「誰でも」「必ず」「劇的」は使わない
・1案は60字以内
・各案の末尾に、根拠の確認が必要な語を[要確認:○○]と列挙する
・足りない情報があれば、案の前に質問を3つまで出す「足りない情報は質問させる」「確認が必要な語を自己申告させる」の2点が効きます。AIが事実を補って書いてしまうのを防げるからです。ただし、申告が漏れることもあります。最終的には次の確認リストで人が見直します。
根拠が要る言葉の確認リスト
案が出たら、一文ずつ次の表に当てはめます。
- 最上級・No.1、例:「業界No.1」「最高の」、確認すること:調査の主体、時期、範囲、比較対象、根拠がないときの直し方:削る。事実の機能に置き換える
- 数値の効果、例:「作業時間を50%削減」、確認すること:測定条件、比較前後、対象者数、根拠がないときの直し方:数字を外し、なくなる作業を書く
- 全称・断定、例:「誰でも」「必ず」「完全に」、確認すること:例外はないか、根拠がないときの直し方:対象を絞る(「初めて使う店長でも画面の案内で…」はテスト結果が必要)
- 比較、例:「従来より」「他社より」、確認すること:比較相手と条件を言えるか、根拠がないときの直し方:比較をやめ、自社の機能だけ書く
- 成果への因果、例:「売上が上がる」、確認すること:他の要因を除いた裏付け、根拠がないときの直し方:「〜の手間を減らす」など、商品が直接やることに限る
- 手軽さ、例:「たった5分で導入」、確認すること:初期設定やデータ移行も含むか、根拠がないときの直し方:含む範囲を明記する
- AI、例:「AIが最適化」、確認すること:どの処理が実際にAIか、何を最適化するか、根拠がないときの直し方:処理内容を具体的に書く
- 他者の声、例:「お客様満足度9割」、確認すること:実在するか、許諾、母数、根拠がないときの直し方:使わない、または出典と条件を併記
使い方の目安は単純です。「機能の事実」は仕様で確認できます。「効果」「比較」「最上級」は別の裏付けが必要です。 裏付けが用意できない言葉は削ります。
なぜ削るのか:表示のルールとの関係
削る理由は、読み手に伝わりにくいというだけではありません。日本で消費者向けに商品やサービスを表示する場合は、景品表示法の優良誤認表示にも注意が必要です。
消費者庁の優良誤認表示の説明によると、実際のものよりも著しく優良であると示す表示や、競争事業者のものより著しく優良であると示す表示が対象です。わざと偽った場合だけでなく、結果として事実と違う表示も含まれます。
不実証広告規制では、優良誤認表示に該当するか判断する必要がある場合、消費者庁長官が効果や性能の表示を裏付ける合理的な根拠の資料の提出を求めることができます。同ページが示す根拠の条件は、次の2点です。
- 資料が客観的に実証された内容であること
- 表示した効果・性能と、資料で実証された内容が適切に対応していること
求められた資料を期間内に提出しない場合や、合理的な根拠を示す資料と認められない場合、措置命令との関係では不当表示とみなされ、課徴金納付命令との関係では不当表示と推定されると説明されています。確認リストの「測定条件」「比較対象」「範囲」は、この「対応しているか」を自分でチェックするための項目です。
ここまでは一般的な説明です。個別の表現が適法かどうかは、この記事では判断できません。BtoBの取引、広告媒体、業種ごとの規制がある商材では、法務担当者や専門家に確認してください。
削る手順:3分でできる見直し
- AIの8案から、対象と状況が一番具体的な2案を選びます。
- 各案を語に分け、確認リストの種類に当てはめます。
- 根拠が出せない語は削るか、事実の言い方に置き換えます。
- 次の依頼文で、削り方の案をAIにもう一度出させます。
次の価値提案の一文から、根拠の確認が必要な語を抜き出し、
それぞれについて「①削る案」「②根拠なしで言える言い換え案」を出してください。
新しい事実や数字は足さないでください。
【一文】【ここに貼る】最後に、残った一文を声に出して読み、次の三つに答えられるか試します。
- 誰の話か、すぐに言えるか
- その状況は、読み手が「うちのことだ」と思える場面か
- 良くなることは、機能の仕様や自社の記録で説明できるか
一つでも詰まる場合は、型のスロットに戻って情報を足します。AIに言い換えさせても、材料がなければ曖昧な文しか出ません。

