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授業の理解確認をAIで作る:発問・ミニテスト・想定される誤解の用意

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

教卓の上のメモと色違いの付箋。ホワイトボードで正答の付箋から複数の誤答の付箋へ矢印が伸び、教員の手が1枚を選んでいる場面。
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

理解確認の問いをAIに作らせるときは、「この単元の問題を作って」と頼むより、単元目標を渡し、先に「つまずきやすい誤解」を挙げさせ、その誤解を見分ける問いを作らせるほうが使えるものになります。誤答の理由まで表にしておけば、授業中に「なぜ間違えたか」をその場で考える負担が軽くなります。 AIに任せるのは、誤解と問いの候補を広く出すところまでです。この記事では、そのための依頼文テンプレートと、出力を受け取る一覧表の形、人が確認する観点を紹介します。

この記事の目次
  1. 渡す情報と、渡さない情報
  2. 依頼文テンプレート
  3. 出力の受け取り方:発問・想定誤答の一覧表
  4. 使う前に人が確認すること
  5. 授業後に、実際の誤答で作り直す

渡す情報と、渡さない情報

依頼文に入れるのは、次の4点です。

  • 学年・教科・単元名
  • 単元の目標(「〜できる」の形で1〜3個)
  • 授業で使う用語や、すでに学んだこと
  • 理解確認に使える時間(例:冒頭3分、終末5分)

入れないのは、児童生徒の氏名、成績、実際の答案や記述です。誤答の傾向を伝えたいときは、個人が特定されない形に書き換えます(「小数点の位置で迷う子が多い」程度)。

文部科学省の学校現場における生成AIの利用についてのページ(2026年10月28日に閲覧)は、2024年12月26日に改訂された「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver. 2.0)」を案内しています。教職員が生成AIの仕組みや特徴を理解したうえで、生成された内容の適切性を判断できる範囲で使うことを前提に、「人間中心」の利活用を掲げています。このページ自体には、入力してよい情報の範囲は書かれていません。校務で使うサービスや入力できる情報は、自治体や学校の決まりに従ってください。ガイドラインは見直しが進む場合があるため、最新版は文部科学省のページで確認しておくと安心です。

学習への利用設定にも注意が必要です。OpenAIのData Controls FAQ(同日閲覧)には、次の説明があります。

  • 個人用ワークスペースのChatGPT Free・Plus・Proでは、データ共有が既定で有効になっている。
  • ChatGPT Business・Enterprise・Edu・Healthcareのワークスペースの内容は、既定ではモデルの学習に使われない。
  • 設定で「Improve the model for everyone」をオフにすると、以降の新しい会話は学習に使われない。
  • ただし、回答に高評価・低評価などのフィードバックを送ると、その会話全体が学習に使われる場合がある。

プランや設定画面の名称は変わることがあるので、利用時に現行の説明を確認してください。また、学習に使われないことと、入力内容を外部に出してよいことは別の話です。設定をオフにしたから個人情報を入れてよい、とはなりません。

依頼文テンプレート

【 】の部分を書き換えて使います。この依頼文は説明用で、実際のAIで出力を検証したものではありません。

あなたは【小学校5年・算数】の授業づくりを手伝うアシスタントです。
次の単元について、理解確認の問いを作ってください。

# 単元
【小数のかけ算】
# 単元の目標
1. 【小数×小数の計算の仕方を、整数の計算と関連づけて説明できる】
2. 【積の大きさを、かける数と1の大小から見積もれる】
# 既習事項
【小数×整数、小数の位取り】
# 使える時間
【授業の終わりに5分】

# 手順
1. まず、この単元でつまずきやすい誤解を5つ挙げてください。
   それぞれ「誤解の内容」「そう考える理由」を書いてください。
2. 誤解ごとに、その誤解を見分けられる発問を1つ作ってください。
   答えが一つに決まる問いにしてください。
3. 次の列の表にまとめてください。
   | 発問 | ねらい | 正答 | 想定誤答 | 誤答の理由 | 切り返しの一言 |
4. 最後に、選択式のミニテストを3問作ってください。
   誤答の選択肢は、手順1の誤解から作り、どの誤解に対応するか注記してください。

# 守ってほしいこと
- 「○%の児童が間違える」のような統計や出典は書かない。
- 一般的に言われる誤解か、可能性として挙げる誤解かを区別し、
  確信が低いものには「要確認」と付ける。
- 計算問題は、答えを途中式つきで示す。
- 未習の用語は使わない。

「統計は書かない」と指定するのは、AIが根拠のない割合や研究名を作り出すことがあるためです。「要確認」の印があると、確認の優先順位もつけやすくなります。

出力の受け取り方:発問・想定誤答の一覧表

次の表は、上の依頼文で得たい形を示す説明用の例です。AIの実際の出力ではなく、形を示すために書いたものです。

  • 8×0.5 と 8 では、どちらが大きい?、ねらい:1より小さい数をかけると積が小さくなる、正答:8のほう、想定誤答:8×0.5のほう、誤答の理由:「かけ算は大きくなる」と思い込んでいる、切り返しの一言:「8を半分にすると、増える?減る?」
  • 0.4×0.6 の答えは 0.24 か 2.4 か 0.024 か。理由も、ねらい:小数点の位置の決め方、正答:0.24、想定誤答:2.4、誤答の理由:4×6=24のあと、片方の小数点だけ数えた、切り返しの一言:「0.4は0.1が4個、0.6は0.1が6個。積は何の何個分?」
  • 2.5×1.2 の積は、およそいくつ?、ねらい:見積もりで小数点を確かめる、正答:約3(2.5より少し大きい)、想定誤答:0.3や30、誤答の理由:見積もりをせず、計算の最後に小数点を置いた、切り返しの一言:「1.2は1より大きい。積は2.5より大きい?小さい?」
  • 筆算で3.6×0.25を計算するとき、位をそろえて書く必要はある?、ねらい:加減と乗法の筆算の違い、正答:必要ない(右にそろえて整数のように計算する)、想定誤答:必要がある、誤答の理由:たし算・ひき算の筆算の習慣が残っている、切り返しの一言:「たし算の筆算は小数点をそろえた。それはなぜ?」

ミニテストは、この表の誤答をそのまま選択肢にします。たとえば次のようになります。

問1 0.4×0.6 の答えはどれですか。ア 2.4(小数点の数え間違い) イ 0.24(正答) ウ 0.024(桁の数えすぎ) エ 24(小数点を忘れた)

選択肢の横に誤解の種類を書いておくと、採点後に「アが多い」とわかった時点で、次の授業で戻る場所が決まります。実際に配るときは、児童に見せる版では括弧内の注記を消してください。

使う前に人が確認すること

AIが出した問いは、次の表の順で点検すると見落としが減ります。

  • 目標と合っているか、見方:目標の「〜できる」を、この問いで確かめられるか、直し方:目標の語を使って依頼し直す
  • 正答が一つか、見方:解釈次第で別の答えにならないか、直し方:条件を足す。または選択肢を変える
  • 計算・事実が正しいか、見方:自分で検算する。AIの途中式は鵜呑みにしない、直し方:誤りを指摘して修正を依頼する
  • 想定誤答が出そうか、見方:自分の指導経験、過去の自作テスト、教材研究と照らす、直し方:出そうにないものは外す
  • 用語・学年配当が合うか、見方:教科書や学習指導要領の用語、既習範囲と照らす、直し方:「未習の用語は使わない」と追記して再依頼
  • 「要確認」の印、見方:印のある誤解は根拠を自分で調べる、直し方:確認できなければ使わない

特に「想定誤答が出そうか」はAIには判断できません。AIが挙げる誤解は、一般的にありそうなものの寄せ集めです。クラスの実態と合うかを決められるのは、教える人だけです。

授業後に、実際の誤答で作り直す

ミニテストを実施したら、実際に出た誤答を集計し、個人名を除いて次のように追加で依頼すると、次回の導入が作れます。人数は例で、実際の結果ではありません。

前回作ってもらった問いを授業で使いました。結果は次のとおりです。
(児童が特定される情報は入れていません)

- 問1:ア 12人、イ 15人、ウ 3人、エ 1人 ※数字は例
- 問2:【記述の傾向を一行で】

アを選んだ児童のつまずきを解消する、
5分以内の復習活動を2案出してください。
それぞれ、使う道具と、教員の声かけ例も書いてください。

AIには候補を出してもらい、どちらを採るかは実態を知る教員が決めます。最初の1回は完成度を求めず、誤解の候補を出させて取捨選択することから始めるのが現実的です。

出典・参考資料