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暗記カードをAIで作るとき、1枚に詰め込まない分け方と教材との照合

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

教材の1行を定規で押さえ、暗記カードから伸びる糸をたどって、根拠の行を探している手元。1枚のカードだけ糸の先が空白を指している。
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

AIに「この範囲で暗記カードを作って」と頼むと、1枚に複数の事実が入ったカードや、教材に書かれていない補足が混ざったカードができやすくなります。防ぐ方法は二つです。一つは、依頼文で「1枚=問い1つ・答え1つ」と決め、各カードに教材の原文(根拠)を付けさせること。もう一つは、出てきた根拠を人が教材の中で探して照合することです。 AIの出力は誤りを含むことがあります。OpenAIのヘルプも、ChatGPTは最終的な情報源ではなく下書きとして使い、引用やデータは必ず確認するよう勧めています(2026年10月28日に確認)。この記事では、その確認を暗記カードに合わせた手順にします。 なお、この記事の依頼文とチェックリストは、特定のAIで実際に動かして検証したものではありません。使うときは、少量の範囲で試してから広げてください。

この記事の目次
  1. 詰め込みが起きるパターンと、AIと人の役割
  2. カード形式で出力させる依頼文
  3. 教材との照合チェックリスト
  4. 配布前に残すものと、最初の小さな試し方

詰め込みが起きるパターンと、AIと人の役割

最初に、直したい状態を4つに分けます。

  • 答えが複数ある:「光合成の場所と材料は?」のように、1つの問いに2つ以上の答えが入っている。
  • 教材外の補足が混ざる:正しい内容でも、教材にない用語や数値が裏面に足される。範囲外なので、試験や授業の基準とずれることがあります。
  • 問いが曖昧:「〜について説明せよ」のように、何を答えれば正解か決まらない。
  • 表に答えが見えている:問いの文中に答えの言葉が入っている。

次に、作業の分担です。

  • 教材の用意、AIに任せる:なし、人が行う:本文をテキストで貼る(図は文章に直す)
  • 事実の切り出し、AIに任せる:1事実ずつに分ける、人が行う:範囲が合っているか見る
  • カード化、AIに任せる:問いと答えの文面案、人が行う:1問1答になっているか見る
  • 根拠の提示、AIに任せる:原文の抜き出し、人が行う:教材の中で実際に探して一致を確かめる
  • 教材外の補足、AIに任せる:候補を別表に出す、人が行う:採用するかどうか決める

ファイルを添付する場合は、読まれ方に注意してください。Claudeのヘルプによると、PDF以外の文書は文字の抽出だけが行われ、埋め込まれた画像は読み取られません(2026年10月28日に確認)。図表の説明が必要な教材は、重要な部分を文章にして貼るのが安全です。他のAIサービスでは扱いが違うことがあるため、使うサービスのヘルプも見てください。同じページには、ページ番号を示すときは文書に印字された番号ではなくPDFビューアの番号を使う、という注意もあります。依頼文で場所の書き方を指定しておくと、後で探しやすくなります。

教える立場の人は、自分が正誤を判断できる範囲の教材でAIを使うのが無難です。文部科学省の「生成AIの利用にあたって」は、校務での利用について、教職員が生成内容の適切性を判断できる範囲で使うことを前提としています。日本の学校現場向けの整理ですが、教材づくりでも考え方は当てはめやすいでしょう。

カード形式で出力させる依頼文

次の文をコピーし、最後の【教材】に本文を貼ってください。

あなたは暗記カード作成の補助役です。下の【教材】だけを根拠に、暗記カードを作ってください。

# ルール
1. 1枚につき、問いは1つ、答えは1つの事実(用語・数値・定義・理由のどれか1種類)にする。答えに別の事実が「と」「および」でつながる場合は、カードを分ける。
2. 教材に書かれていない内容は、正しいと思っても本表に入れない。補足したいことは「教材外の候補」として、最後に別の表へまとめる。
3. 各カードに、根拠として教材の原文をそのまま抜き出す(目安は40字以内)。場所には見出し名、またはPDFビューアのページ番号を書く。原文を示せないカードは作らない。
4. 表(問い)には、答えのヒントになる語を入れない。
5. 教材の表現を言い換えて問いや答えを書いた場合は、「言い換え」欄に○を付ける。
6. 一度に最大20枚まで。続きは私が「続き」と送る。

# 出力形式
Markdownの表。列は 番号 | 表(問い) | 裏(答え) | 根拠(原文) | 場所 | 言い換え

# 教材
(ここに本文を貼る)

要点は「根拠を必ず付ける」ことです。根拠がないと、カードを教材に突き合わせる手がかりがなくなります。

説明用の例:詰め込みカードを分ける

以下は仕組みを見せるための架空の例で、実際にAIで生成した結果ではありません。

教材(架空の抜粋):「光合成は葉緑体で行われる。材料は二酸化炭素と水で、有機物と酸素がつくられる。」

詰め込まれた悪い例:

  • 光合成の場所、材料、できるものは?、裏:葉緑体。二酸化炭素と水。有機物と酸素。ATPが関わる。

この裏には、教材にない「ATPが関わる」が混ざっています。分けた例は次のとおりです(紙面の都合で「場所」「言い換え」列は省略しています)。

  • 1、表(問い):光合成が行われる細胞内の場所は?、裏(答え):葉緑体、根拠(原文):光合成は葉緑体で行われる
  • 2、表(問い):光合成の材料のうち、水以外の一つは?、裏(答え):二酸化炭素、根拠(原文):材料は二酸化炭素と水で
  • 3、表(問い):光合成の材料のうち、二酸化炭素以外の一つは?、裏(答え):水、根拠(原文):材料は二酸化炭素と水で
  • 4、表(問い):光合成で、有機物とともにつくられるものは?、裏(答え):酸素、根拠(原文):有機物と酸素がつくられる

「ATPが関わる」は「教材外の候補」の表に回します。採用するかどうかは、自分の学習範囲と照らして決めます。

教材との照合チェックリスト

AIが出した表を、次の順に確認します。

  1. 根拠の原文が教材にあるか:根拠欄の語句を教材の検索機能で探します。見つからなければ、AIが原文を作った可能性があります。OpenAIのヘルプも、存在しない出典や引用が作られることがあると説明しています。スキャン画像のPDFなど検索できない教材は、目で探します。
  2. 裏の答えが、根拠の中に含まれているか:根拠は合っていても、答えがそこから外れていることがあります。
  3. 数値・年・固有名詞・単位を一字ずつ見比べる:取り違えやすい箇所です。
  4. 1問1答か:裏に「と」「および」「また」で別の事実がつながっていれば分割します(用語の名前に「と」が含まれる場合は除く)。
  5. 問いだけで答えが一つに決まるか:「〜とは?」のような曖昧な問いは書き直します。
  6. 教材外の内容が本表にないか:裏の語が根拠にも教材にも出てこなければ、別表へ移します。
  7. 条件や例外が落ちていないか:「ただし」「〜に限り」を省くと意味が変わります。
  8. 抜けがないか:教材の見出しごとに、カードが1枚もない箇所を探します。

判定と対応の表

  • 根拠が教材に一字一句ある、対応:次の項目へ
  • 根拠が少し違う(言い換えが混ざる)、対応:教材の原文に直して再確認
  • 根拠が見つからない、対応:カードを破棄、または教材を見て自分で作り直す
  • 答えが教材にない、対応:教材外の候補へ移し、使うなら別の資料で確かめる
  • 1枚に事実が2つ以上、対応:分割して、それぞれ根拠を付ける

AIサービスに検索や調査の機能があっても、基準は自分の教材です。ネット上の説明は、教材と違う流儀で書かれていることがあります。OpenAIのヘルプも、正確さが重要なときは出典のリンクを直接開いて確かめるよう勧めています。暗記カードの正解はまず教材の記述に合わせ、教材自体が疑わしいときだけ別の資料に当たると、混乱が減ります。

配布前に残すものと、最初の小さな試し方

授業や講座で生徒に配るカードは、内容に責任を持つのが配る側になります。次の二つを残しておくと、後から直しやすくなります。

  • 根拠欄と場所欄は消さず、教える人用の版に残す。
  • 生徒に渡す版には「教材のどこから作ったか」を一行で示す。

誤りが見つかったとき、どの教材箇所と食い違っていたかをすぐ確認できます。

最初は次の手順で試してください。

  1. 教材の1見出し分(数百字)だけを貼り、依頼文で10枚程度作らせる。
  2. チェックリストの1〜3を全カードに行う。
  3. 教材外の候補や分割漏れが多ければ、依頼文のルール1と2を自分の教材に合わせて具体的に直す。
  4. 問題が出なくなってから範囲を広げる。数値と固有名詞のカードは、範囲を広げても全数を確認する。

出典・参考資料