外国人の同僚に伝わる日本語へAIで書き換える:やさしい日本語の整え方
AIを使いこなす執筆にClaudeを使用しています。

結論から言うと、AIには「曖昧さをほどく」「一文を短くする」「難しい言い回しを平たくする」作業を任せ、日付・数字・固有名詞・手順の順番・画面の表示名は変えさせないのが安全です。期限が必須か任意か、誰がやるのかといった「元の文に書かれていない情報」は、人が決めて補います。 この記事では、翻訳にかける前の日本語を整えるために、判断表、AIへの指示文、書き換え例、確認項目を示します。 参考になる公的資料に、出入国在留管理庁と文化庁が作成した「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」があります。文化庁の公表ページによると2020年8月28日に公表され、掲載ページには「書き換え例」「話し言葉のポイント」などの別冊も並んでいます。ただし、国や地方公共団体が外国人向けに情報発信する場面を想定した資料です。職場のチャットやメールに使う基準は、以下を編集上の提案として読んでください。
まず、何を言い換え、何を残すか
職場の日本語で伝わりにくいのは、難しい単語よりも「言外の意味」であることが多いです。AIに渡す前の下見に、次の表を使えます。
- 婉曲な依頼(「いただけると幸いです」)、扱い:言い換える、書き換えの方向:依頼か任意か読み取りにくい。「〜してください」に直す
- 期限の曖昧語(「なるはやで」「今週中に」)、扱い:言い換える+人が補う、書き換えの方向:日付と時刻にする。AIに推測させない
- 二重否定・遠回し(「できなくはない」)、扱い:言い換える、書き換えの方向:肯定か否定かを言い切る
- 慣用句・比喩(「目を通す」「たたき台」)、扱い:言い換える、書き換えの方向:「読む」「最初の案」など意味だけにする
- 略語・カタカナ語(「FYI」「ブラッシュアップ」)、扱い:言い換える、または初出で説明、書き換えの方向:社内用語は説明を添える
- 主語の省略、扱い:補う、書き換えの方向:「誰が」を入れる。誰かは人が確認する
- 日付・時刻・金額・数量、扱い:残す、書き換えの方向:AIに変えさせない
- 人名・会社名・製品名・ボタン名、扱い:残す、書き換えの方向:画面表示と違うと操作できなくなる
- 専門用語(「サーバー」「請求書」)、扱い:残す+短い説明、書き換えの方向:仕事で使う言葉は無理に崩さない
- 手順の順番、条件(「〜の場合のみ」)、扱い:残す、書き換えの方向:意味が変わりやすい。番号付きにする
ポイントは、簡単にすることと情報を減らすことは別だという点です。文を短くしても、条件や例外まで削ってはいけません。
AIに貼り付ける指示文(テンプレート)
【 】を埋めてそのまま使えます。AIは文章を書き換えられますが、期限の厳しさや社内ルールは元の文から確定できません。そこで、不明な点は聞き返させる形にしています。
あなたは、職場で外国人の同僚に向けた文章を整える編集者です。
次の日本語を、日本語を第二言語として学ぶ人に伝わる「やさしい日本語」に書き換えてください。
【読む人】日本語レベルの目安:【例:日常会話はできる/仕事のメールは時々難しい】
【場面】【例:チャットで依頼する/会議の案内メール】
守ること:
1. 一文を短くする。一文に伝えたいことを一つだけ入れる。
2. 日付、時刻、数字、金額、人名、会社名、製品名、画面のボタン名は一字も変えない。
3. 「いただけると幸いです」などの遠回しな表現は、「〜してください」などの直接的な言い方にする。
4. 慣用句、比喩、略語、省略された主語は、意味が分かる言葉にする。
5. 専門用語は残し、初めて出るときだけ括弧で短く説明する。
6. 元の文に書かれていない情報(期限、担当者、理由)を、推測で追加しない。
7. 敬意は保ち、命令的で冷たい文にしない。
出力の形式:
A. 書き換えた文章
B. 言い換えた箇所の一覧(元の表現 → 新しい表現)
C. 元の文では不明で、私が確認すべき点
--- 元の文章 ---
【ここに貼る】7番は、直接的にしすぎると失礼に読まれる場合があるための歯止めです。「です・ます」は残して構いません。
貼る前に、顧客名や未発表の情報は「A社」「担当者B」などに置き換えてください。社内で使ってよいAIサービスかどうかも先に確認します。
書き換え前後の例(説明用の架空の文)
以下は説明のために作った架空の文で、特定のツールで実行した結果ではありません。AIの出力は毎回変わります。
例1:丁寧だが、依頼かどうか分かりにくい文
- 前:お手数ですが、明日の定例までに進捗をご共有いただけますと幸いです。
- 後:明日の定例会議の前に、仕事がどこまで進んだか教えてください。
会議の時刻が決まっているなら、「10時の会議の前に」と人が足します。
例2:期限が曖昧な文
- 前:できれば今週中に対応してもらえると助かります。
- AIの案(そのまま使わない):今週の金曜日までにお願いします。
- 人が直した後:10月30日(金)の17時までに、この資料を直してください。難しいときは、今日中に私に教えてください。
「できれば」が「必ず」か「余裕があれば」かは、元の文から分かりません。AIが期限を断定したら、C欄の不明点を見て人が決めます。
例3:慣用句と社内用語
- 前:先方に確認がとれ次第、折り返します。資料はたたき台なので、ざっと目を通してください。
- 後:相手の会社に聞いて、答えが分かったらすぐ連絡します。この資料は最初の案です。内容を読んで、変なところを教えてください。
例4:残すべき表現
- 前:「設定」→「アカウント」→「パスワードを変更」の順に押し、サーバーを再起動してください。
- 後:次の順番でしてください。
- 「設定」を押します。
- 「アカウント」を押します。
- 「パスワードを変更」を押します。
- サーバー(会社のデータや仕組みを動かすコンピューター)を再起動します。再起動は、止めてもう一度動かすことです。
ボタン名は元のまま残し、順番を番号にしました。「サーバー」は仕事で使う言葉なので残し、短い説明だけ足しています。
書き換え後に人が確認する項目
送る前に、上から順に見ます。時間がなければ1〜4だけでも確認してください。
- 数字と固有名詞:日付、時刻、金額、人名、ボタン名が元の文と一致している。
- 条件と例外:「〜の場合のみ」「〜以外は」が落ちていない。
- 依頼か、お知らせか:読んで何をすればよいか分かる。
- 期限と担当:「いつまでに」「誰が」が書かれ、AIが勝手に足していない。
- 一文一内容:一つの文に依頼と理由と条件が混ざっていない。
- 言葉の難しさ:説明のない略語や社内用語が残っていない。
- 口調:冷たい命令になっていない。「ください」「お願いします」がある。
- C欄の不明点:AIが挙げた確認事項に、すべて答えを出した。
可能なら、相手に近い立場の人(日本語を学んでいる同僚、日本語教師など)にも読んでもらい、「何をすればよいですか」と聞いてみてください。AIの出力は「分かりやすそうに見える文」であり、相手に伝わった証明にはなりません。
長い規程や契約書は、このテンプレートで平易にして配布しないでください。意味が変わると影響が大きいため、担当部署の確認が必要です。また、やさしくしすぎて子ども扱いに見えないかは、本人や周囲に聞くと調整できます。
翻訳と組み合わせるときの順番
機械翻訳も使うなら、次の順番が扱いやすいです。
- 人が元の文を読み、不明点(期限、担当)を決める。
- 上の指示文でやさしい日本語にする。
- 確認項目を通す。
- そのやさしい日本語を翻訳の入力にする。または、やさしい日本語と翻訳を並べて送る。
並べて送ると、翻訳が不自然でも相手が日本語の文で確かめられ、日付や手順が一致しているかも見やすくなります。社内用語は、1行ずつの対応表を作っておくと、毎回AIに説明し直さずに済みます。指示文の「守ること」は場面に合わせて減らして構いません。最初は2、3、6だけでも試せます。

