応募でAIを使ってよいか迷ったとき:企業の指示の確認方法と開示の考え方
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結論から言うと、応募でAIを使ってよいかは、応募先の指示で決まります。「使用可」「使用不可」と書いてあればそれに従います。書いていない、または範囲が読み取れないときは、応募前に採用担当へ短く確認するのが確実です。確認できないまま出すなら、AIに下書きを作らせず、自分で書いた文章の誤字や構成の点検にとどめるのが無難です。ただし「使用不可」とあれば、点検も控えます。 この記事の作成時に確認した公的資料の範囲では、応募書類でのAI利用を一律に定めたものは見つかりませんでした。そのため、判断は応募先ごとになります。以下では、判断表、募集要項で見る点のリスト、問い合わせ文の例文、自分の言葉にする線引き、AIに入力する情報の注意を順に示します。
指示の状態ごとの動き方
- 「生成AIの使用を禁止」と明記、取る行動:使わない。下書き・添削・翻訳も含むか不明なら問い合わせる
- 「使用可、ただし自分の言葉で」など条件付き、取る行動:条件に沿って使う。開示の求めがあれば従う
- 「使用可」とだけ書いてある、取る行動:使ってよいが、内容の責任は自分にある。自分の経験に合わせて書き直す
- AIについて記載なし、取る行動:募集要項・FAQ・応募フォームを再確認し、なければ問い合わせる
- 選考段階で扱いが違う(ES、Webテスト、面接課題など)、取る行動:段階ごとに確認する。ESで可でも、試験や面接中は別ルールのことがある
「記載なし=使ってよい」とは読まないほうが安全です。書いていないのは許可ではなく、未確認の状態です。
募集要項などで確認する点のリスト
見る場所
- 募集要項・応募要項のPDFや注意事項欄
- エントリーシートや応募フォームの冒頭・末尾にある同意文
- 採用サイトのFAQ、説明会・選考案内メールの注意書き
- 課題(作文、ポートフォリオ、コーディング課題など)の指示文
確認する点
- AI(生成AI、ChatGPT等の名称)への言及があるか
- 禁止か許可か、条件付きか(「自分の言葉で」「事実確認は自分で」など)
- 対象範囲:文章の生成だけか、添削・要約・翻訳・アイデア出しも含むか
- 対象書類:ES、履歴書、職務経歴書、志望動機、課題、面接準備のどこまでか
- 開示の要否:申告欄や、申告の書き方の指定があるか
- 試験・面接中の扱い:Webテストやオンライン面接、リアルタイム課題でAIや外部ツールを使ってよいか
- 違反時の扱い:選考対象外になるなどの記載があるか
- 問い合わせ先と期限:締切までに回答をもらえる窓口があるか
見つけた文言は、スクリーンショットや日付付きのメモで残します。後から「どの版の要項を見たか」が分かるようにするためです。
問い合わせ文の例文
以下は説明用の例です。企業名や日付は仮のものなので、自分の状況に置き換えてください。送信前に、応募先が指定する問い合わせ窓口と、氏名・連絡先を書く範囲も確認します。
例1:AIの記載がないときのメール
件名:【確認】エントリーシート作成における生成AIの利用について(氏名)株式会社〇〇 採用ご担当者様貴社の〇〇職(新卒/中途)に応募を検討しております、〇〇大学(現職:〇〇)の〇〇〇〇と申します。応募書類の作成にあたり、募集要項に生成AIの利用に関する記載を見つけられませんでしたので、次の点を教えていただけますでしょうか。1. エントリーシート・職務経歴書の作成で、生成AIを利用してよいか2. 利用してよい場合、誤字の確認や構成の見直しに限るなどの範囲があるか3. 利用した場合に、申告が必要か〇月〇日の応募締切までに方針を確認したく、お手数ですがご回答をいただけますと幸いです。〇〇〇〇(連絡先)
例2:「自分の言葉で」とあるが範囲が曖昧なとき
募集要項に「自分の言葉で記入してください」とあり、生成AIの扱いについて確認させてください。自分で書いた文章を、誤字脱字の確認のためにAIに見せることは問題ないでしょうか。文章の生成や書き換えは行わない前提です。
例3:Webテスト・面接課題について
〇月実施のWebテスト(または課題)について、受検中に検索サービスや生成AIを使用してよいか、ご方針を教えてください。
質問は絞り、締切に余裕をもって送ります。回答メールは保存します。返信がないまま締切が来たら、禁止と書かれていなくても「AIに文章を書かせない」側に倒すと、あらかじめ決めておくと迷いません。
開示の考え方と「自分の言葉にする線」
開示が必要かどうかも、まず応募先の指示に従います。指示がなく、使ってよいと確認できた場合は、聞かれたら正直に説明できる使い方にとどめるのが基本です。以下の線引きは編集部の提案で、公的な基準ではありません。
- 材料の整理、AIに任せる:箇条書きにした経験の並び替え案を出させる、自分がやる:何を書くか、事実の選択
- 文章の下書き、AIに任せる:(応募先が許可していないなら任せない)、自分がやる:志望理由、エピソード、数字、感情の言葉
- 点検、AIに任せる:誤字、敬語、読みにくい箇所の指摘、自分がやる:指摘を採用するかの判断、最終稿の確定
- 事実確認、AIに任せる:しない、自分がやる:日付、役職、成果、社名、数字の照合
目安は「面接で、その文章について自分の言葉で追加説明できるか」です。AIが整えた表現でも、背景の経験を語れないなら、その箇所は自分で書き直します。
開示を求められたときの書き方の例(説明用):
文章の誤字確認と構成の見直しに生成AIを利用しました。エピソードの内容・数値・表現の最終決定は自分で行っています。
「利用していません」と書くなら、本当に使っていないことが前提です。申告欄がある選考では、使った範囲をそのまま書いてください。
AIに入力する情報の線引き
応募でAIを使ってよいと確認できても、入力内容には別の注意が要ります。ここではChatGPTを例にします。他のサービスや、会社・学校が契約するプランでは扱いが異なる場合があります。
OpenAIのヘルプ記事(日本語版)によると、個人向けのFree、Plus、Proでは、会話内容がモデルの改善に使われることがあります。設定でモデル改善を無効にできますが、回答に良い/良くないの評価を送ると、その会話全体が改善に使われることがあります。データコントロールのFAQ(英語)には、設定名が「Improve the model for everyone」で、個人ワークスペースでは既定でオンと書かれています。一時チャットは、一時チャットである間は改善に使われません。ただし安全上の目的で最大30日保持されることがある、とも書かれています。設定や既定値は変わりうるため、使う直前に自分の画面で確認してください。
学習利用をオフにしても、情報が秘密になるわけではありません。上の資料は学習利用や保持の説明で、第三者への提供や社内閲覧まで保証するものではありません。そのため、入力は次のように絞ります。
- 入れない:マイナンバー、住所・電話、学籍・社員番号、他人(上司、同僚、友人、家族)の実名や連絡先、応募先から非公開で受け取った資料
- 置き換える:社名は「A社」、人名は「上司」、金額や顧客名は伏せる
- 入れてよい範囲:自分の経験を、特定されない形に直した文章
個人情報保護委員会は、2023年6月2日に生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表しています。主な対象は個人情報取扱事業者や行政機関等ですが、個人情報を入力する際の考え方の参考になります。本記事では、この発表ページの概要までを確認しました。別添のPDFの内容は確認していないため、実際に入力する前に原文を読んでください。
最後に、出力の中身も点検します。厚生労働省は、本籍地や家族の職業など「本人に責任のない事項」や、宗教・支持政党などを採用基準にしないよう、企業側に求めています。応募先が求めていないこうした情報がAIの出力に入り込んでいたら、削除して提出するほうが安全です。提出前には、事実と数字を自分で照合し、面接で説明できるかを読み返してください。

