ESや自己PRがAIで他の人と似てしまう原因と、自分の言葉を残す書き方
AIを使いこなす執筆にClaudeを使用しています。

AIで書いたESや自己PRが他の人と似るとき、原因は次の2点に整理できます。これは編集部の整理で、似る頻度などを測った結果ではありません。 1. 入力が薄い:「サークルで頑張った」「強みは主体性」程度の情報しか渡していないと、AIは足りない部分を「よくある展開」で埋めやすくなります。 2. 型の使い方が逆:先に「強み→エピソード→学び」という型と強みのラベルを決め、その穴にAIが文章を流し込む形になっています。 対処の軸は一つです。AIに文章を書かせる前に、自分にしか出せない材料を先に出す。この記事では、原因を切り分ける診断表、材料を引き出す10問、AIへの依頼文を順に示します。
似てしまう仕組みを2つに分ける
入力の薄さ
AIは、渡された情報から文章を組み立てます。場面・人数・自分の判断・数字が入力にないと、「課題を発見し、周囲と協力して解決した」のような、誰にでも当てはまる表現になりがちです。OpenAIのヘルプも、プロンプトは明確で具体的にし、意図が伝わる十分な文脈を与えるよう勧めています(OpenAIヘルプ:ChatGPTのプロンプトのコツ)。ESで言う「具体的に」とは、言い回しを飾ることではなく、事実の材料を渡すことです。
型の使い方
型そのものは悪くありません。厚生労働省の「ジョブ・カード」サイトでも、ESは結論から書き、前置きを長くしすぎないことが勧められています(ジョブ・カード:エントリーシートの自己PRや志望動機の書き方)。問題は、型に入れる中身を用意しないまま、強みのラベルまでAIに決めさせることです。
また、ネットの例文を「この雰囲気で」と渡すと、構成や言い回しまで寄ってきます。Claudeの公式プロンプトガイドは、明確な指示と並んで例示を技法として扱っています(Claude Platform Docs:Prompting best practices)。例はAIにとって強い手がかりになるので、ESでは例文の影響が出やすい、というのは編集部の見立てです。
似た文章になる原因の診断表
下書きを読み返し、当てはまる行を探してください。
- 冒頭が「私の強みは主体性です」で、友人と同じ、疑う原因:型で強みのラベルを先に決めた、確認すること:ラベルを決めたのは、出来事を整理する前ではないか、対処:出来事を先に書き、ラベルは最後に決める(質問1〜5)
- 場面が「サークル」「アルバイト」だけで、状況がない、疑う原因:入力の薄さ(場面)、確認すること:時期・場所・人数が本文にあるか、対処:質問1・8に答える
- 「成長できました」「貢献できました」で終わる、疑う原因:入力の薄さ(結果)、確認すること:数字や周囲の反応があるか、対処:質問6・7に答える
- 再生成しても毎回似た文になる、疑う原因:同じ薄い入力で回している、確認すること:前回と入力が同じではないか、対処:再生成をやめ、材料を足す
- 友人と見せ合うと構成や言い回しがそっくり、疑う原因:例文をそのまま渡した、確認すること:例文を貼っていないか、対処:例文を外し、自分の回答だけを渡す
- 読んでも他人事で、面接で説明できない、疑う原因:AIが補った「事実」が混ざった、確認すること:自分が話していない内容がないか、対処:材料にない記述を削除する
- 志望動機が企業サイトの言い換え、疑う原因:企業側の情報しか渡していない、確認すること:自分の経験との接点が書いてあるか、対処:質問9・10に答える
複数に当てはまるなら、まず「入力の薄さ」から直します。型の調整は後で十分です。
固有の材料を足す質問10問
AIに頼む前に、一つの出来事について、次の10問へ短いメモで答えてください。きれいな文章にする必要はなく、箇条書きで構いません。
- その出来事は、いつ、どこで、何人くらいの場面でしたか。
- 最初に「まずい」「困った」と感じたのは、どんな瞬間でしたか。
- そのとき、実際に口にした(書いた)一言は何ですか。
- 他にも選べた方法がある中で、なぜその方法を選びましたか。
- うまくいかなかったことは何で、どう直しましたか。
- 数字で言えることは何ですか(人数・回数・期間・金額・時間・順位など)。
- 自分がいなかったら、何が違っていたと思いますか。周囲から何と言われましたか。
- 自分の担当範囲はどこまでで、他の人の役割は何でしたか。
- その経験の後、今も続けている習慣や、変わった行動はありますか。
- 志望先の仕事で似た場面が来たら、どう動きますか。その根拠は何ですか。
答えにくい質問は、飛ばさずに「覚えていない」と書いておくと、後で何が不足かが分かります。
材料をAIに渡す依頼文
質問に答えたら、次の依頼文に貼ります。ポイントは「回答にない事実を足さない」と「足りなければ質問する」を指定することです。以下の入力は説明用の例で、実在の人物や実行結果ではありません。
ES(400字)の下書きを作ってください。
【条件】
- 下の「材料」にある事実だけを使い、材料にない出来事・数字・感情は足さないでください。
- 材料が足りず書けない箇所は、書かずに私への質問として最後に列挙してください。
- 冒頭は結論。強みの名前は最後に決めたいので、最初は仮置きにしてください。
- 私の言い回しをなるべく残してください。
【設問】学生時代に力を入れたこと
【材料】(10問への回答メモ)
1. 大学2年の秋、駅前の古書店でのバイト。スタッフ6人
3. 「返品の棚、ラベルの色で分けませんか」と店長に言った
6. 返品ミスが月5件→1件(店長のメモによる)AIが最後に質問を返してきたら、その質問に答えをメモへ追加し、同じ依頼文でもう一度作ります。例文は貼りません。「型」は、設問と文字数、結論先行という指定だけで足ります。
説明用の例:Before / After
どちらも説明用の例です。After は、上の「材料」にある事実だけで組み立てています。
- Before:「私の強みは課題解決力です。アルバイトで課題を見つけ、周囲と協力して解決しました。この経験を貴社でも活かします。」
- After:「大学2年の秋、スタッフ6人の古書店でアルバイトをしていました。返品ミスが月5件あり、『返品の棚、ラベルの色で分けませんか』と店長に提案しました。その後、ミスは月1件に減りました。」
Afterは、場面・人数・提案の一言・数字が入っているので、他の人の文章と取り違えにくくなります。強みの名前は、この出来事を書いてから決めます。
提出前に人が確認する4点
- 材料にない事実がないか:数字、役職、感想がAIの補足になっていないか、10問のメモと照らします。
- 面接で自分の口で説明できるか:ESの内容は面接で掘り下げられることがあります。聞かれても答えられる内容に絞ります。
- 自分の語彙が残っているか:普段使わない語は言い換え、質問3で書いた一言を残します。
- 提出先のルールに合うか:AI利用の扱いは企業や学校によって異なる可能性があります。募集要項や案内を確認します。
材料を貼る際は、アルバイト先の内部情報や他人の個人情報を、そのまま入力しないでください。必要なら「古書店」「店長」のように置き換えます。
進める順番
診断表で原因を確かめ、1つの出来事について10問に答え、依頼文で下書きを作って4点を確認します。足りない点が見つかったら、再生成の前にメモへ材料を足してください。この順なら、AIの役割は「文章を考えること」ではなく「自分の材料を整えること」になり、自分の言葉が残りやすくなります。

