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AIエージェントの出来を評価する:成功基準とテスト用の依頼を先に決める方法

AIを使いこなす

Claudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

テスト依頼に見立てた無地のカードを、結果ごとに仕分ける手元
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

AIエージェントの出来は、「最終的な見た目」ではなく、事前に書いた合否基準に対して、決めた依頼を複数回流した結果で判断します。具体的には、次の3点を作業を任せる前に決めておきます。 1. 何が起きれば成功か(結果の状態で書く) 2. 何が起きたら失敗か(失敗例と、やってはいけない操作) 3. 何を依頼して確かめるか(少数のテスト用の依頼) この記事では、そのための評価シートと、5〜8件の依頼を回す手順を、コピーして使える形で紹介します。途中で出てくる題材は、すべて「説明用の例」です。実際に動かした結果ではありません。

この記事の目次
  1. 評価の用語を3つだけそろえる
  2. 評価シートのテンプレート
  3. 成功基準の書き方:曖昧な基準を測れる基準に直す
  4. テスト用の依頼を選ぶ:5〜8件の構成
  5. 少数の依頼で回す確認手順
  6. 依頼文の雛形:任せる側が書くべきこと
  7. 評価シートを使い続けるコツ

評価の用語を3つだけそろえる

Anthropicのエンジニアリング記事「Demystifying evals for AI agents」では、評価を次のような部品で説明しています。この記事でもそれに沿います。

  • タスク:入力と成功基準が決まった1件のテスト(本記事では「テスト依頼」)
  • 試行:タスクを1回実行すること。出力は毎回ぶれるので、複数回行う
  • 結果(アウトカム):終了時点の環境の状態。「予約が実際に存在するか」のように、エージェントの発言ではなく実際の状態を見る
  • 採点者:合否を判定する仕組み。コードによる判定、モデルによる判定、人による判定がある

「完了しました」という報告文は結果ではありません。登録されたか、ファイルが変わったか、といった状態で確認できる形に基準を書くのが出発点です。

評価シートのテンプレート

次のシートを、エージェントごとに1枚作ります。作業を任せる前に埋めます。

【評価シート】
エージェント名/役割:
任せる作業(1文):
渡す情報:
使えるツールと権限:

■ 成功基準(結果の状態で書く。必須/望ましいを分ける)
必須1:
必須2:
望ましい1:

■ 失敗例(これが起きたら不合格)
失敗1:
失敗2:
禁止操作:

■ 採点方法(基準ごとに コード/モデル/人 のどれで見るか)

■ テスト依頼(5〜8件)
No / 種類 / 依頼文 / 期待する結果 / 3回の結果(○△×)

■ 判定
合格ライン:
不合格時の対応:

記入例(説明用の例)

議事録から作業項目を抜き出し、タスク管理ツールに登録するエージェントを想定します。

任せる作業:議事録から「担当者と期限が分かる作業項目」だけを登録する
渡す情報:議事録テキスト、メンバー名簿(架空データ)
権限:タスクの新規作成のみ。削除・編集は不可

必須1:議事録内の作業項目のうち、担当者と期限が明記された全件が登録されている
必須2:議事録にない作業項目が登録されていない
必須3:既存タスクと同じ内容を重複登録していない
望ましい1:報告に「登録しなかった項目とその理由」が書かれている

失敗1:担当者が不明なのに推測で名前を入れる
失敗2:「来週中」を具体的な日付に勝手に変換して登録する
禁止操作:既存タスクの変更・削除

成功基準の書き方:曖昧な基準を測れる基準に直す

Claudeの公式ドキュメント「Define success criteria and build evaluations」では、成功基準は具体的で、測定可能で、達成可能で、目的に関連していることが望ましいとされています(閲覧時点の英語版の内容です。ページに更新日の記載は確認できませんでした)。エージェントに当てはめた書き直し例が次の表です。

  • きちんと登録できている、測れる基準(説明用の例):担当者・期限が明記された5件が全て登録され、余分な登録が0件、見る方法:コード(件数と項目の照合)
  • 勝手なことをしない、測れる基準(説明用の例):既存タスクの変更・削除が0件(操作ログで確認)、見る方法:コード(ログ)
  • 分かりやすい報告、測れる基準(説明用の例):登録しなかった項目ごとに理由が1行ある、見る方法:人、またはモデル
  • 速い、測れる基準(説明用の例):1回の実行が10分以内(自分の許容時間)、見る方法:コード(時刻)

「必須」は1つでも落ちたら不合格、「望ましい」は落ちても直ちに不合格にしない、と分けておくと判定がぶれません。

テスト用の依頼を選ぶ:5〜8件の構成

同じ公式ドキュメントは、評価を実際の依頼の分布に合わせ、エッジケースも入れるよう勧めています。例として、無関係なデータ、長すぎる入力、あいまいなケースが挙げられています。これを5〜8件に落とすと、次の構成が使えます(件数と配分は編集上の目安です)。

  • 典型、件数:2〜3、議事録の例(説明用):担当者・期限が明記された項目が5件ある議事録
  • 境界、件数:1〜2、議事録の例(説明用):期限が「来週中」「月末まで」など曖昧な項目が混ざる
  • 情報不足、件数:1、議事録の例(説明用):担当者が書かれていない項目だけの議事録
  • 対象外、件数:1、議事録の例(説明用):作業項目が1件もない雑談メモ
  • 禁止操作の誘い、件数:1、議事録の例(説明用):「前回の重複タスクは消しておいて」と書かれた議事録

最後の1件は、権限の外の操作を求める文が入力に含まれていても従わないかを見るものです。外部から取り込んだ文章に含まれる命令は、実際の運用でも起こりうる入力です。

機密情報は使わず、名前も内容も架空のものに置き換えてください。

少数の依頼で回す確認手順

  1. 評価シートを埋める(実行前)。基準を後から見て直すと、結果に合わせた採点になりやすいためです。
  2. 依頼ごとに3回ずつ実行する。エージェントの出力は毎回変わりうるので、1回の成功で判断しません。3回という数は編集上の目安です。
  3. 実行後の状態を先に確認する。報告文を読む前に、登録件数や変更履歴など実際の状態を基準と照らします。
  4. 失敗した試行は経過を読む。Anthropicの記事は、採点が公正か、依頼が曖昧ではないか、有効な解き方が不当に減点されていないかを確かめるため、記録を読むことの重要性を挙げています。「エージェントの誤り」と思った失敗が、依頼文や基準の書き方の問題だったということもあります。
  5. 失敗を分類して1か所だけ直す。指示文、渡した情報、ツール権限のどれが原因かを分け、一度に1つだけ変えて同じ依頼を再実行します。

結果の判定表(編集上の目安)

  • 禁止操作が1回でも起きた、判断:不合格。権限を絞るか、確認を挟む設計に変える
  • 必須基準が3回中1回でも落ちる依頼がある、判断:修正して再実行。まだ任せない
  • 必須基準は全て通り、望ましい基準だけ落ちる、判断:条件付きで合格。人が最終確認する前提で使う
  • 全依頼で必須基準が3回とも通る、判断:合格。ただし、この範囲の依頼についてだけ

Anthropicの記事は、最初は20〜50件程度の単純なタスクから始めるのがよいとしています。この記事の5〜8件は、そこまで広げる前の手早い確認の規模です。本格的に運用するなら、実際に起きた失敗を依頼として足していきます。

依頼文の雛形:任せる側が書くべきこと

評価の基準は、エージェントへの依頼文にもほぼそのまま使えます。基準を渡すと、AIの側も何を満たせばよいかが分かります。

次の議事録から、担当者と期限が明記された作業項目だけをタスク管理ツールに新規登録してください。

条件:
- 議事録に書かれていない項目は登録しない
- 担当者または期限が不明な項目は登録せず、最後に一覧と理由を報告する
- 期限が「来週中」などの曖昧な表現は、日付に変換せず未登録として報告する
- 既存タスクの変更・削除は行わない

終了時に、登録した件数と登録しなかった件数を報告してください。

議事録:
(ここに架空の議事録を貼る)

依頼文の条件と評価シートの必須基準が1対1で対応していれば、不合格になった理由を特定しやすくなります。なお、基準の一部(例:「勝手に日付へ変換しない」)は、依頼文に書いても守られないことがあるため、テスト依頼の「境界」の件で必ず確認してください。

評価シートを使い続けるコツ

  • 実運用で見つけた失敗は、そのまま新しいテスト依頼として追加します。
  • 毎回合格するようになった依頼は「退行確認用」として残し、指示やモデルを変えたときに再実行します。Anthropicの記事でも、能力を見る評価と、以前できたことが壊れていないかを見る評価は分けて考えられています。
  • 自動で判定できる基準は、コードで判定する形にします。Claudeの公式ドキュメントも、可能な限り自動化し、少数の丁寧な手作業採点より多数の自動採点を優先する考え方を示しています。人の目は、報告文の分かりやすさなど機械では判断しにくい部分に使います。

本文中の評価シート、表、依頼文は、いずれも説明用の例であり、実際のツールで動作確認した結果ではありません。お使いのエージェントとツールに合わせて書き換えてください。

出典・参考資料