マガジン

レビューの言葉を数えるには:褒める言葉と困る言葉の分け方

遊びを見つける

執筆にClaudeを使用しています。

活版のような抽象的な字形とローラーを並べ、太さや間隔を検討する写真風イメージ。
記事のテーマをもとに制作したAI生成イラスト。

作者が自分のゲームに付いたレビューを読む場面を考えてみます。星は4つで、本文は「楽しかったです」の一言だけです。もう一件は星2つで、「操作がわかりにくくて、3面の途中でやめました」と書かれています。嬉しいのは前者でも、次の改善に使えるのは後者です。点数と文章は、作者への届き方がまったく違います。 この記事の問いは、レビューに使われる言葉を「褒める/困る」の二つに分けるだけで足りるのか、というものです。結論を先に言うと、足りません。作者にとって本当に困るのは低評価ではなく、「どこで何が起きたのか」が読み取れない言葉です。辛口でも場面が書かれていれば直せますし、絶賛でも対象が書かれていなければ、何を残すべきかがわかりません。 ここではレビューの実際の傾向は述べません。数値や傾向を書くには、実際のレビューを集めて数える必要があるからです。代わりに、読者が自分の手元のレビューで言葉を分類して数える手順と、結果の読み方を示します。作品を作る人にも、レビューを書く人にも使えます。

この記事の目次
  1. レビューの枠組みから読み取れること
  2. 二つの軸で言葉を分ける
  3. 数える手順
  4. 結果の読み方
  5. 起こりやすい誤り
  6. 次の行動

レビューの枠組みから読み取れること

数える前に、アソバースのレビューがどんな形をしているかを確認します。確認済みの仕様は次のとおりです。

  • 点数は1〜5点で、本文は1〜2,000文字です。
  • 1アカウントが1作品に書けるレビューは1件です。
  • 本人は編集も削除もできます。
  • 自作の作品は評価できません。
  • 書くにはメールアドレスの確認が必要です。
  • 評価順のランキングは、レビューが3件以上ある作品から掲載されます。

ここから「設計から読み取れること」を三つ挙げます。

一つ目は、1人1件なので、同じ人の同じ意見が何件も積み上がらないことです。数えるときも、1件が1人の見方に対応していると考えられます。

二つ目は、自作を評価できないため、レビューは基本的に他の人の目で書かれることです。作者本人の自己評価で件数が膨らむことは、仕組みの上では想定されていません。

三つ目は、本文が最大2,000文字と、短評にも詳しい感想にも対応できる幅があることです。点数だけでは足りないとき、文章で補える余地が用意されています。この余地をどう使うかが、後の分類の話につながります。

レビュー本文を作者が読める場所や、一覧を書き出す機能の有無は、この記事では取り上げません。どの画面で読めるか、書き出しや集計の手段があるかは、現在の案内で確認してください。以下の手順は、画面で読めるレビューを手で書き写す前提で組んでいます。

二つの軸で言葉を分ける

「褒める/困る」を細かく見るために、二つの軸を組み合わせます。

  • 軸1:肯定か否定か(作品への気持ちが良い方向か悪い方向か)
  • 軸2:具体か抽象か(いつ・どこ・何が、のうち一つ以上が書かれているか)

組み合わせると四つの区画ができます。例文はすべてこの記事のために作った仮の文で、実際のレビューではありません。

  • 肯定・具体、仮の例文:「ヒントの理由が書いてあって、次の一手を自分で考えられた」、作者にとっての意味:残すべき部分がわかる
  • 肯定・抽象、仮の例文:「最高でした」「楽しい」、作者にとっての意味:励みになるが、何を守るかは不明
  • 否定・具体、仮の例文:「3面で操作がわかりにくく、やめてしまった」、作者にとっての意味:直す場所が特定できる
  • 否定・抽象、仮の例文:「微妙」「つまらない」、作者にとっての意味:直す手がかりがない

作者が「困る」のは、右下の否定・抽象だけではありません。肯定・抽象も、残す部分を判断できないという意味では同じく手がかりが乏しい言葉です。逆に、否定・具体は評価としては厳しくても、作者にとってはいちばん使いやすい情報になることが多いです。

具体さを判定する三つの目印

具体か抽象かを毎回迷わないよう、目印を決めておきます。次のうち一つでも含まれていれば「具体」とします。

  1. 場面:どの段階か(「最初の画面で」「3面の途中で」など)
  2. 対象:何についてか(「操作」「音」「色」「文字の大きさ」「難易度」など)
  3. 行動:その結果どうしたか(「やめた」「もう一度遊んだ」「ヒントを使った」など)

「操作がわかりにくい」は対象が入っているので、具体に分類します。ただし場面や行動がないため、具体さは弱い部類です。弱い具体と強い具体を分けたい場合は、含まれる目印の数(1〜3)を記録しておくと比較できます。

要望と比較は別の列に

「〜だと嬉しいです」のような要望、「他の同種のゲームより〜」のような比較は、肯定・否定とは独立した性質です。肯定・否定の軸には混ぜず、別の列に印をつけます。要望は作者が次に何をするかへ直結する言葉なので、数える価値があります。

数える手順

ここからは、自分で行える手順です。結果は読者の手元で初めて出ます。

準備

  • レビューが付いた作品を一つ選びます。自作でも、レビューを読める他の作品でも構いません。
  • 表計算ソフトか紙を用意します。
  • 他の人が書いたレビュー本文を転載したり公開したりする場合は、規約や著作権の扱いに注意してください。集計用のメモは自分用にとどめ、公開が必要なら公式情報や専門家に確認してください。

記録する列

1件のレビューを1行にして、次の列を作ります。

  • 番号、内容:自分で振った通し番号
  • 点数、内容:1〜5
  • 肯定・否定、内容:どちらが主か(半々なら「混在」)
  • 具体の目印数、内容:場面・対象・行動のうちいくつか(0〜3)
  • 対象タグ、内容:操作、音、難易度、見た目、遊び方の説明、その他
  • 要望の有無、内容:あり/なし
  • 記録日、内容:レビューを読んだ日

レビューは本人が編集できるため、同じレビューでも後から内容が変わることがあります。記録日を入れておくと、数え直したときに差を見分けられます。

数え方のルール

  • 単位は「1レビュー」です。同じ語が1件のレビューに何度出ても、1として数えます。
  • 1アカウント1作品1件の仕組みなので、重複の除去は基本的に不要です。
  • 判定に迷った文は、迷った理由を余白に書いて「保留」とし、最後にまとめて決めます。途中で基準を変えないことが大切です。
  • 可能なら、別の日にもう一度同じレビューを分類し直します。前回との一致を見れば、自分の基準のぶれがわかります。

集計する

数えるのは四つです。

  1. 4つの区画それぞれの件数
  2. 具体の目印数の平均
  3. 対象タグごとの件数
  4. 要望ありの件数

仮の計算例を示します。レビューが10件あり、そのうち否定・具体が3件、肯定・具体が2件、肯定・抽象が4件、否定・抽象が1件だったとします。この場合、具体は5件で半分です。この数字は計算の説明のための架空の例で、実際の傾向ではありません。

結果の読み方

集計が済んだら、次のように判断します。

レビューが3件未満のときは、傾向と呼ぶのは控えます。アソバースの評価順が3件以上から掲載される設計にも、少数のレビューで順位を語ることには慎重だという姿勢が読み取れます。数件の感想は「個々の声」として一件ずつ読むほうが有益です。

肯定・抽象が多いときは、好意的な反応はあるものの、何が良かったのかが作品の外に出ていない状態です。作者としては、レビューを書く人が対象を書きやすくなるよう、紹介文で見どころの名前を示しておく、という方向が考えられます。ここで言えるのは「書きやすくする工夫の余地がある」ところまでで、読者の意図を決めつけることはできません。

否定・具体が特定の対象タグに集まるときは、たとえば操作に集中していれば、最初に確認する場所は操作の説明や入口の画面です。これは同じタグが複数のレビューに現れたときにだけ言えることです。1件だけなら、その人の環境や好みの可能性もあります。

否定・抽象が多いときは、作品の質ではなく、書き手が理由を言葉にしにくい状況があるのかもしれません。どこでやめたのかを思い出せない、書く欄が自由記述なので書き方がわからない、などが考えられます。この場合、レビューを読んで悩むより、遊び方の案内を見直すほうが先です。

要望ありが多いときは、その要望の内容を対象タグごとに分けて並べます。同じ対象に複数の要望があれば、優先度の高い候補です。

起こりやすい誤り

  • 点数と文章を同一視する:星5つでも本文は不満を含むことがあり、星2つでも改善案が丁寧に書かれていることがあります。点数と言葉の区画は別に記録してください。
  • 否定の言い回しを読み違える:「つまらなくはない」は否定の語を含みますが、必ずしも否定とは限りません。語ではなく文全体で判定します。
  • 皮肉や冗談を字面どおりに数える:判断に迷うときは「保留」にしておくのが安全です。
  • プレイ回数を人数として使う:プレイ回数は作品を起動した実測の回数で、同じ端末・同じ作品の30分以内の再起動は重複として除かれますが、人数ではありません。「プレイ回数に対してレビューが少ない」といった比率は、人数あたりの割合としては読めません。
  • 少数の語を一般化する:レビューを書く人は、遊んだ人全体の一部です。数えて見えるのは、書いた人の傾向です。
  • 自分の作品の肯定を過大に評価する:好意的な件数だけを拾うと、否定・具体の情報が埋もれます。四区画すべてを必ず並べてください。

次の行動

レビューが読める作品を一つ選び、前述の列を作って、まず3件だけ分類してみてください。そのうえで、自分がレビューを書くときは、「対象」「場面」「その結果どうしたか」を一文ずつ入れることを試してみてください。2,000文字までの枠のうち、数十文字でも足りることがあります。レビュー一覧の書き出しや作者向けの閲覧方法は、現在の案内で確認してください。