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脱出ゲームの謎は何種類あるか:形で分類する

遊びを見つける

執筆にClaudeを使用しています。

速さ、選択肢、ミスの許容を三つの異なる仕掛けで表したゲーム模型のイラスト。
記事のテーマをもとに制作したAI生成イラスト。

壁に4桁の数字が書かれていて、部屋の隅に4桁の金庫がある場面を考えてみます。この謎を「数字入力の謎」と呼ぶと、同じ名前の謎は何十個も見つかります。ところが、数字が壁にそのまま書かれているのか、絵の中の花びらを数えて得るのか、三つの部屋で見つけた断片を足し合わせて得るのかで、解く側の頭の動きはまったく違います。入力の形が同じでも、謎としては別物です。 そこで題名の問いは「入力や見た目で数える」のをやめ、「手がかりから答えに至る道筋の形」で数えることにします。ヒントと答えがどういう関係で結ばれているかを分類し、さらに謎同士がどう組み合わさっているかを見る、という進め方です。 この記事では「何種類」という数そのものは決めません。読者が1本の脱出ゲームを遊びながら記録し、自分で数えて確かめるための分析の手順を示します。分類は、数え方を先に決めておかないと人によって結果が変わります。そのため、単位・軸・記録の取り方・読み方を順に整えます。

この記事の目次
  1. 「何種類か」は数え方で決まります
  2. 軸は二つだけにします
  3. 記録シートの作り方
  4. 謎のつながりを矢印で描く
  5. 集計と読み方、起こりやすい誤り
  6. 次の行動

「何種類か」は数え方で決まります

最初に、何を一つと数えるかを決めます。ここが揃っていないと、後の集計はすべてずれます。

本記事では、一度の正解で状態が変わるところまでを「一つの謎」とします。金庫が開く、扉の鍵が外れる、新しいアイテムが手に入る、画面が切り替わる、といった変化が一回起きたら、そこで区切ります。

次の2つのケースは、迷いやすいので先に決めておきます。

  • 金庫を開けると中に鍵が入っていて、その鍵で別の扉を開ける場合は、金庫と扉で謎は2つです。状態が2回変わっているためです。
  • 一つの画面に複数の仕掛けがあっても、全部がそろわないと何も起きない場合は、1つの謎です。ただし備考欄に「部品が複数」と書き残します。

数え方は、遊ぶ前に紙の上部へ書いておきます。途中で基準を変えると、前半と後半で数が比べられなくなります。

分類の対象は謎であり、作品ではありません。1本の作品を遊ぶと、手続きの違う謎が混ざって出てきます。したがって「この作品は何型か」ではなく「この作品の中の謎が何型に分かれるか」を数えます。

軸は二つだけにします

分類の軸を増やしすぎると、記入のたびに迷います。まず、手がかりと答えの関係を表す二つの軸に絞ります。

軸1:手がかりの数。 答えを出すために、画面の中で集める必要のある手がかりがいくつあるかを数えます。0個(手がかりなし)、1個、2個以上の3段階で記録します。

軸2:手続き。 手がかりから答えまでに、解く側が何をするかです。出発点として次の5つを用意します。

  • 直結、手がかりから答えまで:見つけたものをそのまま使う、見分ける問い:加工せずに入力や使用ができるか
  • 変換、手がかりから答えまで:規則を見つけて別の形に直す、見分ける問い:規則を当てはめる工程があるか
  • 突き合わせ、手がかりから答えまで:複数の手がかりの共通点や差を見る、見分ける問い:一つだけでは答えが決まらないか
  • 整列、手がかりから答えまで:順序や位置を決める、見分ける問い:答えが並びや配置の形か
  • 操作、手がかりから答えまで:動かして反応を見ながら詰める、見分ける問い:正解を入力する前に、画面の変化で確かめられるか

この5つは出発点です。遊んでいて「どれにも入らない」謎が続くなら、型を足してかまいません。ただし、足すときは理由を一行メモしておきます。

軸1と軸2を掛け合わせると、たとえば「手がかり1個の変換」「手がかり2個以上の突き合わせ」のように、謎の形が表せます。「手がかり0個の操作」は、手がかりが見当たらず触って確かめるタイプです。この掛け合わせの組が、題名の問いに対する「形による種類」になります。

ゲーム内ヒントも別の列で記録します

ヒント機能がある作品では、ヒントがどこまで答えに近づけてくれるかも記録しておくと、手がかりと答えの関係がよく見えます。「どの謎で、ヒントを何回見たか」と「ヒントは方向だけを示したか、答えに近い情報まで示したか」の二点です。

練習台には、アソバースの公式作品「プリズムの道」が使えます。鏡(/と\を切り替え)と色ガラスで、灯台へ同じ色の光を届ける8ステージの光学パズルで、一歩だけのヒントがあります。この作品は脱出ゲームではありませんが、ステージを一つずつ「謎」とみなして同じ記録を取れます。一歩だけのヒントが具体的に何を示すかは、作品を開いて確かめてください。

記録シートの作り方

スプレッドシートか紙で、次の列を用意します。1行が1つの謎です。

  1. 番号(出会った順)
  2. 謎の名前(自分で付けた短い呼び名)
  3. 手がかりの数(0/1/2個以上)
  4. 手がかりの場所(同じ画面/別の場所/持ち物)
  5. 手続き(直結/変換/突き合わせ/整列/操作)
  6. 答えの形(数字・文字/配置・順序/アイテムの使用など)
  7. 前提となる謎(この謎に必要な、他の謎の答えの番号)
  8. ヒント使用回数
  9. 迷った印(分類に迷ったら印を付ける)

記入のタイミングは、謎に出会った直後と、解いた直後の2回に分けます。出会った直後に手がかりの数と場所を書き、解いた直後に手続きを書く、という流れです。解いたあとに全部まとめて書くと、実際に感じた手順ではなく「正解を知ってからの整理」になりやすいためです。

謎の途中で手続きが変わったら、一行にまとめず、行を分けます。前節の区切りに従えば、状態が変わる単位で分かれるはずです。

謎のつながりを矢印で描く

脱出ゲームの面白さは、個々の謎より、謎同士の組み合わさり方に出ます。それを見るために、記録シートの「前提となる謎」の列を使って図を描きます。

謎を点にして、「謎Aの答えが謎Bの手がかりになる」とき、AからBへ矢印を引きます。ここで見るのは、次の3つです。

  • 直列に近いか。 矢印が一本道につながる作品は、順番を守って進む構造です。
  • 並列部分があるか。 前提を持たない謎が複数あれば、同時に取り組めます。詰まったときに別の謎へ移れるかどうかは、この部分で決まります。
  • 合流点があるか。 矢印が2本以上集まる謎です。ここが、組み合わせの場所です。

合流点には、2種類あります。一つは、別々の謎の答えを持ち寄ってはじめて解ける謎です。もう一つは、アイテムと仕掛けを組み合わせる謎です。どちらも「前提となる謎」の列に二つ以上の番号が並ぶので、シートの上で機械的に数えられます。

もう一点、見ておくとよいのが矢印の長さです。ある謎で得た答えが、かなり後の謎ではじめて使われる場合があります。この「寝かせ期間」が長い謎は、遊ぶ側にとって覚えておく負担が大きくなります。何個先で使われたかを、番号の差で測れます。

集計と読み方、起こりやすい誤り

記録が終わったら、集計します。スプレッドシートの関数でも足りますが、記録を配列にして数える短いコードも用意しました。ブラウザの開発者ツールのコンソールに貼ると動きます。下のデータは書式を見せるための記入例(架空)で、実際の作品の結果ではありません。

javascript
// 記入例(架空)。clues は画面で集める手がかりの数、needs は前提となる謎の id
const puzzles = [
  { id: "A", proc: "直結",       clues: 1, needs: [] },
  { id: "B", proc: "変換",       clues: 1, needs: ["A"] },
  { id: "C", proc: "突き合わせ", clues: 3, needs: [] },
  { id: "D", proc: "操作",       clues: 0, needs: ["B", "C"] },
];

const count = {};
for (const p of puzzles) count[p.proc] = (count[p.proc] || 0) + 1;
console.log("手続き別の件数", count);

const multi = puzzles.filter(p => p.clues >= 2).length;
console.log("手がかり2つ以上の割合", multi / puzzles.length);

const joins = puzzles.filter(p => p.needs.length >= 2).map(p => p.id);
console.log("前の答えを2つ以上要る謎(合流点)", joins);

出力の読み方は次のとおりです。

  • 手続き別の件数。 特定の型に偏っているかを見ます。件数の多い少ないは良し悪しではなく、作品の性格を知る手がかりです。複数の作品を比べるときは、本数が違うので、件数ではなく全体に対する割合で並べます。
  • 手がかりが2つ以上の割合。 集めて回る作業の重さの目安です。割合が高いほど、メモや記憶の負担が増える傾向があると考えられます。ただし、これは検証が必要な仮説です。
  • 合流点。 作品全体の要です。合流点で自分が詰まったかどうかを、ヒント使用回数の列と照らして確かめます。詰まりが合流点に集まっているなら、組み合わせの設計がその作品の難しさを作っていると読めます。

起こりやすい誤り

  • クリア後の知識で分類する。 正解を知ったあとでは、すべての謎が「直結」に見えがちです。初見でどんな手順を踏んだかで記入します。
  • 型を増やしすぎる。 迷った謎には印を付けるだけにして、型の追加は遊び終えてから検討します。迷う謎がシート全体のごく一部に収まっているなら、今の型で足りています。
  • 連鎖を一つに押し込む。 状態が変わるたびに行を分けるルールを守ります。
  • ヒントを使った謎を区別しない。 ヒントで解いた謎は、自力で解いた謎と手続きが変わっている可能性があります。ヒント使用回数の列で見分けます。
  • 1本の結果を脱出ゲーム全体に広げる。 1作品で分かるのは、その作品の構造だけです。「脱出ゲームの謎は何種類か」という問いに近づくには、複数の作品で同じシートを使います。

分類の信頼性を確かめたいなら、二人が別々に同じ作品を記録し、手続きの列がどれだけ一致したかを比べる方法があります。一致しなかった謎は、型の定義があいまいな箇所を教えてくれます。ここを直すことが、基準を磨く一番早い方法です。

次の行動

まず、アソバースで遊べる謎解き系の作品か、手元の脱出ゲームを1本選び、上の記録シートで全部の謎を記入してください。道具に慣れたいときは、「プリズムの道」の8ステージを謎に見立てて、手がかりの数・手続き・ヒント使用回数を記録すると、手順の試運転になります。

1本分が終わったら、矢印の図を描いて合流点を探します。その後、別の作品でも同じシートを使い、型の割合を並べてみてください。「何種類あるか」の答えは、そのときに自分の記録から出てきます。