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用語の言い換え集を仲間と作る手順:難しい言葉を自分の言葉にする

遊びを見つける

執筆にClaudeを使用しています。

活版のような抽象的な字形とローラーを並べ、太さや間隔を検討する写真風イメージ。
記事のテーマをもとに制作したAI生成イラスト。

作品の紹介ページに「プレイ回数 1,000」と出ているのを見て、「1,000人が遊んだ作品なんだ」と受け取る場面を考えてみます。とても自然な読み方ですが、アソバースのプレイ回数は人数ではなく、作品が起動された回数です。同じ端末で同じ作品を30分以内に起動し直した分は、重複として数えません。 「人数ではなく起動の回数です」と言われても、ピンとこない人は多いはずです。ここで必要になるのは、正しい説明を増やすことよりも、その言葉を聞く人が自分の言葉で言い直せる形にすることです。この記事では、そうした「用語の言い換え集」を、家族・友人・制作仲間などで一緒に作る方法を、実際にやれる手順として組み立てます。 なお、ここで扱うのは「作り方」です。言い換え案が実際に伝わったかどうかは、読者が自分の周りの人で確かめて初めてわかります。この記事に結果は載せません。

この記事の目次
  1. 言い換えは「短くする」ことではない
  2. 集める:つまずきを用語リストにする
  3. 一つの用語を三層で書く
  4. 聞き手テスト:言い換えを検査する設計
  5. 共同で育てる:持ち寄りと更新のルール
  6. 次の行動

言い換えは「短くする」ことではない

難しい言葉を言い換えるというと、短く、やさしい単語に置き換える作業を思い浮かべがちです。しかし、置き換えるだけではうまくいかないことが多くあります。

「プレイ回数」を「遊んだ人の数」と言い換えれば、確かにやさしくなります。ところが意味が変わってしまい、誤解を固定してしまいます。やさしさと正確さは、片方を削ってもう片方を得る関係ではありません。

言い換えの仕事は、次の三つに分けると整理しやすくなります。

  • 核を決める:この言葉で絶対に落としてはいけない要素は何かを決めます。
  • 置き場を変える:核を、聞き手が普段使っている言葉や身近な場面に載せ替えます。
  • ずれを検査する:載せ替えたことで、余計な意味が混ざっていないかを確かめます。

「プレイ回数」なら、核は「①起動された回数である」「②人数ではない」の二つです。この二つが残っていれば、言い方はいくらでも変えられます。逆に、どれだけ親しみやすくても、②が抜ければ失敗です。

共同作業にする意味はここにあります。作る本人は意味を知っているので、言い換え案が伝わるかどうかを自分では判断しにくくなります。聞き手になる人が一人いるだけで、ずれが見えるようになります。

集める:つまずきを用語リストにする

最初の作業は、言い換えるのではなく、集めることです。辞書的に難しい言葉を並べるより、実際に誰かが立ち止まった言葉を拾うほうが、役に立つ言い換え集になります。

集め方は次のとおりです。

  1. 家族や友人、チームの人に、アソバースの画面や投稿画面、作品の説明を見てもらいます。
  2. 「ここで手が止まった」「意味があいまいなまま進んだ」という言葉に印をつけてもらいます。
  3. 印のついた言葉を、一行一語で書き出します。人数分をまとめ、重複は一つにします。

集める対象は、作る人・遊ぶ人・保護者・学習者で変わります。たとえば、次のような言葉が候補になります。

  • 遊ぶ人向け:プレイ回数、ランキングの「評価順」、クラウドセーブ、自動パス、再接続
  • 作る人向け:index.html、相対パス、ZIP展開後の上限、sandbox、SDK、サービスワーカー
  • 保護者・学習者向け:メール確認、非公開化、退会時に削除されるもの、架空クリエイター
  • 盤面ゲームの用語:アンパッサン、キャスリング、スウィング、ループ

候補が30語を超えたら、全部を一度に始めないことをおすすめします。つまずいた人の数が多い順に、まず5語から始めます。5語を最後までやり切ると、作業の型が身につきます。

注意したいのは、「簡単なはず」と思う言葉を除外しないことです。作る側が当たり前だと思っている言葉ほど、聞き手が黙って飛ばしている場合があります。

一つの用語を三層で書く

集めた言葉は、三つの層で書きます。一層だけだと、伝わらない場面が出てくるからです。

  1. 一言:十数文字で言える短い説明です。核の要素をすべて入れます。
  2. たとえ:身近なものに置き換えた説明です。使う場合は、どこまで当てはまるかも書きます。
  3. 確かめ方:読者が画面を開いて自分で確認できる行動です。確認できないものは、無理に作らず空欄にします。

アソバースの確認済みの事柄から、いくつか例を作ってみます。

  • プレイ回数、一言:作品が起動された回数です。人数ではありません。、たとえ(と限界):図書館の「貸出回数」に近いです。同じ人が何度も借りれば増えます。ただし30分以内の再起動は重複として除かれます。、落とし穴:「人気の人数」と読むと、実際より多く見積もってしまいます。
  • 自動パス、一言:置ける場所がない手番が、自動で飛ばされる仕組みです。、たとえ(と限界):「持ち札に出せるカードがないとき、自動で見送られる」感覚です。、落とし穴:相手が操作を怠ったわけではありません。
  • クラウドセーブ、一言:ログイン中に、進行をアカウントに預けておく仕組みです。、たとえ(と限界):端末の外に置く貸し金庫のようなものです。ただし作品ごとにJSONで128KiBまでという上限があります。、落とし穴:ゲストの進行は端末内に保存され、ログイン後に自動では混ざりません。
  • sandbox(サンドボックス)、一言:ゲームを囲いの中で動かし、外へ影響を出さない仕組みです。、たとえ(と限界):砂場の柵に近いです。中では自由に遊べますが、柵の外には出られません。、落とし穴:「絶対に安全」という意味ではありません。そう言い切る説明は避けます。
  • 相対パス、一言:index.htmlから見た位置で、素材の場所を書く方法です。、たとえ(と限界):「この部屋から見て隣」といった道案内です。、落とし穴:住所のような絶対的な場所ではなく、基準の置き場所が変わると通じなくなります。

「たとえ」に必ず限界を書くのは、比喩が広がりすぎるのを防ぐためです。「貸し金庫」と言い換えたクラウドセーブについて、「では金庫の中身を誰かが見られるのか」という疑問が聞き手に生まれる場合があります。そうした問いに答えられない比喩は、無理に使わないでください。確認できない仕様は、「現在の案内で確認する」と書くのが誠実です。

また、「確かめ方」の層は、読者が行動に移せる形にします。たとえば、投稿作品のプレイ回数は、作品を一度開いて、30分以内にもう一度開いたときにどう扱われるかという仕組みの説明です。実際の画面での挙動は、自分の目で確認する範囲にとどめます。

聞き手テスト:言い換えを検査する設計

言い換え案ができたら、伝わったかどうかを検査します。ここでは「わかりましたか」と聞きません。人は「わかった」と答えがちで、理解の有無を測れないからです。代わりに、聞き手に自分の言葉で言い返してもらいます。

準備するもの

  • 検査する用語と、言い換え案(一言・たとえ)
  • 事前に決めた「核の要素」のチェックリスト(プレイ回数なら、①起動の回数、②人数ではない)
  • 聞き手(その用語を知らない人、あるいは自信がない人)
  • 記録用の表(紙でも表計算でも構いません)

手順

  1. 聞き手に、用語を知っているかを先に聞き、知識の有無を記録します。
  2. 言い換え案を、読むか読み上げるかして伝えます。補足説明はしません。
  3. 少し間を置いてから、「友達に説明するとしたら、何と言いますか」と聞きます。
  4. 返ってきた言葉を、できるだけそのまま書き取ります。
  5. 核の要素が入っているかを、チェックリストに照らして確認します。

記録の取り方

1案につき、聞き手を3人以上に頼むのがおすすめです。1人の結果だけでは、その人の個性なのか案の問題なのか区別できません。一人に複数案を見せる場合は、先に見た案が次の案に影響するので、案を見せる順番を入れ替えます。

記録は、次の項目を一行にまとめます。

  • 用語と案の番号
  • 聞き手(年代や、その分野への慣れなど)
  • 言い返しの内容(原文のまま)
  • 核の要素の充足(要素ごとに○か×)
  • 気づいた点(詰まった箇所、聞き返された箇所)

結果の読み方

  • 全員が核の要素を満たしたなら、その案は一度採用してかまいません。
  • 要素の片方だけが落ちる人が複数いたなら、その要素を一言の中で目立つ位置に動かすか、一文を分けます。
  • 言い返しの中に、案にない意味が混ざっていた(たとえば「人数」と言い返された)なら、たとえが原因の可能性があります。たとえを差し替えるか、限界の文を前に出します。
  • 聞き手によって結果が大きく割れたなら、案は悪くなくても、前提知識の差が大きい可能性があります。聞き手の属性を分けて記録を見直します。

起こりやすい誤り

  • 聞き手が頷いただけで、言い返しを求めなかった。
  • 作り手が言い換えの文言を覚えていて、自分で答えてしまった。
  • 聞き手を、言葉に慣れた身内ばかりにそろえてしまった。
  • 言い返しがうまくいかなかった原因を、聞き手の理解力のせいにしてしまった。

最後の誤りは特に大切です。言い返せなかったのは、聞き手ではなく案の問題として扱います。

共同で育てる:持ち寄りと更新のルール

検査を通った言い換えは、言い換え集としてまとめます。複数人で育てていくには、最初にいくつかのルールを決めておくと混乱しません。

  • 核を先に書く:言い換え案を出す人は、必ず核の要素のチェックリストを添えます。核がない案は、評価できません。
  • 投票より検査:好みの投票で決めず、聞き手テストの結果で決めます。「かわいい表現」が必ずしも伝わるとは限りません。
  • 版を残す:差し替えたときは、古い案も消さずに残し、なぜ替えたかを一行書きます。後から見返して、同じ失敗を避けられます。
  • 確認できない内容は書かない:サービスの仕様に関わる言葉は、公式の案内で確かめられる範囲だけを書きます。わからない部分は「現在の案内で確認する」と明記します。
  • 期限をつける:仕様や画面は変わることがあります。言い換え集には日付を入れ、見直す時期を決めておきます。

共有の仕方も考えておきます。身内なら一枚の紙や共有ドキュメントで十分です。作品を投稿する人なら、作品の紹介文や遊び方の説明に使える言い換えを、そのまま転用する方法もあります。ただし、紹介文を書くときは、サービスの仕様を言い換えるのではなく、自分の作品の中身を説明する言葉を選んでください。

なお、サービスの機能として、言い換え集の投稿窓口があるわけではありません。ここで説明したのは、手元で仲間と進めるやり方です。

次の行動

まず、身近な人に画面を見てもらい、手が止まった言葉を5つ集めてください。次に、そのうち1つについて、核の要素を2つ書き出し、一言の案を作ります。最後に、3人に言い返してもらい、核が残っているかを記録します。結果が割れたら、案のどこを直すかを考えるところから、言い換え集づくりが始まります。