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もし盤面が毎日少しずつ狭くなるオセロがあったら

遊びを見つける

執筆にClaudeを使用しています。

空きマスが残る青いオセロ盤を挟み、手を止めて考える二人を描いた版画風イラスト。
記事のテーマをもとに制作したAI生成イラスト。

8×8のオセロ盤を前に、次のルールが加わる場面を考えてみます。対局は何日かにわたって続き、一日が終わるごとに盤の端が一列ずつ削られます。削られたマスの石は消えます。初日は見慣れた盤ですが、翌日には7行になり、その翌日には7×7になります。最後には、盤の中央付近の小さな領域だけが残ります。 通常のオセロなら、序盤の手は中盤のために、中盤の手は終盤のために打つものです。ところが盤そのものが縮むと、「終盤の盤」は最初の盤とは別物になります。今日いちばん価値のある石が、明日には盤の外にあるかもしれません。時間で形が変わる盤で長期の戦略を立てるとは、結局何を考えることなのかを、この記事で順に確かめていきます。 後半では、紙と硬貨で自分で試すための設計書も用意します。結果は書きません。どちらが有利になるかは、読者が自分の対局で確かめる部分です。

この記事の目次
  1. まず決めるべき三つの設計
  2. 既存の定石は何に化けるか
  3. 長期戦略の芯は「逆算」と「予告」
  4. 紙とコインで確かめる設計書
  5. 作る・遊ぶへつなげる
  6. 次の行動

まず決めるべき三つの設計

「狭くなる」と一言で言っても、決めていないことが多すぎます。この仮想ルールで勝敗を左右するのは、次の三点です。

  1. 何が削られるか:外周を一周まとめて削るのか、一日に一辺ずつ削るのか。後者なら、上、右、下、左の順に回す方法もあります。
  2. 削る順は事前に見えるのか:予告されていれば、次に消えるマスを見越して打てます。予告がなければ、運の要素が強くなります。
  3. 消えた石をどう扱うか:単に捨てるのか、消えた石の数を点数に反映するのか。この記事では単純に、削られたマスの石は盤上からも勝敗からも消えるものとします。

この三点のうち、長期戦略に最も効くのは二つ目の予告の有無だと考えられます。予告があると、プレイヤーは「いつ・どこが消えるか」を前提に何日も先の盤を想像できます。予告がなければ、考えるのは「今の盤で崩れにくい形」くらいまでです。まず予告ありで考え、あとで予告なしと比べてみます。

もう一つ、「毎日」の意味にも二通りの解釈があります。一つは、毎日新しい対局をして、日ごとに盤が小さくなるシリーズ戦です。もう一つは、一局が何日も続き、その間に盤が削られていく形です。前者は対局どうしで持ち越すものがなければ、長期戦略は生まれません。この記事は後者、つまり一局の中で盤が縮み続ける形を中心に考えます。

既存の定石は何に化けるか

通常のオセロで一般に知られている考え方を、削り付きの盤に当てはめてみます。

角の価値。 通常のオセロでは、角に置いた石は返されにくく、辺や周囲の確保につながるため、角は強いとされます。しかし削りのある盤では、角は削られれば消えます。角を取るために払った手が、数日後には盤の外へ消えるかもしれません。一方で、外周が一列削られるたびに、新しい角と新しい辺が生まれます。つまり「角」は固定の地点ではなく、毎日更新される役割になります。

辺と外周の石。 外周に置いた石は、通常は返される危険と引き換えに安定しやすい位置です。しかし削りがあると、外周の石は期限つきです。石の数が最後に数えられる以上、外周の石は「消える前に何を返す起点になったか」だけが残ります。

開放度と手数の調整。 周りに空きマスの多い石は、相手に利用されやすいとされます。盤が削られると、空きマスの総数も毎日変わります。終盤で「最後に打てる側」が有利になりやすいという偶奇(パリティ)の考え方も、領域の大きさが毎日書き換わるため、昨日の数え方が通用しなくなります。ここは断定せず、実際の対局で確かめる論点として扱います。

石の枚数。 通常のオセロでは、序盤に石を多く取りすぎることは、相手に打てる場所を与えるため危険だとされます。削りがあると、外周で石を多く取るほど、削られたときの損失も大きくなります。逆に、中央に残る石は消えにくい資産になります。

以上は一般論からの推測です。実際にどう変わるかは、対局して確かめるしかありません。

長期戦略の芯は「逆算」と「予告」

削りがある盤では、長期戦略は主に二つの形をとると考えられます。

一つ目は、最終盤からの逆算です。 盤がどこまで縮むかを決めておけば、最後まで残るマスがわかります。8×8から一日一辺ずつ削ると、中央の4マスは長く残ります。そこで、最後まで残る領域を最終的に握る側が有利、という仮説が立ちます。この仮説に従えば、外周では石をわざと譲り、削られる前に相手の石を外周へ追いやる、といった打ち方が考えられます。ただし、石を譲ること自体が相手に打てる場所を与える危険もあります。このあたりが、通常のオセロの感覚とぶつかる面白いところです。

二つ目は、予告を使った手番の調整です。 削られるマスが事前にわかれば、「明日消えるマスに置いても損がない」と読める日が出てきます。消えるマスは、相手の石を返すための足場として、使い捨てにできます。これは通常のオセロにはない、「置くこと自体に期限がある」感覚です。逆に、明日の自分の置き場所が消えるなら、今日のうちに打っておく必要も出てきます。

予告なしの場合、プレイヤーは確率で考えることになります。「いつか削られる」前提で、外周に石を置いたまま放置しない、という消極的な戦略になりやすいでしょう。予告の有無で戦略の質が変わるかどうかは、設計書の実験で確かめられる論点です。

紙とコインで確かめる設計書

道具があれば、すぐに自分で試せます。

準備するもの

  • 8×8の方眼紙(ノートの罫線を引いても構いません)
  • 黒と白の代わりになる二種類の硬貨、または色違いの紙片
  • 削ったマスに付ける×印用の付箋や鉛筆
  • 記録用の紙

ルールの置き方

  • 初期配置は通常のオセロと同じにします。
  • 一日分を「黒白それぞれ数手」と決めます。たとえば、黒白2手ずつ(合計4手)で一日と数えます。
  • 一日が終わったら、上、右、下、左の順に一辺ずつ削ります。削ったマスの石は取り除きます。
  • 打てる手がなくなったらパスし、両者とも打てなくなるか、盤が最小になったときに終局します。最後に石の多い方を勝ちとします。

実験の問い

「削りは、削りなしの通常オセロと比べて、序盤に優勢だった側の勝ちやすさを変えるか」を確かめます。

記録の取り方

1局ごとに、次の項目を記録します。

  • 削りが始まる直前の枚数差
  • 終局時の枚数差
  • その時点で角(盤の隅)を取った回数
  • 最後まで残った中央4マス(または残った領域)の所有者

少なくとも、削りありと削りなしをそれぞれ5局以上行います。先手後手は局ごとに交代してください。可能なら、予告ありと予告なしも比べます。

結果の読み方

  • 削り直前に優勢だった側が、終局でも勝つ割合が削りなしの場合と近ければ、削りは勝敗に大きく影響していません。
  • 優勢だった側の勝率が下がり、中央の所有者がそのまま勝者になる割合が高ければ、最終盤の領域を握る戦略が効いている可能性があります。
  • 予告ありのほうが逆転が起きにくいなら、予告が読みの精度を上げていると解釈できます。逆に予告なしのほうが逆転が少なければ、予告が使い捨ての手を増やしているのかもしれません。

起こりやすい誤り

  • 局数が少ないまま結論を出すと、偶然に引きずられます。
  • 同じ相手とばかり対局すると、慣れの影響が結果に混ざります。
  • 先手後手を固定すると、先手の偏りが結果に出ます。
  • 削りの順番を対局中に変えてしまうと、比較になりません。事前に決めたルールのまま通してください。

盤の範囲を確認する小さなコード

紙に削りの形を書き出す手間を省くために、どのマスが残るかを表示するコードを用意しました。保存してブラウザで開けば、そのまま動きます。

html
<pre id="out"></pre>
<script>
const N = 8;
function alive(r, c, day) {
  const cut = [0, 0, 0, 0]; // 上, 右, 下, 左
  for (let i = 0; i < day; i++) cut[i % 4]++;
  return r >= cut[0] && r < N - cut[2] && c >= cut[3] && c < N - cut[1];
}
function show(day) {
  let s = "";
  for (let r = 0; r < N; r++) {
    for (let c = 0; c < N; c++) s += alive(r, c, day) ? "■" : "・";
    s += "\n";
  }
  return s;
}
let text = "";
for (let d = 0; d <= 6; d += 2) text += "day " + d + "\n" + show(d) + "\n";
document.getElementById("out").textContent = text;
</script>

day が1増えるごとに、上、右、下、左の順に一列ずつ削られます。for の条件を変えれば、好きな日の形を確認できます。削る順や頻度を変えたいときは、cut[i % 4]++ の部分を書き換えます。

作る・遊ぶへつなげる

削りのある盤を実際に遊べる形にするには、まず通常のオセロの感覚を固めておくのが近道です。公式作品の「潮目のオセロ」には、ひとり対局に3段階の相手、返る石のプレビュー、理由付きのヒント、一手戻す機能があります。ヒントと一手戻すはひとり対局のみです。この作品に、盤が削れる機能はありません。ここで鍛えられるのは、角や辺、開放度についての基本的な読みです。

日をまたいで続きを遊ぶ形を自作するなら、保存の仕組みが必要です。アソバースの確認済みの案内では、アップロード作品の localStorage は一時メモリーの互換処理にとどまります。ログイン中のクラウドセーブは、作品ごとにJSONで128KiBまで使えますが、使い方は現在の公式案内で確認してください。盤面は64マス程度なので、容量の面では収まる見込みです。

「潮目のオセロ」のオンライン対局は、部屋が24時間、部屋と対戦履歴は作成から7日後に削除対象となる仕様です。そのため、数日をかける削り型の対局を、この仕組みでそのまま続けることは想定されていません。投稿作品向けの共通対戦APIも、現時点では提供されていません。二人で遊ぶ場合は、同じ端末で交代する形が現実的です。

作品として公開する流れは、HTMLまたはZIPをアップロードし、入力、表示の確認、公開の3段階です。公開にはメールアドレスの確認が必要で、下書き保存や公開後の更新もできます。最初は削りのルールだけを入れた小さな版を作り、遊んだ人の反応を見ながら育てる形が向いています。

次の行動

まず、方眼紙と硬貨を用意して、削りありの対局を5局、削りなしの対局を5局、先手後手を交代しながら記録してみてください。結果を見て、「最後まで残る中央を握る」仮説が当たっていたかを確かめれば、この盤の長期戦略の芯が見えてきます。そのうえで、コードの cut の回し方を変えるなどして、自分だけの削りルールを作ってみてください。