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もしゲームの音が全部自分の声だったら

遊びを見つける

執筆にClaudeを使用しています。

成功、失敗、選択に応じた三種類の音を、異なる形の響きで表したイラスト。
記事のテーマをもとに制作したAI生成イラスト。

ジャンプの音が「ぴょん」と口で言った自分の声で、コインを取る音が舌打ちに近い「ちっ」という破裂音、ダメージを受けると低く短いうめき声、BGMは口で刻むリズムと鼻歌。そんな横スクロールのゲームを作る場面を考えてみます。効果音もBGMも、素材はすべて自分の声の録音だけです。 この制約でまず起きそうなのは、笑ってしまうほどの手作り感です。しかし、音源が一つに決まると、音の違いは「高さ」「長さ」「子音の硬さ」「息の量」でしか作れなくなります。そのため、どの音をどの役割に割り当てるかを真剣に考えざるをえません。この記事では、音源を一つに限定したときに世界観がどう作られるのかを、思考実験として展開します。後半では、読者が自分の声で確かめる手順も示します。

この記事の目次
  1. 音源が一つだと、統一感が先に手に入る
  2. 声の「言葉らしさ」を消して、部品として使う
  3. 役割ごとに「声の特徴」を割り当てる
  4. 自分の声で確かめる実験の設計書
  5. 少ない音色の作品で「制約の聞こえ方」を比べる
  6. 声を公開するときに考えておくこと
  7. 次の行動

音源が一つだと、統一感が先に手に入る

ふつうのゲームでは、効果音は効果音の素材集から、BGMは別の作曲から、環境音はさらに別の録音から集まります。それぞれは良い音でも、並べると質感が揃わないことがあります。

声だけで作ると、この問題は最初から消えます。すべての音が同じ口、同じ部屋、同じマイクを通っているので、質感が自然に揃います。音の一つひとつが「同じ誰かが作った」と聞こえるため、世界のほうが「誰かが口で再現している世界」という性格を帯びます。

この性格は、見た目と相性を選びます。たとえば次のような組み合わせを考えられます。

  • 紙や粘土のような手作り感のある絵柄。声の素朴さと質感が噛み合いそうです。
  • 精密なSFや重厚なファンタジー。声で作った音が「ごっこ遊び」に聞こえ、世界の硬さとぶつかりそうです。
  • 子ども部屋やおもちゃ箱のような設定。声が出ること自体が世界観の説明になります。

どれが合うかは、作ってみて聴くまで分かりません。ただ、「声という音源が世界に何を言わせてしまうか」を先に考えておくと、絵柄や題材を選ぶ段階から設計が始められます。

声の「言葉らしさ」を消して、部品として使う

声を使うときの落とし穴は、意味が付いてしまうことです。「やった!」と言えばそれは感想であり、プレイヤーには効果音ではなくセリフとして届きます。使い続けると、うるさく感じたり、同じ言葉に飽きたりしやすくなります。

そこで、言葉ではなく音の部品として分解して考えます。

  • 母音:「あ」「お」などの伸ばす音。高さを動かしやすく、メロディやうめき声向きです。
  • 破裂音:「ぱ」「ち」「く」のような短く鋭い音。コイン、ボタン、足音など、小さな出来事向きです。
  • 摩擦音・息の音:「さー」「ふー」。風、水、煙などの環境音に向きます。
  • 唇や舌の音:唇を震わせる音、舌を鳴らす音。機械っぽさや弾む感じを出せます。

この分け方にすると、「意味のある声」を避けつつ、声の個性は残せます。あえて意味のある言葉を一か所だけ使うと、その瞬間が強く目立ちます。たとえばゲームオーバーのときだけ短い言葉を入れる、という設計もありえます。普段は音の部品だけで進め、特別な場面だけ言葉に戻すということです。

役割ごとに「声の特徴」を割り当てる

音源が一つなら、役割の区別は声の特徴で付けるしかありません。ゲームの音を役割で整理し、声のどの特徴を割り当てるか、仮の表にしてみます。

  • 操作の確認、例:ジャンプ、決定、割り当ての候補:短い破裂音、高めの音
  • 報酬、例:コイン、クリア、割り当ての候補:上がっていく高さ、明るい母音
  • 危険・失敗、例:ダメージ、ミス、割り当ての候補:低い音、濁った息、下がる高さ
  • 環境、例:風、水、夜、割り当ての候補:息の音、長く伸ばす摩擦音
  • 音楽、例:BGM、割り当ての候補:口で刻むリズム、鼻歌、重ね録り

この表は、読者が自分のゲームに合わせて書き換えるための叩き台です。大切なのは、役割が違う音を声の特徴で聞き分けられるようにすることです。「報酬は上がる、失敗は下がる」のように方向を揃えると、プレイヤーが説明なしに意味を覚えやすくなります。

同じ声を何度も聞くと飽きやすいため、頻繁に鳴る音(ジャンプや足音)は、同じ録音を2〜3種類用意して交互に鳴らすことも考えられます。ここで、再生速度を少し変える方法が使えます。ただし速度を変えると高さと長さが連動して変わります。高くするとその分短くなり、低くするとその分長くなります。この変化が「声らしさ」を保つのか、おもちゃのように聞こえるのかは、実際に聴いて判断します。

自分の声で確かめる実験の設計書

ここからは、読者が自分で行う実験です。問いは「声だけで作った効果音は、何の音か伝わるか。伝わらないなら何が足りないか」です。結果はこの記事には書きません。自分で行って答えを出す形にしています。

準備するもの

  • スマートフォンなどの録音アプリ(ブラウザの録音でも構いません)
  • 静かな部屋と、聞き手になってくれる人(家族や友人。できれば2人以上)
  • メモ用の紙か表計算ソフト

手順

  1. ゲームに必要な音を10個決めます。例:ジャンプ、着地、コイン、ダメージ、決定、キャンセル、ゴール、ゲームオーバー、風、夜の環境音。
  2. 各音を声で録音します。1音につき2テイク以上、1〜2秒以内を目安にします。
  3. 録音の頭と終わりの無音を削ります。頭に無音が残ると、操作と音のずれとして感じられます。
  4. 音を順番を変えて聞き手に聞かせ、「何の音に聞こえるか」を一言で答えてもらいます。ゲームの説明はしません。
  5. 次に、ゲームの短い映像か画面を見せながら同じ音を聞かせ、同じ質問をします。
  6. 別の日に、同じ音を自分で聞き直し、気になった音に印を付けます。

記録の取り方

音ごと、聞き手ごと、条件(音のみ/画面あり)ごとに、「答えが意図と一致したか」を○△×で記録します。各音は最低3回の聞き取り(聞き手の人数×条件で数える)を目安にします。別に「うるさい」「飽きそう」「面白い」などの感想も、聞き手の言葉のまま書き留めます。

結果の読み方

  • 音だけで一致しない音が、画面ありで一致するなら、それは画面とセットで成立する音です。ゲームの効果音としては問題ない場合が多いです。
  • 画面ありでも一致しない音は、声の特徴の割り当てを見直します。高さの方向、長さ、子音の硬さのどれかを変えて録り直します。
  • 全体の一致が低い場合は、10個の音の違いが小さすぎる可能性があります。役割の表を見直し、声の特徴の差をもっと大きくします。
  • 一致はするが「飽きそう」と言われた音は、テイクを増やして交互に鳴らす候補です。

起こりやすい誤り

  • 音量が録音ごとにばらつき、聞き取りの差が音の中身ではなく音量の差になってしまうこと。録音後に音量を揃えます。
  • 録音の頭や終わりのぷつっというノイズ。短い音ほど目立つので、波形の端を少しずつ小さくします。
  • 聞き手に先に「これは声の効果音です」と説明すると、好意的に聞いてしまうこと。最初の聞き取りは説明なしで行います。
  • 自分の声を聞き慣れすぎて、判断が甘くなること。時間を置いてから聞き直します。

手元のブラウザで試す最小コード

録音した声の高さを変えて再生すると、どう聞こえるかを確かめられます。次のHTMLは、1秒録音して、そのまま、高く、低くの3通りで再生します。ブラウザのマイク許可が必要で、環境によっては動かない場合があります。その場合は録音アプリと編集ソフトで同じ確認ができます。

html
<button id="rec">録音(1秒)</button>
<button id="hi">高く</button>
<button id="lo">低く</button>
<script>
const ctx = new AudioContext();
let buf;
rec.onclick = async () => {
  await ctx.resume();
  const s = await navigator.mediaDevices.getUserMedia({audio:true});
  const mr = new MediaRecorder(s), ch = [];
  mr.ondataavailable = e => ch.push(e.data);
  mr.onstop = async () => {
    s.getTracks().forEach(t => t.stop());
    buf = await ctx.decodeAudioData(await new Blob(ch).arrayBuffer());
    play(1);
  };
  mr.start();
  setTimeout(() => mr.stop(), 1000);
};
function play(rate) {
  if (!buf) return;
  const n = ctx.createBufferSource();
  n.buffer = buf;
  n.playbackRate.value = rate;
  n.connect(ctx.destination);
  n.start();
}
hi.onclick = () => play(1.5);
lo.onclick = () => play(0.7);
</script>

少ない音色の作品で「制約の聞こえ方」を比べる

声以外でも、音色が限られた作品で同じ聞き方を試せます。アソバースの公式作品には、音色が少ないものがあります。たとえば「雨音のピアノ」はフェルトとガラスの2音色、「こだまの森」は4つの音色で光る葉の順番を返すゲームです(音なしでも遊べます)。「WAVE / WAVE」は4つの音を16ステップに並べてループ再生するリズムスタジオです。

これらを開き、音色が少ないと、どこで違いを聞き分けているかを確かめてみます。高さなのか、タイミングなのか、重なり方なのか。そこで気づいた聞き分けの手がかりは、声だけで作る場合にもそのまま使えます。なお、これらの作品が声を取り込めるかどうかは、確認済みの案内にはありません。作品を開いて確かめるか、声の素材は自分の編集環境で用意してください。

声を公開するときに考えておくこと

自分の声は、音として使うだけでなく、個人を特定できる情報になりうる点に注意が必要です。公開前に次を確認しておくと安心です。

  • 声が誰のものか分かって困らないか。家族、とくに子どもの声を使う場合は、保護者が公開の範囲を判断し、本人にも意味を説明してください。
  • 録音に周囲の声や生活音、名前などが混ざっていないか。
  • 公開後に差し替えたくなったとき、どう更新するか。

アソバースに投稿する場合は、HTMLかZIPのアップロード、または公開済みURLを選べます。ZIPなら、音声ファイルは相対パスで同梱し、直下にindex.htmlを置きます。サイズ上限(アップロード20MiB以内、ZIP展開後は合計100MiB・1,000ファイル以内、1ファイル30MiB以内)があるため、1〜2秒の短い声の素材なら余裕があるはずですが、BGMを長く重ねる場合は書き出し形式やサイズを確認してください。マイクをゲーム内から使う場合は、投稿作品がsandbox付きのiframeで実行されるため、現在の案内で動作を確認してください。

声と著作権・肖像やプライバシーの関係を断定的に判断することは避け、迷う場合は公式情報や専門家に確認してください。

次の行動

まず、ゲームで必要な音を10個書き出し、声で録音して、1人に説明なしで聞かせてみてください。「何の音に聞こえるか」の答えを○△×で記録すると、声のどの特徴が役割を運んでいるかが見えてきます。そのうえで、作品の絵柄や題材を、その声に合うものに寄せて考え直してみてください。