マガジン

感想を求められたときに、面白くなかった場合の答え方

遊びを見つける

執筆にClaudeを使用しています。

ゲームを遊んだ具体的な場面を三枚の絵札にし、作者へ届く封筒へ添える情景。
記事のテーマをもとに制作したAI生成イラスト。

友達が作ったブラウザゲームを遊び終えた直後に、「どうだった?」と聞かれる場面を考えてみます。相手は画面の横で、返事を待っています。遊んでみて、正直なところあまり面白くなかったとします。ここで口をついて出やすいのは「すごいね、よくできてるよ」という一言です。 この一言は、その場の空気を守ってくれます。ただ、相手が次に「どこが一番よかった?」と聞いてきたら、答えに詰まります。逆に「うーん、あまり面白くなかった」とだけ返せば、嘘はありませんが、相手には作品全体を否定された感触だけが残ります。 この記事の問いは、嘘をつかずに、相手を傷つけるためではなく役に立つ形で、面白くなかったことを伝えるにはどうすればよいか、です。結論を先に言うと、正直さと配慮は引き算の関係にありません。「何が起きたか」と「それをどう受け取ったか」を分けて話すと、両方を保ちやすくなります。以下で具体的に考えていきます。

この記事の目次
  1. 「どうだった?」は、いくつかの質問が重なっている
  2. 「面白くなかった」を、三つに分けて見る
  3. 伝え方の型:確かだった点、つまずいた点、問い
  4. 避けたい答え方
  5. 相手と場に合わせて調整する
  6. 次の行動

「どうだった?」は、いくつかの質問が重なっている

同じ「どうだった?」でも、相手が知りたいことは場面によって違います。答えを選ぶ前に、何を聞かれているのかを分けてみます。

  • 評価を知りたい:作品が人に面白いと思われるのかを確かめたい。
  • 改善の材料がほしい:直すべき箇所を知りたい。
  • 受け取ってもらえたか確かめたい:遊んでくれたこと自体を確認したい。

三つ目は見落とされがちです。作った本人は、完成させて人に見せるところまで来たこと自体に、緊張と達成感を持っています。この場合は評価の高低よりも、「最後まで遊んだ」という事実や、遊んでいる間に気づいたことが、一番の返事になります。

分からないときは、聞き返してかまいません。「率直に言っていい? それとも、気づいた点を並べようか?」と一言挟めば、相手の求める深さに合わせられます。この確認は、あとで率直な話をするときの許可にもなります。

「面白くなかった」を、三つに分けて見る

「面白くなかった」という判断は、実は三つの層が混ざっています。

  1. 事実:画面で何が起きたか。「最初の画面で操作の説明が見つからなかった」「三回続けて同じ場面でやり直しになった」など。
  2. 体験:そのとき自分がどう感じたか。「どうすればいいのか分からず、少し焦った」「同じことの繰り返しに感じて、気持ちが離れた」など。
  3. 推測:なぜそうなったと思うか。「難しすぎるのかもしれない」「自分の好みに合わなかっただけかもしれない」など。

「つまらない」という言葉は、この三層をまとめて一つの判決にしてしまいます。相手が受け取ると、直せる箇所も見えず、作品の価値そのものを裁かれた印象だけが残ります。

三層に分けて話すと、事実と体験は嘘にならない範囲で、そのまま伝えられます。推測は「かもしれません」と留保をつけて渡せます。好みに合わなかっただけの可能性は、自分でも否定できないからです。この留保は、保身のための言い逃れではなく、正直さの一部です。自分の判断がどこまで確かかを、そのまま示しているからです。

伝え方の型:確かだった点、つまずいた点、問い

具体的な言い方の型を、三段で組んでみます。

一段目:実際に起きたこと、確かだったこと

最初に、嘘のない範囲で本当に良かった点、あるいは確かに受け取ったことを言います。ここで大切なのは、お世辞をひねり出さないことです。良い点が見つからないときは、「最後までやってみた」「三面目まで進んだ」といった事実で十分です。

「最後まで遊びました。色づかいの雰囲気は、最初の画面から伝わってきました。」

感じていないことは言いません。見つかった点だけを、見つかったとおりに言います。

二段目:つまずいた箇所を、場面で言う

次に、面白くなかった理由を、評価語ではなく場面で話します。

「最初の操作で少し迷いました。何を押せば進むのかが分からず、しばらく画面を眺めていました。」「同じ場所で何度かやり直しになって、そのあたりで気持ちが少し離れてしまいました。」

「つまらない」ではなく「気持ちが離れた」と、自分に起きたことを主語にしています。相手は否定されたのではなく、一人の遊び手に起きたことを聞かされたと受け取れます。しかも、操作の分かりにくさややり直しの多さは、直せる具体的な箇所です。

三段目:問いで返す

最後に、断定ではなく問いで締めます。

「やり直しが多くなるのは、狙ったものですか?」「最初に説明を出さなかったのは、何か意図があったのでしょうか。」

問いにすると、作者が意図を説明する余地が生まれます。意図通りなら、それが伝わらなかったという情報になります。意図していなかったなら、気づきになります。どちらに転んでも、会話は続きます。

避けたい答え方

正直さと配慮の両立を崩しやすい答え方を、いくつか挙げます。

  • 中身のない称賛:「いいね」「すごい」だけで終えると、相手は何をどう受け取られたのか分かりません。のちに本音が伝わったとき、「あのときの言葉は何だったのか」という不信につながります。
  • 判決の言葉:「つまらない」「ダメ」。体験を述べているようで、実際は作品への評価を断定しています。
  • ほかの作品との比較:「あの有名なゲームのほうが面白い」。作者は条件の違う比較に反論できず、置き去りにされます。比較が必要なときは、「ある作品では説明が最初の画面にあって助かった」のように、参考にしたい要素だけを取り出します。
  • 他人の意見の借用:「みんなも微妙だって言ってたよ」。確かめようのない多数を持ち出すと、責任が曖昧なまま重さだけが増します。
  • あとから静かに離れる:その場では褒めておいて、以後その話題を避ける対応です。相手はどこかで気づきます。

「後で伝えればよい」も、タイミングを選べば有効です。その場で整理がつかないときは、「面白かったとは言い切れないので、少し考えてからまた話していい?」と時間をもらう方法があります。保留は嘘ではなく、むしろ誠実な応答です。

相手と場に合わせて調整する

同じ型でも、相手と場によって比重が変わります。

子どもが作った作品:事実と体験の二層を中心にし、推測は控えめにします。「ここで迷った」「ここが気に入った」のように、短く具体的に話します。直すべき点を並べるより、次に作りたくなる気持ちを残すほうが大切です。保護者が間に立つ場合は、子ども自身が何を聞きたがっているかを先に尋ねてみてください。

友人や知人の作品:関係が続くからこそ、二段目と三段目が力を発揮します。厳しい内容でも、問いで返せば対話として成立します。

見知らぬ作者の作品へのレビュー:その場で相手の顔が見えない分、言葉だけで届きます。アソバースのレビューは、1〜5点の評価と1〜2,000文字の本文で書けます。投稿にはメールアドレスの確認が必要です。1つのアカウントが1つの作品に書けるのは1件で、あとから本人が編集・削除できます。自作の評価はできません。

点数と本文の両方を書く場面では、点数の基準を自分の中で決めておくと迷いません。たとえば「操作が分からず途中でやめたなら低め、最後まで遊べたなら中間以上」のように、事実に結びつけた目安です。また、評価順のランキングはレビュー3件以上から掲載されるので、一件のレビューが作品の見え方に与える影響は小さくありません。書き直せるとはいえ、読んだ作者が受け取る言葉であることに変わりはありません。

書いて確かめる練習

自分の言い方を試す、簡単な練習の手順です。結果はやってみて初めて分かるので、ここでは手順だけを示します。

  1. 最近遊んだ作品を一つ選び、面白くなかった点を思いつくだけ書き出します。
  2. 書き出した内容を、事実・体験・推測の三つに色分けします。「つまらない」のような判決語は、場面に書き換えます。
  3. 三段(確かだった点、つまずいた点、問い)の形で、三文にまとめます。
  4. 一日置いてから読み返します。自分が作者だったとして、受け取って次の一手が見えるかどうかを、基準にします。
  5. 見えなければ、どの層が足りないかを確認して直します。事実が足りないのか、問いがないのかを見ます。

次の行動

次に誰かから感想を求められたら、最初の一言の前に「事実」と「体験」を一つずつ思い浮かべてみてください。それだけで、「つまらない」の代わりに言える場面が見つかります。アソバースで遊んだ作品にレビューを書くときも、同じ三段の型を試してみてください。書き終えたら、自分が書かれる側でも受け取れる言葉かどうかを、一度読み返して確かめます。