対局中に相手の手を待つ時間に何をするか
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自分の一手を打ち終えた直後、相手の手がなかなか来ない場面を考えてみます。招待リンクで始めたオンライン対局で、盤面は止まったままです。1分たち、3分たち、画面を見つめる以外にすることが見つかりません。このとき、待つ側は何をすればよいのでしょうか。 この問いが難しいのは、待ち時間が「何もない時間」に見えるからです。実際には、その時間の使い方で対局の質も、相手との関係も変わります。盤面を読み進めるのか、画面を何度も切り替えて落ち着かなくなるのか、あきらめて席を立つのかで、対局の後味はかなり違ってきます。 この記事では、待ち時間にできることと、してはいけないとまでは言わなくても避けたいことを整理します。あわせて、自分の待ち方を知るための記録の取り方も紹介します。結果は書きません。読者が自分の対局で確かめる形にします。
この記事の目次
待ち時間の正体は、外から区別できません
相手の手が来ないとき、実際に起きていることは大きく三つ考えられます。
- 相手が盤面をじっくり考えている
- 相手が席を外している
- 相手の接続が一時的に切れている
盤面を見ているだけでは、この三つは区別できません。ここが待ち時間の最大の落ち着かなさです。考えているだけなら待てばよく、席を外しているなら戻りを待つことになり、接続が切れているなら復帰を待つことになります。待つ側にできることは、どれでも大きくは変わりません。
アソバースの「潮目のオセロ」と「灯りのチェス」のオンライン対局には、再読み込みで同じ部屋へ復帰できる仕組みと、投了があります。これは設計から読み取れることとして、次のように言えます。途中で接続が切れても対局は続けられるため、相手が戻ってくる前提で待つ余地が最初から用意されています。一方で、フレンド機能やチャットは現在のところ提供されていません。相手に「考えています」「少し離れます」と伝える手段が、対局の画面にはないということです。
つまり、待たせる側も待たされる側も、言葉なしで相手の事情を想像するしかありません。催促の言葉を送れないのは不便にも見えますが、「急かさない」という姿勢を後押しする側面もあります。この点は後の節でもう一度触れます。
なお、相手の接続状態や手番がどのように画面に示されるかといった細部は、ここでは書きません。この部分は作品を開いて確かめてください。
待つ間にできること:相手の席に座ってみる
待ち時間の使い方で最も実りが大きいのは、相手の立場から盤面を読むことです。
オセロの場合
オセロでは、相手が置ける場所の数が少ないほど、相手の選択肢は狭くなります。これは一般によく知られた考え方です。待っている間に、次の二点を数えてみます。
- 相手が置ける場所はいくつあるか
- そのうち、自分の次の手に影響しそうな場所はどこか
「潮目のオセロ」には、置けない手番を自動でパスにする仕組みがあります。相手に置ける場所がなければ手番は自動で戻ってくるので、待ち時間が長いときは「相手は置ける場所が多く、選びきれずにいるのかもしれない」と、盤面の状態から推測する材料にもなります。もちろん推測にすぎません。
チェスの場合
チェスでは、相手の最後の一手が何を狙っているかを確かめる習慣が役に立ちます。「灯りのチェス」は全棋譜と取った駒を表示するので、待っている間に棋譜を見返せます。たとえば、次のような問いを順に立ててみます。
- 相手の直前の手で、新しく利きが通った駒はどれか
- 自分の駒のうち、守りが足りなくなったものはないか
- 相手が取り返せる駒はあるか
こうして盤面を読み直しておくと、相手の手が来たときに、反射的に応じて見落とす確率が下がります。
先読みしすぎない
ただし、ここには落とし穴があります。相手の手を一つに決めつけて、自分の返しを先に固めてしまうことです。予想が外れたとき、準備した読みがすべて無駄になるだけでなく、気持ちの切り替えにも時間がかかります。
そこで、予想は一つに絞らず、「相手が打ちそうな手を二つか三つ挙げ、それぞれへの方針を一行で持つ」程度にとどめます。細かい手順まで決めないことがコツです。
急かさない姿勢は、何もしないことではありません
待ち時間に避けたいのは、相手を急かすことです。急かす行動には、次のようなものがあります。
- 別の連絡手段で「まだですか」と送る
- 画面の前で明らかに苛立った様子を見せる(同じ空間にいる場合)
- 一定時間待ったところで、相手が考えているのか不明なまま対局を放棄する
最後の項目は、少し補足が必要です。対局を放棄すること自体は、ルールに照らして問題がある行為ではありません。「潮目のオセロ」と「灯りのチェス」には投了があり、これは正式な手段として用意されています。ただ、相手がまだ考えている最中に投了すると、相手にとっては唐突な終わり方になります。
そこで、待つ前に自分の中で次の二点を決めておくと迷いません。
- 何分までは、考えているものとして待つか
- その時間を過ぎたら、どうするか(続けて待つ、投了する、あとで再開する)
この二つを先に決めておけば、待っている最中に「いつまで待てばいいのか」という落ち着かなさを抱えずにすみます。決める基準は人それぞれなので、数字の目安はここでは示しません。次の節で、自分の基準を見つける方法を紹介します。
また、アソバースのオンライン対戦では、部屋は作成から24時間で期限が来る扱いになっています。このことから読み取れるのは、一局を1日以内に終える想定だということです。ただし「24時間のうち何時間まで待つのが礼儀か」といった基準は、仕様にも案内にもありません。この点は対局する二人の感覚で決めることになります。
自分の「待てる限度」を測る観察の設計
待ち時間に感じる焦りは、人によって大きく違います。数分で落ち着かなくなる人もいれば、あまり気にならない人もいます。自分の特徴を知るために、数局にわたる記録を取ってみます。ここで示すのは手順だけで、結果は読者自身の対局で出ます。
準備するもの
- 端末のタイマーかストップウォッチ
- 紙かメモアプリ(下の表の項目を書けるもの)
記録する項目
相手の手番が来るたびに、次の三つを書きます。
- 待った時間、書き方:おおよその秒数または分数
- 待っている間にしたこと、書き方:盤面を読む/棋譜を見返す/別の画面を見る/何もしない、から選ぶ
- 相手の手が来た瞬間の気持ち、書き方:「焦り」「平気」など一言
回数の目安
少なくとも5局分、できれば相手を変えて記録します。一局だけでは、たまたま複雑な局面だったのか、相手の癖なのかの区別がつかないためです。
結果の読み方
記録がたまったら、次の二点を見ます。
- 待った時間が長い手番に、共通点があるか。たとえば駒の取り合いが多い局面や、置ける場所が多い局面が続いているかを確かめます。長い待ち時間が複雑な局面に偏っているなら、相手は考えている可能性が高いと読めます。
- 「焦り」と書いた手番は、待った時間がどのあたりから増えているか。そこが、自分にとっての待てる限度の目安です。
さらに、待っている間にしたことと気持ちの関係も見比べます。「盤面を読む」を選んだ手番で「平気」が多ければ、読むことが焦りを和らげている可能性があります。
起こりやすい誤り
- 途中から時間を測り始める。測ること自体で待ち方が変わります。最初から計るか、思い切って最初の数局は計らないことにします。
- 感情を後から思い出して書く。その場で一言だけ書きます。
- 1局の記録で結論を出す。5局を目安に、少なくとも複数の対局を見比べます。
待たせる側になったとき
ここまでは待つ側の話でした。同じ人が、次の手番では待たせる側になります。
チャットがない画面では、自分が長考していることは相手に伝わりません。そこで、一手に使う時間の目安を、自分の中に持っておく考え方があります。たとえば「迷ったら、いったん候補を二つに絞って、そこから決める」のように、考え方の型を決めておきます。長く考える局面があること自体は悪いことではありません。ただ、相手に何も伝えられない以上、考える時間を使いきる前に、どこかで決める線を引いておくのが礼儀に近い姿勢です。
ひとり対局との違いにも気をつけておきます。「灯りのチェス」のCPUは思考時間が約450msに制限されているので、ひとり対局では待ち時間をほとんど感じません。また、ヒントと一手戻すはひとり対局でだけ使える機能です。ひとり対局でそれらに慣れていると、オンライン対局では「相手の手を待つ」ことと「頼れる助けがない」ことが同時にやってきます。待ち時間に自分で盤面を読む習慣は、この差を埋める準備にもなります。
最後に、一つだけ強調しておきます。相手の考える時間は、相手のものです。待ち時間に何をするかという問いは、突き詰めると「その時間を相手のものとして扱えるか」という問いでもあります。
次の行動
次にオンライン対局をするときは、始める前に「何分までは待つか」と「その先どうするか」を決めておきます。そのうえで、相手の手番が来るたびに、待った時間・したこと・気持ちを一言ずつ記録してみてください。5局ほどたまれば、自分の待ち方の癖が見えてきます。対局は「潮目のオセロ」か「灯りのチェス」で試せます。

