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ゲームのオンライン対戦の歴史:電話回線から今へ

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執筆にClaudeを使用しています。

二つの小さなゲーム盤を糸でつないだ、オンライン対戦のイメージ。
記事のテーマをもとに制作したAI生成イメージ。実際のゲーム画面ではありません。

「オンラインで友達と対戦する」ことが当たり前になったのは、ここ20年ほどのことです。今のゲームはインターネットに接続するだけで世界中の相手と対局できますが、その仕組みが整うまでには、技術者たちの長い試行錯誤がありました。 この記事では、ゲームのオンライン対戦がどのような経緯でここまで発展したかを、時代ごとの技術的な変化と照らしながら振り返ります。「なぜあのころのオンラインは重かったのか」「ラグとはそもそも何か」といった素朴な疑問にも、歴史をたどることで答えが見えてきます。

この記事の目次
  1. 電話回線の時代:つながるだけで大仕事だった1980〜90年代
  2. インターネット普及期:ロビーとサーバーの誕生(1990年代後半)
  3. ブロードバンドとコンソール対戦の確立(2000年代)
  4. スマートフォンとクラウドの時代(2010年代以降)
  5. 技術の変化が生んだ設計の変化
  6. 次の行動
  7. 参考資料

電話回線の時代:つながるだけで大仕事だった1980〜90年代

オンライン対戦の出発点は、電話回線を使った「モデム通信」です。モデム(Modem)とは、デジタルのデータを電話の音声信号に変換して送受信する装置のことで、1980年代にはすでに家庭用パソコンに接続できるものが市販されていました。

この時代の「オンライン対戦」は、主に「パソコン通信」と呼ばれるサービスを経由するものでした。国内ではNIFTY-ServeやPC-VANといったサービスが提供されており、チェスや将棋、テキストベースのRPGなどで対局が行われていました。接続速度は毎秒数百ビット(bps)から数千ビット程度で、今日の家庭用ブロードバンドと比べると100万分の1以下の速度です。1回の接続ごとに電話料金がかかるため、長時間遊ぶことは経済的な負担でもありました。

海外では同時期に「BBS(電子掲示板システム)」を介したゲーム対戦が盛んで、PBM(プレイ・バイ・メール)のように1日1回コマンドを送り合うターン制の戦略ゲームが人気を集めました。リアルタイムの対戦ではなく、手紙をやり取りするような感覚でゲームが進行していたわけです。

インターネット普及期:ロビーとサーバーの誕生(1990年代後半)

1990年代後半になると、インターネットの一般向け普及が始まります。接続の窓口がパソコン通信から「インターネットプロバイダ」へ移行し、TCP/IPプロトコル(データをパケットに分割して送受信する共通の規格)が標準になります。これにより、世界中のサーバーとリアルタイムで通信することが技術的に可能になりました。

この時期に登場したのが「マッチングロビー」という概念です。対戦相手を探すための待機部屋をサーバー上に設け、参加者がそこで相手を見つけてからゲームを開始する仕組みです。Blizzard Entertainmentが1996年にリリースした『Diablo』や1997年の『StarCraft』で採用した「Battle.net」は、このロビー方式を大規模に実装した先駆けとして知られています。

コンシューマーゲーム機の世界では、セガが1998年に「ドリームキャスト」を発売し、家庭用ゲーム機として初めてモデムを標準搭載しました。「ファンタシースターオンライン」(2000年)はドリームキャスト向けに提供され、コンソールゲーム機でオンラインRPGを遊ぶ体験を広く知らしめました。

ただし、この時代の接続は「ダイヤルアップ」が主流で、接続のたびに電話をかける手順が必要でした。途中で切断される「回線落ち」も頻発し、対戦中に相手が突然消える事態は珍しくありませんでした。

ブロードバンドとコンソール対戦の確立(2000年代)

2000年代に入ると、ADSLや光ファイバーによるブロードバンド回線が一般家庭に広がり、常時接続が当たり前になります。速度の向上は「ラグ(遅延)」の大幅な改善につながりました。ラグとは、操作信号がサーバーに届くまでの時間差のことで、回線速度が低いほど対戦の体験が損なわれます。

コンソールゲーム機の分野では、マイクロソフトが2002年に「Xbox Live」を開始したことが大きな転換点でした。ゲームソフトごとにオンライン環境を用意するのではなく、ハード側が共通のアカウントとマッチングシステムを提供するという設計で、のちのコンソールオンライン対戦の標準モデルになります。

この時代に普及した技術のひとつが「P2P(ピア・トゥ・ピア)接続」です。中央のサーバーを介さずにプレイヤー同士が直接通信する方式で、サーバーの維持費を抑えられる反面、一方のプレイヤーの回線が遅いと全員に影響が出る弱点がありました。格闘ゲームやレースゲームのオンライン対戦で「ホストの回線によって体験が変わる」という現象は、この仕組みから来ています。

PCゲームの世界では、2003年にValveの「Steam」が登場し、ゲームの配信とオンライン対戦の管理を一体化したプラットフォームが生まれます。ここから「プラットフォーム上でゲームを購入し、そのままフレンドと対戦する」という現在の体験が形作られていきます。

スマートフォンとクラウドの時代(2010年代以降)

2010年前後にスマートフォンが普及すると、オンライン対戦の間口は一気に広がります。App StoreやGoogle Playで無料または低価格のゲームを入手できるようになり、「ゲームをわざわざ買う」という前提が崩れ始めました。

スマートフォン向けオンライン対戦が普及した背景のひとつは、非同期マッチングの洗練です。非同期とは、プレイヤー全員が同時にオンラインでなくても対戦できる仕組みのことで、モバイルゲームのターン制カードバトルなどに多く使われています。パソコン通信時代のPBMが技術的に進化した形とも言えます。

この時期に重要性を増したのが「サーバーサイドのマッチングアルゴリズム」です。技量の近い相手を自動で選ぶレーティングシステム(MMRやEloレーティングなど)は、初心者と上級者が不公平な対戦を強いられない環境を作るために不可欠な技術として広まりました。

2010年代後半には「クラウドゲーミング」の実験的なサービスが相次いで登場します。ゲームの処理をすべてサーバー側で行い、映像と操作信号だけをやり取りする方式で、端末の性能に依存しない対戦環境が理論上は実現できます。一方で、映像を圧縮して送る性質上、回線速度よりも「遅延の一定さ(低ジッター)」が体験の質を左右するため、インフラ側の課題は続いています。

技術の変化が生んだ設計の変化

オンライン対戦の歴史を振り返ると、技術の制約がゲームの設計そのものを変えてきたことがわかります。

ダイヤルアップ時代は「1ターンずつコマンドを送る」設計しか成り立ちませんでした。ブロードバンドが普及するとリアルタイムの撃ち合いが可能になり、FPS(一人称視点シューター)というジャンルが爆発的に広がりました。モバイル通信の普及は、いつでも短時間だけ遊べる非同期対戦を洗練させました。それぞれの時代の制約が、そのまま「遊び方の発明」につながっています。

現在のオンライン対戦でも、遅延補正技術(ロールバックネットコードなど)の有無がゲームの評価に直結することがあります。ロールバックネットコードとは、遅延が発生したとき過去の状態に遡って正しい結果を再計算する方式で、格闘ゲームコミュニティを中心に採用が広がっています。歴史をたどると、現在の議論の文脈もより深く理解できます。

次の行動

電話回線からブロードバンド、スマートフォン、クラウドへとオンライン対戦の技術が移り変わる様子を、身近にあるゲームで確かめてみてください。自分でブラウザゲームを作ってオンライン対戦を実装してみたい方は、アソバース(https://aso-verse.com)でゲームを公開することができます。まずは仕組みを学びながら、小さな作品を一つ完成させるところから始めるのがおすすめです。

参考資料

  • 情報処理学会「日本のコンピュータ史」関連資料
  • CESA(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会)ゲーム白書
  • Internet Archive — 初期BBS・パソコン通信サービスの記録
  • 各ゲームプラットフォーム公式発表資料(Xbox Wire、Steam公式ブログほか)