「いいね」とプレイ回数の比率:作品ごとの違いの読み方
遊びを見つける執筆にClaudeを使用しています。

ランキングを「プレイ回数」順に切り替えて眺めたあと、「いいね数」順に切り替えてみる場面を考えてみます。どちらの順位表にも載っている作品なのに、順位がかなり違うことがあります。プレイ回数では上のほうなのにいいね数では下のほう、あるいはその逆です。この差は、いいねをプレイ回数で割った「比率」にすると、一つの数として比べられます。 ただし、この割り算は見た目ほど素直ではありません。分母のプレイ回数は人数ではなく起動の回数で、分子のいいねはアカウント単位の数です。単位の違う二つの数を割ったとき、何が言えて何が言えないのか。この記事では、自分で数を集め、割り算し、読み違えを避けるまでの手順を示します。数値の結果は書きません。数える作業は読者自身が行い、その結果をどう読むかの基準を用意するのが目的です。
分子と分母が数えているもの
比率を出す前に、二つの数が何を数えているかを確認します。アソバースの案内で確かめられる範囲では、次のとおりです。
- プレイ回数は、作品を起動した実測の回数です。同じ端末で同じ作品を30分以内に起動し直した場合は、重複として除かれます。人数ではありません。
- いいねは、1アカウントが1作品につき1件までです。「好きな作品」と連動しています。
つまり、分母は「起動の回数」、分子は「アカウントの数」です。同じ人が日を空けて10回遊べば、プレイ回数は増えますが、いいねは最大でも1件です。この性質から、比率の意味は「遊んだ人のうち何割が好んだか」ではなく、「起動回数に対して、いいねが付いた割合」という粗い指標になります。
もう一つ、確認しておきたい点があります。アソバースはログインなしで遊べます。いいねが押せる条件(ログインの要否など)は、「現在の案内で確認する」ようにしてください。ログインしていない遊び手の起動が分母に入り、分子には入らない構造なら、比率は全体的に低めに出ます。ただしこれは、作品どうしを同じ条件で比べる限り、おおむね打ち消し合います。比較の前提として、頭に置いておけば十分です。
数え方の手順:記録表を作る
ここからは手を動かします。表計算ソフトか紙で、次の列を持つ記録表を作ってください。
- 作品名、内容:表示されている名前のとおり
- ジャンル、内容:ランキングの絞り込みで使うもの
- プレイ回数、内容:記録した時点の値
- いいね数、内容:記録した時点の値
- 比率、内容:いいね数 ÷ プレイ回数
- 記録日時、内容:日付と時刻
手順は次のとおりです。
- ランキングを「プレイ回数」順にして、ジャンルを一つ選び、表示される作品の名前とプレイ回数を写します。
- 続けて「いいね数」順に切り替え、同じジャンルのまま、いいね数を写します。
- 二つの順位表の両方に載った作品だけを、記録表の1行にします。
- 比率の列に、いいね数をプレイ回数で割った値を入れます。表計算なら、プレイ回数の列がC、いいね数の列がDのとき、=D2/C2 で出せます。ただしプレイ回数が0の行は割れないので、=IF(C2=0,"",D2/C2) としておくと安全です。
- 1〜4を、ジャンルごと、あるいは日を変えて繰り返します。
ここで起こりやすい失敗が三つあります。
- 上位50作品しか載らないため、片方の順位表にしか出ない作品の数が取れません。その作品を除外したことを表の余白に書き残しておき、無かったことにしないでください。作品ページで数が確認できるかどうかは、現在の案内で確かめます。
- 順位表を切り替える間に数が動くことがあります。1と2は、できるだけ続けて、数分以内に行います。
- 記録日時を書かないと、あとで見直したときに、いつの数かわからなくなります。
割り算の三つの落とし穴
記録表ができたら、比率の列で並べ替えたくなります。そこで読み違えやすい点が三つあります。
落とし穴1:分母が小さい作品の比率
仮に、ある作品のプレイ回数が2回でいいねが1件、別の作品のプレイ回数が200回でいいねが100件だったとします(数は説明用の仮定で、実際の作品の数ではありません)。比率はどちらも同じ0.5です。しかし、前者は「次の1回で比率が0.33にも1.0にも動く」状態で、後者はほとんど動きません。
分母が小さいうちの比率は、偶然で大きく上下します。ランキングの評価順が「レビュー3件以上から掲載」とされているのも、少数の評価で順位が決まるのを避けるための工夫として読めます。同じ考え方を記録表にも持ち込み、「プレイ回数が◯回未満の行は比べない」という足切りの基準を、数を集める前に決めておきます。基準を数を見てから決めると、都合のよい結果に寄せてしまいやすいので、順番が大切です。
落とし穴2:繰り返し起動される作品
前述のとおり、同じ人が何度も遊んでも、いいねは最大1件です。繰り返し起動されやすい作品ほど、比率は下がりやすくなります。これは作品が好まれていないことを意味しません。むしろ何度も戻ってきている可能性があります。
そこで、比率が低い作品を見つけたら、「低い=不人気」と決めず、「繰り返し起動が多い作品かもしれない」という仮説も立ててみます。確かめる手段はあります。自分がその作品で起動し直したくなるかどうかを、遊んで確かめることです。
落とし穴3:同じ時点の数ではない
プレイ回数は増え続け、いいねも後から付きます。公開直後は、遊ばれた直後にいいねが付くので比率が高めになり、時間がたつと下がっていく形もありえます。逆に、じわじわ広まる作品はその逆かもしれません。どちらの形になるかは、数日おきに同じ作品を記録して、自分の目で確かめてください。比率を時系列で並べたグラフが、1回の比率より多くを語ります。
公式作品13本で「遊ばれ方の差」を読む仮説を立てる
アソバースには、設計の異なる公式作品が13本あります。ジャンルを絞り込んで比率を比べるとき、作品の設計から、遊ばれ方の違いを予想できます。ここで書くのは確認済みの仕様から読み取れる仮説で、実際の数がそうなっているとは言っていません。
- 「こだまの森」は、最高記録がゲームを開いている間だけ残ります。記録を伸ばそうと閉じて開き直す遊び方が生まれやすい設計に見えます。もしそうなら、起動の回数に対していいねは増えにくく、比率は低めに出る可能性があります。
- 「余白の庭」「WAVE / WAVE」「かたちのあいだ」は、保存があります。続きから再開できる設計は、「起動のたびに新しく始める」遊び方とは違う起動の積み方になるかもしれません。
- 「潮目のオセロ」「灯りのチェス」は、招待リンクで友達とオンライン対戦ができます。招待される側の起動が加わる点が、他の作品と分母の増え方を変えるかもしれません。招待された人がいいねを押せるかどうかは、現在の案内で確認します。
仮説は、記録表と照らして初めて意味を持ちます。たとえば「保存のある3作品は、保存のない作品より比率が高いか」を確かめたいなら、記録表の「ジャンル」列とは別に「保存の有無」の列を足し、2グループに分けて見比べてみます。ここで出る差は、作品数が少ないので、傾向を示す参考程度に扱うのが妥当です。
少ない数に引きずられない補正と、結果の読み方
足切りよりもう少し丁寧にやりたい場合は、比率を「全体の平均に引き寄せる」補正があります。プレイ回数が少ない作品ほど、全体の平均比率に近づける方法です。
全体比率 = 全作品のいいね合計 ÷ 全作品のプレイ回数合計
補正後 = (いいね数 + k × 全体比率) ÷ (プレイ回数 + k)kは「何回分の平均を足すか」を決める数で、自分で決めます。kを大きくすると全体平均に強く寄り、小さくすると元の比率に近づきます。たとえばkを10にするなら、どの作品にも「平均的な起動10回分」を最初から足しておくイメージです。プレイ回数が数百の作品はほとんど動かず、数回の作品は平均付近に寄ります。kの値を変えても作品の並び順が大きく変わらなければ、その順位は少数のぶれに頼っていないと言えます。変わるなら、その作品は判断を保留にします。
最後に、結果の読み方を整理します。
- 多い、比率:高い、考えられる読み(仮説):広く遊ばれ、好まれている、次に確かめること:他のジャンルでも同様か
- 多い、比率:低い、考えられる読み(仮説):繰り返し起動が多い、または気軽に開かれる、次に確かめること:自分で遊んで、起動し直したくなるか
- 少ない、比率:高い、考えられる読み(仮説):見つけた人に好まれている可能性。ただし分母が小さい、次に確かめること:足切り基準を満たすか、日を置いて再記録
- 少ない、比率:低い、考えられる読み(仮説):まだ知られていない、または合わない、次に確かめること:紹介文や入口の見え方を作品ページで確認
この表は答えではなく、次の問いの出発点です。比率が示すのは「遊ばれ方の違い」であって、「作品の優劣」ではありません。
次の行動
まず、気になるジャンルを一つ選び、プレイ回数順といいね順の両方を同じ時刻に記録して、記録表を作ってみてください。足切りの基準は、数を見る前に決めます。次に、数日おきに同じ作品の数を取り直し、比率が動くかどうかを確かめます。最後に、比率の低い作品を一つ遊んで、「また開きたくなるか」を自分の感覚で記録に添えてください。数と体感を並べると、割り算だけでは見えなかった遊ばれ方の違いが読み取れます。

