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ドラムループの組み合わせは何通りか:16ステップ×4音

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執筆にClaudeを使用しています。

四段の色付きパッドから音のリズムを表す曲線が立ち上がる、木製リズムマシン
記事のテーマをもとに制作したAI生成イラスト。

4つの音を16ステップに並べて、ループで鳴らします。マスを一つ足したり消したりするだけのリズム作りで、「何通りのループが作れるのか」を考えてみます。答えは約1844京(1.8×10¹⁹)通りです。一方で、聴き比べたとき本当に「違う」と感じるループは、そこまで多くないはずです。この記事は、その二つの数の差を、読者が自分の耳と紙で確かめる手順として書いています。 数の大きさは計算で出せます。しかし「違うと感じる数」は計算では出ません。人によっても、ループの中身によっても変わります。そのため、この記事は結果を示しません。数え方、記録のとり方、読み方を示し、答えは各自の記録から出してもらいます。 リズムスタジオ「WAVE / WAVE」には、4つの音、16ステップ、ループ再生、トラックごとのミュート、3つのお手本があります。手元で試しながら読むと、手順がつかみやすくなります。

この記事の目次
  1. 64個のスイッチが作る数字
  2. 「同じ」と数える基準を決める
  3. 自分の耳で「違い」を数える手順
  4. 結果の読み方と起こりやすい誤り
  5. 次の行動

64個のスイッチが作る数字

最初に、数え方を単純にします。4つの音のそれぞれについて、16個のステップが「鳴る」か「鳴らない」かの二択だとします。マスは 4×16 で64個です。1個につき2通りなので、全体は 2 を64回かけた数になります。

  • 2¹⁰ = 1,024
  • 2³² = 4,294,967,296
  • 2⁶⁴ = 18,446,744,073,709,551,616

これが全パターン数で、約1844京です。この数え方は説明のための単純化です。実際の作品に強弱のような別の設定があるかどうかは、作品を開いて確かめてください。もしあれば、マスの状態は3通り以上になり、数はさらに大きくなります。

大きさの感覚を計算でつかんでみます。テンポを120BPM(1分間に120拍)とします。16ステップを16分音符として並べると、1ループは4拍で、2秒です。全パターンを1つ2秒ずつ聴くと、2⁶⁴×2秒で約3.7×10¹⁹秒です。1年を約3,156万秒として年数にすると、約1兆2千億年です。宇宙の年齢(約138億年)の80倍を超えます。全部を聴き切ることは、原理的にできません。

次のコードで、この数と、あとで使う数をブラウザのコンソールで確かめられます。

html
<script>
const cells = 16 * 4;
const total = 2n ** BigInt(cells);
console.log("全パターン", total.toString());
// 変えたマスが r 個以内のパターンの数(球の大きさ)
const r = 2;
let v = 0n, c = 1n;
for (let i = 0; i <= r; i++) {
  v += c;
  c = c * BigInt(cells - i) / BigInt(i + 1);
}
console.log("半径" + r + "の球", v.toString());
console.log("全体÷球の目安", (total / v).toString());
</script>

r の値を変えて試せます。球の意味は後の節で説明します。

「同じ」と数える基準を決める

1844京は、1マスでも違えば別物と数えた数です。耳で聴く場合は、次の重なりを考える必要があります。

  1. 全部が無音のパターン:1通りだけあります。これは音楽として数えないので、引いて 2⁶⁴−1 とします。
  2. ミュートとの重なり:トラックをミュートすると、そのトラックが空のときと同じ音になります。ミュートは新しいパターンを増やしません。「4トラックの鳴る・鳴らない」の16通りは、空のトラックを含むパターンとして、すでに数に入っています。
  3. ループ位置のずれ:ループには始まりも終わりもありません。全トラックを同じだけずらしたパターンは、頭がどこか分かりにくいため、同じリズムに聞こえることがあります。ずらし方は16通りなので、おおよそ 2⁶⁴÷16 = 2⁶⁰ ≒ 1.15×10¹⁸ 通りです。ずらしても変わらない対称なパターンがあるため、正確な値ではなく「およそ」です。
  4. テンポとスウィング:同じ並びでもテンポやスウィング(拍の長短の揺れ)が変わると、別の曲に聞こえます。この記事ではこれを数に入れていません。かけ算で増える要素として別に考えてください。

整理すると、1と2と3の補正をしても、桁はほとんど動きません。「1マスの違いまで数える」という基準を変えない限り、数は10¹⁸から10¹⁹の桁にとどまります。大きな補正は、耳で聴き分けられるかどうかという基準から生まれます。

自分の耳で「違い」を数える手順

聴き分けの限界を測る方法として、1マスだけ変えたペアを聴き比べる設計を示します。

準備するもの

  • WAVE / WAVE(またはマスを自由に切り替えられる別のステップシーケンサー)
  • 記録用の紙か表計算
  • 出題役の人(いなければ、後述の代替手順を使います)
  • 静かな環境とヘッドホン

土台のパターンを決める

お手本の一つを読み込むか、自分で適当に作ります。土台は一つに固定します。別の土台を試すときは、記録を別の表に分けます。

マスを3種類に分ける

16ステップを、拍の中の位置で3種類に分けます。

  • 拍の頭:1、5、9、13番目の4つ
  • 裏:3、7、11、15番目の4つ
  • 細かい位置:残りの8つ(2、4、6、8、10、12、14、16番目)

4トラックそれぞれにこの3種類があるので、12のグループになります。マスの数は、拍の頭が4×4=16個、裏が16個、細かい位置が32個で、合計64個です。

聴き比べの手順

  1. グループを一つ選びます。
  2. 出題役が、そのグループの中から無作為に1マスを選びます。マスの切り替えは、目を閉じているか画面を見ていない読者の側ではなく、出題役が行います。
  3. 出題役は、「土台のまま」と「そのマスだけ反転」のどちらかを無作為に再生します。
  4. 読者は、土台と同じか違うかを答えます。基準にする土台は、事前に何度か聴いて耳に入れておきます。
  5. 1グループにつき、土台のままを4回、反転を4回の計8回をシャッフルして行います。
  6. 正解数を記録します。12グループで合計96回です。

出題役がいない場合は、乱数でマスを決める小さな工夫で代用できます。ただし、自分で切り替えると結果を知ったうえで聴くことになります。この場合は、記録を「参考」として扱ってください。

記録の単位

  • 例:トラック1×拍の頭、マス数:4、試行回数:8、正解数:(記入)

1行が1グループです。正解数を、グループごとに数えます。

結果の読み方と起こりやすい誤り

当てずっぽうとの区別

グループごとの正解数は、当てずっぽうでも出ます。8回のうち7回以上当たる確率は、でたらめに答えた場合で 9/256、約3.5%です。6回以上だと 37/256、約14.5%です。小さな回数の結果を、断定に使わないでください。

  • 7〜8回正解:このグループのマスは、聴き分けられる可能性が高いと考えます。
  • 5〜6回正解:判断を保留し、回数を増やして再度測ります。
  • 4回以下:このグループでは、1マスの違いは聞き分けにくいと考えます。

「実質のマス数」を出す

聴き分けられると判断したグループのマス数を足して、n とします。64個のうち n 個が聴き分けに効くなら、「聴いて違う」パターンの数は、およそ 2ⁿ です。仮に n が24なら 2²⁴ = 16,777,216 通り、というように計算します。これは計算例で、実際の n は記録から出してください。

ここまでの見積もりには、前提が二つあります。一つは、マスの効き方が互いに独立していることです。もう一つは、聴き分けの有無がマスごとに決まることです。実際は、あるマスが鳴ると別のマスの印象が変わります。2ⁿ は、あくまで目安の桁を知るためのものです。

「何マス違えば別物か」という見方

別の測り方もあります。土台から変えたマスの数を d として、d 個以下の違いなら同じに聞こえるという境界を探します。球の大きさを V(r) と書くと、r マスまでの違いを含むパターンの数は次の式で出ます。

  • V(1) = 1 + 64 = 65
  • V(2) = 65 + 2,016 = 2,081
  • V(3) = 2,081 + 41,664 = 43,745

2⁶⁴ を V(r) で割ると、「r マス以内の違いは同じとみなす」場合の数の目安になります。たとえば r=2 なら、2⁶⁴÷2,081 です。ただしこの割り算は目安で、球が重ならないという理想的な並べ方を仮定した見積もりです。実際の聴き分けの境界は、マスの位置で変わります。前節のグループ別の結果と見比べてください。

起こりやすい誤り

  • 土台を変えて比べてしまう:土台が違えば、同じマスでも聴こえ方が変わります。土台ごとに表を分けます。
  • 疲れた耳で続ける:長く聴くと正解率が下がります。1グループ終えるたびに休みます。
  • 大きな音だけ当てて、小さな音を外す:音色や音量の違いも結果に影響します。音量は最初に固定します。
  • 一度の結果で決める:日を変えて同じ表を繰り返し、グループの傾向が一致するかを見ます。

次の行動

まず、手元でコードを実行して 2⁶⁴ の桁を確かめ、WAVE / WAVE を開いて土台のパターンを一つ決めてください。次に、12グループのうち気になる2つだけ、8回の聴き比べをしてみます。正解数が出たら、「実質のマス数 n」と 2ⁿ を計算して、全パターン数との差を眺めてみてください。