マガジン

GoogleドキュメントでGeminiに書き換えを頼む前に:版履歴で安全に戻す準備

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

元の原稿の控えを残した机の上で、手が一つの段落だけを切り取って別の紙へ貼り直している様子
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

Geminiに書き換えを頼んだあとで元の文章に戻せるかどうかは、頼む前の準備でほぼ決まります。やることは3つです。 1. 頼む前に、現在の状態に名前を付けて保存する(版の履歴の「名前付きの版」) 2. 失うと困る文書は、別ファイルとしてコピーも取る 3. 頼む範囲を絞り、提案は1件ずつ確認して取り入れる 戻すときは、版の履歴で名前を付けた版を開き、全体を復元するか、その版のコピーから必要な段落だけを貼り直します。この記事では、準備の手順、依頼文の例、取り入れるかどうかの判断基準、戻す操作の順に説明します。 操作は日本語表示のGoogleドキュメント(パソコンのブラウザ)を想定しています。メニュー名やボタン名は、画面や言語設定、アップデートで変わることがあります。この記事は自動校閲を経た原稿で、人による実機での操作試験はしていません。画面と違う場合は、Googleのヘルプ「ファイルの変更内容を確認する」を優先してください。

この記事の目次
  1. 先に知っておくこと:承認前は文書が変わらない
  2. 頼む前の保存手順
  3. Geminiに渡す依頼文:範囲と禁止事項を書く
  4. 提案の受け入れ方:判断表
  5. 版の履歴から戻す操作の流れ
  6. 本番前の練習と、確認できていない点

先に知っておくこと:承認前は文書が変わらない

Googleの発表によると、Docsの「Help me write」では、下部のバーやサイドパネルからGeminiに文書の編集を頼めます。テキストを選択して対象を絞ることもできます。Geminiの提案する編集は、承認するまで自分にだけ表示されます(Google Workspace Updates, 2026年4月)。

つまり、承認する前なら文書は変わっていません。版の履歴が必要になるのは、承認したあとや、承認と自分の手直しが混ざったあとに「やはり元の文章がよかった」となる場面です。

利用条件にも注意してください。上記の発表では、対象はBusiness・Enterpriseの Standard/Plus、Education Plus、個人向けのGoogle AI Pro/Ultraなどとされ、提供は段階的でした。2026年7月の言語拡大の発表でも、日本語は従来からの対応言語に含まれています。自分の環境で使えるかは、契約プランや管理者の設定によります。なお、日本語画面でのボタン表記は、ここで使っている英語名と異なる場合があります。

頼む前の保存手順

手順1:現在の状態に名前を付ける

名前付きの版は、版の履歴の中で作ります。版の履歴を見るには、その文書の編集権限が必要です。

  1. 書き換えたい文書を開く
  2. 画面右上にある最終編集のアイコン(リンク)から、版の履歴を開く
  3. 右側の一覧で、いちばん新しい版を選ぶ
  4. 「この版に名前を付ける」を選び、名前を入力する

名前は「いつ」「何の前か」が分かる形にします。以下は説明用の例です。

  • AI前_2026-10-28_第3章
  • Gemini依頼前_提案書v2

名前を付けた版は、一覧を名前付きの版だけの表示に切り替えられます。節目だけに付けると探しやすくなります。たとえば「AIに触らせる直前」と「最終稿にしたとき」です。

手順2:重要な文書はコピーも取る

  1. 「ファイル」から「コピーを作成」を選ぶ
  2. ファイル名に _AI前 などを付けて保存する

版の履歴は同じファイルの中にあります。ファイルそのものを失ったり、アクセス権を失ったりした場合は頼れません。納品物や提出物のような文書だけ、別ファイルを持っておけば十分です。

手順3:共有文書では先に周囲へ伝える

共同編集している文書で版を復元すると、全員が見る内容が変わります。「◯時ごろ、第3章をGeminiで書き換えます。その間は第3章の編集を待ってください」と、コメントやチャットで伝えておきます。

手順4:機密情報は置き換えて試す

契約や製品の機密、個人情報を含む文書は、組織のルールを確認してからにします。ルールが分からない間は、固有名詞や数字を架空の値に置き換えた練習用の文書で試します。

Geminiに渡す依頼文:範囲と禁止事項を書く

戻せることと、余計な変更をさせないことは別の話です。依頼文には「どこを」「何のために」「何を変えないか」を入れます。以下は説明用の例で、この通りの結果になるとは限りません。

文章を選択してから頼む例です。

選択した段落を、社外の取引先向けに丁寧な表現へ書き換えてください。
- 数字、日付、固有名詞、金額はそのまま
- 段落の数と順序は変えない
- 元の文より長くしない
- 意味を変えた箇所があれば、箇所と理由を最後に箇条書きで示す

文書全体を対象にする例です。

この文書の誤字脱字と、主語と述語が合っていない文だけを直してください。
内容の追加・削除、見出しの変更、表現の言い換えはしないでください。

依頼文に何を書いても、守られたかどうかは自分の目で確かめます。

提案の受け入れ方:判断表

一括で承認せず、1件ずつ見ます。次の表は確認の目安です。

  • 誤字・表記ゆれの修正、人が見ること:固有名詞や専門用語が別の語になっていないか、判断の目安:問題なければ受け入れる
  • 丁寧語・文体の変更、人が見ること:自分の言い回しや社内用語が消えていないか、判断の目安:違和感のある文だけ見送る
  • 数字・日付・金額の変更、人が見ること:元の値と一致しているか、判断の目安:違えば却下する
  • 文の追加・削除、人が見ること:事実や約束が増えたり減ったりしていないか、判断の目安:根拠のない追加は却下する
  • 構成の入れ替え、人が見ること:見出し、番号、参照先がずれていないか、判断の目安:承認前に名前付きの版を作り直す

数字や固有名詞は、読んだだけでは誤りに気づきにくい部分です。最終的な内容の責任は人にあるので、元の文と並べて確認します。

版の履歴から戻す操作の流れ

全体を戻す場合

  1. 版の履歴を開き、手順1で名前を付けた版を選ぶ(名前付きの版だけの表示にすると探しやすくなります)
  2. 本文に表示された、その時点の内容を確認する
  3. 「この版を復元」を選び、表示される案内に従う

復元の前に、いまの最新の状態にも手順1と同じ方法で名前を付けておくと、「復元しない方がよかった」となったときの戻り先になります。復元のあとは全体を一度読み、Gemini適用後に自分で加えた修正が消えていないかを確かめます。

一部だけ戻す場合(運用案)

Geminiの変更のうち、第2段落だけ戻したいことはよくあります。全体を復元すると、ほかの箇所に取り入れた良い修正まで失います。ヘルプで確認できたのは、旧版の横のメニューから「コピーを作成」できる点までです。以下は、それを使った運用案で、段落単位の復元機能があるわけではありません。

  1. 版の履歴で、名前を付けた版の横のメニューから「コピーを作成」を選ぶ
  2. 作成されたコピーを開き、戻したい段落だけを選択してコピーする
  3. 現在の文書の該当箇所に貼り付ける

貼り付けたあとは、書式や番号が崩れていないかを確認します。

戻したあと

同じ依頼を繰り返さず、依頼文の「変えないもの」を足してからやり直します。共有文書なら、復元したことも周囲へ伝えます。

本番前の練習と、確認できていない点

Geminiが適用した変更が版の履歴にどんな単位で記録されるか、Gemini側の取り消し操作がどう動くかは、今回確認できた公式資料では分かりませんでした。この記事の手順は、その記録の仕方に頼らず、頼む前の自分の操作で戻り先を作る形にしています。

初めて使うときは、練習用の短い文書で一度試してください。

  1. 説明用の文書(例:架空の社内案内を3段落)を作る
  2. 名前付きの版を作る
  3. 1段落を選んでGeminiに書き換えを頼み、提案を承認する
  4. 版の履歴から手順1の版を開き、全体の復元と、コピーを使った部分的な貼り直しの両方を試す

Gemini in Docsの機能概要は、Google Workspaceの製品ページにあります。

出典・参考資料