マガジン

ゲームの名前の付け方:覚えられるタイトルの条件

遊びを見つける

執筆にClaudeを使用しています。

増えすぎた部品を脇へよけ、一周できる小さなゲームのコースを完成させる手元。
記事のテーマをもとに制作したAI生成の写真風イメージ。

ゲームを作り終えたとき、最後まで悩むのがタイトルです。内容は完成しているのに、名前だけが決まらない——そういう経験をした人は少なくないはずです。しかし「センスの問題だから仕方ない」と諦めるのは早すぎます。覚えられるタイトルには、言語と認知の面から説明できる共通の条件があります。 この記事では、なぜあるタイトルは記憶に残り、別のタイトルはすぐ忘れられるのかを整理したうえで、自分のゲームに名前を付けるときに使える判断基準と手順を示します。ゲームジャムやプラットフォーム投稿を控えている方が、タイトルを最終決定する前に確認するための読み物です。

この記事の目次
  1. 覚えられるタイトルに共通する構造
  2. 忘れられやすいタイトルのパターン
  3. タイトルを決めるための手順
  4. 副題と英語表記の判断基準
  5. タイトルと検索の関係
  6. 次の行動

覚えられるタイトルに共通する構造

タイトルは「検索されるキーワード」であると同時に「口頭で他人に伝えられる一言」でもあります。この二つの役割を同時に果たせるかどうかが、まず最初の分岐点です。

記憶に残りやすいタイトルには、いくつかの構造的な特徴があります。

音の短さと区切りのよさ。日本語で3〜6音節、英語で2〜3単語以内に収まるタイトルは、声に出したときに一息で言えます。「テトリス」「どうぶつの森」「Celeste」はいずれもこの条件を満たしています。音節が多くなるほど正確に再現して口頭で伝えるコストが上がり、結果として人から人へ広まりにくくなります。

意味の引っかかり。完全に造語であっても、既存の言葉と音が似ていたり、複数の意味が重なって読めたりするタイトルは印象に残ります。「Undertale」は「underdog(弱者)」「undertaker(葬儀屋)」「tale(物語)」の連想を同時に呼び起こします。一方で、完全な造語でも音の響きそのものが強ければ(「Hades」「DOOM」など)、短さと力強さで補えます。

ジャンルや体験のヒント。タイトルを見ただけでゲームの雰囲気や内容をある程度想像できると、プレイしたことのない人でも話題にしやすくなります。「光のパズル」であれば、光と謎解きが関係していることが伝わります。逆に内容と完全に無関係なタイトルは、知っている人の間でしか通じない固有名詞になってしまいます。

忘れられやすいタイトルのパターン

判断基準を使いやすくするために、避けるべきパターンも整理しておきます。

記号・数字の多用。「Project_X_Ver2.0」のようなタイトルは、開発者の管理番号をそのまま名前にしたように読めます。検索エンジンでも記号の扱いが不安定になりやすく、口頭では伝わりません。

一般名詞そのまま。「パズルゲーム」「アドベンチャー」など、ジャンル名がそのままタイトルになっているケースは、検索したときに無数の別タイトルと混在します。既存タイトルとの重複という問題以前に、「このゲームを指す言葉」として機能しません。

長すぎる説明文。「謎の島で目覚めた記憶喪失の少女が失われた時間を取り戻す物語」のような副題を含む長いタイトルは、ストーリーの概要にはなっていますが、名前としては使えません。省略して呼ばれるうちに本来の意図が失われます。

既存の有名タイトルに似すぎている。意図しない場合も含め、発音や綴りが著名作品に近いタイトルは、検索結果で埋もれるだけでなく、著作権や商標に関するリスクを生じさせることがあります。個別の判断は専門家や公式情報で確認することをお勧めします。

タイトルを決めるための手順

実際にタイトルを考えるとき、次の順序で進めると整理しやすくなります。

1. ゲームの核心を一文で言い直す

まず「このゲームで何をするか」と「プレイヤーが感じる中心的な感情」を一文にまとめます。「光を反射させてゴールに届ける」「逃げながら謎を解く」のような動詞と感覚の組み合わせです。タイトルはこの一文の中から生まれることが多く、最初からネーミングを考えようとすると迷走します。

2. キーワードを10〜20個書き出す

一文から連想できる名詞・動詞・形容詞、ゲームの舞台や主人公の特徴、使っている色やモチーフを自由に並べます。日本語と英語を混ぜても構いません。この段階では評価しないことが重要で、出てきた言葉の数が多いほど組み合わせの候補が増えます。

3. 組み合わせと変形で候補を絞る

書き出したキーワードを二つ組み合わせる、短く省略する、語順を変える、日英を混在させるなどの操作を加えて候補を5〜10本に絞ります。このとき「声に出して3回言えるか」「メッセージアプリで送ったときに意味が伝わるか」を簡易テストとして使えます。

4. 重複と読みを確認する

候補が3本程度に絞れたら、それぞれをWeb検索と主要なゲームプラットフォームで検索し、同名・類似名のタイトルがないか確認します。日本語タイトルであっても英語表記での重複がないか、英語タイトルであれば日本語読みを確認しておくと、後から予期しない混乱を防げます。

5. 第三者に声に出して伝えてもらう

自分では当然読めるタイトルが、他の人には読みにくかったり、別の意味に聞こえたりすることがあります。候補をゲーム内容を知らない人に口頭で伝えてもらい、「自然に言えるか」「意図した印象を受けるか」を確認する最終チェックです。

副題と英語表記の判断基準

メインタイトルが決まったあと、副題を付けるかどうか迷うことがあります。副題はシリーズ作品の区別や、タイトルだけではジャンルが伝わりにくい場合に有効です。しかし、シングルタイトルの個人制作ゲームで副題を付けると、かえって重さが増して検索でも入力されにくくなります。副題は「なければ伝わらない情報があるか」を基準に判断すると過剰になりません。

英語表記については、国内向けのゲームでも英語タイトルまたはローマ字表記を用意しておくと、URLやファイル名として使いやすくなります。日本語タイトルを採用する場合も、公開時のスラッグ(URLの末尾に使う文字列)として使える英語読みを別途決めておくことで、投稿後の管理が楽になります。

タイトルと検索の関係

個人制作ゲームが検索から発見されるためには、タイトルそのものに加えて、説明文やタグとの組み合わせが重要です。タイトルがすでに「光のパズル」のようにジャンルを含んでいる場合は、説明文で操作方法や難易度など別の情報を補えます。一方でタイトルが造語や固有名詞中心の場合は、説明文の冒頭にジャンルや体験を言葉で入れることで、検索エンジンがゲームの内容を正確に理解しやすくなります。

タイトルは作品の顔であると同時に、作品が見つかるための入口でもあります。ゲームプラットフォームで公開する際、タイトルの表記・よみがな・英語表記を一致させておくことは、後から修正コストを減らすうえでも基本的な準備です。

次の行動

自分のゲームのタイトルが気になった方は、まず「核心を一文で言い直す」ステップだけ試してみてください。その一文が書けると、タイトル候補の言葉が自然と浮かびやすくなります。タイトルが決まったゲームをアソバースに投稿する際は、説明文とタグも合わせて整えると、検索からプレイヤーに届く可能性が上がります。