雨音のピアノの録音が30秒・128音までなのはなぜか
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「雨音のピアノ」には録音機能があり、録れるのは30秒、または128音までです。2つの数字が並ぶと、どちらが本当の上限なのか、なぜこの値なのかが気になります。 ただし、この数字を決めた理由について、開発側の説明は確認できていません。この記事では理由を言い当てることはしません。確認できている仕様(30秒・128音、画面を開いている間だけ残る録音、記憶ゲームの3音から8音)を並べ、「設計から読み取れること」を整理します。そのうえで、読者が自分で上限を試せる手順を示します。
2つの数字を並べると見えるもの
まず算術です。30秒で128音を使い切るには、平均で約0.23秒ごとに1音を弾く必要があります(30÷128≒0.234秒)。1秒あたりでは約4.3音です。
この速さが音楽的にどのくらいかは、1音を何分音符とみなすかで変わります。
- 四分音符、128音を30秒で使い切るテンポ(目安):約256
- 八分音符、128音を30秒で使い切るテンポ(目安):約128
- 十六分音符、128音を30秒で使い切るテンポ(目安):約64
テンポは四分音符を1分間に何拍打つかを表す値です。八分音符で弾き続けるなら、128前後のかなり活発なテンポで、ようやく両方の上限が同時に来ます。
ここから読み取れるのは、2つの上限が別々の役割を持っていることです。ゆっくり弾く人は音数より先に30秒の壁に当たり、細かく速く弾く人は30秒より先に128音の壁に当たります。同じ長さ・同じ音数を一度に守る数字ではありません。弾き方に応じて、先に来るほうが「実際の上限」になります。
上限から読み取れる設計
確認済みの仕様から、この上限と結びつきそうな点は3つあります。いずれも設計から読み取れる範囲の推測で、開発者の意図を断定するものではありません。
録音が一時的なものである
この作品の録音は、画面を開いている間だけ残ります。保存機能を持つのは「余白の庭」「WAVE / WAVE」「かたちのあいだ」の3作品で、雨音のピアノは含まれません。長期に残す前提のデータであれば、保存容量や形式の設計が必要です。しかし、この録音は「録ってすぐ聴く」ための一時的な記録です。そう考えると、短く上限を区切るのは無理のない作りに見えます。
その場で再生することが前提である
録音は「その場で再生」できます。録った演奏を聴き返し、気に入らなければ録り直す。この往復を何度も軽く行うには、1回の録音が短いほうが向いています。30秒なら、聴き返しに要する時間も30秒以内です。
数える単位が「音」である
上限が秒数だけでなく音数でも決められている点は、音を1つずつ記録していることを示唆します。記録が増えるほど、再生のために保持する量も増えます。128音という数字は、その量に天井を設ける役割に見えます。ただし、細かな内部の仕組みは作品の案内からは分かりません。
加えて、13作品はすべて独立したHTMLで外部通信なしに動きます。録音が外部に送られない作りと、録音が画面を開いている間だけ残る作りは整合します。ただし、これが上限の理由かどうかは確認できません。
どちらの上限が先に来るかを確かめる設計書
数字の読み方は、自分で弾けば確かめられます。次の問いを立てて、作品を開いて試してみます。
問い: 自分の普通の弾き方では、30秒と128音のどちらが先に来るか。
準備するもの: 雨音のピアノを開いた画面、時間を測れるもの(スマートフォンのタイマーなど)、メモ用の紙。キーボードで試す場合は、A W S E D F T G Y H U J の12キーを使います。
手順:
- 音色(フェルトかガラス)、タッチ、余韻を決め、試す間は変えません。
- ゆっくり目の演奏(1音を約1秒ごと)で録音を始め、止まるまで弾き続けます。
- 録音が止まった時点で、画面の表示を見て、時間の上限で止まったのか音数の上限で止まったのかを記録します。
- 次に、できるだけ速く一定の間隔で同じキーを叩き続けて録音し、同様に記録します。
- 中くらいの速さでも同様に試します。各速さで3回ずつ行うと、ぶれを見分けられます。
記録の取り方: 速さ(ゆっくり・中・速い)、止まったときの経過時間、止まった理由、感じたことを1回ごとに1行で書きます。
結果の読み方:
- ゆっくりの演奏で30秒に先に達し、速い演奏で128音に先に達するなら、2つの上限は役割を分け合っています。上の算術と合っているかも見比べてみます。
- 速さを変えても同じ側の上限ばかりに当たる場合は、弾き方が偏っているか、自分が思うより速さが変わっていない可能性があります。間隔を意識して試し直します。
- 上限に達したとき、録音が止まるのか、古い部分が消えるのか、といった挙動は、仕様の案内からは確認できません。必ず自分の目と耳で確かめます。
起こりやすい誤り:
- 試すたびに音色やタッチを変えると、比べる条件が揃いません。
- 和音のように同時に押した場合、1音と数えるのか複数と数えるのかは分かりません。単音のメロディで試すほうが、数が読みやすくなります。
- 1回の結果だけで「必ずこうなる」と決めないことも大切です。
上限があるから生まれる遊び方
上限は不自由に見えますが、遊び方を絞る効果も持ちます。確認済みの仕様を材料に、使い方を考えてみます。
30秒を一曲の単位にする。 時間が区切られているので、「短い曲を1つ作る」という課題が自然に立ちます。導入、展開、終わりをどう30秒に収めるかを考えるだけで、演奏が引き締まります。
128音を予算として配分する。 音数が決まっているなら、どこに音を使うかを決める遊びになります。たとえば前半を細かく弾き、後半を少ない音で締めくくるといった配分です。音を減らす選択が表現になります。
フレーズ記憶ゲームと組み合わせる。 この作品には、3音から8音へ育つフレーズの記憶ゲームもあります。8音のフレーズなら、128音の中に単純計算で16回分入ります(128÷8=16)。ゲームで覚えたフレーズを、録音の中で繰り返したり変形したりする使い方が考えられます。お手本の速さを選べるので、自分の弾く速さに近い設定を探すと、録音の素材づくりにも役立ちます。
雨音の自由演奏と録音を行き来する。 雨音つきの自由演奏で好きな音の並びを探し、納得したら録音に入ります。余韻を切り替えれば、同じ音の並びでも、残り方の違う2通りを録って聴き比べられます。
こうした遊びはどれも、「何度も録り直せる」ことが前提です。録音が一時的な点は、短く録って捨てる遊びと相性が良いと言えます。
試すときの注意点
録音は画面を開いている間だけ残るので、気に入った演奏をあとで聴き返したい場合は、画面を閉じる前に聴き終えておく必要があります。ページを閉じたり再読み込みしたりした場合に何が残るかは、事前に短い録音で試しておくと安心です。
もし気に入った演奏を別の形で残したいなら、手元で楽譜やメモに音名を書き留める方法があります。キーボードの12キーは音名と結びつけやすいので、キーの並びを書くだけでも再現の手がかりになります。録音の中身を作品の外に取り出せるかどうかは、確認済みの仕様にはありません。作品を開いて確かめてください。
また、動きを抑える設定や、ライト/ダークの表示切り替えは、録音の仕組みとは別の機能です。見た目の設定を変えたときに録音がどうなるかも、確かめる項目に加えておくと、一時的な録音を失わずに済みます。
次の行動
雨音のピアノを開き、まずゆっくりした速さで30秒の録音を1回、速い速さで1回録ってみてください。どちらの上限に当たったかを1行ずつ書き留めると、自分の弾き方の傾向が見えてきます。そのうえで、128音を「予算」と考えて、短い曲を1つ作ってみてください。

