マガジン

3×3と4×4:スライドパズルの考え方はどこで変わるか

遊びを見つける

執筆にClaudeを使用しています。

道をつなぐ線、丸い駒、幾何学のタイルからなるパズルの模型。
記事のテーマをもとに制作したAI生成イメージ。実際のゲーム画面ではありません。

3×3のスライドパズルを何度か解けるようになった人が、同じ要領で4×4を開く場面を考えてみます。数字が8枚から15枚に増えただけで、同じやり方なら同じように解けそうに見えます。ところが、思ったところで手が止まる人は少なくないはずです。 この記事では、その手が止まる位置を自分で見つけるための比較を設計します。「かたちのあいだ」には3×3の入門と4×4の2段階があります。この二つの盤で、解き方の手順がどこで変わるのかを確かめます。結果は書きません。同じ条件で記録を取り、読者が自分の数字で答えを出す形にします。 比べる観点は4つに絞ります。揃える順序、先読みの深さ、手数と時間の関係、ヒントへの頼り方です。盤の大きさが変わると、効く考え方は「全体を見渡す」から「区切って進める」へ移ると言われます。これが自分の手元でも当てはまるかを、記録から読み取ります。

この記事の目次
  1. 比べる前に、問いと仮説を決めておく
  2. 準備と記録の取り方
  3. 3×3で「層ごとに解く」手順を身につける
  4. 4×4で変わる3つの点
  5. 結果の読み方
  6. 起こりやすい誤り
  7. 次の行動

比べる前に、問いと仮説を決めておく

記録を取る前に、何を確かめるのかを一文で書いておきます。たとえば次のような問いです。

  • 4×4で増える手数と時間は、3×3の何倍になるのか。
  • 3×3で使っていた手順は、4×4でそのまま通用するのか。
  • ヒントを使う場面は、盤が大きくなるとどう変わるのか。

仮説も先に書いておきます。「4×4は時間が3倍かかる」のような大まかなもので構いません。あとで記録と照らして、外れた箇所に注目するためです。結果を見てから理由を後付けすると、何も学べなくなります。

背景として、一般に知られている数字を押さえておきます。3×3の配置は、到達できるものだけで181,440通りです。4×4では約10兆4,600億通りで、約5,800万倍に増えます。どの配置でも最短手数の上限は、3×3で31手、4×4で80手とされています。ただし、これは理論上の最短の話です。人間が解く手数はこれより多くなるので、記録の目安にはせず、「盤が大きくなると状態の数が急に膨らむ」ことの確認にとどめます。

状態が膨らむと、頭の中で全体の見通しを立てる方法が通用しなくなります。ここが、考え方が変わる最初の理由です。

準備と記録の取り方

用意するのは、「かたちのあいだ」を開く端末と、記録を書く紙かメモだけです。ログインは不要で、遊ぶ前に難易度を選びます。4×4の2段階が何で分かれているかは、作品を開いて確かめてください。この記事では、4×4の2段階のうち先に選べるほうを「4×4の1段階目」と呼びます。

記録するのは次の項目です。

  • 盤、取り方:3×3、4×4の1段階目、4×4の2段階目
  • 手数、取り方:完成時に表示される数字を書き写す
  • 時間、取り方:完成までの時計の表示を書き写す
  • 戻した回数、取り方:「一手戻す」を押した回数を自分で数える
  • ヒント回数、取り方:「次の一手のヒント」を押した回数を自分で数える
  • 気づいたこと、取り方:手が止まった場所を一言で書く

「一手戻す」を押しても手数は減らない作りです。そのため、手数の数字だけを見ると、戻したぶんも手数に含まれてしまいます。戻した回数を別に数えておくと、迷いの量が見えます。

時計は一時停止できます。電話や会話で中断するときは必ず止めてください。止め忘れた記録は、比較から外します。

回数は、各盤で最低でも5回ずつ取ります。1回では、たまたま簡単な配置に当たったのか、解き方が身についたのかを区別できません。配置を再挑戦する機能もありますが、使い方は目的で分けます。同じ配置を繰り返すと、2回目以降は配置を覚えている影響が混ざります。同じ盤での上達を見たいときは使い、盤どうしの比較には使わず、毎回新しい配置で取ります。

3×3で「層ごとに解く」手順を身につける

4×4との差を見るには、3×3での手順を言葉にしておく必要があります。多くの人が自然に行うのは、次の「層ごと」の解き方です。

  1. 上の行(目標の並びで一番上の行)の3枚を左から順に揃える。
  2. 揃えた行は動かさず、残りの2行で作業する。
  3. 最後に、残った小さな範囲を回すように動かして完成させる。

目標の並びが数字の昇順で、空白がどこに来るかは、作品を開いて確かめてください。以下は左上から順に揃える一般的な前提で書いています。

最初の山場は、上の行の最後の1枚です。左の2枚を揃えたあとで3枚目を入れようとして、すでに揃えた2枚を崩してしまう経験は、多くの人にあります。一般的な対処は、3枚目をいったん別の場所に退避させ、2枚を少しずらしてから一緒に収める手順です。これが「最後の2枚問題」です。ここでの手順を、3×3の記録の「気づいたこと」に書き留めておきます。

3×3を5回解いたら、上の行を揃えるのに全体の何割を使ったかも見ておきます。この感覚を4×4の比較に持ち込みます。ヒントは、手が止まったときだけ使うことにします。ヒントは最短手とは限らないと案内されているので、「ヒントの通りに進めた結果、遠回りになったかもしれない」と考えながら読みます。

4×4で変わる3つの点

4×4では、同じ層ごとの考え方が3か所で変わります。記録のどこに表れるかを合わせて示します。

変わる点1:揃える順序が増える

3×3は「上の行、次の行、残り」の3層でした。4×4では上の行、2行目を揃えたあと、残りの2行を左の列から順に揃えていく流れになります。最後は2×2の範囲に落ち着きます。一般的な解き方がそうだ、という意味です。作品のヒントがこの順で示すかは確認事項にないので、実際に見て判断してください。

記録の取り方としては、「どの層を揃えたあたりで手が止まったか」を書き込みます。3×3で手が止まった層と、4×4で止まった層を並べると、変化がはっきりします。

変わる点2:先読みの深さが通用しなくなる

3×3では、数手先まで頭の中で動かして確かめられる場面が多くあります。4×4では枚数が多く、空白の移動できる経路も増えるので、数手先の先読みが当てにくくなります。そこで、先読みを「次の1枚をどこへ運ぶか」という単位に切り替える人が多いようです。

自分がどちらの考え方で進めているかを調べるには、手が止まった場面を思い出します。「次に動かす1手」を考えていたのか、「次に揃える1枚」を考えていたのか。ここを「気づいたこと」に一言で書きます。5回分が溜まれば、傾向が見えます。

変わる点3:戻したくなる場面が増える

枚数が増えると、揃えた枚数を崩さずに目的の1枚を運ぶ手順が長くなります。「戻す」を使う頻度が上がるのは、手順の途中で、崩してはいけない位置を崩したと気づいたときです。戻した回数と、そのとき崩れたものを記録します。崩れたものが「揃えたばかりの端の枚」に偏るなら、最後の2枚問題の延長にあたります。

結果の読み方

5回分の記録が揃ったら、次の順に読みます。

手数と時間を別々に比べます。 3×3の平均を基準にして、4×4の手数が何倍か、時間が何倍かを出します。

  • 手数の倍率より時間の倍率が明らかに大きい場合:1手あたりに考える時間が増えています。先読みの深さが通用しなくなった可能性があります。
  • 倍率がほぼ同じ場合:考え方はあまり変わらず、作業量が増えただけかもしれません。
  • 時間の倍率のほうが小さい場合:4×4では、手順を決めて機械的に進められている可能性があります。

戻した回数とヒント回数を、手数に対する割合で見ます。 割合が3×3より上がったなら、迷う場面が増えています。「気づいたこと」を見て、その場面がどの層だったかを確かめます。

4×4の1段階目と2段階目の差も見ます。 差が2段階目で急に開くなら、そこが自分の手順の限界かもしれません。

なお、5回ずつの記録では、数字がばらつくのは普通です。1回だけ大きく外れた記録があれば、その回の「気づいたこと」を読み直して、中断や操作ミスがなかったかを確認します。理由が見当たらない外れ値は、無理に取り除かず、そのまま残して平均と中央値の両方を見ます。

起こりやすい誤り

  • 同じ配置で盤を比べる。 3×3と4×4は同じ配置にできません。同じ配置の再挑戦は、同じ盤での上達を見るときだけ使います。
  • ヒントを最短手と思い込む。 ヒントは最短とは限らない作りです。ヒント通りの手数を基準にしないでください。
  • 戻した手数が減ると思う。 戻しても手数は減りません。手数だけを見て「ミスが少ない」と判断しないでください。
  • 時計の止め忘れ。 中断時は一時停止します。止め忘れた回は比較から外します。
  • 1回の記録で結論を出す。 配置の難しさに運の差があります。最低5回は取ります。
  • 解けない配置を想定する。 一般に、スライドパズルには原理的に解けない配置があります。作品でそうした配置が出るかは、この記事では扱いません。解けないと感じたときは、まず自分の手順の誤りを疑い、それでも不明なら作品の案内を確認してください。

次の行動

まず3×3を5回、続けて4×4の1段階目を5回解き、上の表の項目を書き留めてください。そのうえで、手数の倍率と時間の倍率のどちらが大きいかを出し、手が止まった層を比べてみてください。2段階目は、1段階目の結果を読んでから、手順を変えるかどうかを決めて挑むと、違いがより見えやすくなります。