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雨音のピアノとWAVE / WAVE:音を「弾く」と「組む」の違い

遊びを見つける

執筆にClaudeを使用しています。

つなぎ目のない銅色のリボンとテープリールで、自然なBGMループを表した写真風イメージ。
記事のテーマをもとに制作したAI生成イラスト。

「雨の日の帰り道」という30秒の音楽を作る場面を考えてみます。一方では、鍵盤に指を置いて、浮かんだ音を順番に鳴らしていきます。もう一方では、短い区間を何度も繰り返し流しながら、音を一つずつ置き足していきます。どちらも音を使った遊びですが、同じ30秒に向かう頭の使い方がかなり違いそうです。 アソバースの公式作品には、この二つの入口がそれぞれあります。「雨音のピアノ」は、フェルトとガラスの2音色で弾き、30秒・128音まで録音して再生できる作品です。「WAVE / WAVE」は、4つの音を16ステップに並べてループ再生するリズムスタジオです。この記事では、どちらが優れているかは決めません。同じお題と同じ条件で両方を触り、手触りの違いを自分で言葉にするための手順と観点を示します。 結果は読者の手元で出ます。ここに書くのは比べ方と、結果が出たときの読み方です。

この記事の目次
  1. 比べる前に決める三つの条件
  2. 観点1:時間の置き方
  3. 観点2:やり直しと失敗
  4. 観点3:残るものと消えるもの
  5. 記録シートと結果の読み方
  6. 次の行動

比べる前に決める三つの条件

手触りの比較は、条件がずれると意味がなくなります。次の三つを先に決めておきます。

1. 同じお題

「雨の日の帰り道」のように、情景だけを決めます。音の数や雰囲気まで細かく決めると、作品ではなくお題に引っ張られます。

2. 同じ時間

各作品で10分ずつ、といった具合に区切ります。ストップウォッチかタイマーを使い、時間が来たら途中でも止めます。

3. 同じ環境

同じ端末、同じ音量、同じイヤホンかスピーカーで行います。この二作品は、共通仕様として外部通信なしの独立したHTMLで動きます。条件をそろえるうえで気にするのは、端末と音量くらいです。

もう一つ大切なのは順序です。先に触った方は、お題への慣れが加わって不利にも有利にもなります。可能なら二人で行い、片方は「ピアノ→WAVE」、もう片方は「WAVE→ピアノ」の順にします。一人で行うなら、日を変えて順番を入れ替えます。

観点1:時間の置き方

最初の観点は、音楽の時間が誰のものか、です。

雨音のピアノでは、時間は演奏者の手の中を流れます。押したキーの音が鳴り、次の音をいつ弾くかは自分で決めます。キーボードで弾く場合は、A W S E D F T G Y H U Jの12キーが並び、ZとXで音域を動かします。

WAVE / WAVEでは、時間は先に枠として用意されています。16ステップの枠にループ再生が流れ、自分はその枠のどこに音を置くかを決めます。テンポやスウィング(拍に揺れを与える設定)で、枠の流れ方を変えることもできます。

この違いは、次のように観察できます。

  • 弾いている間、次の音を「その瞬間」に決めているか、「少し先」を考えているか
  • 音を鳴らしてから止まるまでの間に、何度手が止まるか

作品の操作の細部は、実際に開いて確かめるのが確実です。WAVE / WAVEの4つの音がどんな種類かも、作品を開いて聴いて確かめてください。

観点2:やり直しと失敗

次の観点は、間違えたときの扱いです。

雨音のピアノでは、30秒・128音までの録音をその場で再生できます。弾いた内容は撮り直す前提で扱うことになりそうです。外れた音は、その瞬間に鳴ってしまいます。

WAVE / WAVEには取り消しがあります。置いた音は、ループの中で何度も聴きながら直せます。パッド演奏の録音もあるので、組む作業の中に弾く要素も含まれています。録音がどのように扱われるかは、作品を開いて確かめてください。

ここで見たいのは、間違いが「悔しさ」になるか「材料」になるかです。

  • 時間の単位、雨音のピアノ:弾いた順に流れる(録音は30秒・128音まで)、WAVE / WAVE:16ステップのループ
  • 音の種類、雨音のピアノ:フェルトとガラスの2音色、3段階のタッチ、余韻の切り替え、WAVE / WAVE:4つの音(種類は作品で確認)
  • 調整できるもの、雨音のピアノ:音色、タッチ、余韻、音域、WAVE / WAVE:テンポ、スウィング、トラックごとのミュート
  • お手本・ガイド、雨音のピアノ:記憶ゲームの手本(速さを選べる)、WAVE / WAVE:3つのお手本
  • 戻す手段、雨音のピアノ:録音の撮り直し、WAVE / WAVE:取り消し

この表は確認済みの仕様の比較です。どちらに優劣があるかは書いていません。記憶ゲームは「3音から8音へ育つフレーズ」を聴いて覚えて返す遊びで、「弾く」の中にある「覚える」という別の手触りです。時間に余裕があれば、お題の演奏とは別に触れてみてください。

観点3:残るものと消えるもの

三つ目の観点は、作ったものがどう残るかです。

雨音のピアノの録音は、画面を開いている間だけ残ります。画面を閉じれば消えるので、演奏はその場限りの出来事に近くなります。

WAVE / WAVEには保存があります。作ったループは後日に開き直して、続きから直せます。保存があるのは、アソバースの公式作品13本の中で余白の庭、WAVE / WAVE、かたちのあいだの3本だけです。

この違いが「作りながらの気持ち」にどう影響するかは、人によって変わるはずです。

  • 消えると分かっているから、気軽に弾けるか
  • 残ると分かっているから、丁寧に組みたくなるか
  • あるいは、どちらも気にならないか

比べるときは、作業後に「もう一度開き直したいか」を5段階で記録してみてください。残るかどうかが、その気持ちに関係しているかどうかが見えてきます。

記録シートと結果の読み方

比較は、作業中の様子を数字にすることで、感想以上のものになります。用意するのは紙一枚で十分です。

記録する項目

各作品ごとに、次を記録します。単位と回数を決めておくと、後で読み比べられます。

  1. 手が止まった回数:5分ごとに数えます。2秒以上操作が止まったら1回とします。
  2. やり直した回数:撮り直し、取り消しなどを1回ずつ数えます。
  3. 聞き返した回数:できた部分を最初から聴き直した回数です。
  4. 最後の満足度:「お題の情景に近づいたか」を1〜5で書きます。
  5. ひとこと:その作品で一番「楽しかった瞬間」を1行で書きます。

同じお題で、順序を入れ替えた2回分を取れるなら、さらに信頼できます。1回だけでは、慣れの影響を切り分けられないからです。

結果の読み方

数字が出たら、次のように読んでみます。

  • やり直しが多く、聞き返しも多い作品は、「確かめながら作る」手触りが強い可能性があります。
  • やり直しが少なく、手が止まる回数が少ない作品は、「流れで進む」手触りが強い可能性があります。
  • 手が止まる回数が多いのに満足度が高い作品は、迷う時間そのものが楽しさになっている可能性があります。
  • 満足度が両方ほぼ同じなら、作品の差より、お題や気分の影響が大きいのかもしれません。

ここで言えるのは「傾向」であって、作品の優劣ではありません。

起こりやすい誤り

  • 音量や環境が日によって違う:同じ条件のつもりでも、聴こえ方が変わります。
  • 順序の影響を見逃す:後に触った方が、お題に慣れて有利に見えます。
  • 満足度を作品への好き嫌いと混同する:「情景に近づいたか」と「作品が好きか」は別の問いです。
  • 短時間で結論を急ぐ:10分で触れる範囲は限られます。どちらかが慣れない操作だった場合は、その旨をひとこと欄に残してください。

子どもと一緒に行う場合は、数字を大人が代わりに数える役を持つと、本人は演奏や配置に集中できます。「動きを抑える」設定にも対応しているので、画面の動きが気になる場合は設定で変えられます。

次の行動

まず「雨の日の帰り道」というお題を決め、10分のタイマーを用意して、雨音のピアノとWAVE / WAVEを順番を変えて触ってみてください。記録シートに、手が止まった回数、やり直した回数、満足度の三つだけでも書けば、「弾く」と「組む」の違いが自分の言葉で見えてきます。

終わったら、数字を並べて「どちらが近づきやすかったか」ではなく、「どんな瞬間に手が動いたか」を読み比べてみてください。