マガジン

自分だけで使うWebツールと人に渡すWebツール:AIに頼む前に分けたい7つの条件

AIを使いこなす

Claudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

机の上で旅行費用のコインを三つのまとまりに分ける手元
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

自作ツールの境目は、URLを誰かに教えた瞬間というより、自分以外の人のデータ・時間・お金が関わる瞬間にあります。 自分のブラウザの中だけで動き、自分のデータしか扱わないツールなら、AIに作らせて手元で使うだけで足ります。友人や同僚に渡すと「誰が開けるか」を決める作業が加わります。不特定多数に公開すると、入力データの扱い、APIの費用、不具合時の連絡先、やめ方まで、運営者として決める項目が一気に増えます。 この記事では、AIに作らせる前に決めておきたい7つの条件を、自分用・限定共有・一般公開の3段階で比べます。判断表、そのまま使える依頼文、公開前の確認手順まで載せます。

この記事の目次
  1. 7つの条件を3段階で比べる判断表
  2. 限定共有で確認できる公式の仕様
  3. AIに頼む前に埋める依頼文
  4. 渡す前に人が確認する手順
  5. 迷ったときの決め方

7つの条件を3段階で比べる判断表

次の表は、編集部が整理した判断の目安です。法律や規約の解釈を保証するものではありません。

  • 1. 誰が開けるか、自分用:自分の端末だけ、限定共有:招待した特定の人だけ。アクセス制限を設定する、一般公開:誰でも。想定外の人も開く前提
  • 2. 入力させるデータ、自分用:自分のデータ。他人の個人情報は入れない、限定共有:相手に「入れてよい情報」を事前に伝える、一般公開:入力させない設計が基本。集めるなら目的・保存期間・削除方法を決める
  • 3. 保存先、自分用:ブラウザ内かローカルファイル、限定共有:相手ごとにデータが分かれるか確認する、一般公開:サーバーに保存するなら、権限設定・バックアップ・削除手段が必要
  • 4. 鍵とAPI費用、自分用:自分の鍵を自分の環境で使う、限定共有:利用上限や予算通知を設定する、一般公開:鍵を公開コードに置かない。上限と乱用対策が必要
  • 5. 壊れたとき、自分用:自分で直せばよい、限定共有:連絡先と動作確認したブラウザを伝える、一般公開:停止手順、問い合わせ窓口、更新方針を決める
  • 6. 画面上の説明、自分用:メモ程度、限定共有:使い方と「試作品」である旨、一般公開:運営者、使い方、データの扱い、免責を明記
  • 7. やめ方、自分用:ファイルを消す、限定共有:招待解除。公開URLを無効にする、一般公開:公開停止後も、データやリンクが残らないか確認

表の中で最も差が出るのは、2・3・4の「データ」「保存」「お金」です。見た目や機能の数より、ここが責任の大きさを決めます。

具体例(説明用の例)

「旅行費用の割り勘を計算するページ」を考えます。

  • 自分用:金額と人数を入れて計算するだけ。保存はしない。条件2〜4はほぼ気にしなくて済みます。
  • 限定共有:旅行メンバー4人に使ってもらう。名前と金額が入るので、メンバー以外が開けない状態にします。
  • 一般公開:誰でも使える。名前や金額をサーバーに保存する機能を足すと、一気に運営者の仕事になります。保存しない設計のまま公開する方が、はるかに軽く済みます。

限定共有で確認できる公式の仕様

「URLを知っている人だけ」は保護になりません。URLは転送されることがあるため、閲覧を制限するならホスティング側の機能を使うのが基本です。ここでは公式ドキュメントで確認できた内容を紹介します。

Vercelの場合

VercelのDeployment Protectionのドキュメント(ページ上の最終更新表記は2026-09-15)では、保護の方式と範囲を分けて設定すると説明されています。

  • 方式:Vercel Authentication(適切な権限を持つVercelユーザーに限定)、Password Protection、Passport、Trusted IPsなど。
  • 範囲:Standard Protectionは本番ドメイン以外を保護し、All Deploymentsは本番ドメインも含めて保護します。どちらも全プランで使えると書かれています。
  • Password Protectionは、Proで保護するプロジェクトごとに月額20ドルと記載されており、Hobbyでは使えません。

つまりStandard Protectionのままだと、本番ドメインは誰でも開けます。限定共有にしたいなら、範囲をAll Deploymentsにしているかを自分で確認してください。また、Vercel Authenticationで絞ると、相手もVercelのアカウントが必要になります。友人に渡すツールでは、この点がネックになりえます。料金やプランは変わるため、設定前に最新の公式ページで確認してください。

GitHub Pagesの場合

GitHub Pagesの公開範囲に関するドキュメントによると、サイトを非公開で公開できるのはGitHub Enterprise Cloudを使う組織で、private/internalリポジトリから公開するプロジェクトサイトが対象です。非公開公開の場合、閲覧できるのはリポジトリの読み取り権限を持つ人です。

この記述から読み取れる注意点は、個人の無料アカウントでprivateリポジトリを使っていても、サイトの閲覧制限まで自動でかかるとは限らないことです。自分の契約で制限が使えるかは、設定画面と公式ドキュメントで確かめてください。

またGitHub Pagesの利用制限のページには、パスワードやクレジットカード番号など機微な取引の送信や、事業・EC・商用SaaSの運営を目的とした利用は想定されていないという趣旨の記載があります。一般公開で決済や会員機能を足したくなったら、ホスティングの規約から確認し直す必要があります。

AIに頼む前に埋める依頼文

いきなり「ツールを作って」と頼むと、AIは公開範囲を考えずに動くコードを返しがちです。先に設計案だけを出させると、後から作業が増えるのを防げます。次の依頼文の【】を埋めて使ってください。実際のAPIキーや他人の実名は貼らず、ダミーに置き換えます。

あなたはWebツール制作の相談相手です。
小さなツールを作る前の設計案を出してください。コードはまだ書かないでください。

【ツールの目的】
【公開範囲】自分用 / 限定共有 / 一般公開 のどれか
【使う人】
【入力させる情報】
【保存したい情報と、保存先の希望】
【外部APIやAPIキーの使用】あり / なし
【ホスティング先】

次の4点を出してください。
1. 上の公開範囲で必要な作業の一覧
2. 公開範囲を一段階広げたときに追加で必要になる作業
3. 私が自分の目で確認すべき項目
4. 前提が足りないために私へ確認したい質問

守ること:
- APIキーをコードに直接書かない
- 分からないことは推測せず「要確認」と書く
- 入力させる情報は最小限にする案も併記する

入力例(説明用の例):

【ツールの目的】旅行メンバー4人の立て替え金額から、精算額を計算する
【公開範囲】限定共有
【使う人】友人4人(Vercelのアカウントは持っていない)
【入力させる情報】ニックネームと金額
【保存したい情報】保存しない。ブラウザを閉じたら消えてよい
【外部APIやAPIキーの使用】なし
【ホスティング先】Vercel(無料のHobbyプラン)

この例では、Hobbyでパスワード保護が使えないことと、友人がVercelアカウントを持たないことが論点になります。AIの返答がそこに触れているかが、設計案を信頼できるかの目安になります。ただし、AIが料金や仕様を正しく述べているとは限りません。ホスティングの仕様は、先ほどの公式ページで自分で照合してください。

渡す前に人が確認する手順

AIに任せられるのは設計案の下書きとコードの草案までです。公開範囲が本当に意図どおりかは、人が実際に確かめる必要があります。

  1. ログインしていない状態で開く:シークレットウィンドウなど、普段のアカウントが入っていないブラウザで公開URLを開き、見えてよい範囲だけが見えるか確かめます。
  2. 本番と確認用の両方のURLを試す:ホスティングによっては、保護の対象が本番ドメインと確認用URLで分かれます。両方を開きます。
  3. ソースを見て鍵や個人情報がないか探す:ブラウザの開発者ツールで、ページに読み込まれるコードを確認します。APIキーやメールアドレスが見えたら、公開しないでください。
  4. ダミーデータで入力から保存、削除まで通す:実在の人の情報ではなく、架空の名前で試します。
  5. 止め方を先に決める:公開を止める手順と、費用が出る外部サービスの上限設定を、公開前にメモしておきます。

個人情報を集める設計にする場合は、日本国内でも守るべきルールが関わることがあります。判断に迷うときは、公的機関の案内や専門家に確認してください。この記事は個別の適法性を判断するものではありません。

迷ったときの決め方

迷ったら、公開範囲を狭いほうに決めて作り始めます。自分用で作り、使えると分かってから限定共有、それから一般公開へと広げるほうが、追加の作業を一つずつ片づけられます。逆に、一般公開を前提にすると、最初から全部の条件を満たす必要があります。

広げるときは、依頼文の【公開範囲】だけを書き換えて、同じ依頼文をもう一度AIに渡してください。「2. 追加で必要になる作業」に挙がった項目が、次に人が片づける宿題になります。

出典・参考資料